(プロ野球の「日本シリーズ」で検索して、このページに辿りついてしまった方、ごめんなさい)
「その1」の続きです。
図は△4四歩と桂取りに歩を突いた局面。
しかし、先手の渡辺棋王が黙って桂を取らせてくれるはずがなく、激しく攻めてくることは必至。3三に飛車と桂が利き、持駒も角と歩が6枚も。さらに玉頭歩を突いたことによりに隙が生じている。しかも、△4五歩と桂を取り切ったとしても、4三、4四に空洞ができ、玉頭が涼し過ぎる。
と言っても、△6五桂や△6五銀と攻め合い出る手は、▲6三歩の利かしが生じる。△4四歩は桂取りを見せることによって、先手を急かし、手一杯に動いてもらおうという意図かもしれない。
▲3三歩。……やはり来た!
△3三同桂に、▲6七歩△7五角と、後手角の利きを3三、4四ラインから外させ、▲3四歩(第5図)。
単純に▲3三桂成と清算せずに、「“拠点を残す”手筋」プラス「“後手から4五の桂を取ってもらい、▲4五同歩(銀)と手順に攻め駒を進める”手筋」の歩打ち。………≪なんかヤバそうだなぁ≫
このまま3三の桂を取られては駄目なので、△4五歩か△4五桂とするしかなさそうだ。
羽生竜王は△4五歩。…しかし、「△4五歩は▲5五角が厳しいように見えますね」と井上九段のコメントが棋譜中継の解説欄に紹介されている……。△4五桂の方が、先手から▲3三歩成と王手で桂を取られない分、得なように見えるが、もしかしたら、空いた3三に角を打たれる手が嫌だったのかもしれない。
案の定、△4五歩に▲5五角!
先手の飛、角、歩の集中砲火を浴びせられそう……≪これなら、▲3三歩に△2二金と辛抱した方が良かったかも≫と後悔。(私が後悔しても、意味はないのだが)
実際、△2二金と辛抱した変化図1は、意外と難しい。
図以下、▲6三歩△同銀▲6四歩の対処が悩ましく、無条件に4五の桂を取り切ることは難しそうだが、一気につぶされることはなさそうだ。
本譜は▲5五角(第6図)に△3一飛(第7図)と転回させて迎え撃つ。
△2一桂や△4一桂の受けも考えられたが、▲3三歩成に△同桂と受けた時に3四の地点が薄いのが気になる。その点、飛車の利きは3四の地点をカバーでき、更に、3五や3六など3筋全体にも利いている。
反面、3三の地点で総交換されやすくなる。桂で受けた場合、「先手…金桂桂、後手…飛角歩」の交換に対し、飛車で受けるのは、「先手…飛金桂、後手…飛角歩」と大きく違う。
実際、第7図以下、▲3三歩成△同金▲同角成△同飛▲同飛成△同玉と単純に総交換した後、▲3五桂(変化図2)と絡まれると、先手の攻めを振り払うのは難しいように思われる。
本譜は、△3一飛(第7図)以下、▲3三歩成△同金に▲3二歩△同飛▲4四桂と手順を尽くして猛攻撃。
図で△3一飛なら▲3二歩△2一飛▲5二桂成で先手の攻めが決まる(3三の金が浮いている)。
そこで、仕方なく△4四金と桂を取る。金桂交換の先手の駒得になりそうだが、この瞬間、飛車が向かい合っているので単純に▲4四同角は△3六飛と飛車を取られてしまう。と言って、普通に▲3二飛成△同銀▲4四同角と進めるのは、後手の働きの弱い2三の銀が3二で働いてしまうのでつまらない。なので、▲3三歩と叩く。
△3三同飛は▲3三同飛成△同玉▲4四角△同玉▲4二飛が厳しそうだ(でも、以下△3三玉▲6二飛成△3九飛で“意外に”難しい。▲4で九金打△1九飛成▲4五銀には△3二歩がしぶとい受けだが、後手苦戦は否めない)。
それで△5五金と角を取り▲3二歩成による飛角交換を甘受。さらに、と金を取らずに(取れずに?)△5二玉と逃げる。
△3二同銀とするのは、後々、▲3二飛成と銀を取って飛車を成り込まれる筋が生じるので玉をかわしたと思われるが、△5二玉に▲4二とと押し売りされる手がありそうだ。△4二同玉は▲2二飛が厳しいので△6三玉とかわすことになるが、この2手を決めてから▲5五銀と金を取っておいた方が良かったようだ(渡辺棋王もブログで▲4二とを決めておくべきだったと記している)
このタイミングで▲4二とを利かす手があるなら、▲3二歩成には△同銀とするほうが良かったかもしれない。ただし、△同銀とした場合、▲5五銀に本譜と同様に△5六桂と攻めると、▲同歩と取られて△4八角成に▲3二飛成で後手玉が詰んでしまう。
渡辺棋王が▲5五銀と金を取った局面、駒割りは「先手…飛金、後手…角桂歩」と先手に分がありそう。さらに、と金と5五の銀がじんわり後手玉を包囲。飛車も成り込めそうな上、持駒も「飛金歩」と事欠かない。
後手の持ち駒も「角桂2歩4」と豊富だが、金気がないので何となく頼りない。
しかし、5六の銀が動いたことにより、△5六桂が生じた。
先手陣は壁銀で狭く、▲7九玉に△4八桂成で意外に迫れている?しかも、△5七角成の追撃も利く。
しかし、中継解説では「(▲8七銀が)壁形を解消して大きな手」とあり、△5六桂(第10図)▲7九玉△4八桂成▲8七銀△5七角成▲8八玉(第11図)と進んだ解説では
「後手が攻め込んでいるが、先手の銀冠が堅い。先手は手番が回れば反撃が楽しみだ」
「後手は忙しい。どこから手をつけるか」
と、先手が良さそうな表現。
「その1」の続きです。
図は△4四歩と桂取りに歩を突いた局面。
しかし、先手の渡辺棋王が黙って桂を取らせてくれるはずがなく、激しく攻めてくることは必至。3三に飛車と桂が利き、持駒も角と歩が6枚も。さらに玉頭歩を突いたことによりに隙が生じている。しかも、△4五歩と桂を取り切ったとしても、4三、4四に空洞ができ、玉頭が涼し過ぎる。
と言っても、△6五桂や△6五銀と攻め合い出る手は、▲6三歩の利かしが生じる。△4四歩は桂取りを見せることによって、先手を急かし、手一杯に動いてもらおうという意図かもしれない。
▲3三歩。……やはり来た!
△3三同桂に、▲6七歩△7五角と、後手角の利きを3三、4四ラインから外させ、▲3四歩(第5図)。
単純に▲3三桂成と清算せずに、「“拠点を残す”手筋」プラス「“後手から4五の桂を取ってもらい、▲4五同歩(銀)と手順に攻め駒を進める”手筋」の歩打ち。………≪なんかヤバそうだなぁ≫
このまま3三の桂を取られては駄目なので、△4五歩か△4五桂とするしかなさそうだ。
羽生竜王は△4五歩。…しかし、「△4五歩は▲5五角が厳しいように見えますね」と井上九段のコメントが棋譜中継の解説欄に紹介されている……。△4五桂の方が、先手から▲3三歩成と王手で桂を取られない分、得なように見えるが、もしかしたら、空いた3三に角を打たれる手が嫌だったのかもしれない。
案の定、△4五歩に▲5五角!
先手の飛、角、歩の集中砲火を浴びせられそう……≪これなら、▲3三歩に△2二金と辛抱した方が良かったかも≫と後悔。(私が後悔しても、意味はないのだが)
実際、△2二金と辛抱した変化図1は、意外と難しい。
図以下、▲6三歩△同銀▲6四歩の対処が悩ましく、無条件に4五の桂を取り切ることは難しそうだが、一気につぶされることはなさそうだ。
本譜は▲5五角(第6図)に△3一飛(第7図)と転回させて迎え撃つ。
△2一桂や△4一桂の受けも考えられたが、▲3三歩成に△同桂と受けた時に3四の地点が薄いのが気になる。その点、飛車の利きは3四の地点をカバーでき、更に、3五や3六など3筋全体にも利いている。
反面、3三の地点で総交換されやすくなる。桂で受けた場合、「先手…金桂桂、後手…飛角歩」の交換に対し、飛車で受けるのは、「先手…飛金桂、後手…飛角歩」と大きく違う。
実際、第7図以下、▲3三歩成△同金▲同角成△同飛▲同飛成△同玉と単純に総交換した後、▲3五桂(変化図2)と絡まれると、先手の攻めを振り払うのは難しいように思われる。
本譜は、△3一飛(第7図)以下、▲3三歩成△同金に▲3二歩△同飛▲4四桂と手順を尽くして猛攻撃。
図で△3一飛なら▲3二歩△2一飛▲5二桂成で先手の攻めが決まる(3三の金が浮いている)。
そこで、仕方なく△4四金と桂を取る。金桂交換の先手の駒得になりそうだが、この瞬間、飛車が向かい合っているので単純に▲4四同角は△3六飛と飛車を取られてしまう。と言って、普通に▲3二飛成△同銀▲4四同角と進めるのは、後手の働きの弱い2三の銀が3二で働いてしまうのでつまらない。なので、▲3三歩と叩く。
△3三同飛は▲3三同飛成△同玉▲4四角△同玉▲4二飛が厳しそうだ(でも、以下△3三玉▲6二飛成△3九飛で“意外に”難しい。▲4で九金打△1九飛成▲4五銀には△3二歩がしぶとい受けだが、後手苦戦は否めない)。
それで△5五金と角を取り▲3二歩成による飛角交換を甘受。さらに、と金を取らずに(取れずに?)△5二玉と逃げる。
△3二同銀とするのは、後々、▲3二飛成と銀を取って飛車を成り込まれる筋が生じるので玉をかわしたと思われるが、△5二玉に▲4二とと押し売りされる手がありそうだ。△4二同玉は▲2二飛が厳しいので△6三玉とかわすことになるが、この2手を決めてから▲5五銀と金を取っておいた方が良かったようだ(渡辺棋王もブログで▲4二とを決めておくべきだったと記している)
このタイミングで▲4二とを利かす手があるなら、▲3二歩成には△同銀とするほうが良かったかもしれない。ただし、△同銀とした場合、▲5五銀に本譜と同様に△5六桂と攻めると、▲同歩と取られて△4八角成に▲3二飛成で後手玉が詰んでしまう。
渡辺棋王が▲5五銀と金を取った局面、駒割りは「先手…飛金、後手…角桂歩」と先手に分がありそう。さらに、と金と5五の銀がじんわり後手玉を包囲。飛車も成り込めそうな上、持駒も「飛金歩」と事欠かない。
後手の持ち駒も「角桂2歩4」と豊富だが、金気がないので何となく頼りない。
しかし、5六の銀が動いたことにより、△5六桂が生じた。
先手陣は壁銀で狭く、▲7九玉に△4八桂成で意外に迫れている?しかも、△5七角成の追撃も利く。
しかし、中継解説では「(▲8七銀が)壁形を解消して大きな手」とあり、△5六桂(第10図)▲7九玉△4八桂成▲8七銀△5七角成▲8八玉(第11図)と進んだ解説では
「後手が攻め込んでいるが、先手の銀冠が堅い。先手は手番が回れば反撃が楽しみだ」
「後手は忙しい。どこから手をつけるか」
と、先手が良さそうな表現。