英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season19 第20話「暗殺者への招待~宣戦布告」 (最終話拡大スペシャル)

2021-03-30 21:01:34 | ドラマ・映画
放送から2週間近く経ってしまいました。細かなストーリーはもちろん、登場人物の名前も忘れてしまっているので、挙げておきます。(ぱっと見、漢文系の名前が多いので、頭に入りにくいですよね。ゲストではないですが麗音も)

主な登場人物(ゲスト)
加西周明(石丸幹二)……IT長者
朱音静(日南響子)……銃撃の実行犯
万津幸矢(櫻井圭佑)……静香の恋人・ビルから転落死
蒔子(松永玲子)……幸矢の母
中郷都々子(織田梨沙)……大手弁護士事務所「エンパイヤ・ロー・ガーデン」の弁護士
鑓鞍兵衛(柄本明)……国家公安委員長
鶴田翁助(相島一之)……内閣官房長官
柾庸子(遠山景織子)……内閣情報調査室
栗橋東一郎(陰山泰)……内閣情報調査室 内閣情報官
(ゲストではないが)
出雲麗音(篠原ゆき子)……捜査一課刑事、静香に銃撃される(第1話)

 起伏に富んだ展開(殺し屋云々)、複雑な人間関係(加西~鑓鞍~鶴田、鑓鞍~鶴田~副総監、鶴田~庸子~都々子)、小細工(暗号、約束手形を利用した金銭授受)など、楽しめたし、全体としては面白かったと言える。
 ただし、第1話、第2話、第19話、そして今回の最終話と4話(すべて拡大枠)に跨った冗長さについては目を瞑るとしても、いろいろ不満が湧き出るストーリーだった。


【不満、疑問点など】
1.加西殺害について
 右京が「僕は許しません。近いうちに突き止めて、必ずや首を取ります……必ず」と第2話で宣言したのに、ずっと放置。第19話で加西が登場したものの、最終話に持ち越し……その挙句、殺し屋に殺害されてしまうとは!
 しかも、《加西の命を狙う殺し屋が雇われた》という情報を得たというのに……加西本人にそのことを伝えたのに……殺害を許してしまうとは!何という体たらく!

 確かに、加西が殺害されてしまったことには意表を突かれた。右京たちがそんな失態を犯すとは思わなかったし、そもそも、《金銭授受のからくり》や《ごみ箱をあさる“殺し屋”と思われる不審人物の正体》などは追究するが、殺害を阻止する意思は感じられなかった(普通、犯人を追い詰める時などには“追及”と書くが、この場合は“明らかにする”意味の“追究”の方が適語か?)。なので、殺し屋という存在はフェイクなのだろうと思っていた。
 ごみ箱をあさるフードの男は実在するホームレス。画像は事実だが、フェイク画像だったというのは面白かった。右京は「このような殺し屋が存在しますかねえ?」と殺し屋・フード男の存在を疑問視していたが。

 加西が殺害され、法の裁きを受けさせることができなくなった悔しさを背中で滲ませる麗音をスルーして、話を進める右京たち。右京たちも当然、悔しがらなければならないはずだし、何の阻止行動をとらず、殺害されてしまったことを恥ずべきであろう。麗音にも謝罪すべきだろう。
 悔しがらなかったのは、伊丹たちも同様で、すごく変。
 変と言えば、巻き添えを食らって命を落としてしまったボディガードたち(民間SP?)を悼む様子もなかった。
悪人・加西が殺害されるのは仕方がないとしても、何の罪のないボディガードたち、恋人や家族もいただろうに……。

 殺し屋の出張料理人藤原久美子(松本海希)を捕まえようという素振りもない。


 それと、CMの間に挿入される“チラ見せ予告シーン”。私は先の展開が分かってしまうので、極力見ないようにスキップしているのだが、「悪い奴でも、死ねば…」というの音声が耳に入ってしまい、加西が殺害されてしまうことが分かってしまった。なぜ、面白さを減少させるようなことをするのだろうか?

2.静~蒔子~都々子の金銭授受や手紙(暗号)について
 約束手形を使用したのは、足が付きにくいという理由と、わざと不渡りを出して6億円を横領するため。(ただし、30回に分けて行わなければならないので、ドラマで不自然な実感の経過が生じてしまった)
 ここら辺の細工は面白く感じたが、それだけ用意周到な企てだったのに、僅か2通とは言え、自分の唾液を使うのだろうか?他の28通は注意を怠らなかったのなら、すべて、気を配るのではないだろうか?
 まあ、冠城に自分の飲んだドリンクを渡すのだから、有り得る話かも。
 都々子は6億円横領、買収による虚偽供述教唆?で、弁護士資格剝奪や有罪処分を受けないのだろうか?

 それにしても、せこいなあ(6億円というのは大金だが)。
 加西が殺害される前提なので、お金を出した加西からは文句は出ないが、不渡りとなって得た金を手放すことになったら、静も蒔子も黙ってはいないだろう
 それに、殺し屋が失敗する可能性だってある。
 弁護士事務所のボス(山田明郷)は、この件にどこまで噛んでいたのだろうか?深く考えれば、“危なすぎる橋”だと思うが

 「過ちの中に真実があると思うの」をキーにした暗号。バツ印を付けた誤字をつなぐと「ネットで殺し屋を雇って」となる。
 《簡単すぎる》という声も聞こえそうだが、《蒔子が気づく》というのが大前提なので、妥当であろう

3.黒幕の内閣官房長官鶴田について
 以前も書いたが、内閣官房長官・鶴田を演じる相島一之さん、私の印象としては“小物感”が強いので、今回の役柄は氏には合っていないように感じる。
 特に気になったのは、ソファーにふんぞり返って座るシーン。
 偉ぶるというか、虚勢を張っているように見えてしまう。本当に強い人は、強振らなくても自ずと威圧感を感じさせる。あの演技は演出家の指示?それとも相島さんの演技力?


 それに、政治家としての有能さや人の上に立つ人徳や凄みを感じさせるシーン(“演技”ではなく“シーン”)も、これまでなかった。
 実際、国家公安委員長の鑓鞍(柄本明)は「権力者は(一般の人も)、容易に人を断罪してはいけない」と鶴田に言っていたが、鶴田は平気で人に殺人を命じる男だった。
 そんな深みのない人物がラスボスで、season19を引っ張り、最終話で特命係が「我々は、必ずあなたの悪事を暴いて見せます」と宣戦布告しても……
 もはや『“必ず”詐欺』の右京。半年後の来シーズンに先送りって、どういう事!


4.忖度
 副総監が加西の逮捕を止めたのは、鑓鞍への忖度ではなく、鶴田への忖度だった。
 まあ、これはいいとして、鑓鞍はなぜ、副総監に《鶴田の心中を慮れ(おもんばかれ)》というような忠告をしに行ったのだろうか?
 これでは、鶴田の使い走りではないのか?よほど、暇だったのだろうか?甲斐(石坂浩二)のように

5.ラストシーンの女ふたり
 ラストシーンで、静は勝ち誇ったような顔をしていたが、何をどう勝ったのだろうか?
 《6億円手に入れ、加西に復讐できた》と思っているのだろうか?それ、二つとも幻だよ。
 まあ、後者の件は、静と蒔子の思い込みで、罪にはならないかもしれないが。結果オーライ(加西が殺害された)ということなのか?
 麗音を撃ったことを、少しも悪いとは思っていない。懲りずに、蒔子を巻き込んで殺し屋を雇わせるし、ほんと、性根が曲がっている。

 蒔子はVRゴーグルを被って、息子の供養?
 異様なシーンだったが、哀れさを感じさせる演出?

 このふたり、来シーズンも登場するのだろうか?勘弁してほしい。

 6.言葉遊び(トンチ問答)
「“馬鹿”ではありません。“大馬鹿”です」(大河内・見せ場はこれだけ?)

「“逮捕”は止めたが、“捜査”は止めていない。“忖度”したのはお前らだろう」(副総監)

(第19話より)
「それが分かっていて、わざわざお越しになったのは、嫌がらせですか?」(副総監)
「そうかもしれんね」(甲斐)
「お暇なんですか?」(副総監)
「だから、“暇つぶし”だよ」(甲斐)
「………」(副総監)

 他にも、書きたいことがあった気がしますが、思いつきません(思い出せません)。
 では、来シーズン、会いましょう。


第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話第9話第10話第11話(元日SP)第12話第13話第14話第15話第16話第17話第18話第19話

【ストーリー】番組サイトより
権力者たちがそれぞれの思惑で暗躍
加西を狙う殺し屋の正体とは…!?

特命係と仮想国家の支配者・加西の因縁はここから始まった――


 加西 (石丸幹二) が殺し屋に狙われているという情報をめぐり、内閣情報調査室の柾庸子(遠山景織子)から協力を持ち掛けられた右京(水谷豊)と亘(反町隆史)。内調でも“加西不逮捕”の件を調査していたというが、右京はさらに上の権力者から、指示があったのではないかと疑う。
 いっぽう、加西の気まぐれで殺されかけた麗音(篠原ゆき子)は、鑓鞍 (柄本明) が衣笠副総監(杉本哲太)に加西の警護を要請した件も含めて、美彌子(仲間由紀恵)に不満をぶつけていた。同じ頃、麗音銃撃事件は単独犯で、加西は関係ないと供述を翻した静 (日南響子) が、加西からの金銭授受に蒔子(松永玲子)を利用している疑惑が浮上。しかし、当の蒔子は、黙秘の構えを見せていた。
 そんな中、内調を動かしているのは、官房長官の鶴田(相島一之)とにらんだ右京と亘は、鶴田から事情を聞く。すると、加西は政界に深く食い込んでいて、特に鑓鞍とは昵懇の関係にあると証言する。

暗殺の標的になりながら大胆な行動に出る加西
いっぽう、静と蒔子が共謀する裏には意外な理由が!?
陰謀渦巻く“加西暗殺計画”が驚がくの事態を招く!


ゲスト:石丸幹二 遠山景織子 松永玲子 日南響子 相島一之 柄本明

脚本:輿水泰弘
監督:橋本一
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20-21 Wリーグ プレーオフ ファイナル  トヨタ自動車初優勝! ENEOS12連覇ならず

2021-03-28 21:41:07 | スポーツ
トヨタ自動車がWリーグファイナルの第1戦、第2戦に連勝し、悲願のWリーグ初制覇! ENEOSの12連覇はならなかった

 ENEOSは吉田、大崎(旧姓・間宮)、藤岡の引退、故障の渡嘉敷、梅澤ガディシャ、大沼、その上、宮澤も肩の故障でスタメンから外れるという非常に苦しい情況。
 それでも、セミファイナルのデンソー戦を苦しみながらも連勝でファイナルに進んだ(第1戦第2戦)。チームとしての底力を感じさせた。
 トヨタ自動車は戦力、気力が充実。第1戦では富士通を圧倒、第2戦は富士通が健闘し接戦に持ち込まれたが、勝利をものにし、ファイナルに進出した。
 上記のように、ENEOSの苦しい情況、トヨタ自動車の充実ぶりから、ENEOSの12連覇はかなり難しい。ENEOSのファイナル勝利の確率は30%弱。ただし、第1戦をモノにすれば、12連覇は5割以上。第1戦を落とした場合、第2戦も敗れる可能性は高くなる(8割)が、もし、第2戦を勝てば、第3戦は分からなくなる……と見ていた。

 重要な第1戦は思いがけない展開となった。ENEOSのオフェンスは完全に封じられ、トヨタ自動車は悠々得点を重ねていく……何と!ENEOS 0ー21 トヨタ自動車
 ENEOSが序盤に大量リードを奪われることは、時折あった。しかし、0ー21 !……バスケットボール、否、スポーツにおいては、実力伯仲であっても勝負の流れというものがあるので、思わぬ大差がつくことは、間々ある。それでも、1点も取れずに、21点取られ続けとは……やられ過ぎ!一体、どこまでやられ続けるのだろうか?と心配になった。
 もちろん、完膚なきまでにやられることはなく、10点差前後まで盛り返す可能性は低くない。それでも、結局、15点差ぐらいで第1戦は終わるのではないか。渡嘉敷や吉田や大崎が健在なら、逆転可能と思えるが、現在のチーム状況では無理だろう。第2戦に繋がるゲームをして欲しい……などと、ENEOSを諦めるというファンにあるまじき不埒なことを考えていた。

 さて、ここで気になったのは、①《なぜ、こんなワンサイドなスコアになってしまったのか?》、②《1点差に迫れた要因》、③《あそこまで迫りながらも勝てなかった要素》の3点。
①なぜ、こんなワンサイドなスコア(0ー21)になってしまったのか?
 試合開始直後は、互いに硬さが見られたが、2回のオフェンスともトヨタ自動車(以下「トヨタ」と表記)がシュートまで持ち込めたのに対し、ENEOSは2連続のターンオーバー
 この後も、ENEOSがターンオーバーを繰り返す。対するトヨタはジャンプシュートなどをある程度の確率でシュートを決める。トヨタのオフェンスはそれほど良いとは思えなかったが、ENEOSがターンオーバーから速攻を決められてしまうというシーンが何度かあった。(あまり多いので数え損なっているかもしれないが)第1Qだけで8ターンオーバー。ターンオーバーが一番の要因だ
 でも、ENEOSのターンオーバーは、トヨタのディフェンスの厳しさによるものではないように思えた。確かに、多少、宮崎&中村のピック&ロールに素早く対処されていた面はあったが、《何となくドリブル》、《何となくパス》というようなハッキリとした意思を持たないプレーをした結果によるものだった。
 特に、ペイント陣の手薄さをカバーする活躍を期待された宮崎が精彩を欠いた。宮崎へのトヨタのディフェンスはシステム的にプレッシャーを強くしたようには見えなかったが、個々のマークマンが《抜かせない》《パスをさせない》という強い意志を持ってプレーしていた。その結果、宮崎のプレーするスペースや選択肢が狭められて、ターンオーバーを誘発した。
 宮崎のターンオーバーは、ENEOSのオフェンスのバリエーションの少なさに起因する。《宮崎のドライブ》、《宮崎のドライブからのパスアウト》、《スクリーンを利用した岡本の3Pシュート》、《中村が絡むピック&ロール》、《中村のパワープレー》ぐらいだろうか。トヨタディフェンスとしては注意する要素が少なく、オフェンスの起点となる宮崎の動きと岡本の3Pシュートに気を付ければよかった
 あと、ENEOSが一番警戒していた《トヨタにオフェンスリバウンドを取られて、セカンドチャンスで得点されるというシーン》は2度しかなった。……にも拘らず、ワンサイドスコアになってしまった。

②1点差に迫れた要因
 0ー21になる少し前に、中田と林に代えて宮澤藤本を起用
 その藤本が積極果敢にドライブしシュートをねじ込み(残り1分42秒)、ようやく2点。その後、膠着状態が続く中、やわらかいジャンプミドルシュートを決め、ENEOS 4ー21 トヨタ自動車で第1Q終了
 第2Qに入ると、ENEOSが積極的に攻める。岡本の強引なドライブ(ファールをもらい2スロー)、藤本速攻、オフェンスリバウンドから宮澤のシュートで、ENEOS 10ー23 トヨタ(残り6分30秒)
 その後も藤本の巧みなフェイクからのドライブ、岡本の3PシュートでENEOS 19ー27 トヨタ自動車(残り5分10秒)と8点差に
 トヨタも、河村、安間、ステファニー、永田、エブリン、山本と多彩なメンバーで得点を上げ、反撃、突き放すが、第2Q終盤、宮崎が左から2本、右から1本、ディフェンスをかわしてのドライブを決め、ENEOS 30ー37 トヨタ自動車の7点差で前半を終了。0ー21からよくここまで追い上げたものだ。
 トヨタは大量リードに安心したわけではないが、プレーがやや受け身になり、ターンオーバーも少し増えた
 ENEOSはこのクォーター、ターンオーバーが減り2つ(第ⅠQは8つ)、リバウンドも頑張り、ルーズボールなどの球際のプレーでも集中力のあるプレーを続けた

 第3Qはトヨタが第2Qの反省点を修正してきた
 まず、宮崎のドライブを徹底的に警戒し阻止(第3Qは宮崎のドライブを4度シュートブロック)。
 宮崎→岡本のパスミスを誘発するなどディフェンスも厳しくした。リバウンドへの集中力も高め(ENEOSは中村をベンチに下げていた)、セカンドオフェンスを増やす。
 残り7分~5分、スコアは34ー43と膠着したが、両チーム守り合い、見応えのある厳しい攻防を繰り広げた
 この均衡を、ステファニーが破る。シュートブロック、リバウンド、得点と躍動し、ENEOS 34ー47 トヨタ(残り4分2秒)
 この時間帯はENEOSの3Pシュートが決まらない。宮澤が3Pシュートを決めるも、リング下へステファニー→エブリンにパスを通されるなどで、ENEOS 38ー53 トヨタと15点差に。
 第3Q終盤、再び宮澤が3Pシュートを決め、ENEOS 41ー53 トヨタ自動車で第3Q終了

 第4Qに入ると、ENEOSがピッチを上げる。第2Q以降(特に第4Q)、ENEOSはディフェンスの足を止めない
 オフェンスも宮崎がドライブでファールをもらい2スロー。宮澤がオフェンスリバウンドを奪い、そのままシュート。さらに、もう一度リバウンド→シュートで、ENEOS 47ー53 トヨタ(残り5分20秒)。2度目のシュートはチャージングを取られても文句を言えない強引さだった(この試合を通じて、ファールに関してはENEOS 寄りの笛だった)
 トヨタは河村がオフェンスリバウンドからシュートを決めるが、オフェンス自体は単発だったり、24秒バイオレーションに陥るなど、停滞気味。
 ENEOSは一旦リング下に切り込んだ中村が、岡本のパスアウト。岡本が3Pシュートを決め、ENEOS 52ー55 トヨタ(残り5分55秒)
 さらに、エブリンのドリブルでリング下への持ち込みを宮澤が阻止し、仕方なしの三好の3Pシュートが外れ、そのリバウンドを岡本が運び、中村へバウンドパス。中村はターンして易々シュート!(ペイントゾーンにはトヨタでフェンスが4人いたにも拘らず)。これで、ついに1点差!ENEOS 54ー55 トヨタ、残り5分20秒
 迫られた要素として、トヨタは結構、フリースローを落としていた。(この試合、14ー19で73.7%)

③残り5分20秒の攻防
 トヨタのオフェンス。安間がサイドからドライブ。マークの岡本を振り切り、ヘルプの中村のファールを誘ってシュート。フリースローは外れて、ENEOS 54ー57 トヨタ、残り5分01秒
 ENEOS、なぜか45度の位置でほぼフリーの状態でいる岡本に宮沢がパス(トヨタがゾーンディフェンスだったのかも)。岡本、即座に3Pシュートを放つが、チェックに来た川村が気になったのかエアボール。
 アウトオブバウンドになりそうなところ、宮沢が飛び込んでボールをインコートに入れるが、これがトヨタに渡り、岡本をチェックに行ってややフロントコート側にいた川村が走って、パスをもらい、速攻を決める(ENEOS、やや不運)。ENEOS 54ー59 トヨタ、残り4分42秒。
 ENEOS・岡本、永田のマークを受けながらもドライブシュートをねじ込み、ENEOS 56ー59 トヨタ、残り4分23秒
 トヨタ、エブリンがジャンプシュートを決め、ENEOS 56ー61 トヨタ、残り4分13秒
 ENEOS・宮澤のドリブルで切り込んでのターンシュートを河村がブロック。
 トヨタのオフェンス。永田と河村のピックアンドロールが見事決まる。花道が走るように河村がシュート。ENEOS 56ー63 トヨタ、残り3分38秒。スクリーンに遮られた宮崎がスイッチして河村をマークすべきだったが、フリーにしてしまった。
 7点差となったが、まだ追いつくには十分の時間。宮崎がマークの永田を搔い潜ってドライブシュート。ファールをもらって3Pプレーとした。厳密に見ると、宮崎が永田の身体を左手で掻き分けているようにも見えるが、宮崎の軌跡がスムーズに円弧を描いていたので、ファールを取られにくかったのかも。それにしても、よく入れた。巧い。ENEOS 59ー63 トヨタ、残り3分25秒
 ここでトヨタ、ゾーンディフェンスに対し時間をかけてパスを回す。そしてショットクロック残り3秒で、ほぼフリーの状態でパスを受けた安間が3Pシュート。これがネットに沈み、ENEOS 59ー66 トヨタ、残り3分0秒
 ENEOS・中村、ドリブルしながら押し込み、シュート。これが惜しくも外れる。
 トヨタ・河村がやや遠い位置でのジャンプシュート。これが外れ、ENEOSが反転速攻。コーナーでパスを受けた岡本が3Pシュート。ENEOS 59ー66 トヨタ、残り2分9秒
 トヨタ・安間のフローターシュートが外れ、ドリブルで持ち込んだ宮崎がそのままドライブイン。シュートは外れたものの、ファールをもらう。2投とも決め、ENEOS 64ー66 トヨタ、残り1分35秒。再び肉薄するENEOS!
 ファールを取られたのは長岡だが、ほとんど宮崎の身体には触れていないように見えた。常々、長岡はこういうジャッジをもらうことが多いように思う。
 トヨタは動きの中でフリーを作ろうとパスを回す。うまくディフェンスの隙を作ってペイントのステファニーにパス。絶好のシュートチャンスに、中村がやむを得ずのファール。解説者は中村の寄せが遅いと言ったが、ステファニーのマークをしていた林がステファニーへのパスを通してしまったことが原因かと思ったが、エブリンのパスが巧かったのが主因であろう。
 ステファニーが1本外して、ENEOS 64ー67 トヨタ、残り1分14秒
 宮崎がドライブで切り込んでから、岡本へパスアウト。フリーの岡本、3Pシュート。しかし、外れる。リバウンドは宮崎の前に。ENEOS、再び、オフェンス。ペイントでパスを受けた宮澤がシュート。リバウンドを中村が取り、そのままバンクシュート!ENEOS 66ー67 トヨタ、1点差!残り、51秒
 ここで、思わぬ事が!
 スローインでパスを受けた安間が、ドリブルで動き出す際、自らの足に当ててしまい、アウトオブバウンド!ENEOSボールに。残り50秒。ドリブルしながら味方とのパスの間合いを図る宮崎。ピック&ロールでペイントに動いた中村にパスを送るが、直前の中村のスクリーンプレーで宮崎をマークすることになった河村が長身&長い手でボールに触り、軌道がわずかにずれ、エブリンがキャッチ。中村より遠い位置にいたエブリンの動きが俊敏だった。残り34秒。
 トヨタのオフェンス。ENEOSの厳しいディフェンスに攻めきれない感じだったが、ボールを持った三好が、リングまでENEOSのデイフェンスが3人いるのにもかかわらず、ドライブのアタック。2人をすり抜け、3人目の宮澤のファールをもらい、2スローをゲット!
 三好が落ち着いて2投とも沈め、ENEOS 66ー69 トヨタ、残り15秒
 ENEOSのオフェンス。残り時間を考えると3Pシュートを狙うのが妥当。ドリブルする宮崎、宮澤がピック&ロール気味に動いて、宮崎、宮澤のどちらかのシュートチャンスを作ろうとする。他の3人は、3Pラインの外側で開いてパスを待つ態勢。
 結局、宮崎がトヨタ・安間が宮澤の方に1歩動いた瞬間をとらえて、3ポイントシュート!……しかし、リングで弾かれて、リバウンドをエブリンがキャッチENEOS ファールしてプレイを止めるが、残り3秒で、3点リードのトヨタのフリースローとなっては勝負あり!
 エブリンが2本ともフリースローを決め、ENEOS 66ー71 トヨタの勝利。

 0ー21から、しかも戦力不足の中、こんな激闘に持ち込んだENEOSの底力!
 トヨタも追い込まれながら、よく踏みとどまった。
 ENEOSは1点差で残り50秒。思わぬ出来事からボール保持となった絶好機を生かせなかったのが痛かった。



第2戦もトヨタ自動車が競り勝ち、悲願の初優勝!
第2戦の詳細を書く気力がないので、ファイナルを通じた感想を。


【トヨタ自動車アンテロープス】
・とにかく、タレントが豊富。馬瓜エブリン、安間、馬瓜ステファニー、長岡、河村、山本、シラ、永田、三好、平下、ファイナルでは出番がなかったが脇もいる。
・ペイント陣は超強力。エブリンはリバウンドに得点に大車輪の活躍(MVPはエブリンだと個人的には思った)。ガードも安間がJXの大神を思わせるようなプレーでチームをけん引。山本も堅実なオフェンスを組み立てる。
・皆が、自分の果たすべき役割を理解してプレーしていた。
・エブリンと安間を中心に、皆が活躍した。使いこなすベンチワークも称賛に値する。


【ENEOSサンフラワーズ】
・故障者続出の中、ファイナル進出を果たし、ファイナルでは序盤の大量リードを諦めず、トヨタを追い込んだのは流石。
・第2戦の序盤も0-11と走られてしまったのはいただけない。最初、ゾーンディフェンスで意表を突いたが、2度のターンオーバーで点差を広げられてしまったのは残念。少なくとも、もう1プレー早くタイムアウトを取るべきだった。
・故障者が多く高さを欠き、リバウンドで苦戦。攻撃オプションも少なく、トヨタディフェンスに的を絞られた。
・オフェンスシステムとして、林、中田が機能していなかった。
・中村はパワーもあり器用でポテンシャルは高い。故障者続出のペイント陣の中、よく頑張ったが、トヨタのペイント陣が強力すぎた。ゲーム展開によって求められるプレーが変わることや、周囲を見てプレーを選択できるようになってほしい。パスのセンスは高いと思う。
・藤本は、宮澤タイプのいい選手になりそう。セミファイナルでは、ボックスアウトしきれずリバウンドを取られるシーンがよくあったが、ファイナルは大健闘。もう少し、プレー時間が長くても良かった。
・宮澤の肩の故障も痛かった。宮澤が支配や影響を与えるエリアが広く、宮澤がコートにいるとチームが締まる。セミファイナル、ファイナルでは、2戦目で精彩を欠いた。
 やはり、宮澤の消耗を考えると、中村・藤本・石原のユニットを使うべきのような気がした。
・今大会のような故障者続出の状態でも、吉田なら苦しい局面でもキラーパスを通していた気がする。(でも、今回のような高さのないチーム状況だと、吉田をもってしても苦しいかもしれない)
・宮崎、岡本も第2戦では疲労の影響が出ていた。
・宮崎はいいガードになったが、苦しい情況でオフェンスを組み立てることは難しかったようだ。ドライブの切れ味はリーグ1,2。
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20-21 Wリーグ プレーオフ セミファイナル ENEOS VS デンソー 第2戦

2021-03-24 22:40:51 | スポーツ
 高田と稲井に3Pシュートを決められ、開始早々0ー6のビハインドを背負う。ENEOSも反撃するが、デンソーリードで進み、ENEOS 19ー23 デンソーで第1Q終了
 第2Qも23-31と8点差がつくが、クォーター中盤からENEOSがディフェンスの圧力を強め、デンソーの得点を留めて、逆転。一旦逆転されるも、終了間際に宮崎が3Pシュートを沈め、ENEOS 37ー35 デンソーと、ENEOSの2点リードで前半を終えた
 第3Q、一進一退の攻防が続くが、3Pシュートがよく決まったENEOSが58ー50とリードを8点に広げて終了。
 第4Q序盤、ターンオーバーやシュートミスなど、互いにオフェンスを決めきれず、2分30秒は2得点ずつに留まる。その後、デンソー・稲井がドライブを決め、局面を打開。対するENEOSは、宮澤がパスをもらい損ねるターンオーバー。更に次のオフェンスでも、完全ノーマークの3Pシュートを2連続で落とすなど精彩を欠く。
 デンソーもENEOS・中村にパスカットされたり、シュートを決められないというお付き合いし、膠着状態が続く。ようやく、ENEOS・中村がミドルシュートを決め、62ー54。4分間で4-4というローペースだ。
 この後、デンソーの赤穂ひまわりが遠目のジャンプシュートを決めたのに対し、ENEOSは24秒バイオレーションのターンオーバー。この後も、互いにシュートを決めきれないシーンが続いたが、デンソーは高田が遠目のジャンプシュートを決め(マークの宮崎が高さのミスマッチだった)、ENEOS 62ー58 デンソー。残り4分で4点差。
 オフェンスが機能しないENEOS、ピンチを思わせたが、宮崎が3Pシュートを決め、流れを引き戻す。さらに、デンソー・本川のジャンプシュートが外れ、ENEOSのオフェンス。残り3分25秒で65ー58。ここで決めれば、ENEOSがかなり勝利に近づくが、林がターンオーバー。すかさず、速攻を決められ、ENEOS 65ー60 デンソー(残り2分58秒)
 ここで、林が3Pシュートを警戒して飛びついた稲井のチェックをかわしてステップ、ジャンプシュート(2P)を決め、ENEOS 67ー60 デンソー(残り2分32秒)
 しかし、デンソーも高田にボールを入れ、ENEOSディフェンスが収縮したのを見て、外郭にパス。慌てて宮崎がチェックしに行くが間に合わず、本川が3Pシュートを決め、4点差に詰め寄る(ENEOS 67ー63 デンソー、残り2分22秒)
 ENEOSのオフェンス。中村のリング下へのバウンドパスに林が合わせ、カットインシュート。ENEOS 69ー63 デンソー、残り2分2秒。
 デンソーも負けていない。稲井が前へジャンプ、体を流しながらチェストパス風にバンクシュート。これが決まり、ENEOS 69ー65 デンソー、残り1分46秒。
 この後、中村のフックシュートが惜しくも外れ、デンソー・高田のドライブシュートを宮澤がファール。前日の悪夢を振り払うように、高田が2本ともフリースローを決め、ENEOS 69ー67 デンソー、2点差、残り1分4秒。
 ENEOSのオフェンス。これをデンソーが良く守り、24秒バイオレーションに追い込む。
 2点差で残り31.3秒、デンソーのオフェンス。本川がドリブルで切れ込み、外郭でフリーで待つ稲井へパス。稲井、3Pシュート!……これが外れ、リバウンドを赤穂ひまわりが押さえ、ENEOSがファール。
 残り8.9秒でデンソー・本川のスローイン。本川→赤穂さくら→本川とボールが回るが、さくらがパスを出す瞬間にENEOSがファール、残り6.7秒で再びスローイン。ENEOSは先のファールで4ファール。
 本川のスローイン。稲井が受け、高田にパス。ペイント付近で高田がもらったので大きなチャンス。マークの宮澤が高田の動きに同調し体を寄せ、腕を上に挙げて防御。ファールを取られないよう気をつけたのか、高田への圧力は弱い。高田なら決められると思ったが、高田のフック気味のシュートは外れる。リバウンドを取った宮澤に対し、高田がファールして、時計を止めるが、残りは0.7秒……万事休す。
 
      1st  2nd  3rd  4th  TOT
ENEOS   19  18  21  11   69
デンソー  23  12  15  17   67


 中村がリバウンドを頑張り、任されたボールを着実に決めるなど(2Pシュートは6/10、8リバウンド、1スティール、1ブロックショット)、ENEOSの窮地を救った。身体の押し合いに強く、シュートに持ち込む能力は高い。シュートもうまくてパスセンスもある。ディフェンスやリバウンドも頑張り、うまくいかない時間帯を中村が救うシーンも多かった。
 ただし、頑張り過ぎて犯さなくてもよいファールや、周囲が見えずオフェンスがつぶれるシーンも偶にある。

 は高さがない分、動きでカバーした(彼女の身長は173cmでガードとしてはそれほど低くないが、故障者が多いのでフォワードポジション)。13得点、2Pシュートは3-3で、オフェンス面でも役割を果たしたと言える。ただし、動きがチャカチャカしすぎて、無駄が多く、パスを出しにくい気がした。

 岡本は、18得点3Pシュート5本。宮崎も、14得点13アシストと活躍。
 宮澤は……動きが良くなく、精彩を欠いた。

 デンソーも強いチームだが、トヨタ自動車はさらに強く、ENEOSの苦戦は免れない。良い形で決めたオフェンスシーンが少なかったのも不安材料。
 しかし、厳しいと思われたデンソー戦に勝利できたので(よく勝てたなあ)、もしかしたらトヨタにも勝てるかもしれない。
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疑問の判定 第43回 全国高等学校柔道選手権 2021年(2020年度)

2021-03-22 22:09:07 | スポーツ
他に書く記事があるのですが、やはり判定に疑問を感じるので、書いてしまいました。

女子48kg級 近藤美月(佐賀商)ー池田湖音(埼玉栄)
 開始1分で“消極的な戦い方”と指導が両者に与えられる。
 池田が近藤の釣り手を下に落とし、十分な組手を与えない。近藤は、不十分なまま内股を掛けるが、決まらない。
 釣り手が取れない近藤が、奥襟を取ろうとするが、結局、池田に釣り手を下げさせられてしまい、膠着状態が続いていた。

 指導を受けたので、近藤が片襟のまま担ぎに行ったが、これも決まらず(片襟組手のまま6秒以上技を掛けないと、指導を取られるが、6秒以内に技を掛けていた)。
 次の組手。近藤が足技を掛けるが、これも不十分で、つぶれる。
 次の組手は、近藤が奥襟を狙うが、切られる。釣り手をうまく取れない近藤だが、何とか、技を掛けようとするが、うまくいかない。
 それでも、技を掛けようと、体落とし的な技(よく分かりません)に入ったところで、「待て」の声が掛かり、近藤だけに指導が与えられる。(1分54秒)
 画面に主審のポーズが映されず、実況も解説も具体的な指導の内容を語らないので、何の指導だったのか、分からなかった。

 2つ目の“指導”を取られた近藤が、さらにアクションを取ろうとした瞬間、これを好機と見た池田が、背負い投げを掛けようとする。しかし、強引だったため、がっちり受け止められ、引き落とされかける。このままでは、背中から落ちてしまうので、腹ばいで落ちようと反転した。この時、持ち手を離さなかったので、池田の捻りと倒れる合力に引っ張られるように、体勢を崩して畳に落ちる。この時、やや横向きに落ちてしまった。
 2人がもつれて倒れた瞬間だけを見ると、池田が投げて、近藤が横向きに落ちたように見え、それを1人の副審が“技あり”の判定(この大会は、主審+2副審体制)。時間は2分2秒(残り58秒)
 これを受けて、主審がビデをを確認。確認後、副審たちと協議し、”技ありを認定。
 しかし、電光掲示板は近藤に技ありの表示。気づかず、試合再開。
 残り50秒で、ジュリーから中断の声。3人で協議するが、結局、何も訂正せず、そのまま再開。
 組み手争いが続き。もつれて倒れこんだところで「待て」(残り23秒)。ここで、再び、主審副審で協議。さらに、主審がジュリーがのところへ行き、映像を確認(先程の技ありの映像だと思われる)。かなり長い時間、映像を確認して、副審たちに、一言二言説明して、技ありポイントの訂正のジェスチャー。
 司会再開後も、組み手争い。結局、釣り手を下げられたまま、十分な組手ができず、そのまま、試合終了。

 池田の仕掛けた技は、訳の分からない技ありだけ。組み手のうまさは評価できるかもしれないが、ほとんど投げる気はなかったように感じた。
 さて、この試合の主審だが「講道館杯全日本柔道体重別選手権2020……疑問の判定」(2020年11月)でも取り上げた女性の審判員(場内放送の紹介では「たけだ」と聞こえた)
 まず、最初の“両者指導”(この審判員は、とりあえず両者に指導を与えることが多い)が疑問。組み手争いが続いたが、近藤は技を掛けようという姿勢が伺えたし、実際に、技を仕掛けていた。
 次の「近藤にだけ指導」も大いに疑問。もし消極性の指導なら、最初の指導と同様な疑問。少なくとも、両者指導でないとおかしい。もしかしたら「相手の袖口または下穿の裾口に指を差し入れること」などの違う要素の指導だったのかもしれない。何の指導だったのか知りたい。
 「技あり」の判定も不満。確かに、倒れた時の形だけ捉えると、池田の技の効果があったように見えるが、あれで技ありというのは納得しがたい(最近の柔道の“技あり”判定は甘すぎる。以前の“有効”より甘い)。あの技は、いったい何という技だったのだろうか?
 それに、判定の際のモタモタと、掲示ミスの訂正のモタモタぶりもいただけない。主審はビデオをかなり長い間、凝視していたが、実際に技が終了(決まったとは言いたくない)した時点で、主審は状況(状態)を把握していなかったのではないだろうか?

 
 そんなわけで、非常に判定に疑問を感じた試合だったが、実は、他の試合でも判定に関する疑問がたくさん生じた。

女子57kg級 井田侑希(児玉)ー江口凛(桐蔭学院)
 江口は2019年世界カデ(15~17歳)柔道選手権優勝、今大会、2人の強化選手を破ってきている。井田は3回戦(一本背負い)、準々決勝(内股)、準決勝(袖釣り込み腰)で一本勝ちと好調。
 お互い、力強く、スピードのある柔道を展開したが、開始1分30秒、自分の組手になってから、一閃の背負い投げ(違う技かもしれない)。江口の身体を腰に乗せ、そのまま回転。江口も前転するように回されてしまった。
 “一本”だと思ったが、判定は“技あり”。48kg級の池田の訳の分からない技が“技あり”なら、この投げは“一本”でなければならない。
 一本勝ちにならなかった井田、果敢に攻める。残り55秒、井田の背負い投げを踏ん張って潰した江口が、締め技を掛け、決める。堪らず、井田が降参。江口の逆転勝ち。
 井田の背負いを踏ん張り、井田を畳に付した時には、井田の襟を掴んでおり、素早く締め上げた。江口、恐るべし!


女子63kg級 石岡来望(創志学園)ー鹿歩夏(佐賀商)
 一進一退の攻防が続き、延長戦に(指導は両者共1)。
 石岡は左手(腕ではなく手)を痛めているようで、その影響が徐々に表れ始め、試合は鹿ペースになりつつあった。
 延長25秒、鹿が大内刈りを掛け、体勢を崩した石岡が畳に落ちる。
 “技あり”の判定が出たが、取り消される。畳に落ちる瞬間、石岡は身体をひねって、腹ばい気味に倒れたのだ。でも、しつこいようだが、48kg級の訳の分からない技が“技あり”で、これが“技あり”でないのか?
 このあと、石岡は組み際に素早く担ぎ系の技を掛けるが(5度)、浅く、ぶら下がるだけの技がほとんど。
 鹿も技を出したいが、石岡の仕掛けが早く、受けるだけになってしまう。主審が試合を止め、副審と3人で協議。おそらく、鹿の消極性についての協議しているのだろう。協議を終え、“指導”が出るかと思われたが、試合続行。
 再開直後も石岡が技を掛ける。解説の中村美里氏によると「浅かった」という評価だが、この時の技は、かなり腰が入っていた。
 しかし、この後の背負いは掛けたものの、すぐ崩れ、鹿にぶら下がるだけになっていた。
 ここで、主審副審が協議。……鹿に消極性の指導が与えられ、石岡の勝利。

 確かに、鹿は技を出せなかったが、組んですぐ掛け逃げっぽい技を出されては、なかなか、先に技を出すことは難しい。それでも、先に出さないといけないのだが……
 石岡の技だが、7回掛けて、偽装攻撃と思われても仕方がない技が5つ。特に、最後の指導が出された直前の技は、その技単独でも“偽装攻撃”を取られても仕方のないレベルだった。
 審判は、もう少し、試合を続けて、石岡の技が正当化を見極めるべきだった。



 この大会、一番印象に残ったのは、女子52kg級新井心彩(埼玉栄)の力強さ。見事な一本勝ちだった(その前の“技あり”も見事だった)
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【歳時メモ】 桜(日野川堤防)

2021-03-22 13:36:51 | 歳時メモ
「歳時メモ」と勝手に銘打っていますが、このカテゴリーの意味は、植物の様子や気候などをメモして、翌年以降に現記事を振り返ると、季節の進み具合が分かりやすいかなと思い、記事にしています。

 今年の桜の開花は、全国的に非常に早いらしく、多くの地点で“統計開始以来、最も早い開花”となったようです。
 日野川堤防も、今朝の時点で。帆山橋~日野大橋の堤防は、1分咲から3分咲と開花が進んでいました。万代橋~帆山橋の堤防は、花が“開きかけ”という状態でした。今日が暖かければ(今日は2月下旬~3月上旬の寒さ)、“開花”と言い切ることができたのですが。


 ちなみに、昨年の記事によると、福井市の開花
昨年(2020年)は3月25日に史上最早の開花。それ以前の最も早い開花日は2009年の3月260日。平年値は4月3日で、一昨年(2019年)は3月28日。
 今年は、最早だった昨年より、かなり早くなりそうです。
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相棒 season19 第19話「暗殺者への招待」 (拡大スペシャル)

2021-03-20 15:05:09 | ドラマ・映画
既に、この話の後編に当たる最終話も放送されており、私も視聴済みなので、この前編の事件を考察するのは、意味がないというか、滑稽なので、ドラマの作りについて書いていきます。

 前編の印象としては、展開が遅くて、“まだるっこさ”を感じた。
 しかも、冒頭でIT長者の加西周明 (石丸幹二)とのやり取り(特命係に呼び出された加西が、「“直接会って話がしたい”なんてわがまま言った以上、よっぽど面白い話じゃなきゃあ、承知しないよ」と言い、二人の表情を探る)から、『5か月前』に遡る。
 5か月前と言うと「右京たちが加西を追い詰める」「加西の逮捕が副総監の“ツルの一声”で見送られ、皆が憤慨する」など第2話最終部分であるが、そこから、麗音(篠原ゆき子)銃撃の実行犯・朱音静 (日南響子) の供述保留や翻意を軸に、弁護士・中郷都々子(織田梨沙)、国家公安委員長・鑓鞍兵衛(柄本明)、内閣官房長官・鶴田翁助(相島一之)、内閣情報調査室の柾庸子(遠山景織子)などの思惑を絡めていく……

 そういうドラマの作りだが、冒頭のシーンのインパクトが弱いので(《ああ~こいつかぁ~》というインパクトはあったが)、途中で「4か月前」とかの字幕を出されても、《いつから?》と混乱してしまう。[《その直前のシーンから4か月前》と思ってしまった。時間が飛ぶのなら、直前のシーンを基準に表示してほしい。
 なぜ、遡る表現にしたのか?……例えば、直前のシーンから「1か月後」と示されると、《その間、警視庁や検察は何をしていたんだ?》と思ってしまう。それを時間を遡る表現にすると、間延び感をごまかし易い。
 それにも増して感じたのが、《静の供述を取る検察のモタモタ感》だ。……あんな悠長で良いのか?

 その冗長さも不満だったが、さらに問題に感じたのは、今話の序盤において、さらっと挿入し、さらっと省略したシーンがあったこと
 挿入されたシーンというのは、衣笠副総監(杉本哲太)と警察庁長官官房付・甲斐峯秋(石坂浩二)の“お宅の若い衆”云々のやり取り。
 省略されたシーンは、甲斐と特命二人の「(警視総監や警察庁長官のような)そういうカテゴリーの人間じゃないと思うよ。こういう無理(逮捕ストップ)を通すのは」という歩き話のあと、右京が「僕は許しません。近いうちに突き止めて、必ずや首を取ります……必ず」と宣言したんだよ、宣言!

 しかし、第2話以後、全く、捜査せず第19話に至ってしまった。「近いうちに突き止めて、必ずや首を取ります……必ず」と二度も“必ず”と言ったのに!
 今話(第19話)によると、静の母親や中郷弁護士に話を聞いたり、検察の動向を探るなどしているが、ほぼ受け身で、加西を追及するような動きはなかった。

 挿入部分(若い衆云々)も後付けで、インチキぽい(まあ、第2話から第19話まで飛んでいて第10話と第13話も担当しているので、後付けは仕方がないのかもしれない)


第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話第9話第10話第11話(元日SP)第12話第13話第14話第15話第16話第17話第18話

【ストーリー】番組サイトより
特命係を煙に巻く“あの男”をめぐり
止まっていた時間が、再び動き出す!

特命係と仮想国家の支配者・加西の因縁はここから始まった――


 麗音(篠原ゆき子)が銃撃された事件の首謀者でありながら、罪をまぬがれたIT長者の加西周明 (石丸幹二) 。背景には、衣笠副総監(杉本哲太)の“ツルの一声”や、さらに上からの“政治的圧力”があったと思われるが、うやむやのまま実行犯である朱音静 (日南響子) だけが逮捕されていた。しかも、当初は加西の関与をほのめかしていた静が、大手事務所の弁護士と接見した後、突然態度を翻し、供述の“保留”を申し出た。
 静の不可解な動きを耳にした右京(水谷豊)と亘(反町隆史)が真意を確かめようと動き出した矢先、加西の口車に乗って転落死した男の母親・蒔子(松永玲子)と顔を合わせる。蒔子は、息子の恋人だった静を娘のように思い、何かと世話を焼いているらしい。
 いっぽう、おとがめなしで自由の身を謳歌している加西の処遇をめぐっては、内閣官房長官の鶴田(相島一之)や、国家公安委員長の鑓鞍兵衛 (柄本明) も関心を寄せていた。そんな中、1年前の殺人事件で追及を逃れきった内閣情報調査室の柾庸子(遠山景織子)から、驚くべき情報がもたらされ―――さらに、思いもよらぬ出来事が加西に降りかかる…!

不敵な態度で暗躍する加西に、再び挑む特命係
供述を翻した“麗音銃撃実行犯”の狙いは…!?
予測不能の事態が国家の中枢を揺るがす!


ゲスト:石丸幹二 遠山景織子 松永玲子 日南響子 相島一之 柄本明

脚本:輿水泰弘
監督:橋本一
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20-21 Wリーグ プレーオフ セミファイナル トヨタ自動車 VS 富士通 第1戦、第2戦を通して

2021-03-19 11:57:25 | スポーツ
第1戦は79ー56。トヨタ自動車の完勝(富士通も後半は頑張ったが)。第2戦は61ー58。接戦をトヨタが競り勝ち、連勝でファイナル進出を決めた。
 トヨタ自動車の勝因はリバウンドを制したこと。もちろん、シュートの確実性やパス回しなど他の勝因も多くあるが、一番を挙げるならやはりリバウンド。
 実は、第1戦と第2戦のリバウンドのスタッツ的には大差がない。それでも、第1戦がトヨタの完勝になったのは、第1戦の前半、トヨタはリバウンドで富士通を圧倒したからであろう。あと、第2戦は富士通がリバウンドを取られても、しつこくディフェンスを頑張ったことも接戦になった要因だろう。
 あと、第1戦に得点にリバウンドに暴れられた?馬瓜エブリンを押さえたことも要因に挙げられる


 トヨタ自動車は、エブリン姉妹、長岡、河村とペイントゾーンは強力。さらに、シラ(白鴎大学・3年生?、アーリーエントリー)も控えている。ポイントガードの安間、山本も相手にとっては少しも息をつくことができないプレーヤーだ。シューターの三好や栗原、加えて脇、平下などタレントが豊富だ。
 対する富士通はポイントガードの町田、得点能力の高い篠崎とガード陣は強力。しかし、ペイント陣はオコエがいるもののトヨタと比べると心細い。控えを含めた選手層も申し訳ないがトヨタと比べると、かなり薄いと言わざるを得ない。
 第2戦を接戦に持ち込めたのは、“健闘”と言えるだろう。

 何と言っても、第2戦、25得点の篠崎の頑張り。ドライブを中心に縦横無尽の活躍だった。
 町田も健闘したが、日本代表(全日本)でプレーしているときのような輝きは感じられなかった。故障でもしているのかな?と思ったが、おそらく、他のメンバーのポテンシャルが原因なのだろう。
 全日本なら、パスを出す相手は渡嘉敷や馬瓜エブリンや高田や宮澤で、自分の思い描いた通りのプレーをしてくれる(もちろん、国際試合なので相手フェンスも手ごわいのだが)。しかし、はっきりとは言えないが、富士通チームだと……(もちろん、皆、好プレーヤーなのだが)
 さらに、篠崎は受けたパスの流れでプレーするタイプではなく、ボールを持ってから、自ら切り込んだり、ドリブルやステップでシュートチャンスを作るタイプのプレーヤーだ。(開いてパスを受けてジャンプシュート、カットインプレーは少ない)
 オコエもポテンシャルが高いが、やはり、自力プレーが色濃い選手。オコエについて言及すると、ボールを持つとリングに向かう事しか考えていないようなプレーが多い。そのポテンシャルで得点することも多いが、がっかりしてしまうシーンも多い。リング下を攻めて無理なら外にパス、あるいは、初めからパスを視野に入れたプレーをして欲しい。
 さらに言うなら、プレーが雑で、《ここらへんでいいだろう》という感じでシュートを放ってしまう。最後までボールをコントロールしようという意思が薄い。

 とにかく、町田のパス能力が生かせないゲームだった。
 そういえば、町田が中に切れ込んで外郭にパスを出すというシーンも少なかった気がする。レギュラーシーズンの3Pシュートの成功率は36%近くあったのだが、レギュラーシーズンの数値は下位チームの対戦も含まれているので、それをそのままポテンシャルと考えてはいけないという事か。

 最後に、非常に疑問に感じたシーンがある。
 第2戦の終了間近、富士通58ー61トヨタで富士通のオフェンス。
 町田がボールを保持し、サイドにいたオコエにパス。この時、オコエにマークはついていたが、やや距離を置いていたので、パスを出したことを否定はできない。パスを受けたオコエに対し、マークマンと町田のマークマンがチェックしに行き、3Pシュートを楽に打たせない。結局、オコエのシュートは外れ、試合終了。
 問題なのは、斜め45度の位置にいた篠崎がなぜか割と簡単にマークマンを振り切って、ほぼフリーで町田のそばでパスを受ける態勢になった。手を挙げてボールを呼んだが、その直後、町田はオコエにパスを出した。
 フリーの篠崎に気がつかなかったのかもしれないが、この場面、篠崎がオフェンスの第1オプションではないのか?少しぐらい不十分であっても、篠崎にボールを託すものではないだろうか(エースに託して、外したのなら仕方がない)。篠崎の動きに目を向けないものなのだろうか?非常に不可解だった。
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20-21 Wリーグ プレーオフ セミファイナル ENEOS VS デンソー 第1戦

2021-03-17 18:00:18 | スポーツ
久しぶりのバスケットボールの記事です。
 ”久しぶり”という感覚はあったのですが、「ウインターカップ2019 [女子決勝]桜花学園-岐阜女子 (簡単感想)」で2019年12月31日以来というのはびっくり。本来ならば、吉田亜沙美の再引退、藤岡麻菜美の引退、昨年(2020年)12月の皇后杯などの記事を書かなければいけないのですが……なんという体たらく(ていたらく)!
 正直言って、バスケットの記事は大変で、余力がない時に書くのは結構しんどいです。あ、でも、将棋の記事も、『相棒』のレビューも大変(ドラマレビューは手抜きはできるが、セリフを拾い出したら内容も濃密になって大変)。
………苦労が大きい記事でも、多忙な時でも、結局、悔しさや怒りや感動のエネルギーが大きければ書いてしまう。新型コロナウイルスに関しては、不満が溜まっているんだろうなあ…。将棋の記事なんかは、ある程度書いてエネルギーを発散させてしまい、放置してしまっている記事がたくさんあるような気がする……

 記事が溜まっていることを言い訳に、簡単感想です。


 ENEOSのスターティングメンバーは宮崎(167cm)、岡本(161)、林(173)、中田(182)、中村(178)。デンソーは稲井(166cm)、本川(176)、赤穂ひまわり(184)、赤穂さくら(184)、高田(183)。
 スタメンの平均身長はENEOS172.2cm、デンソー178.6cm。平均身長の数値(172.2対178.6)だけ見ると、その差がピンと来ないが、平均身長差6.8cmは、とてつもなく大きい。特にフォワード、センター3人の平均身長の差は大きい(ENEOS177.7cm、デンソー183.7cm)。リバウンドやリング下のシュートなどのペイントゾーンで大きく劣勢に陥りそうな6cm差である。

 ENEOSは吉田、大崎(旧姓・間宮)、藤岡の引退、故障の渡嘉敷、梅澤ガディシャ、大沼、その上、宮澤も肩の故障でスタメンから外れるという状況。
 宮崎の成長や相変わらずの岡本の縦横無尽のプレーである程度の得点は見込めるとは言え、戦術の多彩さ、個々の能力の高さで、どこからでも誰でも得点できる従来チームと比べると、大幅な戦力ダウンは否めない。
 特に問題なのは、渡嘉敷、大崎、宮澤の超強力ペイントゾーンの弱体化。これはスピードや運動量でカバーするしかない。(スピードで高さを補うと言っても、ENEOSは大型チームではあったが、吉田、岡本、藤岡、宮崎が組み立てるバスケはスピードもパスワークやコンビネーションも秀逸だった。なので、従来のチームと比較してまうと、“スピードでカバーする”という方策では難しいように感じるが、戦う相手は過去の自チームではなく、富士通やトヨタ自動車なので、スピードでカバーは有効な方策である。もっとも、スピードと運動量でカバーするしかないのだが)

 デンソーは赤穂姉妹&高田の超強力ペイントトリオに得点力抜群の本川、この4人は全日本でもスタメン級のプレーヤー。ガードの稲井も冷静にオフェンスを組み立てるリードオフマン。万全なENEOSに対しても伍するチーム力を持っている。

 ゲームは、高田を中心にスイスイ得点を挙げるデンソーに対し(高田はこの試合32得点)、宮崎と岡本のスピードとテクニックで何とか得点を挙げるENEOSで、前半は36ー36と得点上は互角
 第3Q中盤、ENEOSが44ー38とリードを奪い、《さすがENEOS、なんだかんだやっているうち、勝利するのかなあ》と思ったが、デンソーディフェンスがプレッシャーを強めると、オフェンスが停滞し、オフェンスが単独プレーになってしまった。ターンオーバーも増えた。デンソーもターンオーバーを犯すシーンもあったが、流れの良い3ポイントシュートや、オフェンスリバウンドを取り、セカンドチャンス、サードチャンスを活かして得点を重ねた。……第3Qを終え、デンソー56ー48ENEOS。第3Q中盤以降の得点は、デンソー18対4ENEOSと大差。

 第4QENEOSは中村が2度、ディフェンス陣が待ち構えているリング下に攻め込むがターンオーバーするなど、オフェンスが機能しない(第3Qでも同様なシーンが見られた。中村だけの問題ではなく、チームオフェンスの問題)。岡本と宮崎が何とかねじ込むだけ。対するデンソーはペイントゾーンを攻めるそぶりを見せてENEOSのディフェンスを収縮させて、フリーの状態からロングやミドルシュートを決めて得点を重ねていき、残り6分でデンソー67ー52ENEOSと得点差が15に開いた。
 残り5分で69ー54と依然15点差。岡本がトップの3Pライン付近でボールを保持するも、他のメンバーに動きがなく、パスを出せずやむを得ずロングシュート。これがリングに吸い込まれ69ー56。このプレー、展開に窮したのか、他のメンバーが開いて、岡本のプレイゾーンを開けたのかは不明だが、ENEOSの望みをつないだシュートだった。

 ここからENEOSの反撃が始まった。デンソーのエンドラインでのスローインからプレスをかけたのだ(実は、この1つ前のスローインの時も)。高田のやや不用意なスローインを宮澤がスティール。シュートを試みるが2人にマークされ無理だと見るや、身体を捩って後方へ執念のパスを出し、宮崎が3Pシュート。JX59ー69デンソー
 さらに、本川がペイントにボールを入れようとしたパス(これもかなり不用意)を宮崎がカット。素早くフロントコートにボールを運び、パスをもらった林が3Pシュート。外れたが、完全にENEOSペース。
 デンソーの攻撃だが、パスが回らない。ENEOSはボールマンにプレスをかけ、パスカットにあと一歩だったが、アウトオブバウンド。デンソーベンチはタイムを取らない。宮崎の3Pシュートの時点、遅くとも本川のパスがスティールされた時点でタイムを取るべきだったと思うが、取らなかった。(アウトオブバウンド時はショットクロックが2.7秒だったので、取りにくい)
 ここでスローインを受けた高田が、すかさずジャンプシュート。マークしていた宮沢が高田の肘に触れてしまい、ファール。非常にもったいないファール。フリーシュート2本を高田が決め、ENEOSの流れを止めたかに見えたが、宮崎がすかさずドライブインを決め、71ー61と再び10点差(残り3分49秒)
 デンソーのオフェンスだが、早い時点からENEOSがプレッシャーを与え続け、宮澤がパスカット。そのまま、ドリブルシュートを決め、ENEOS 63ー71 デンソー(残り3分34秒)

 ここでようやくタイムアウト。
 デンソーのエンドラインからのスローイン直後から、ENEOSはまたもプレッシャーをかけ、あと一歩というところでファールを取られる。事なきを得たデンソーだが、《勝てそうだ》と思ったところから、点差もプレーも追い込まれた感がある。
 スローイン後、本川が3Pシュートを放つが、外れる(シュートまでのパターンはよかったが、明らかに外れていた)。このリバウンドを宮澤が取りかけるが、手からこぼれ、デンソーのボールに(残り2分59秒)
 救われたデンソーだが、オフェンスがぎこちなく、本川のドライブをENEOSが2人でプレスし、ボールを奪う。石原が3Pシュートを放つが、外れる。
 デンソーのオフェンス、稲井のドライブインに宮崎がファール(4つ目、チームファールも4つ目)。稲井のフリースロー。1本外し、ENEOS 63ー72 デンソー(残り2分26秒)
 ENEOSのスローインを今度はデンソーが激しく動き、チェックを強くして、パスカット。この辺り、じりじりした攻防が続く。デンソー・本川はオフェンスに時間をかけ、ショットクロック残り10秒まで動かず、そこからドライブイン。外れるも、リバウンドはデンソーが保持。ただし、リングに当たっていなかったので、ショットクロックが残っておらず、遠い位置から稲井がシュートを放つが届かず、ENEOSボール。
 ここで石原がドライブを決め、しかも、ファールをもらいバスケットカウント。フリースローも決め、ENEOS 66ー72 デンソー(残り1分51秒)

 残り1分51秒で6点差。十分、射程距離だ。6点差と7点差は戦術的にも心理的にも大きな違いがある。
 デンソーのオフェンス。パスを回すがシュートへのプロセスが開けない。ENEOSのマークも厳しい。結局、24秒バイオレーションになり、ENEOSボールに(残り1分27秒)
 ENEOS・宮沢のスローイン。ハーフライン付近の岡本へのロングパス。これを岡本がドリブルでフリースローライン付近まで持ち込み、サイドライン付近で開いていた林が3Pシュート……これが外れ、デンソーのオフェンス(残り1分22秒)。アウトオブバウンドがあり、デンソーのスローイン(残り1分10秒)。ここで、ENEOSがまたも激しいチェックで楽にボールを入れさせず、デンソーのパスミスを呼び、ENEOSボールに(残り1分9秒)
 ここで、スローインのボールを宮崎が受け、ふわりゆらりとドライブし、シュートイン!……ENEOS 68ー72 デンソー(残り1分04秒)
 デンソー・稲井がリング下に切り込み、斜め45度で開いていた高田にナイスパス。ほぼフリーの高田、当然3Pシュートかと思いきや、ドライブを選択。マークに駆け寄った宮崎が遅れ気味だったので、かわしてドライブもあり得るのだが、宮崎を払おうとした手が、突き飛ばす形となり、明らかなチャージング。攻撃権はENEOSに(68ー72、残り41.5秒)。(宮崎、足が攣(つ)る)
 ショットクロック残り10秒で、ENEOS・岡本のジャンプシュートが外れ、宮澤が保持し、続けざまのシュート。これも外れ、今度はデンソーは保持するも、デンソーのパスに岡本がスチールを狙い、ルーズボールとなってコート外に出かけたところで、岡本がコート外にジャンプ、キャッチし体を捻って、宮崎にパス。パスを受けた宮崎はドリブルしながらマークマンとの間合いを計り、距離が空いたところで3Pシュート。かなりリングから距離があったが、ネットに吸い込まれた。ENEOS 71ー72 デンソー(残り12.6秒)

 なぜ、宮崎へのマークが空いたのか?
 宮崎をマークしていたのは稲井。しかし、稲井は宮澤をマークしていた赤穂さくらとスイッチして宮澤のマークへと反転して動いた。なので、赤穂さくらが宮崎をマークしなければならないのに、逆に2,3歩下がってしまった。マークが空いた宮崎、直前に足が攣ったこともあり、当然、3Pシュート。
 不可解なのは、赤穂さくら
ENEOS の宮崎・宮澤の二人の動きはピック&ロールぽい動きだったが、宮澤はスクリーンする意思は全くなく、稲井の後ろをすり抜けようとした。なので、稲井はそのまま宮崎をマークできたはず。実際、稲井もそのつもりだったが、なぜか赤穂が宮崎を注視して、宮澤のマークを外してしまう。それを見た稲井が、反転して慌てて宮澤のマークに向かった。
 ここまでの赤穂さくらの動きも不可解だったが、稲井が宮澤のマークに向かったのなら、さくらは当然宮崎をチェックしなければならないはずなのに、なぜか引いてしまった。それから宮崎のマークに走ったが間に合わず……非常に不可解だった。
 残り12秒6、1点差。デンソーは、高田にパスを入れる。ENEOSとしては、フリースローの上手い高田にはファールをしたくなかったが、高田に止む無しのファール。ところが、ここで 高田がフリースローを2本とも外してしまう。高田が1本落とすのも珍しいが、2本とも落とすとは!
 残り5分で15点差になり、ようやく勝てそうだと思ったが、ミスが重なり、相当悪い流れで、逆転されるという恐怖や焦燥感。高田も自らのプレーに不甲斐なさを感じていたのかもしれない。フリースローが外れたリバウンドは、ジャンプボールシチュエーションになり、ボールの保持権はENEOSの番。
 残りは7秒5。まだ、7秒5を守り切れば、デンソーの勝利となる状況だが、もう互角の勝負だ。いや、ENEOSが有利か。心理的にも有利だが、強引さに注意してドライブすればファールをもらえる公算が高い。ENEOSには、その打って付けの選手が宮崎と岡本の二人いて、マークしようにも分散は避けられない。岡本のシュートは外れたが、高田もファールを取られ、ENEOSの思惑通り、岡本のフリースローとなる。岡本、慎重に2本沈め、ENEOS 73ー72 デンソー(残り5秒1)ついに逆転!
 この時のENEOSのシチュエーションは、先ほどの《7秒5を守り切れば》というデンソーのシチュエーションと、時間的にはさほど変わらない。ただし、この時のデンソーの場合はエンドラインからのスローインで、フロントコートに持ち込むまでに2秒くらい要してしまう。さらに、ENEOSのようにセットプレーもできず、動きの中でプレーを選択しなければならない。稲井の放ったボールは、リングの縁を走るように跳ね、ボードにぶつかった後、床に落下した。………………大逆転でENEOSの勝利

マリーナ・マルコビッチ デンソーヘッドコーチ「コメントをするのが難しい。ずっと良いプレーをしていましたが、最後に何が起こったのか分からないゲームでした」
(コーチは「38分」と言っているが)デンソーは35分間、非常に良いプレーをしたが、最後の5分間は空洞のプレーになってしまった。第4Qのタイムアウトが遅かったように思う
高田32点7R、赤穂ひ11点8R5スティール、赤穂さ10点7Rと活躍。本川が不調で6点。2Pのフィールドゴールは0-7(3Pは2-4)だった。

 ENEOSは岡本21点6R3スティール、宮崎21点8アシスト3スティールと縦横無尽の活躍。石原も要所で活躍(12点2スティール)、苦しい所を繋いでいた。
《岡本は最後までスピードが落ちずによく動くなあ。最後のフリースローも落ち着いて決めていたなあ》と感心していたら、
「今までで一番緊張した。1本外すと(同点になって、オーバータイム・延長戦なる)、もう体力が残っていないので」と。そうだったのか!
 宮澤も21点7R3スティールリバウンドを押さえたり、絡むので、相手の二次攻撃を阻んでいるのが大きい。高さがあるうえ、動きも早いので、相手のオフェンスへのプレッシャーを掛けられる。ただ、気になるのは……体重オーバーなのではないだろうか?皇后杯の時も感じたが、更に進行しているような気がする。若干、足腰が怪しかった。 チームとしては相手にオフェンスリバウンドを取られてしまうことが多いので、この先が心配。
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【歳時メモ】 早春……梅、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ

2021-03-16 11:29:42 | 歳時メモ
「歳時メモ」と勝手に銘打っていますが、このカテゴリーの意味は、植物の様子や気候などをメモして、翌年以降に現記事を振り返ると、季節の進み具合が分かりやすいかなと思い、記事にしています。
 大した記事ではありませんが、さぼっていました。昨年11月の「錦秋」以来の記事です。

 2週間ほど前からが咲いているのを見かけるようになり、ここ数日は、あちらこちらで満開になっています。
 オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウも咲いています。

 昨年の梅の開花は早く、2月初旬には咲いていたようです。(「2020年の梅の状況」2020年3月5日記事)
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相棒 season19 第18話「選ばれし者」

2021-03-09 20:03:29 | ドラマ・映画
『魔銃録』という人気小説の作者・笠松剛史(真田幹也)が銃殺される事件が発生。凶器は、数か月前、収賄疑惑を掛けられた代議士襲撃事件で使われた古い銃と思われたが、問題の銃はすでに警察が押収し、厳重に保管されていた……

2つの謎
【謎1……相反する事象】
A.代議士襲撃の弾と作家殺害の弾の線条痕(施条痕)が一致し、同一銃から発射されたと考えられる
B.代議士襲撃の銃は科警研が厳重に保管
  ……………相反する事象で、非常に不可解、不可思議。


――幾つかの可能性――
1.鑑定ミス……科捜研もこの分野の権威である科警研の黒岩(上杉祥三)も鑑定は間違いないと断言。独立する2者による鑑定なので、鑑定者が嘘をついている可能性はない。

2.銃が持ち出された……管理者の黒岩の目を逃れたとしても、出入り口の金属探知機などでの持ち物チェックや身体検査を搔い潜ることはことは至難

3.同じ線条痕を生じる別の銃が存在する……《人間の指紋と同じように、個々の銃がユニーク(独自)な線条痕を持っている》ので、そんな銃の存在は有り得ない
≪参考≫人気の銃などは何十万挺も製造される事があり、銃の種類が分かっても、犯人を特定するのは難しいと思われるかもしれない。しかし、同じ種類の銃といっても、製造された時期によってもライフリングは微妙に異なる。また、同じ時期に製造された銃でも工作機器の刃の摩耗により、微妙に変化することがある。銃本体も発砲により、ライフリングが摩耗する。鑑識はこの線条痕の違いを比較顕微鏡などを用いて1000分の1ミリメートル単位で分析測定している。そのため、人間の指紋と同じように、個々の銃がユニーク(独自)な線条痕を持っているといわれている。
『ミリレポ』「銃の指紋、線条痕・旋条痕(せんじょうこん)とは」より)

(↑右京も同様なことを話していた)

4.魔術など超常現象……これを言い出したら、推理ドラマにはならない

【謎2……事件を演出する存在。そして、その意図は?】
・「(銃が)向こうからやってきた」……代議士襲撃の犯人・原口雄(小林峻代)の言。玄関の前に、銃の入った紙袋が置かれていたと云う
・笠松が従来と違ったハードなジャンルを短期間で書き上げた。綿密な取材や資料が必要だというのに、編集者によると笠松一人でデータなどを揃えたという。〔その資料の中に黒岩教授がかかわった論文が含まれていた〕
・ファンレターや感想メールなども編集者を通さず笠松がチェックした。〔笠松が銃に魅了されそうな原口の存在を知ることができた〕
……『魔銃録』を読んで自分にも特別な力が欲しいと願った原口に、小説と同じ拳銃を渡すことができたのは誰なのか?(笠松が代議士襲撃に係わっているのは間違いないが、協力者(首謀者)は誰なのか?)


笠松銃撃で、至近距離から1発しか撃たなかったことについての黒岩教授と研究員・久保塚雅美(前田亜季)の見解
銃に不慣れなものの犯行
・至近距離から撃つのは、離れたところから殺傷できるという銃の優位性を放棄することになる。接近して殺害するのならナイフなどでもよいし、接近することによって銃を奪われる危険性も生じる。
・この銃は、撃つ度に《撃鉄を上げ引き金を引く》という動作が必要で、熟練していないと連射は難しい。
  ……《至近距離でないと外してしまう》《一発で仕留めたのは、“射撃に慣れている”のではなく、銃の短所によるもの》

アメリカにおける銃所持の理屈
「“銃は手にするすべての者の力を均衡に保つ”、だから、アメリカでは護身のために女性が銃を所持するのは当たり前」(黒岩教授)
「アメリカで警官にそう言われた。“ホールドアップ”の経験があり、触るのも嫌なほど銃が嫌い」(雅美)

「そういう目に遭ったから、銃犯罪の研究を?」という冠城の問いに
「ノーペイン、ノーゲイン(痛みなくして、得るものなし)」(雅美)
「銃器の所持を厳しく規制している日本では、銃を持たない者は持つ者に対し、圧倒的に不利になってしまう。これは不平等だと言わざるを得ない」(黒岩)
「力のない者が、暴力によって踏みにじられるようなことがあってはいけない」(黒岩)

「人を平等にするのは、銃ではなく法だと、僕は思いますがねえ」
「立派な信念だとは思います……が、法が守ってくれない時もあるでしょう」(黒岩)


〔代議士襲撃の銃と同タイプの銃を所持していた豊田充(川合智己)が確保された。豊田が所持していた銃の線条痕を鑑定したが、まったく違っていた〕

「《同一の線条痕を持つ拳銃が別に存在する》ということになる。……杉下さんの言ったとおりです。“あり得ないものを除外して最後に残ったものが、どんなに信じ難くとも真実である”ということになりますから」(黒岩)
 ……この黒岩の言葉を右京も否定せず、
「問題は、《あり得ないモノとは何なのか?》、《信じがたい真実とは何なのか?》…ですね」意味深な言葉を投げかける。

(特命係の部屋での二人の会話では、同一銃の存在の線を有力視していたが、「“同じ指紋を持つ人の確率は一兆分の1”とも言われていますからねえ」と懐疑的な言葉)

 この《あり得ないモノ》、《信じがたい真実》の区別が私にはつかない。
 推理の過程なので、《あり得ないモノ》、《信じがたい真実》を区別する判断も推定である。今回の場合、《同じ線条痕の銃が存在する》《科警研に厳重に保管されている銃を持ち出す》のどちらが《あり得ないモノ》で、どちらが《信じがたい真実》なのか、判定し難い。
 私は前者の方が難易度が高いと思うのだが、黒岩教授は後者の方が“あり得ない”と判断し、《同じ線条痕の銃が存在する》を真実という結論を出した……


 そして、ここで唐突に…本当に唐突に、銃をチェックし始めた冠城がガンオイルの匂いに気づく。
 黒岩も考え込む。冠城がガンオイルの匂いに気づいたことに懸念を感じたのか、それとも…



 容疑者は、黒岩教授と研究員・久保塚雅美(前田亜季)のふたり……笠松が参考にしたと思われるデータ・資料・論文が黒岩教授たちが関連しており、問題の銃も科警研で教授が保管している(二人が結託している可能性もないことはないが、ドラマ『相棒』としては考えにくい)


 そして、その夜、黒岩教授が屋上から転落死
 教授の所持品から、作家の笠松や『魔銃録』とのつながりを示すものが発見され、教授が代議士銃撃の首謀者で『魔銃録』を笠松に書かせ、何らかのトラブルが発生し、銃を持ち出して笠松を射殺した(“魔獣騒ぎ”を起こしたのは、世間に銃の恐ろしさについて警鐘を鳴らしたかった)……と考えれば、線条痕などのつじつまが合う。
 伊丹は、《捜査の手が迫っていることを感じた黒岩が覚悟の自殺》と都合の良い結論を出した(笑)



真相は、《力を欲するものが銃を手にした時、犯罪(銃で殺傷する)に走るのか、踏みとどまるのか》という実験の為の雅美の犯行だった。

 自首を勧める笠松を、実験の継続したい雅美が射殺した。
 銃を分解し、銃身だけを持ち出した。
 銃身だけにしても、金属探知機には引っかかると思うが、どうなのだろう?

 さらに、雅美の犯行に気づき雅美を正そうとした黒岩教授を屋上から突き落としたのだった。

 それにしても、“銃は手にするすべての者の力を均衡に保つ”(非力な女性でも屈強な男性に伍することができる)が持論の黒岩教授が、非力と思われる雅美に屋上から突き落とされてしまうとは!

 
(右京たちが線条痕の事情を聴くために最初に訪れた時の雅美の言葉)
「かなりの数の銃が流通していると思われる日本だが、銃器が犯罪に利用される例は稀である。
それは何故なのか?(銃の使用を踏みとどまらせる要素・境界は何なのか?)」



 黒岩教授の死に動揺しよろめく(ように見えた)雅美の手を掴んで支えた冠城が、最初に会った時に雅美からガンオイルの匂いがしたのを思い出して、雅美の犯行の確信を持つ。そして、冠城と右京が、雅美を追及。
 ここまで秀逸なストーリーだと思ったが、雅美の主張や思考などが全然ダメだった。

「笠松殺害に魔銃の銃身を使ったのは、同一の線条痕を残し捜査をかく乱するため、そしてもう一つ…魔銃と呼ばれる拳銃の存在を世間に強く知らしめるためでしょう」(右京)

 この小細工によって、銃撃事件と黒岩教授が結びつくことになってしまった。

 さらに、雅美が狂気に至るきっかけも不合理。
「バッグを奪った少年が逃げた後、涙が止まらなかった。助かったからじゃない…悔しかったから。暴力に只、屈服する自分が情けなかったから」
「銃を目の前にしたら、誰だってそうなる」(冠城)
「(アメリカの)警察も友達もそうは言わなかった。“日本は平和ボケしている”って(言われた)。
 人生で一度も経験したことのない屈辱だった。
 突発的で理不尽な暴力は誰にとっても無関係じゃない。……その現実にしっかり向き合うべきなんです」

「そんなことのために、キミを信じていた黒岩さんを殺したのか?笠松さんを撃ったのか?」(冠城)
「言ったはずです。“ノーペイン、ノーゲイン”だって」

「いいえ、あなたのしたことは、力のない者の弱みに付け込み、犯罪へと誘(いざな)う卑劣な行為です。
 そんなことをしたところで、あなたの受けた屈辱は消えるはずはない。
 あなたのしたことは、思いあがった独りよがりの愚かな行為……ええ、ただの“愚行”です!」



 “日本は平和ボケしている”って言われた屈辱が起因?!
 “突発的で理不尽な暴力は誰にとっても無関係じゃない”という現実にしっかり向き合わせるために、今回の事件を起こした?……今回の事件で《“突発的で理不尽な暴力は誰にとっても無関係じゃない”という現実にしっかり向き合わせる》ことができるのか、甚だ疑問である。
 まさに、右京の説教通りの独りよがりの愚かな行為、ただの愚行である。

 そもそも、雅美はアメリカの銃社会を肯定しているが、
 どこにでもいるごく普通の少年が、銃を突き付けて強盗を行うことを可能にする銃社会。
 このドラマでは触れていないが、繰り返し為される銃乱射事件も銃社会が招く悲劇である。

 それに、本当に「日本は平和ボケしている」とすべての警官や友達が言うのだろうか?
 夜間に一人で出歩くのが“不用意”だと戒めたのかもしれないが、アメリカ人は自国がそういう物騒な国というのを悲しまないといけないのではないだろうか?
 いや、そう考えている人も多いと思う。雅美が屈辱と感じるほど、“日本人は平和ボケ”と周囲の人すべてに言われたとドラマでは言っているが、アメリカ人を馬鹿にしていない?アメリカン人さん、どうなの?



【その他の感想】
・2度の不自然な前田亜季と冠城の手の絡み(ガンオイルの匂いががキーポイントとはいえ、あまりに不自然)
・特殊な銃なので、入手ルートを青木が特定できそう。アメリカ留学時代の射撃練習の画像を見つけるより、簡単そう。
・黒岩教授役の上杉祥三さんの言葉が非常に明瞭!


第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話第9話第10話第11話(元日SP)第12話第13話第14話第15話第16話第17話

【ストーリー】番組サイトより
殺人の凶器は小説に描かれた“魔銃”!?
特命係が物語になぞらえた不可解な事件に挑む!


 『魔銃録』という人気小説の作者が銃殺される事件が発生。凶器は、数か月前、収賄疑惑を掛けられた代議士襲撃事件で使われた古い銃と思われたが、問題の銃はすでに警察が押収し、厳重に保管されていたため、ネットでは「魔銃が現れた」と騒がれていた。
 銃を「野蛮で旧式な武器」と嫌う右京(水谷豊)は、亘(反町隆史)と共に独自の捜査を開始。線条痕の再鑑定をしている警察庁の付属機関・科学警察研究所を訪れる。主任研究官である黒岩(上杉祥三)から事情を聞くと、問題の銃が持ち出された可能性も、鑑定が間違っている可能性もないと断言。犯罪の要因を研究している雅美(前田亜季)も、黒岩の鑑定を支持する。
 いっぽう捜査一課は、小説の熱狂的なファンや反感を抱くアンチ、さらに暴力団の関与も視野に捜査を進めていた。しかし、犯人も凶器も見つからず、ネットでは「魔銃は増殖する」などという噂が、まことしやかに囁かれていた。
 そして、捜査の背後では、“魔銃”を持つ者が、さらなる犯罪に動き出そうとしていた。

死を招く凶器“増殖する魔銃”は実在するのか!?
熱狂的な読者を持つ人気作家が殺害された理由は?
銃という“野蛮な武器”が驚がくの事件を呼び寄せる!


ゲスト:前田亜季 上杉祥三

脚本:杉山嘉一
監督:田村孝蔵
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