社会人ラグビーの試合を観戦するために、外苑前にある秩父宮ラグビー場へと向かいました。
今日の試合はナイターなので開門時間の16時に合わせて試合会場へ向かっても良かったのですが、それまでの時間を利用して、明治2年に店を構え、天ざる・天もりそばの発祥店でもある日本橋室町の『室町砂場』さんで蕎麦をいただくことにしました。
お店に着いたのは14時少し前で、見渡した限りでは満席に近い状態でしたが、運良く待たずに坪庭前の窓側席に着くことが出来ました。
今日は「老舗のお蕎麦屋さんで蕎麦をいただくこと」を目的としていたので、予め決めていた「大もり」と「天ざる」をお願いしようと思いましたが、店内を見渡してみると、夫婦客を中心としたお客さんのほぼ全員がみな料理をつまみながらお酒を飲んでいます。
この、「飲まないの?。普通飲むでしょ?。」的な雰囲気に後押しされ、「今日は蕎麦!。」と決めていた意気込みもアッサリ崩れてしまい、ビールと一緒に「そば味噌」、「玉子焼」、「かき揚げの天ぷら」をいただくことにしました。
まぁ、まだ時間もあるし・・・。
待つことも無く、ビールと一緒にまず「そばみそ」が運ばれてきましたが、これがまたお酒の進むそそる一品で、ビールもそこそこに、サッサと冷酒「菊正宗樽酒」に切り替えます。
まずいな、この流れ・・・。
続いて「玉子焼」と「かき揚げの天ぷら」が運ばれてきました。
焼き色のついた美味しそうな「玉子焼」は甘さも程良く、うちの奥さんはとても気に入ったようです。そして、1つ注文したのに半分づつ2つのお皿に分けて出してくれるという心づかいが嬉しいです。最後にいただいたお蕎麦屋さん独特の「天ぷら」ですが、サクッと揚がった食感がなかなかいい感じの「かき揚げ」でした。
美味しい蕎麦前を十分楽しませていただき、「さて、そろそろ蕎麦かな?。」と思ったところで雨が・・・。
それもかなりの土砂降りです。
しかし、店内には雨を見て誰一人騒ぐ人も慌てる人もおらず、隣のテーブルでは「ゆっくり飲んで行けってことだな。」なんてのんびり雨を眺めています。そんな雰囲気についつい「そうだな。時間もあるし・・・。」(本当にあるのか?)なんて気分になり、季節料理の「揚げぎんなん」と冷酒を追加してもう少しのんびりすることにしました。
まぁ、キックオフに間に合えば良いんだし・・・。
そして、今日の目的でもある蕎麦ですが、まずは「大もり」の蕎麦を蕎麦汁にしっかりくぐらせていただいてみると、辛く無くとても美味しいです。そもそも「砂場」系の蕎麦は蕎麦汁をしっかり付けて食べることの出来る蕎麦ですが、それにしても今までに味わったことの無い程の美味さです。
なお、『室町砂場』さんの「もり」と「ざる」の違いですが、「海苔のある、なし」では無く、さらしな粉を使用した蕎麦が「ざる」で、一番粉を使用した蕎麦が「もり」です。また、「天ざる」はせいろと天ぷらのセットというイメージがありますが、そうではなく、熱い天ぷらそばからそばを抜き取り、別途そばをせいろで出すという形です。つまり、「天抜き」+「せいろ」みたいな感じです。
今回蕎麦をいただいた『室町砂場』さんは、江戸以来の老舗蕎麦屋の子弟達が集まった「木鉢会」にも名前を並べている老舗のお蕎麦屋さんで、「少々敷居が高いかな?。」と思っていたところもありましたが、お店の扉を開けたその瞬間にその印象は崩れ、大人がゆったり蕎麦前と蕎麦を楽しむ憩いの空間となっていました。
そんな大人の憩いの場で、風情を漂わせる坪庭に降る雨を眺めながらお酒をいただいていると、なんとも言えないのんびりとした贅沢な空間と一時を身体全体で感じることが出来きます。
これが東京の老舗蕎麦屋の「味わい」なんでしょうか?。
今日は、蕎麦と料理はもちろんのこと、とても美味しい憩いの一時を過ごさせていただきました。
ごちそうさまでした。