蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『布恒更科@大井』さんの「タラの芽と蕗のとう」

2013-02-05 23:57:19 | 東京23区(品川区)

仕事で東京へ出掛け、珍しく反省会も無く解散となったことから、帰宅途中にある『大井・布恒更科』さんに一人フラッと立ち寄ってみました。
 
この『大井・布恒更科』さんは、江戸後期に開店した「更科」直系の「有楽町更科」さんから昭和38年に暖簾分けしたお店で、歴史は浅いのかもしれませんが、しっかりと「更科」の伝統が守られているお店です。
 
お店に到着したのは夕方6時前でしたが、既に辺りは暗くなっていて、風情ある日本家屋風のお店に灯る電灯に何とも言えない郷愁が感じられ、「来て良かった!。」と素直に感動できる店構えです。
 
暖簾をくぐりお店の中に入ると先客は1組男性2人のみで、「お好きな席へどうぞ。」と案内されます。
清潔感漂う店内の4人席に着き、早速メニューを広げてみると、定番のおつまみの他に季節のおつまみなどもあり、更には日本酒の品揃えも多く、蕎麦前がとても充実しています。
 
メニューを一通り眺め、「玉子焼」をお願いしようとしたところ、「とても量が多いので、御一人では・・・。もちろん、御一人で食べきる方もいらっしゃいますが・・・。」とのこと。
そういえば、口コミサイトで「巨大」という表現が使われていたような・・・。
ということで、山菜の天麩羅に気持ちが揺れたものの、瓶ビール(珍しく「熟撰」)と一緒に「猪口むし」と、季節のおつまみの中から「鴨のしぐれ大根」をいただくことにしました。
  
それほど待つこともなく運ばれてきた「鴨のしぐれ大根」。
時雨煮(しぐれに)とは生姜を加えた佃煮の一種で、貝のむき身などの魚介類や牛肉などが具材としてよく使われますが、今回いただいた時雨煮の具材は「鴨」です。初めていただく「鴨」の時雨煮は鶏肉に似た食感で、やや甘辛の味わい深い汁が柔らかく煮込んだ大根に染み込んでいて、お酒が進んでしまうおつまみです。
 

続いて「猪口むし」。
この料理は「具の無い茶碗蒸し」(?)ですが、寒い季節にはちょうど良いアツアツな一品で、しっかりした出汁の旨味と、蕎麦の実と柚子の香りが良いアクセントになっている、優しい味わいの餡がなかなか美味しいです。
この旨みと味わいがあるなら具材は不要と思います。


と、普通ならここで締めの蕎麦をいただきますが、先客の1組がお店を出てから新規のお客さんは無く、物音1つしない静かな貸切状態が続いていることから、もう少しのんびりさせていただこうと思い、季節の天種「タラの芽と蕗のとう」と産まれ故郷千葉県の地酒「岩の井」(千葉県の地酒があること自体珍しい)をいただきます。
 
いや~、好物の山菜の天婦羅(やや苦味の感じられる蕗のとうが美味しいです。)をいただきながら一人静かに日本酒をいただくなんて、ちょっと贅沢な気分です。


そして最後にいただいた締めの蕎麦ですが、ここ『大井・布恒更科』さんは創意あふれる「変わり蕎麦」や平打ちで歯応えのある「荒挽き蕎麦」が人気で、今の時期は食べたことのない「伊予柑切り」がいただけるようです。しかし、ここは迷うこと無く「御膳更科蕎麦」をいただきます。
 
いただいた「御膳更科蕎麦」はシャキッとした細打ちの蕎麦で、口の中に蕎麦を入れた時の冷え具合と何の抵抗感を感じることも無くスルスルッと喉を流れていく時の喉越しがいい感じです。(それにしても量が多いです。)

また、『大井・布恒更科』さんは「溜まり醤油」を使用した黒い蕎麦汁が特徴で、口コミサイトに多くの方が書き込んでいる通り「濃い」印象です。しかし、辛さとしょっぱさはそれ程でも無く、そのまま舐めても、麺をしっかり付けても美味しくいただける蕎麦汁と思います。


今日は仕事で東京へ出掛け、その帰りに一人フラッと立ち寄ってみた『大井・布恒更科』さんですが、一人で接客に当っていた女性店員さんの丁寧な接客がなかなか好印象で、一人貸切状態というのも何となく落ち着きませんが、居心地が良いです。
 
そんな雰囲気の中、好物の「タラの芽と蕗のとう」の天婦羅をつまみながら生まれ故郷千葉県の地酒「岩の井」をいただくという、休日の昼間に楽しむ蕎麦前とは異なる何とも言えない憩いの一時を過ごさせていただきました。

ごちそうさまでした。



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