蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『さらしな総本店@東京・田無』さんの三点盛の「二点盛」

2016-10-30 11:10:00 | 東京都(西東京市)

今年の秋は、大学ラグビーの試合を観戦するために東京都・小金井市を何度となく訪れ、その都度、日頃訪れる機会の無い西武線沿線にあるお蕎麦屋さんで蕎麦前と蕎麦を楽しませていただいていますが、その最後の機会となった10月最後の日曜日、西武新宿線・田無駅から徒歩2~3分程度の所にある『手打ち蕎麦・さらしな総本店』さんの暖簾を潜ってみました。

お店に到着したのは開店直後の11時少し過ぎで、席の指定が無かったことから、店内奥にある蕎麦打ち場前、そばの花(かな?)が活けられているカウンター席に着きます。


席に着いて、今日も日本酒かな?と思いながらメニューを確認すると、以前訪れたことのある「手打ち蕎麦・さらしな総本店中野北口店」さんと同じ銘柄の冷酒が2種類あり、その際は新潟県の地酒「雪蔵」をいただいたことから、今回は北海道の地酒「法螺吹」(ほらふき)をいただくことにします。


料理は、おすすめ料理の「二点盛」と、迷ってしまう程品数豊富な定番メニューの中から日本酒に合いそうな「いかの沖漬」(ミニ)をお願いします。


最初にいただいた「いかの沖漬」(ミニ)は、ホントにミニサイズだ!と思ってしまう小振りで可愛らしい烏賊ですが、艶々の輝き具合も美しく、お酒をいただきながら一人チビチビつまむには丁度良い量です。

そして、塩辛のようなショッパさを想像しながら一切れいただいてみると、想像したショッパさを感じることも無く、歯応えも柔らかく、スッキリした味わいの「法螺吹」がついつい進んでしまう、納得の一品でした。


どこからどうみても三点盛の「二点盛」は、ホクホクに揚げられた「ジャガ芋の素揚」がとても美味しいです。
また、優しい味わいの柔らかい「新秋刀魚の南蛮漬」にしても、ほんのり感じられる大葉の味がとても良いアクセントになっている「蒸しむね肉のピリ辛胡麻ソース」も美味しく、満足度の高い「二点盛」でした。


静かな店内で美味しい料理をいただきながら一人のんびりとくつろぎ、ふと時計を見るとまだまだお昼時には早い時間であることから、「法螺吹」のおかわりと「帆立の醤油焼」を追加でお願いします。

「いちぢく味噌焼」と迷った末にいただいた「帆立の醤油焼」は、一見、濃い目の味付けに見えますが、いざいただいてみると、香ばしい香りと大人しい味わいがなかなか美味しい「帆立の醤油焼」でした。


さて、12時も近くになり、ようやく席も埋まりだし、一人で訪れるお客さんへの案内が「お好きな席にどうぞ」から「カウンター席どうぞ」に変わったことから、そろそろ蕎麦をいただくことにします。

訪れたお店が更科のお蕎麦屋さんであることからたまには純粋に「さらしな」をいただこうかと思いましたが、毎月変わる「月変わりそば」(季節の変わり蕎麦)がお気に入りの「けし切り」だったことから、その「けし切り」と「田舎」、そして「菊切り」の3種類をいただくことのできる「三色そば」をいただくことにします。


いただいた、見るからに美味しそうな「けし切り」は、「これぞ芥子切り!」と言っても良いほど明確に芥子らしさを味わうことのできる、期待を大きく超えた美味しい「けし切り」でした。また、「田舎」は柔らかい食感で食べ易く、これもまた美味しい「田舎」でした。

しかし・・・。
蕎麦湯が前もって準備されている小さめのポットというのは何とかならないのでしょうか?。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打ち蕎麦・さらしな総本店』さんは、静けさの感じられる趣ある外観と、落ち着きのある店内、そして丁寧でそつの無い接客に老舗らしさが感じられるお蕎麦屋さんでした。

また、お酒の種類は限られていますが、料理の品数は豊富で、美味しい蕎麦前と蕎麦を楽しみながら一人休日の一時をのんびり過ごすことのできるお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。


『京金@江東区・森下』さんの美味しい「鮪のぬた」

2016-10-23 11:20:00 | 東京23区(江東区)

所用で門前町として栄えた門前仲町(東京都江東区)へ向かうことになったため、少し早めに家を出て、都営新宿線・森下駅直ぐ近くにある『石臼挽き手打そば・京金』さんに立ち寄ってみることにしました。

電車の乗り継ぎが良かったことから予定よりも早く、かつ開店時間の随分前に到着してしまいましたが、付近をブラブラしている問に開店を待つお客さんの列ができてしまうことも考えられるため、風情あるお店の前でおとなしく開店を待つことにします。すると、開店10分前に暖簾が掛かり、店内に通されます。

上品で落ち着きのある店内に入ると、「どちらでもお好きな席にどうぞ!」との案内だったことから、入口近くの明るい2人掛けテーブル席に着き、早速日本酒と料理のメニューを眺めてみると、お気に入りの日本酒でもある福島県の地酒「特別純米生原酒・飛露喜」が目に止まります。


そういえば、しばらく「飛露喜」は飲んでいないな・・・、なんて思いながら開店時間を待っていると、花番さんがやって来て、「お決まりの物がありましたら伺います。」とのこと。

早めに入店させてくれたのは、単に店内で開店時間を待たせてくれた訳では無く、開店が10分早かったということのようです。

ということで、今日は初めから最後まで「飛露喜」のみと既に決めているので、その福島県の地酒「特別純米生原酒・飛露喜」をお願いし、併せて「鮪のぬた」と「にしんの姿煮」をお願いします。


直ぐに運ばれて来た「飛露喜」を気分良くいただいていると、続々とお客さんがやって来て、本来の開店時間である11時半には約半分の席が埋まってしまうという状況で、お店に到着した時は「早かったかな?」なんて思いましたが、開店前早い時間に訪れて良かったという感じです。

最初にいただいた「鮪のぬた」は、ぬた味噌の味も控えめで、マグロの味をしっかり感じることのできる一品でしたが、ぬた味噌はマグロよりもネギ&ワカメとの相性が良いようで、シンプルに、ネギ&ワカメとぬた味噌だけでいただきたくなってしまう、美味しいぬた味噌でした。

なお、好みの日本酒でもある福島県の地酒「特別純米生原酒・飛露喜」は、これといった特長が無いようにも感じられるスッキリした味わいですが、静かな旨味と爽やかな口当たりが心地良い、流石の一本でした。


次にいただいた「にしんの姿煮」は、姿も味付けもオーソドックスでしたが、その普通さとほんのり感じられる温かさがとても美味しい鰊煮でした。


その後もお客さんの来店は途切れず、12時前に席のほとんどが埋まってしまいましたが、単に混雑しているのではなく活気と賑わいが感じられ、なかなか居心地が良いです。

それにしても、多くの客さんが「土日等の繁忙時には御容赦ください」とメニューに記述されている「出し巻き卵焼き」や「蓮根の天ぷら」を何ら気にすることも無く当たり前のように注文していて、花番さんも何ら問題無く普通に受けています。

ならばと思い、「にしんの姿煮」が無くなったところで、断られることも想定しながら申し訳無さそうに「出し巻き卵焼き」をお願いできるか花番さんに確認してみると、笑顔で「全然大丈夫ですよ!」とのこと。

なお、「出し巻き卵焼き」は小サイズも可能とのことでしたが、「飛露喜」をもう一杯いただきたいと思っていたことから、「飛露喜」のおかわりと一緒に卵3個の普通サイズ(小サイズは2個)をお願いします。

他のお客さんの注文と間違えたのかな?、それとも注文が多いから作り置きしているのかな?と思うほど素早く運ばれて来た「出し巻き卵焼き」は、外側はしっかりした食感ながら中はフンワリした綺麗な玉子焼で、甘さ控えめの酒の肴に相応しい玉子焼でした。


さて、お昼時が近づき、お客さんの出入りも更に増えてきたことから蕎麦をお願いすることにします。

メニューを見ると、「せいろ」と「田舎」がそれぞれありますが、「二色」という合い盛りは無いようです。
しかし、「半量の追加」というおかわり蕎麦があったので、「そば(せいろ)の半量の追加」は「せいろ」に対してしか追加できないのか、それとも、「田舎」の注文に対しても可能なのか確認したところ、笑顔で「関係ないです」とのこと。そのため、「せいろ」+「田舎の半量の追加」をお願いすることにします。


まずいただいた普通サイズの「せいろ」は、喉越しの良い、蕎麦汁を付けずにそのままいただいても十分に美味しい蕎麦でしたが、平打ちなのか少々潰れたような、普通の麺とは食感の異なる麺でした。


丁度良いタイミングで運ばれて来た追加の「田舎」(半量)は、予想とは異なる柔らかい歯応えの細麺で、「田舎」という言葉から勝手に想像するイメージとは異なりましたが、感じられるザラザラ感がなかなか美味しく、半量ではなく普通サイズでも良かったかな?と思う「田舎」でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『石臼挽き手打そば・京金』さんは、小奇麗で落ち着きのある上品な店内で、笑顔溢れる花番さんの丁寧できめの細かい接客を受けながら、美味しいお酒と料理と蕎麦をいただくことのできるお蕎麦屋さんでした。


そして、一人のお客さんあり、男性のみ数人で訪れているお客さんあり、女性二人で訪れているお客さんありと、老若男女様々なお客さんが訪れていましたが、それぞれがそれぞれの楽しみ方で思い思いに楽しい一時を過ごしていて、活気と賑わいの感じられるとても良い雰囲気のお蕎麦屋さんでした。

なお、近所のサラリーマンと思われたのか、会計時に平日の営業時間について花番さんから丁寧な説明を受けるなど、「会社帰りに立ち寄って下さいね。」という感じでしたが、会社も自宅も近くは無く、その上通勤途上でも無いので残念ながらそう簡単にはいかないんですよね・・・。すみません。

ごちそうさまでした。


『さらしん@自由が丘』さんの「穴子と茗荷の甘酢和え」

2016-10-08 11:05:00 |  東京23区(目黒区)

所用で朝早くから出掛けた週末土曜日、せっかくの週末なので蕎麦前と蕎麦をいただいてから帰宅しようと思い、東急東横線・自由が丘駅近くにある『二八庵・さらしん』さんへと向かいました。

お店に到着したのは、昼食には少し早いかな?と思う11時数分過ぎで、「お好きな所にどうそ」との案内だったことから、雨天の11時なので混雑はしないだろうと予想し、10人程度が座れる大きな相席用のテーブルには着かず店内一番奥の4人掛けテーブル席に着きます。

席に着くと、目の前に「おすすめ一品」というオススメ料理を紹介したメニューがあったので、昼でもいただけるのか花番さんに確認したところ、「玉子焼は17時からですが、それ以外は大丈夫です」とのこと。

ならばそのおすすめ料理をぜひいただこうと思い、瓶ビールと一緒に「穴子と茗荷の甘酢和え」と「京にしん」をお願いします。


ビールをいただきながら料理を待っていると、しばらくしてソフト身欠ニシンを自前で煮上げたという「京にしん」が運ばれてきましたが、京都の伝統料理「にしんの棒煮」らしく大き目の鰊が関西風の薄い色の汁に浸かっていて、早速箸を入れてみるととても柔らかいです。

そして、一切れ大きめに崩していただいてみると、骨を感じないほど柔らかく温かい鰊で、自由が丘というお洒落な町にも、「京にしん」というその名前にも相応しい、穏やかで上品な味わいの鰊煮でした。


続いて運ばれてきた「穴子と茗荷の甘酢和え」は、「これって茗荷なんだろうか?。穴子はどこに?」というのが第一印象で、その色合いからスッパそうに見えましたが、赤く染まった茗荷をいざいただいてみると酸っぱさを感じることは無く、なかなか美味しいです。

また、穴子はひつまぶしに入れる鰻のように細く切られて茗荷の下に埋まっていましたが、先にいただいた茗荷の美味しさが口の中に残っていたこともあってか印象は薄く、酒の肴としていただくなら茗荷だけでも良いかな?と思ってしまう程美味しい茗荷の甘酢和えでした。


なかなか興味深い料理をいただきながら何気なく店内を見渡してみると、11時半前という時間ではありますが、2人掛けと4人掛けのテーブル席はほぼ埋まっていて、「雨天の11時なので混雑はしないだろう」と思い4人掛けテーブル席に着きましたがその選択は間違っていたかな?という感じです。

そんな状況になんとなく罪悪感を感じてしまったことから少々ペースを上げて料理をいただき、1900円という価格に戸惑ったものの「野菜天せいろ」をいただくことにしますが、蕎麦と天婦羅をいただきながらお酒を一杯だけいただこうかな?と思い、枡酒を一緒にお願いします。


目の前で、枡から溢れたお酒が皿にタップリ溜まるまで注いでくれた枡酒は、木の香りはさほど感じられませんでしたが、新潟県の地酒「吉乃川」なのか、なかなか美味しい枡酒でした。


なお、いただいた「野菜天せいろ」は、少々硬目かな?と感じてしまうほどしっかりした歯応えの蕎麦でしたが、喉越しは悪く無く、季節感の感じられる天婦羅と一緒に美味しくいただきました。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『二八庵・さらしん』さんは、ザッと見渡したところ60席ほどありましたが、開店と同時にぞくぞくとお客さんが訪れ、12時前でありながら空席待ちのお客さんが出るほどの賑わいを見せるお蕎麦屋さんでした。

そして、一人のお客さんにも、知人友人とワイワイ楽しんでいるお客さんにも、子供連れの家族にも、そしてお酒のお客さんにもお蕎麦のお客さんにも、どんぶり物をガッツリ食べたいお客さんにも、付かず離れずの程良い距離感でそつ無く対応している花番さんの接客が好印象な、訪れる様々なお客さんみんながそれぞれの価値観で楽しい一時を過ごすことのできる、みんなの町のお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。