英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

順位戦 C級1組 解析その1

2014-03-22 22:55:45 | 将棋
最終局の組み合わせとその時点での成績
【東京】
▲中村 太地六段(8勝1敗)-△菅井 竜也五段(7勝2敗)
△佐々木 慎六段(8勝1敗)-▲佐藤 秀司七段(4勝5敗)
△高崎 一生六段(7勝2敗)-▲塚田 泰明九段(2勝7敗)
▲斎藤 慎太郎五段(6勝3敗)-△阿部 健治郎五段(4勝5敗)
▲真田 圭一七段(6勝3敗)-△土佐 浩司七段(3勝6敗)
△千葉 幸生六段(5勝4敗)-▲小林 健二九段(3勝6敗)
△北島 忠雄六段(5勝4敗)-▲神谷 広志七段(3勝6敗)
△片上 大輔六段(5勝4敗)-▲桐山 清澄九段(2勝7敗)
▲近藤 正和六段(5勝4敗)-△加藤 一二三九段(1勝8敗)
△金井 恒太五段(4勝5敗)-▲田中 寅彦九段(3勝6敗)

【大阪】
▲糸谷 哲郎六段(9勝0敗)-△富岡 英作八段(3勝6敗)
△船江 恒平五段(6勝3敗)-▲高野 秀行六段(4勝5敗)
▲福崎 文吾九段(6勝3敗)-△脇 謙二八段(4勝5敗)
▲長沼 洋七段(5勝4敗)-△平藤 眞吾七段(2勝7敗)
▲宮田 敦史六段(4勝5敗)-△阪口 悟五段(4勝5敗)
△日浦 市郎八段(4勝5敗)-▲浦野 真彦八段(4勝5敗)
▲小林 裕士七段(4勝5敗)-△大平 武洋五段(3勝6敗)

 糸谷六段が9連勝で昇級を決めており、残り1つの席を8勝1敗で順位4位の佐々木六段と10位の中村六段の2人の争いに絞られていた。
 7勝2敗の高崎六段(20位)と菅井五段(28位)は、上記の2人がともに敗れ、自分が勝っても順位が下位のため昇級はない。
 降級点6名のうち、加藤九段と桐山九段が決定しており(降級点を持っていたため降級も決定)、残りは4つ。11名に可能性がある。



 そして、最終局(3月4日)の結果、ならびに最終結果
小林 裕士七段(5勝5敗)○-●大平 武洋五段(3勝7敗)…19時35分☆
桐山 清澄九段(2勝8敗)●-○片上 大輔六段(6勝4敗)…19時43分
浦野 真彦八段(5勝5敗)○-●日浦 市郎八段(4勝6敗)…20時8分☆
宮田 敦史六段(5勝5敗)○-●阪口 悟五段(4勝6敗)…20時54分☆
高野 秀行六段(4勝6敗)●-○船江 恒平五段(7勝3敗)…21時20分☆
糸谷 哲郎六段(9勝1敗)●-○富岡 英作八段(4勝6敗)…22時13分☆
福崎 文吾九段(6勝4敗)●-○脇 謙二八段(5勝5敗)…22時22分☆
斎藤 慎太郎五段(7勝3敗)○-●阿部 健治郎五段(4勝6敗)…23時13分
神谷 広志七段(3勝7敗)●-○北島 忠雄六段(6勝4敗)…23時17分
長沼 洋七段(6勝4敗)○-●平藤 眞吾七段(2勝8敗)…23時26分☆
佐藤 秀司七段(5勝5敗)○-●佐々木 慎六段(8勝2敗)…23時46分
近藤 正和六段(6勝4敗)○-●加藤 一二三九段(1勝9敗)…23時49分
中村 太地六段(8勝2敗)●-○菅井 竜也五段(8勝2敗)…23時51分
塚田 泰明九段(3勝7敗)○-●高崎 一生六段(7勝3敗)…23時57分
真田 圭一七段(7勝3敗)○-●土佐 浩司七段(3勝7敗)…23時58分
田中 寅彦九段(4勝6敗)○-●金井 恒太五段(4勝6敗)…0時25分
小林 健二九段(3勝7敗)●-○千葉 幸生六段(6勝4敗)…0時41分

 ☆印は大阪対局

 大平五段が早い時間に負けたのは予想の範囲だったが、9連勝で昇級を決めていた糸谷六段がここまで3勝6敗の富岡八段に敗れ、昇級争いをしていた佐々木六段が佐藤(秀)七段(ここまで4勝5敗)に敗れ、さらにチャンスが回ってきた中村六段も菅井五段(ここまで7勝2敗)に敗れてしまうという波乱の展開だった。

 結果を整理すると、
【9勝1敗】糸谷(9)
【8勝2敗】佐々慎(4)、中村太(10)、菅井(28)
【7勝3敗】真田(2)、船江(18)、高崎(20)、斎藤(30)
【6勝4敗】千葉(3)、片上(6)、近藤(17)、福崎(22*)、長沼(26)、北島(31*)
【5勝5敗】宮田(5)、小林裕(12)、佐藤秀(21)、浦野(25)、脇(34*)
【4勝6敗】阿部健(7)、金井(8)、日浦(13)、高野(14)、富岡(15)、田中寅(19)、阪口(29)
【3勝7敗】神谷(1)、塚田(11)、小林健(23*)、大平(24)、土佐(27*)
【2勝8敗】平藤(16)、桐山(32*)
【1勝9敗】加藤(33*)

( )内は順位、*は降級点を持っていることを示している

昇級……糸谷六段、佐々木慎六段
降級点……小林健九段、大平五段、土佐七段、平藤七段、桐山九段、加藤九段
※小林健九段、土佐七段、桐山九段、加藤九段は2つ目の降級点でC級2組へ降級。
降級点消去……福崎九段、北島六段(いずれも勝ち越し規定)



 さて、私はこのC級1組について4回戦を終えた時点で『リーグ戦の中のリーグ戦 ~C級1組~』という記事を書いている。
 この記事の趣旨は、昇級の予想ではなく、「このリーグ戦における対戦相手の偏りが強過ぎる」というものであったが、ついでに「昇級者は菅井五段と佐々木六段」と予想している。
 菅井五段は競争相手からの3勝を含む4連勝のうえ、菅井五段の実力、充実ぶりを考慮して、佐々木六段は1敗しているものの順位が上位のうえ対戦相手に恵まれていることが根拠だった。
 糸谷六段も有力だが、どこかで取りこぼすと予想したが、裏切られた(笑)。

 それはともかく、中村六段が最終局に菅井五段に敗れ昇級を逃してしまったという結果に、対戦相手の偏りの不運さを改めて感じてしまった。
 そこで、C級1組の結果を検証してみようと思った。
(その2へ続きますが、『リーグ戦の中のリーグ戦 ~C級1組~』を読んでいただいたと仮定して話を進めます。これを、もう一度説明する気力はありません)
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『相棒season12』 第19話(最終話)「プロテクト」

2014-03-21 16:31:27 | ドラマ・映画
最終回スペシャルに相応しかったのは、キャストだけ。
小野田官房長に瀬戸内米蔵、それから甲斐峰秋。
ゲストに大物の中村嘉葎雄さんを起用、官房長の従弟で新浜市役所の雁屋氏(中村高志)も味があった。次男の弁護士・悠二役の篠田光亮さんの雰囲気も良かった。

★レギュラーの1時間枠で良かった内容
 最終回スペシャルの2時間9分枠であるので、余計、がっかり感が大きいのかもしれない。
立て籠もり劇も杜撰。真一は舎弟を使わず、切れ者に見えた次男の悠二も凡人並の働き。小野田流“証人保護プログラム”で守っていた智三を探し出して危険にさらさなくとも、立て籠もった真一の粗雑振りを考えると、瀬戸内を保釈して人質を交換した時点で真一確保の手段を講じた方が合理的。
 智三が死んでいたという事実(フェイク)を突き止めたが、真一が納得しないという理由で嘘をつき、それが、康次郎(中村嘉葎雄)の言葉の信用性を薄くさせてしまった。SITも監視スコープを発見されてしまう迂闊さ。
 右京の対応を含め、ストーリーにグダグダ感が強く、残念な最終回だった。

★複雑で、ままならない父子愛(ママならないから父なんだけど……失礼しました)
「これはおれの役目なんだよう。この手で智三ぶっ殺して、お父ちゃんの喜ぶ顔が見たいんだよう!」
「僕は愛したんだよう!息子を、三人三様に。でも、差が出る」


 父・康次郎に気に入られようと何でもする長男・真一
 一方、康次郎は三男・智三を溺愛(長男、次男にも愛を注いだが)
 しかし、智三は親の悪行を嫌い、悪事を告発して、去って行った

 康次郎は峰秋の心を見透かしたように言葉を放つ。
 甲斐兄弟は、長男は父に気に入られるような東大・エリートコース。次男・享は父を毛嫌いしている。
 峰秋は上面はともかく、享のことを……(笑)

★矛盾する右京の信念
「(小野田官房長は)掟破りの手法ですからねえ。ルールを完全に無視しています」
「仮にも権力者たる者が私情によって法律を蔑ろにするということに、僕は如何なる事態であっても、賛同することはできません。たとえ、それがどんなに美しく気高い私情であったとしてもです」


 いったい、どの口がこのセリフを吐いているのか?
 警察庁次長に強権を発動させ、瀬戸内、さらに康次郎まで一時保釈させたのは誰なんだ?


☆(なぜか)心に引っ掛かったセリフ
「一番目同士の組み合わせでは、ダメなんでしょうか?」(右京)
 「2番ではいけないでしょうか?」ちょっと内容は違うが、思い出してしまった。

「なんなら、彼(参事官)と直接話そうか?」(峰秋)
 峰秋の指示を、オウム返しのように参事官に命令する内村刑事部長に対して、峰秋がチクリと。


【ストーリー】番組サイトより
 闇社会の大物・御影康次郎(中村嘉葎雄)の死刑が確定した。有罪の決め手になったのは、彼の三男・智三(冨田佳輔)の証言だった。出所したばかりの長男・真一(阿部進之介)と弁護士の次男・悠二(篠田光亮)は、父親を裏切った弟・智三が許せないため探そうとするが、どうしても見つからない。
 どうやら、警察がアメリカの“証人保護プログラム”に似た個人情報の書き換えをおこなったからなのではないか。悠二はそれを主導したのが、今は亡き元官房長・小野田公顕(岸部一徳)ではないかと踏んでいた。
 ちょうどそのころ、亡き小野田官房長による一億円の使途不明金事件が明るみになった。まさに智三の行方がわからなくなった時期と同じころだ。事件が事実なら、小野田のことなので何か必要なことに使ったに違いないという右京(水谷豊)。
 真相を突き止めるため、康次郎は同じ拘置所内で拘留中の元衆議院議員・瀬戸内米蔵(津川雅彦)に接触する。瀬戸内が小野田と昵懇だったのは下調べ済みだ。
 看守らを巻き込み瀬戸内を巧みに強請る真一。瀬戸内は、右京に連絡を取り、智三の行方を探る事を依頼する。ただ、別人になっている智三をどうやって探せばいいのか。米沢(六角精児)らの協力を得て、右京と享(成宮寛貴)は雲をつかむような捜査に臨むのだが…。
 果たして右京と享は智三を見つけ出すことができるのか?!

ゲスト:中村嘉葎雄、津川雅彦、阿部進之介

脚本:輿水泰弘
監督:和泉聖治
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『福家警部補の挨拶』 第10話「少女の沈黙」

2014-03-20 21:24:54 | ドラマ・映画
ずさんなストーリーだった。
菅村社長(四代目)の娘・比奈の心の葛藤が主題であったのだが、どうにも……
 比奈は、父が誘拐犯ではないかと思い、そのことにショックを受けながらも父をかばおうとした
★ずさんだと思った理由
①日常の親娘関係が描かれていないので、事件当夜やその後の娘の気持ちを推し量れない
②比奈は何にショックを受けたのか?

 父が殺人を犯したことへのショックなのか?
 父が自分の誘拐事件を利用して殺人を犯したことがショックだったのか?
 自分(比奈)の身よりも、罪の発覚をおそれたことがショックだったのか?
   …………これについては、福家が菅村があの時娘を抱きしめなかったことが比奈の沈黙の理由だと非難していたので、父の真意に気づいたと推測できる
③娘が沈黙した理由
 父の行為にショックを受けてその反抗や悲しみの気持ちなのか、父をかばうため真実を隠そうとしたのか?……後者であるが、推測する材料が少ない
 一瞬、比奈が誘拐犯のとどめを刺したのかと思ったが………
④比奈の口から真実を語ることの重要さを福家は説いていたが、自分の口から父の罪を告発することの心の傷は相当深いと考えられる。福家の行為は残酷ではないのか。

⑤菅村が誘拐犯を殺した理由が薄弱
 比奈を救出するためとか、娘を誘拐された怒りのためというのなら、まだ納得できるが、会社や社員(組員)を守るためであるが、自分に非はないのだから、警察を連れて現場に向かえばよい。殺人を犯す必要はなかった。

「本当に守りたいと思ったのなら、あなたはあの時、比奈さんを抱きしめるべきだったんです。たとえ、自分がそこにいることが、彼女にばれたとしても」
「あなたが何を守ったと言うのですか?彼女に沈黙を強いて、偽りの罪を背負わせ、死まで覚悟させた。
 あなたはあの時、守ったのではなく。あなたは殺したんです、比奈さんの心を」

という福家の言葉はピントはずれに思えたしまう。
 「殺人を犯してはいけなかった」と言うべきだった。


⑥推理ドラマとしても、ずさん
☆いつもの細かい推理(少な目)
・窓際にランタンを置いたこと→比奈が発見されやすい
・ジャージから上等なスーツに着替えていたこと→礼を尽くさなければならない相手に会うため
・比奈の靴下に血が付いていなかったこと→視界が確保されていた
・目隠しの隙間から、父親の靴が見えたのではないか
・凶器に比奈の指紋が付いていたこと→父の指紋を拭き取るため

☆決定的な証拠
凶器の柄の部分に、菅村の時計の装飾品のダイヤによる傷跡があった

 まず、ガムテープを目や耳に髪にまきつけるのは大ざっぱすぎるし、手足もガムテープのみというのも杜撰。ふつう、椅子にロープで縛りつけるのでは?
 それに、目のガムテープは隙間があったが、菅村の靴を見ることができる角度ではなかった。
 明かりが暗く、視界も限られ、ガムテープも拘束もある程度効いていた状況で、血痕を避けて移動するのは困難。
 菅沼の靴にも、血痕が付着していた可能性が高い。


【ストーリー】番組サイトより
 菅村巽(岩城滉一)はかつて菅村組三代目組長の婿養子として四代目組長を務めていたが、三代目の娘でもある自身の妻を組同士の抗争に巻き込まれ失ってしまう。娘を失った三代目は組を解散することを決定。その言葉に忠実に従い菅村は組をたたみ、警備会社をたちあげ組員たちを社員として働かせて1年が経とうとしていた。
 しかし、そんな四代目を不甲斐なく思った元組員たちがいた。そのひとり、元若頭の遠藤次郎(デビット伊東)は組の復活という要求を菅村に飲ませるために菅村の長女、菅村比奈(吉田里琴)を誘拐。しかし、遠藤の本当の狙いは組復活によって麻薬の販売ルートを確保することだった。菅村は娘とカタギとなった元組員たちを守るため、ある手段をとることを決意する。菅村は遠藤とつながる元組員金沢肇(米村亮太朗)を利用。金沢とともに遠藤に会いに行き、そこで一気に二人を殺害。菅村は、誘拐犯たちが仲間割れにより起こした殺害事件と見せかけることに成功した…はずだった。菅村がふと気が付くと目隠しをされ、監禁されていた娘の比奈が殺害現場に立ち尽くしていた。自分と悟られることのないよう、比奈をそのままにして菅村は立ち去る。
 現場にいつものように駆けつける福家警部補(檀れい)。すると、石松和夫警部(稲垣吾郎)はいつものように制止することなく福家に事件の担当を命じる。というのも田所勉警部補(中本賢)が凄惨を極める事件現場を正視することもできない状況だったからだ。悲惨な状況に福家は一切動じることがない。そんな福家の様子を見るにつけ、石松は彼女の過去に何があったのかを探らずにはいられないのだった。福家の過去がついに明らかになる時がくるのか・・・。
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相撲の品格 日馬富士

2014-03-19 22:09:24 | スポーツ
 日馬富士が横綱になる際、横綱審議委員会は満場一致で推挙したが、「張り手やけたぐりは、禁じ手ではないが、自覚を促したい」「横綱の自覚を持って、張り手は慎んでほしい」といった前代未聞の注文が付いたそうだ。
 これに関して、『Number Web』で「横綱・日馬富士は、張り手、けたぐりを自重すべきか?」というレポートを挙げている。
 この記事で、自重すべきかのアンケートで、「自重すべきでない」が6割を占めていた。
 ①「張り手やけたぐりはルール上認められている技である。認められている技なのに、横綱だからと言って制限するのはおかしい」
②「横綱に品格を求めること自体がナンセンス」
③「張り手は日馬富士の闘志の表れで、非難されるものではない」

などが主な理由。

 ①については、論破するのはなかなか難しい。(明徳義塾の「4打席敬遠」を思い出すなあ)
 これは、②にも関連するが、ここでは、「張り手・けたぐり」の技の性質のみを考えてみる。
 まず、「張り手」だが、これは決まり手ではなく、技の一つ。「突っ張り」に類するものと考えられる。
 顔をビンタすることにより怯ませ、それに乗じて、押し込んだり、まわしをつかむ「導入技(きっかけの技)」である。(張っておいて四つになることを「張り差し」という)
 と言っても、大きな手で相当な腕力でビンタをするのだから、まともに食らったら、相当な衝撃であり、当たり所によっては、脳震盪や目や耳にも障害が出そうである。
 よって、金的攻撃や髷をつかんでの攻撃と同様、禁止すべきだと考える。
 張り手のデメリットとしては、「張り手を繰り出す瞬間、脇が空くので、そこをついて下から入られると体を起こされてしまう」が挙げられるが、これは立ち合いの時に繰り出す張り手の場合で、相撲の途中で繰り出される張り手は、これを交わすのは難しい。体力も消費しているので、張り手の機を突いて一気に寄り切るのはなかなか難しい。
 本日の日馬富士×稀勢の里戦がその例で、動き回り足が止まり、体がやや離れ見合った直後、張り手を繰り出した。1、2発目はクリーンヒットしなかったが、それでも、目の付近にあたるので、稀勢の里の動きが止まる。さらに、2、3発繰り出す。そのうちの1発当たり、体が硬直する。それでも、稀勢の里は怯まず押しに出るが、目を瞑り気味に顔もそむけながら出るので、日馬富士の肩透かしを決められてしまった。
 「張り手」は勝つために相当有効な技だと言える。
 「けたぐり」はどうだろう。足を掛けることで、相手の体勢を大きく崩すことが目的であるが、この技だけで決まってしまうこともある(技であるが、「決まり手」にもなる)。
 これで決められなくても、大きく体勢を崩させ、そこを一気に決めないと、逆に不利になるリスクの大きい技である。なぜなら、自分の足を出てきた相手に掛けるので、自分の足を前に大きく出さないと届かず、相当のけぞった体勢になり、失敗すると簡単に寄り倒されたり、突き倒されたりする。
 技の熟練度やタイミングが必要で、成功率は低いので、地力が上の者が繰り出すメリットはない。下位のものが、一か八かで繰り出す技なので、規制する必要はない。

 ②と③については、「相撲そのものの品格」と、「態度の品格」と分けて考える。
 横綱は相撲界の顔であり、強い横綱、熟練した技を期待される。基本給(賞金以外)も高いので、求められるのは当然と言える。
 今場所6日目、日馬富士×栃煌山戦、結びの一番だった。
 「はっけよ~」と行事が発した瞬間、日馬富士が左に飛んで引き技。一応、まわしを掴んで送り出し気味なので決まり手は「上手投げ」であるが、内容的には「はたき込み」や「引き落とし」に近い。
 結びの一番である。わざわざ国技館に足を運び、最後まで残って、横綱の相撲を待っていたお客さんに見せる相撲ではない。そういえば、白鳳相手の優勝決定の大一番で、大きく体をかわして「はたき技」を決めたこともあったっけ…
 確かに、横綱は強いことが第一だが、「勝てばいい」というものではない。
 「汚い技」「卑怯な技」という表現を使って良いかは疑問はあるが、これでは、面白くない。魅力ゼロである。
 「態度の品格」についても、横綱は求められるモノだと考える。日馬富士について言うと、とにかく「我を忘れやすい」。立ち合いで押し切れないと、もう反射的に手が顔に向かう。今、NHKのスポーツニュースでちょうど稀勢の里戦をやっていた。数えると、7~8回、日馬富士の手が稀勢の里の顔に当たっていた。闘志の延長というより、癖か単に頭に血が上っただけのように思える。(白鳳も時々ある。また、張り差しも時々する)
 「頭に血が上った」と考えるのは、押し出しが決まった時、相手の体が絡まって離れない時があるが、そういう場合、日馬富士はその体を引きはがすため、必要以上に相手の体を突き飛ばすことが多い。「ダメを押す」力強さとも観ることができるが、そうは思えない。

 6日目の結びの一番で、変化技を決めた時、お客さんは日馬富士をもっと野次るべきであった。
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袋の玉将……中田七段作詰将棋 『週刊将棋』2014年2月26日号

2014-03-18 21:49:45 | 詰将棋


 『後日』がタイトルというわけではなく、後日に表記するという意味です(笑)
 「詰将棋ロータリー」コーナーの第1問です。

……………タイトルは『袋の玉将』に決めました。
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ソチ五輪雑⑤「ウィンタースポーツの素晴らしさ、おおらかさ」

2014-03-17 22:55:04 | スポーツ
 前記事「その4」で「ソチ五輪が閉幕して1週間。早いなあ。「雑感その3」からは9日も経過しています」と書いたのですが、その記事を書いてから半月も経過してしまいました。
 今年度の将棋界も大詰め(王将戦、棋王戦、順位戦)になり、それらに追われ、さらに、王将戦記事が「その6」まで続いてしまったことを言い訳にさせてください。(それでも、さぼっているわけでなく、録画したものを、ぼちぼち観て楽しんでいます。昨日はカーリングの女子決勝を観ました)

『ソチ五輪 女子モーグル 残念上村4位 「達成感マックス」 ~清々しいインタビューだが、競技としては疑問~』(これが「ソチ五輪雑感①」に当たります)
『ソチ五輪雑感②「それぞれのコメント」……ジャンプ女子高梨選手、カーリング小笠原選手』
『ソチ五輪雑③「これが浅田真央です」……フィギュアスケート女子シングルフリー』
『ソチ五輪雑④「競技による試合運営と放送待遇のばらつき」』

 タイトルは、前から漠然と思っていたことです。
 クロスカントリーで独走状態の時だけですが、最後のゴール前では、自国の国旗を受け取り、それをはためかせてゴールシーンをよく見かけます。それを初めて見たとき、「いいのかな?ルール違反にならないのかな」と心配しました。まあ、旗を翻すのは競技的にはマイナス作用なので、誰も文句は言わないと思いますが。
 「自然と戦う」「自然を楽しむ」という思想が根ざしているので、「素晴らしさ」や「おおらかさ」があるのかもしれません。
 その中で、特にそれを感じる競技がスノーボードです。
 スノーボードクロスやパラレルでは、遅れてゴールした選手が、勝者に駆け寄り祝福のハグ。ハーフパイプなどのアクロバット系の競技でも、同様に勝者を讃えます。素晴らしいです。他の競技でも感じますが、スノーボードが一番この傾向が強いように感じました。
 これが、格闘系スポーツだと、やはり、「勝ち負け」がはっきりし、相手に対して直接の敗北感を感じるので、さわやかな競技後の光景とはなりません。主観ですが、競技後の爽やかさを感じないのはレスリングです。終了後、健闘を讃え合う握手を交わすのですが、本当に嫌々相手の手に触れるだけという選手がほとんどのように感じます。

 「おおらかさ」と言えば、ハーフパイプの採点にも感じます。
 メダル争いは90点前後の点が出ますが、一度転倒したり、手を突いたりすると、途端に20~30点ぐらいの点しか付きません。時には一桁の点数も出ます。90点と20点と極端な差がつきますが、そこまで点差があるようには思えません。とにかく、一度大きなミスをすると、まったく高得点が望めなくなるのです。
 技を繰り出す回数も決まっていないようです。ということは、全体の印象点だけで採点することになります。(技の難易度、完成度を一つの技ごとに採点し加算しているわけではない)
 5人がジャッジし、最高点と最低点をカットして残り3人のジャッジの平均点が得点という、一応厳密のふりをしていますが、ジャンプの高さ、技の難易度、姿勢の美しさそれぞれの要素を細かく採点するのではなく、全体の印象だけで採点しているとしか思えません。

 まあ、多少納得のいかない点はありますが、勝者を讃える、自分がベストを尽くしたことを誇る精神は素晴らしいと思いました。
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『軍師官兵衛』 第11話「命がけの宴」

2014-03-16 20:44:47 | ドラマ・映画
 今回は秀吉の人間性がよく表れて、面白かった。
 ≪主人公は官兵衛なのに≫という批判は、脇に追いやるほど、秀吉の人間味は魅力があり、官兵衛との絆が強まった『命懸けの宴』もよかった。
 また、番組サイトのあらすじでは「稀代の悪人」と書かれてしまっている宇喜多直家も面白かった。


 一方、官兵衛は≪まだ若い≫ということなのだろう
 織田敗北の知らせに狼狽し、秀吉の文に一喜一憂。半兵衛には尻を叩かれ、宇喜多には翻弄され、善助には弱音を吐き、荒木村重には袖に振られ、父には「お前が揺らいでどうする」と叱られる始末。


☆善助、求婚
 善助に求婚され、泣き出すお道。
≪そんなに、善助と夫婦になるのが嫌なのか?≫
と突っ込み分を頭に描いていたら、善助が自分で突っ込んでいた……(笑)

【ストーリー】番組サイトより
 織田敗北の知らせは各地に衝撃を与え、織田包囲網は勢いを増していく。そんななか、秀吉の兵が播磨に向かったと聞き、喜ぶ官兵衛。しかし信長(江口洋介)は、反信長同盟に対抗するため、秀吉に播磨出兵の延期を命じる。このままでは一度なびいた播磨の大名が離反してしまうと焦る官兵衛は東奔西走。稀代の悪人・宇喜多直家やキリシタン大名・高山右近らと出会う。
 そのころ北国攻めに駆り出されていた秀吉は、信長に無断で兵を引き上げ帰国。切腹の危機に追いやられる。
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第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その6」

2014-03-15 22:10:19 | 将棋
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その1」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その2」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その3」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その4」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その5」
の続きです。


只捨ての金打ち!金を取らせて一手稼ぐ手である。
川平さんなら「むむむ」と唸る場面だ。

 羽生三冠、△4五角と1八に利かせながら詰めろで切り返す。が、冷静に▲5六歩と突き△同角(いつでも▲5六龍と角を消す手も生じている)と角の利きを変えて、▲1八飛を打つ(飛車の横利きで詰めろを解消)。
 以下△1七歩▲2八飛に△2七歩と抵抗するが、▲5二龍△1三玉に▲2六香が後手の打った負の裏を突く巧みな寄せで、粘るすべもなく△2八歩成▲2四銀で投了。


 玉頭を叩き▲8七同金と玉の脇を空け飛車打ちに弱い形を強いておき、先手飛車を詰めて≪しめしめ≫と思ったが、角切りから銀捨てで後手玉の囲いを崩壊させつつ、目標になった飛車も敵陣に成り込まれてしまった。……≪甘かった≫

 やはり、飛車を捕獲すれば何とかなると手駒3枚を投入した構想が甘かった。それに、玉頭を叩き、横からの攻めを有効にしようとしたが、その反面、玉頭が厚くなり、後手の8二の飛車が無力化してしまったのも大きかった。
 では、どうすべきだったのか?………


 第5図は渡辺王将の新手▲3五歩に対し、△4五銀直から清算し(銀桂交換の駒損)、△6九銀から先手の囲いを1枚剥がした局面。
 対局中の控室や感想戦では、この局面で△6九角と打つ手が研究されていた。
 これに対し先手は▲3四歩と取り込むが、ここで①△8六桂②△8六香が有力。
 ①△8六桂には、▲6七銀△3六角成▲4九飛△2五馬▲4二角成△同金▲2八香△5八角(参考図2)の進行を渡辺竜王は気にしていたとのこと。

 また、②△8六香には、▲3三香と攻め合うならば、△6七金▲3二香成△同金▲3三銀△同桂▲同歩成△同玉▲3四歩△4二玉(参考図3)で後手玉が詰まず負け。

 なので、△8六香に▲6七銀と受けるが、後手としては十分に考えられる変化だったとのこと。渡辺王将も▲8六香は見えにくいと話しており、後手としてはこう指すべきだった。

 さて、本局は渡辺王将の新手▲3五歩、切っ先鋭い「角切り~銀捨て」、決め手の金捨て▲6九金と、渡辺王将の会心譜となった。

 と、潔く、これで締めようと思ったが、一つ疑問が……

 それは、上図の4図~5図、あるいは△8六歩~△8七歩の辺りまでのどこかで、△1四歩と角の位置を打診する手はなかったのだろうか?もし、実戦と同じように進行するのなら、あの強烈な角切りは食らわなかったはず。
 まあ、△1四歩を利かせば、また違う進展になったとは思うが、私の棋力では≪△1四歩をどこかで利かせれば、後手が良い≫ように思うのだが、どうなのだろう?【終】
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『相棒season12』 第18話「待ちぼうけ」

2014-03-14 22:29:55 | ドラマ・映画
反転する構図、逆転する情景
「昨夜、ここに来客があったかどうか、わかりませんか?」
「だから“わからない”って言ったじゃないですかぁ。一度で済ませてほしいなあ」
「“言った”って…誰に?」
「今朝来た二人の刑事さんですよぉ」
「「「えぇっ!」」」(伊丹、芹沢、米沢が声を揃えて)


この管理人の言葉で、これまでの構図が逆転した。

これまでの構図 
ひなびたローカル線の駅で列車待ちに時間を持て余し、同じく列車を待っている男性に話しかける右京
カフェで待ちぼうけを食らっている女性をナンパする(声を掛ける)
非番の特命係をよそに、捜査に励む伊丹


「特命が邪魔しないと…早く進むぜ」と、悦に入る伊丹だったが……
※猪突型の伊丹が、珍しく熟慮を重ねる
「大事なのは観察だ。一見何気ない景色でも、細部までよ~く観察すれば、必ず、事件解決への糸口がある」
「よく見ろ、靴が半分脱げ掛けている。なぜだと思う」
「ポケットに突っこんであるのは、手袋か?なぜ、はめていない?
 細かい点が気になっちまうのが、俺の悪い癖だ」
「命令に縛られるな。自分で考えて動け」
「手袋がポケットの中に突っこんだままだったのは、直前まで室内にいたからだ。
 靴は脱げかかったんじゃあない。ちゃんと履く余裕がなかった。
 つまり被害者は誰かの家に上がっていて、逃げ出した。
 ホシは近くに住んでいる。方角は…こっちだ」

しかし、右京たちはとうの昔に、しかも、伊丹が熟慮を重ねた推理をチャッチャとこなし、犯人追跡を始めていたとは……
視聴者は、≪伊丹が手掛けている事件の関係者に、休暇中の特命係が事件関係者に偶然遭遇した≫と見ていたが、実は必然の捜査(追求)だったのだ。

  ………まさに、景色の反転!


そして、右京の必死の説得
「あなたは、ゲームを見切るのが早すぎます」
奇跡とも思える大逆転の一着を放ち、盤面を解説しながら黒の駒を白にひっくり返していく。
「大事なのは、どんなに絶望的な状況に思われても投げ出さないことです。
 無様でも、惨めでも、あきらめずに、もがき続けることです。
 そうすれば………(盤面が、ほぼ白一色になる)
 …………奇跡が起きることもあります」


友部が、携帯の電源を入れると、メールの着信が来ていた。
「あなたが、たとえどんな絶望におちいったのだとしても、
 私はあなたを待ち続けます。

 今度こそ」


場面転換し、
「家には帰らない。私は、彼と待ち合わせしているの。
 ………何時間でも、何日でも待つの」

と夫に告げる雪美。

「彼女が本当に望んでいるのは、あなたと共に苦労をすることなのではありまえんか。
 たとえ棘の道であっても、愛する人と共に歩むことを幸せと感じる人もいるのではないでしょうか」
完成間近の白いハイヒールを取り出し、完成させなくていいのかと問う。
列車が発車し、友部は膝を折る。

友部は雪美の元に行き、ヒールを渡す。
雪美はうれしそうにそれを履く。

交番へ出頭する友部に駆け寄り、雪美は友部の腕を取り寄り添う。
右京、享、熱く握手をする。


伊丹、ローカル線の駅に到着。
「あんた、何やってんの?
 次は、明日の6時半だ。干し芋、食うか?」

  ……“待ちぼうけ”を食らう伊丹であった。

 いやあ、色字に、太字に、大字ばかりになってしまった。
 これだけ必死に熱く犯人を励ます右京は初めて見た気がする。
 オセロでの奇跡の一着を打ちながら、“あきらめずにもがき続ければ、奇跡が起きることもある”と訴える。
 心を揺さぶられた。

 友部を信じ寄り添う雪美も良かった。不釣り合いな白いヒール姿も乙女チックで良かった。


さて、(右京が友部に近づいた時に友部が打っていたメールへの)雪美が友部に返信したタイミングがポイント
 右京が必死に説得している頃、「2時間前に返信した」と言っていた。
 つまり享との会話や、享が説得してほしいと頼んだこととは、まったく関与しなかったことになる。
 彼女は友部を強く信頼し、深く愛していたのだ。

 
 若干、意味が薄かった享の説得であったが、彼女の思いを語らせるのに、充分働いた。
 しかし、“不倫”“30歳かな”“初恋の人”“白馬の王子”など、カマを掛けたりナンパしたりと自分のキャラを利用し頑張ったが、「駆け出しのホストみたい」と雪美に言われてしまう。
 やはり、こういう場面は、神部尊(及川光博)の方が良いなあ……

「大変有意義な休日でした」とまとめる右京
・腕の良い時計技師に続いて、腕はもう一歩だけど誠実な靴職人を得られた右京であった。
・享は、右京の相棒としての実力を見せ(私にすると、“出来る助手というだけの相棒”は面白くないが)、右京と熱い握手ができた。
・伊丹は、一応“出来る刑事”だと示せた。


★その他、洒落た会話や右京のメッセージが目立った

「“甘さ控えめ”と“微糖”では、どちらが甘さ控えめなんでしょうねえ?」
(“おしるこ、もっと甘いですよぉ”の言葉を受けて)
「おしるこですからねえ」(中途半端な“微糖”よりは、“甘い”ことに価値を持つ「おしるこ」の方がよい)
「人生に、遅すぎるということはないのでしょうねえ」
「(リバーシは)僕は不得手でしてねえ…チェスなら得意なんですが」

オセロで待ったを願う友部に対し
「ダメです」(人生は容易にやり直しができない)

連戦連敗し、全黒(右京の駒)の完敗を喫した友部が
「不得意なんですよね(オセロが)?」
「チェスは得意なんですがねえぇ」
「チェス、どんだけ強いんですか?」

「ヒマか?……あら………ヒマ、通り越して休みかよ」

★被害者について
 ≪殺してくれ≫とも取れるような被害者の非道ぶりだったが、友部の善人ぶり、情状酌量の余地を出すためには仕方がないのかなあ……
 友部と雪美のことを思うと、≪被害者に出会わなければ≫≪一言ぐらい謝ってくれれば≫と思ってしまう。


【ストーリー】番組サイトより
 山奥の田舎駅。鄙びた駅舎で電車を待つ右京(水谷豊)。同じように一人電車を待つ男(太川陽介)に出会う。一方の享(成宮寛貴)は、何時間もカフェで粘る女性(芳本美代子)をナンパ…。どうやら二人はそろって非番のようだ。
 そのころ、捜査一課の伊丹(川原和久)と芹沢(山中崇史)は、前夜遺体で発見された津久井(伏見哲夫)という初老の男性の殺害事件の応援捜査にきていた。芹沢から特命係の二人がそろって休みと聞き、伊丹は邪魔されずに仕事がはかどる、とほくそ笑む。現場を鋭い目でじっくり観察しながら、珍しく冴えた推理を展開していく伊丹だが…。
 右京を相手に身の上話を始めた男・友部は、大昔に靴職人の修業をしていたが、母親が元従業員に金をだまされ、多額の借金を背負い、その返済のため最近までトラック運転手をしていたという。その借金もようやく完済。
 享を相手に立て続けにワインをあおる女性・雪美はメール一通で男性から別れを告げられたばかりの傷心の身だった。雪美はすでに結婚していたが、夫は女遊びに終始。さきほど別れを告げられた男との不倫も夫への復讐かと思いきや、雪美は人生でたった一人の本気で愛した人だったという。
 捜査は、伊丹の名推理と米沢(六角精児)が発見した血痕などから、津久井が殺害される前にいたと思われるアパートを突き止めた。そこには…。

ゲスト:太川陽介、芳本美代子

脚本:古沢良太
監督:近藤俊明
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第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その5」

2014-03-13 15:55:53 | 将棋
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その1」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その2」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その3」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その4」
の続きです。


 話が前後するが、第9図の△7八銀では△7九角も有力(▲7九同玉は△7八銀から詰む)。△7九角に▲9八玉には△7八銀打(参考図5)でうまくいきそうだ。


 しかし、▲1二歩成△同飛▲同と△同玉▲1九飛△1三歩▲7九飛(参考図6)で

後手は△同銀不成と応じるしかない。
 この局面は次に詰むことは皆無に近い。8七に金がいなければ、駒が入れば8七に駒を捨てて△7八角(銀)から詰む。また、飛車を2段目に打っても▲8八銀ぐらいで続かない。先手陣は8七の金と7七の銀が8八を二重にカバーしているのが強味で、8七の金を取られての王手を掛けられなければよい。
 参考図6以下△7九同銀不成に▲2九香△2八歩(▲同香なら△3八飛)▲2四歩で先手勝勢。


 実戦は第9図の△7八銀打。


 前記事「その4」と重複するが、
中継サイトによると「今のところ控室は、▲7九香で先手よしの見解だ。以下△同銀成は▲同玉と取られ、持ち駒角角香では寄りがない。
▲7九香に△6九角が怖いが、▲1二歩成△同飛▲同と△同玉▲1九飛で角を取ってしまえば先手玉は安全になる。

■ニコニコ生放送■
田村康介七段>ここでは▲1二歩成△同飛▲同と△同玉▲1九飛が自然ですね。▲1九飛で後手の△7九角や△6九角の変化を消しています。△1三歩には▲7九香が手堅く先手優勢だと思います。
現局面▲7九香には△4五角がすこし嫌な気がしてきました。以下▲1二歩成△同飛▲同と△同玉▲1九飛には△1八歩で飛車先を押える変化があります」


 控室などの棋士の研究では、第9図で「▲7九香と打てば先手良し」と見解がほぼ一致。1二で清算し▲1九飛する手で、後手が打ちたい△6九角を牽制しているのが大きい。
 ≪う~ん、やはり苦しいか……≫
と思っていたら、▲1二歩成△同飛▲同と△同玉に………


 只捨ての金打ち!
 
 先述の繰り返しになるが、8七の金は、その金を取られて▲同玉に△7八銀や△6九角から△8七金で簡単に詰んでしまうという悪形だが(7七の銀も全く機能しない)、この筋を決められさえしなければ、しぶといのだ。
 ▲6九金は、△同銀不成と取らせて後手の駒の利きを8七の金から外すのが目的。金を与えても玉の安全度が上がるのだ。△6九同銀不成と応じて△7九角が強烈に見えるが、▲9八玉とかわせば大丈夫だ。

 ちなみに、渡辺王将は、この▲6九金で▲7九香とするのは、以下△6九角▲1九飛△1三歩▲6九飛△同銀成(参考図4)を気にしていた(『週刊将棋』より)。(参考図の番号は図面を作った順番です。文章上の順番と一致しないのは、気にしないでください)


 居飛車対振り飛車戦で、振り飛車側が時折繰り出す「手数稼ぎの只捨て」と同じような“切り札”に、私の視界が若干、暗くなった。
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