英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

羽生名人、防衛(第73期将棋名人戦、通算9期)

2015-05-31 11:37:32 | 将棋
「2局目以降はずっと苦しい展開というか、作戦的なところから押されている状況が続いた。かなり厳しいんじゃないかなという気持ちを持ちながら指していた」
(朝日新聞デジタル、「羽生、名人防衛 将棋名人戦第5局2日目」より)
 この言葉通り、苦しい戦いが続いた。
 私も、手が空いた時に中継を覗いて、羽生名人が良くなる……と言うより、勝負に持ち込める指し手はないかと思案を巡らしたが、私ごときに局面打開の妙手を捻り出せるはずがなく、重苦しい気持ちが続いた。

 特に、第4局は「歩損した上、棒銀が後退せざるを得ないない」「頼みの綱の馬も1一の隅に封じ込められている状況」など、“完封負け”の雰囲気が漂っていた。
 第5局も、一方的に攻め倒されそうな状況が続いた。2日目、午後5時3分、△2七銀!……所謂“羽生ゾーン”の勝負手が放たれ、後に▲2五桂△3九飛と入玉と先手玉攻略の足掛かりができた段階で、一筋の光明が差した。(この飛車は、後手玉の入玉の代償となり盤上から消えることとなったが、大いに貢献)
 その後、入玉を確定させた羽生名人が、先手玉を寄せて勝利し、名人位防衛を決めた。
 巷では、持将棋に甘んじず、先手玉を寄せに行ったことを称賛されていたが、相入玉となった場合、後手の駒数が足りなくなることが想定される。羽生名人が先手玉を寄せようとしたのは、当然の選択だったように思える。
 なぜなら、先手が入玉を実現しようとする場合、後手陣の右翼の飛車銀桂香が健在で、真正面から突破するのは難しく、龍や馬で下段から後手の駒を掃討する方が有効で、後手も防ぎにくい。「先手の入玉を許す」=「後手陣の右翼の飛車銀などが取られる」駒数が足りなくなるのである。

 上記で「入玉を確定させた羽生名人が、先手玉を寄せて勝利」と簡単に書いたが、実際は非常に難解で、3六に玉がたどり着き、入玉が見えてからも、入玉確定させるのもまだまだ大変で、玉が一段目に到達しても、▲5九龍の王手に△4九金と合駒を龍に当てて打ち、▲5八龍と追いやってから△3九金と寄せるなど、苦心の指し手が必要だった。


 この第5局についての羽生名人の感想が光っていた。
――七番勝負の5局の中で印象に残る将棋は?……という問いに対し
「今日の将棋は一番印象に残っている。入玉模様になってからごちゃごちゃと。こっちが入玉して、相手が来るのを止めて。駒数がどうなるのかという意味で。意外と手数が短くてびっくりした。自分としては200手ぐらい指したのではないかと。非常に考えがいのある面白い将棋でした」

 ………“非常に考えがいのある面白い将棋”だそうだ。


 中継サイト・棋譜解説欄の152手目の行方八段の
「途中から何故か相手は金1枚の持ち駒だと思い込んでいたのですが、2枚あることに気づいて観念しました」
 について、“負け惜しみ”と非難する声も巷ではあったが、負けたことのいいわけではなく、最終盤の自分の指し手について、≪棋譜を汚してしまったのではないか≫という危惧の弁だったように思う。


 7番勝負を通じて、行方八段の序盤の将棋の組み立てが光った。戦いが始まった段階で既に、羽生名人が“苦しい”あるいは“思わしくない”ことが多く、羽生名人が動いてきたのを、最強の手段で迎え撃ち優位を築き上げた。羽生挑戦者を跳ね返した森内名人の強さを彷彿させた。
 しかし、リードを奪われた羽生名人も、そこから最強の追走を駆使し、行方八段を楽にさせなかった。

 時間と自身(体力、気力、思考力)の消耗で、終盤に逆転を許してしまった行方八段、
「二日間を戦う力が不足していた」
は、まさに今シリーズを言い表した言葉であった。


 「負けました」とはっきり投了の意を告げる行方八段は清々しかった。
 その言葉には、再起を誓うような力強さがあった。
 また、タイトル戦に登場して欲しい。
コメント (4)
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戦う!書店ガール 第7話

2015-05-27 14:30:15 | ドラマ・映画
原作もこうなのか?と思ってしまう……
1 やはり残念なトリオ
 野島の策略に嵌まってしまったことに気付き、「八方ふさがり」などと自省のないセリフを吐く麻美たち。
 そのトリオに対し、理子は自分のいたらなさを謝罪する。
 その後、麻美、日下、由香がそれぞれに思い悩むシーンを挿入、
 翌朝、皆の前で理子に謝罪、理子から返された異動届を破り捨てる。

 おそらく、それぞれの思い悩むシーンと、異動届を破り捨てるシーンを見せたかったのだろうが、
 普通の社会人なら、野島の策略に気付いた時点で理子に謝罪するだろうし、せめて、理子が頭を下げた時点で、トリオも謝罪し店に留まることをお願いするのが最低レベルの礼なのではないだろうか。


2 異動で済むレベルなのか?
 小幡自身が「一書店の売り上げアップのために、会社にとって大切なキャラクターを使用することは難しい」と述べていたが、まさにその通りで、版権問題でペガサス書房と一つ星出版の関係悪化や「出版社が一書店に肩入れした」と他の書店などからもクレームがつきそう。
 次回、大問題に発展するのかと思いきや、副編集長に過ぎない小幡の異動(左遷)でことが収まったようだが、上司(編集長)の指示を無視したうえ、会社に損害を与えたのだから、懲戒処分、下手をしたら、損害賠償や背任行為で訴えられてもおかしくないように思える(素人考えなので、方向違いかもしれません)。
 それに、理子が最初そういう問題の危惧をしただけで、漫画家のあがちやユニコーン堂の田代、また、他の書店員や、野島や社長の谷田部も問題視しないのは不思議である。
 ネットで評判になった時点で、ストップが入りそうなものだ。

 余談だが、番組サイトのストーリーで「社長の二郎」はないんじゃない?
 

 次回は「吉祥寺店の閉店」を取次に告げて、本を乳化させないようにするらしいが、これって、社長のすることじゃないよね。

【ストーリー】番組サイトより
 吉祥寺店の閉店をなんとか阻止しようと直談判する理子(稲森いずみ)に対し、社長の二郎(山中崇)は売上を20%アップさせたら閉店を撤回すると明言。あまりに厳しい条件に、三田(千葉雄大)や志保(濱田マリ)は不安な表情を見せるが、麻美(鈴木ちなみ)たちが理子の説得に応じて戻ってきたこともあり、書店員たちは目標達成に向け一丸となって動き出す。
 亜紀(渡辺麻友)は作戦会議を開こうと、麻美らを自宅に招待し、売り上げアップにつながる企画を考えることに。そこへ亜紀の恋人で編集者でもある小幡(大東駿介)もやって来るが、ひょんなことから二人の将来に対する考え方に温度差があることが発覚し、気まずい雰囲気になってしまう。
 一方の理子もまた、田代(田辺誠一)との距離を急速に縮めるが、ある晩、田代がキスを直前で思いとどまったことに、自分は恋愛対象として見られていないのではとショックを受ける。
 そんなある日、三田が吉祥寺店オリジナルのブックカバーをつけたらどうかと提案する。すると、それを聞いた漫画家のあがちなお(浅利陽介)が、連載中の人気漫画のスピンオフ漫画を描くと協力を申し出るが、それには版元である一ツ星出版に話を通す必要がある。
 あがちは、一書店の売り上げアップのために、会社にとって大切なキャラクターを使用することは難しいと話す小幡に「なんとかするのが担当の仕事」とプレッシャーをかけ、亜紀にも「小幡くんがきっとやってくれる」と伝えてしまう。実現すれば売上アップ間違いなしの企画だけに、亜紀はじめ、理子らも大喜び。しかし、小幡は編集長の植松(池田鉄洋)から「おまえがうまくやめさせろ」と命じられてしまう。
 しばらくして、あがちがブックカバーのラフ画を持って店にやって来るが、亜紀はサラリーマンである小幡の立場を考え、浮かない表情を見せていた。
 そこへ小幡が正式に許可が下りたと報告にやって来て、喜んだ一同は着々と準備を進める。やがて、あがち自身による告知も功を奏し、企画は大成功! 新聞や雑誌にも紹介され、一週間で売上24%アップという記録的な数字を叩き出す。
 しかしその頃、会社の方針に従わず、私情を優先した小幡は、コミック編集部から総務部への異動を告げられていた…。

原作:碧野圭『書店ガール』シリーズ(PHP文芸文庫)
脚本:渡辺千穂
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2015順位戦C級1組予想

2015-05-27 11:13:38 | 将棋
『週刊将棋』に順位戦予想が書かれていたので、触発されて……
(でも、C級1組だけ。C級1組を選んだ深い理由はありません)

記事によると、各記者が昇級候補を有力順に3位まで名を挙げ、1位5点、2位3点、3位2点としその総点で予想を出している。
 雨宮編集長 1位・中村太地 2位・高崎一生 3位・千葉幸生
 下村 記者 1位・中村太地 2位・千田翔太 3位・斎藤慎太郎
 荒井 記者 1位・千田翔太 2位・阿部健治郎 3位・中村太地
 渡部 記者 1位・中村太地 2位・千田翔太 3位・斎藤慎太郎
棋力だけでなく、現在の調子、順位戦の順位、対戦相手なども考慮して順位を付けている

総合予想……1位・中村太六段 17点、 2位・千田五段 11点、 3位・斎藤六段 4点



 至極、妥当な予想である。
 ただ、中村太六段は、ここ二年連続次点に甘んじている。一昨年は最終戦で菅井五段(当時)に敗れ共倒れ、昨年は最初に連敗して以後8連勝も届かなかった。
 なかなか実力通りいかないのが勝負の世界。10か月に亘る長丁場で調子の変動もあり、低迷期に強敵と当たってしまうこともある。対戦相手の抽選運もある。本当に大丈夫なのか?
 そこで、対戦相手の難易度を考えてみた。

まず、
 本命の中村太六段、千田五段を10点
 記者が候補に挙げた斎藤六段、高崎六段、阿部健五段、千葉六段、記事中に名が挙がった大石六段と佐々木勇五段を8点
 また、私の独断と偏見によって金井五段、真田七段、船江五段、横山五段、村田顕五段を7点、
 片上六段、阪口五段、宮田敦六段を6点とした。
千葉六段は雨宮編集長が「5期連続、ひと桁順位」を評価、同じように毎期上位成績を残す真田七段も7点を付けた(昨期7勝3敗・6番手、2期前7勝3敗・5番手、3期前8勝2敗・3番手(次点)、4期前7勝3敗・4番手、5期前6勝4敗・10番手、6期前6勝4敗・9番手、7期前6勝4敗・10番手、8期前7勝3敗・7番手)
 残りの棋士には5~3点を付けた


 6点以上の点数を付けた棋士それぞれに、今期の対戦棋士の総難易度点を算出してみた。
阪口 五段(今年度順位17位) 46点
斎藤 六段(今年度順位9位) 50点
阿部健五段(今年度順位7位) 52点
高崎 六段(今年度順位8位) 52点
中村太六段(今年度順位2位) 53点
佐々木五段(今年度順位18位) 53点
千葉 六段(今年度順位3位) 54点
真田 七段(今年度順位5位) 54点
片上 六段(今年度順位10位) 54点
大石 六段(今年度順位12位) 54点
金井 五段(今年度順位4位) 57点
船江 五段(今年度順位6位) 58点
千田 五段(今年度順位28位) 59点
宮田敦六段(今年度順位26位) 60点
横山 六段(今年度順位27位) 62点
村田顕五段(今年度順位29位) 63点

 新参加の横山六段、村田顕五段は、順位の低いうえにこの難易度………
 横山六段は、千田、村田、阿部、大石、中村、千葉、
 村田顕五段は、千田、横山、佐々木、阿部、大石、真田と当たっている。

 一昨年、不運だった阪口五段は、昨年も不運だった。斎藤、大石、菅井、佐々木勇、澤田、高崎と当たっている。菅井10点、澤田8点として昨年度の順位戦を計算すると、何と66点! 5勝5敗はなかなかの成績である(本人は不本意かも)。
 その埋め合わせだろうか、難易度6点以上の棋士は千葉(8点)、金井(7点)、片上(6点)だけの46点。ただ、順位が17位と低いので9勝1敗以上の成績が必要。

 もちろん、この点数は難易度、つまり、“勝つのに苦労する度合い”なので、当人が強ければ問題はない。
 また、同じ50点でも、「5点×10人」より、「難易度10点2人と難易度が低い8人」とでは、昇級を目指す棋士にとっては後者の方が大変であろう。


 本命の二人は
中村太六段は、難易度6点以上は金井、佐々木勇、横山だけの53点
千田五段は、横山、村田顕、阿部健、船江、宮田、金井の59点

 編集部3位の
斎藤六段は、高崎、真田、宮田敦、片上の50点

 中村太六段は、実力トップレベル、今期順位2位、難易度点53点と「易」の部類で、大本命と言ってよいだろう。
 千田五段は、実力は折り紙つきだが、順位も28位と低く、難易度も高いので今期は苦しいか?
 斎藤六段は、順位は9位で「上位」と言えないこともないが、競争相手が上に7人もいる状況は「下位」と言っても差し支えない。ただ、組み合わせ的に恵まれているので、9勝1敗、あるいは全勝も望めるので、2番手で推して良いだろう。 
 今期順位や難易度を考慮すると、千葉六段(3位・54点)、真田七段(5位・54点)、阿部健五段(7位・52点)、高崎六段(8位・52点)らも有力だが、3番手には阪口五段を挙げておきたい。

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戦う!書店ガール 第6話

2015-05-25 19:51:10 | ドラマ・映画
第4話で亜紀がイベントリーダを任されたことにより、独力では出来ることが限られることや、他の店員たちの努力や良さに気付くという成長エピソードを挟んで、第5話から新店長となった理子が会社の方針(店舗閉鎖)に立ち向うという新たなステージに立った!

【第5話の復習】
・店長会議初参加の理子だったが、出勤直前、父・達人が脳梗塞で倒れる
・その事情を理子は畠田に伝えるが、理子に先を越された嫉妬心から、きちんと連絡せず、無断欠席扱いとなってしまった
・白を切る畠田に対し、亜紀は「悪いことをしたら謝るのが当たり前のことだ」と訴える(説教する)
・理子は、亜紀の気持ちに感謝し、さらに、畠田を許す
・畠田、改心する
・吉祥寺店が閉店予定で、理子は自分の役目は残務整理ということを知らされる
・エリアマネージャーとなった野島の暗躍により、インタビューで理子が「書店員を軽視する」主旨の言葉が雑誌に載り、書店員の反感を買う
・田代に「ユニコーン堂に来ないか」と誘われる
(過去の感想はこちら、第1話感想第1話~第3話感想

さて、今回、
「君たちは、小学生か?」と言いたくなった。
 “君たち”というのは、麻美(鈴木ちなみ)と日下(伊野尾慧)と由香(木崎ゆりあ)の3人。
 いつも3人一緒で、発言内容もほとんど同主旨。言葉は悪いが“3把ひとからげ”の脇役なので仕方がないかもしれないが……… 
 雑誌に載った内容を鵜呑みにし、吉祥寺店閉店にショックを受けたとは言え、理子に強い不信感を持ち反発、3人そろって欠勤。亜紀の説得にも応じず、待ち合わせの場所にもやって来ず、その挙げ句、「異動願い」を出す。

 理性的判断は全くできず、感情の赴くまま行動するだけ
 長年とは言えないが、ずっと一緒に仕事をしていて、「理子と野島のどちらが信用できるか?」は自明の理であろう。
 3人同時に休んだら、残りの店員がどれだけ大変なのか、考えないのだろうか?(ドラマではそんなに大変そうでないばかりか、三田と亜紀は、雑誌の真相を調べに出版社に赴く余裕さえあった)
 亜紀に説得されても動かず、亜紀曰く、「理子さんの言葉を待っている」なんて、幼稚すぎる。

 大概、こういうドラマには、こういう捨てキャラがいるのだが、あまりにも稚拙な役の使い方。1~3話の理子との信頼関係は何だったのだろうか?
 頼りになるはずの志保(濱田マリ)も傍観者(見守る?だけ)だったし。

 少し、話が脇道にそれるが、「遠野由香」役の木崎ゆりあさんの扱いが可哀そう。
 「相関図」にも「キャスト・スタッフ」にも、載っていない。


 なぜかムカつく亜紀の叱咤激励(説教)
「理想を語れないリーダーには何の魅力も感じません!」
「諦めないで戦えばいいじゃないですか!」
 いいことを言っているように思えるのだが、、、
 台詞が悪いのか、言い回しが悪いのか……
 力説するのだが、くどい気がする。

 それにしても、今回の理子は、踏ん切りが悪かったな。
 ラストの「閉店期限と言われている7月までに、必ず今以上の売り上げを上げます。私が全責任を取る覚悟です」と啖呵を切るまでの、“溜め”かもしれないし、亜紀の説教を際立たせるためかもしれない。


 理子の啖呵の「売上アップ」や予告編の「閉店回避の秘策」が、「視聴率アップ」「打ち切り回避の秘策」に思えてしまう。
 第6話の視聴率が3.6%で、11回(10回の説もある)の予定が9回に短縮されるらしい。
 う~ん、脚本の質がさらに低下しそう。
 短縮(打ち切り)はドラマの質を下げることになるし、自ら「失敗」の烙印を押すことになると思う。
 原作(原作者)にも失礼だ。
 


【ストーリー】番組サイトより
 祥寺店が閉店すると知った理子(稲森いずみ)は、この先も全員が会社に残れるよう奔走するが、裏では経営陣と手を組んだ野島(木下ほうか)が人員削減に向けて密かに動き出していた。しかし、そうとは知らない麻美(鈴木ちなみ)や日下(伊野尾慧)たちは、インタビュー記事が原因ですっかり理子に失望。店内の雰囲気も悪くなる。
 そんな様子を見かねた亜紀(渡辺麻友)は、三田(千葉雄大)と一緒に記事を掲載した出版社へ。偶然その場に居合わせた漫画家のあがちなお(浅利陽介)の口利きで、掲載前に原稿の内容を確認したのが野島だと判明するが、話を聞いた理子は感謝するどころか、二人の行為を厳重注意する。
 そんな中、麻美たちは閉店の事実と、さらに理子がユニコーン堂から誘いを受けていると野島に聞かされ大ショック。「もう理子さんのことは信頼できない」「ひどすぎる」と理子を非難する。
 何を言っても信用してもらえない理子は、「時間をください」と答え、社長のもとに直談判へ出向く。ところが、社長からは店長として人員削減を進めるよう指示を受け、書店員たちを残してもらおうと考えていた理子はぼう然。
 そんな窮地に立たされた理子のことが心配で仕方ない三田は、夜のオフィスで一人落ち込む理子に、思わず好きだと告白。その気持ちがうれしい理子だったが、ふとデスクを見ると、そこには麻美たちの異動願が…!
 亜紀と三田は当分仕事を休むという麻美たちの元へ行き、説得を試みるが、麻美たちの心を動かすことはできない。一方の理子は、会社の理不尽な方針に悔しさがこみ上げ、密かに退職願を書き、一人涙していた。
 しかし、そんないつになく弱気な理子に業を煮やした亜紀は、「理想を語れないリーダーには何の魅力も感じません!」と厳しい言葉を浴びせつつも、「諦めないで戦えばいいじゃないですか!」と亜紀なりのやり方でその背中を押す。
 さらに、これまで娘の仕事にまったく興味がないと思っていた父・達人(井上順)が、自分の知らないところで娘を心配し、心から応援してくれていると知り、胸が熱くなる理子。
 翌朝、意を決した理子は、定例会議で「私にチャンスをください」と社長に直訴。期限までに必ず今以上の売り上げをあげると約束し、達成できなかった時は自分が全責任を負うと頭を下げるが…。

原作:碧野圭『書店ガール』シリーズ(PHP文芸文庫)
脚本:渡辺千穂
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土曜ワイド劇場「警視庁捜査一課長~ヒラから成り上がった最強の刑事!」第4作

2015-05-24 23:02:14 | ドラマ・映画

前作までは(と言っても、おそらく、前作からしか観ていないような気がする)
「ご都合主義」の傾向があったが、
登場人物の魅力ストーリーの奥行などが、それを補っていた。
しかし、今回は、すべてにおいて、相当ひどかった


Ⅰ 異常にかわいそ過ぎるヒロイン(目撃証言者)
 水嶋沙織は強盗事件の犯人を目撃してしまい、大岩に説得されて証言をしたが、そのことで、同伴していた官僚の色恋沙汰が世間に公になり、芋づる的にカラ出張や飲食代などの不正支出が発覚し、免職、自殺してしまった。
 口の軽いホステスを雇っていたことで、そのクラブの経営も傾き閉店。その責任を問われ、クラブのママに1500万円を要求され、サラ金から借金をすることになってしまった。
 さらに、離婚し、娘の親権は元夫が保持、娘とも離れ離れに。(強盗時の1か月前に離婚、親権で揉めていた)
 その強盗犯を目撃して証言しただけなのに、この転落ぶり。

 大岩も無責任すぎる。証言するよう説得したのに、官僚やホステスの顛末は知らないとは! 
 そもそも、強盗犯の片割れが夫であり、それを庇ったのだから、沙織は親権を主張すればよかったのに。元夫は、再婚までして幸せそうだし


 ラストも悲惨。娘が実の母への義理立て「レーズンが好き」を告白し、「レーズン抜きのカレーを食べよう」という現母娘の会話………≪娘の、実の母との決別≫を突きつけられるとは。


Ⅱ 偶然が重なり過ぎ
 (ある程度、偶然が重ならないとドラマにはならないが)
・夫の強盗逃走と偶然、鉢合わせる。
・自殺した官僚の妻・美樹(大河内奈々子)が、盗品を売りさばいた闇ブローカーと再婚
・都内全域対象に青いカーデガンを根性で探し、燃やされる直前に見つけ出す
 “見つけの山さん”で解決……しかも、“見つけの山さん”はでまかせ
 誘拐された高科を探し出せないのに……


Ⅲ 不可解なヒロインの行動
 まず、このドラマの最大の疑問だが、彼女、死体遺棄したよね。証拠隠滅だよね。なぜ、お咎めなし?
 それに、ドラマの最初の方で、元夫が誘拐された時も、冷酷に知らぬ顔で歩き去っていたが、強盗の片割れが元夫を探しているのを知って、元夫に知らせており、完全に決別していなかったと思われる。
 だったら、あのシーン、少しは慌てるモノなのではないだろうか?


V ダメダメな捜査一課課長・大岩
 主人公の警視庁捜査一課長・大岩は、正義感が強く熱い心と的確な判断力で捜査本部を指揮する。……というが、今回は、全くパッとしない。
・そもそも、強盗犯の片割れは逮捕できずに放置。関係者のその後も関知せず。
・沙織の死体遺棄については“不問”と言うより、気づかず!
・井川(出所した強盗犯)と誘拐殺害された高科の関係は掴めていなかったが、もっと早く解明し、井川の身柄を確保しておけば、官僚の元妻が殺人を犯すこともなかったのに。井川と三村(元闇ブローカー)の密会、その後の干物小屋の火災、沙織と井川の密談など、考察材料は多かったのに……
 「正しいこと(証言)をしたのに不幸になってはいけない」という大岩の信念だが、その努力を怠ったのに、あまり悪びれていない。今回の無能ぶりでは、ラストシーンでヒロインに再び証言を要請しても、説得力に乏しい。

Ⅵ 井川の行動も不可解
・通勤時で目撃される危険性大なのに、拉致誘拐は無謀過ぎ(しかし、大岩、まったく突きとめられず)
・リスクの高い、拉致や殺害より、高科を恐喝した方が良いのでは?


Ⅶ その他の感想(突っ込み)
・平井真琴(斉藤由貴)は現場資料班主任だったはずだが、普通の刑事のように捜査していた。
・自殺しようとした沙織と美樹の心を救った美容師・宮城夏子(はるな愛)だが、演技が………。しかも、無理のあるエピソード。
・なぜ、美樹は沙織に「井川に会う」とメールしたのか?

              ………かなり、残念なドラマだった。

【ストーリー】番組サイトより
 大岩純一(内藤剛志)は、都内で発生した凶悪事件すべての捜査本部の指揮を執る、警視庁捜査一課長。最愛の娘を病気で亡くし、妻の小春(床嶋佳子)と2人暮らしをしている。 
 ある朝、会社員の高科幸一(草薙仁)が自宅マンションを出た直後に、何者かに車で連れ去られる事件が発生。通勤時間帯で人通りの多い中、高科を見送る妻の彩香(西尾まり)と娘の果歩(甲斐恵美利)の目前で行われた、あまりにも大胆な犯行だった。大岩らは緊急配備を敷いて逃走車を追跡する一方、事件発生直後に現場から立ち去った不審な女性・水嶋沙織(星野真里)を追って事情聴取する。だが沙織は、事件との関連を真っ向から否定した。

 翌朝、高科は西多摩の山中で遺体となって発見された。高科には妻の彩香を受取人とした1億円の生命保険がかけられており、連れ去られる3日前に契約が結ばれていた。しかもその契約を担当した保険会社の社員は、連れ去り事件の現場で目撃されていた水嶋沙織だった。沙織の名を捜査員から聞いた大岩は、5年前に捜査を担当した宝石強盗事件を思い出す。水嶋沙織は、宝石強盗犯の逮捕につながる重要な証言をした人物だった。
 当時ホステスだった沙織が男と2人で都心のホテル街を歩いていたところ、宝石店から出てきた2人組の覆面強盗と遭遇。その後、警察から事情聴取を受けた沙織は「1人で歩いていた」と嘘をつくが、現場の状況から沙織は男と2人で歩いており、その男が犯人の顔を見ていた可能性があることが判明。当時管理官だった大岩の必死の説得を受け、沙織は財務官僚の結城稔(安藤彰則)と一緒にいたことを証言した。その後、事情聴取を受けた結城が、目撃した犯人の人相を証言し、逃走犯のひとりである井川和行(有薗芳記)が逮捕された。井川は、主犯はインターネットで知り合った名も知らぬ男であり、自分はその男に頼まれてやっただけだと主張。懲役5年の有罪判決を受け、先日出所していた。

 そんな中、高科が殺害される直前に、とある商事会社の社長室に電話をかけていたことがわかった。そのオフィスを訪ねた大岩は、社長・三村洋司(相島一之)の秘書・佐々木美樹(大河内奈々子)を見て驚く。美樹は5年前に証言した、財務官僚・結城の妻だった。美樹によると、警察に証言したことで沙織との不倫関係を疑われた結城は、財務省を辞め、後に自殺したという。沙織も美樹も5年前の宝石強盗事件の関係者だとわかり、高科誘拐殺害事件と5年前の宝石強盗がつながっていると直感した大岩は、井川を調べるよう、現場資料班主任・平井真琴(斉藤由貴)らに指示。だがその矢先に、またしても新たな事件が起きて…!?

脚本:石原武龍 小澤俊介
監督:濱 龍也
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2015NHK杯体操 女子

2015-05-23 00:52:25 | スポーツ
 女子の体操は、男子の6種目に対し4種目と少なく1種目の比重が大きく、また、年齢層も低いので、「ハラハラドキドキ度」が高い
 当然、競技者が異性……可憐な少女という要因もある。
 特に平均台は、落下(大減点)の危険が高く、怖い種目だ。男子の鉄棒における離れ技も落下の危険も高いが、どちらかというと、平均台の落下はあん馬のそれと質が似ている。わずかなバランスの乱れが落下に繋がるのだが、落ちる時は≪ああぁ…≫と、どうしようもない感じで落ちていく。
 鉄棒の離れ技も、鉄棒をつかもうとした手が虚しく空を切ることもあるが、少しのタイミングのずれなら体の開き具合で修正が利くようだし、多少、力を加減して鉄棒から近い軌道を描くという安全策も取れる。
 ところが、あん馬や平均台は≪安全に≫とか≪確実に≫と神経を使う方が却って不安定になるように思える。まあ、とにかく、観ているだけでも平均台はドキドキする。落下は1点の減点であるが、0.6ぐらいにしてくれないモノか……。4種目と少ない女子は、「平均台の落下→表彰台からの滑落」の悲劇が繰り返されてきた。落下せず、完璧にこなすことが、世界一の条件ではあるのだが、あまりにも、プレッシャーが大きい……

 取り留めのない話になってしまい、全然本題に入れない。もう、思いつくまま、書いてしまおう。まとまりのない文章になると思いますが、ご了承ください。

 思いつくままと言うと、多くの選手やシーンが去来するが、まず、笹田夏実
 彼女を語るには、まず、彼女の母、笹田(旧姓・加納弥生について語らねばならない
 私の記憶に残る最初の日本女子の名選手と言えば、彼女だ。全日本では1978年、80年、81年、NHK杯では79年~82年までの4連覇と、輝かしい実績を持つ。他の選手を圧倒する強さだったと思う。
 しかし、五輪出場はない。……彼女の絶頂期であったモスクワ五輪はボイコットにより出場できなかった。その悲運のエースを母に持つのが笹田だ。
 そして、思い出すのが、3年前のNHK杯体操。日本体操界の2大大会と言えば、全日本体操選手権とNHK杯体操である。今年で69回となった(NHK杯は54回)全日本が、格から言えば上だ(“全日本”と“NHK杯”だから当然)が、NHK杯の方が開催が後なので、五輪や世界選手権の代表の最終選考会となることが多く、勝負の緊迫感はこちらの方が高い。特に、五輪代表が掛かる年の第1班(上位6名)は、将棋のA級順位戦の最終日のような張りつめた雰囲気である。
 この3年前のNHK杯は、ロンドン五輪の最終選考会。笹田は2日目の第2種目を終え(この年は2日間で「4種目×2」に全日本の成績を加算して代表を決めた)、上位につけていた。代表権は5位までだが、確か2位か3位だったと思う。
 しかし、3種目目の平均台で大きくバランスを崩し、落下はしなかったものの台に手をついてしまい、大減点。結局、この失敗がたたり、代表権を逃した。顔を歪めて涙を流す笹田の姿は脳裏に焼き付いている。
 ロンドン五輪の代表は、田中理恵、美濃部ゆう、寺本明日香、鶴見虹子、新竹優子。
 田中はこの時は総得点で2位に7.5点の大差をつけて悠々代表を決めたが、この田中にしても、北京五輪代表をこの時の笹田と同じパターンで逃していた。また、鶴見は前年まで、NHK杯では3連覇、全日本では6連覇していた絶対的エースであったが、この年の全日本は体調不良で6位で、そこから巻き返しての代表権獲得だった。
 また、5位の新竹は2種目目の段違い平行棒で足がバーに当たり0.5の減点をされ、6位に後退してからの逆転代表であった。
 その後の笹田選手は素晴らしく、全日本は2013年、14年と連覇、NHK杯も2014年に優勝している。
 今年のNHK杯は、笹田らしい丁寧な演技を見せ2位に入り、代表権を獲得した。若干、ボリュームのあり過ぎる体型なのが気になったが、右手首の故障を考えるとまずまずの演技だった。

 鶴見虹子。上記のように長年にわたる絶対的エースである。北京、ロンドン五輪に出場(北京では団体5位の原動力、個人総合決勝に進出)、2009年の世界選手権では個人総合銅メダル、段違い平行棒で銀メダルを獲得している。
 そんな彼女もここ2年は、一昨年に右足首を故障、昨春には左アキレス腱を断裂するなど故障に悩まされ、大会は3年ぶり出場。全日本では優勝を目指したものの、得意の平均台で2度の落下、総合5位に終わっている。
 このNHK杯では1種目目の跳馬で着地が決まらず6位に後退したが、得意の段違い平行棒で高得点を上げ、笹田と並んで3位に浮上していた。
 しかし、3種目目の平均台は本来得意種目だが、全日本での落下の心理的影響があるのか、動きが固くぐらつきが目立つ。それでも何とかこらえて落下せずに最後の収束技まで持ってきた。しかし、着地で重心が後ろに掛かり、足を送って堪えようとしたが、3、4歩後ずさった末、転倒、12.550に終わり、6位に後退。
 全日本の時にも感じたが、鶴見は落下すると本当にがっかりした表情になる。演技終了後も次の演技が始まるまでの間も泣き出しそうな表情だった。失敗を引っ張ってしまう弱さを感じてしまう。
 その鶴見に、さらに不運が……。床運動のウォーミングアップ中、右アキレス腱を断裂、無念の危険となってしまった。「平均台で踏ん張った際、痛めたのではないか」というコーチのコメントもあったようだ。できれば、もう一度、彼女のち密な演技を見たいが……。

 寺本明日香
 中学時代からの抜きつ抜かれつの笹田の良きライバル。
 ロンドン五輪選考会でも、隣同士で腰掛け、声を掛け合っていたが、寺本だけが五輪に。「団体総合ではただ1人全4種目に出場した。しかも、14点台を3種目でたたき出し、北京に続く団体8位入賞に貢献した。さらに個人総合でも11位に入る活躍」(byウィキペディア)により、日本のエースに。勢いのある技と、大きなミスをしない安定感がある。(若干、技の捌きが雑)
 春先に手の指を骨折したが、全日本を初制覇。この日も跳馬で得点を伸ばし、2位以下に1点以上の差をつけた時は優勝確実かと思えたが、段違い平行棒は意外と得点が伸びず、平均台で大きくぐらつき、台に手をついてしまう過失(0.5点の減点)や、連続技を省いたり、収束技で3回捻りが2回捻りに留まったりと、彼女にしては珍しくミスが多く13.450と点が伸びず、3種目終了時点で杉原に0.325の逆転を許してしまう。
 逆転を掛けた床では、最後の着地で堪えきれずしりもちをつき場外に飛び出すという大失敗を犯し12.950、3位に落ちた。

 優勝は杉原愛子
 全日本は3位で、この日は伸び伸びした演技で得点を伸ばし、優勝。ミスが少なく4種目すべて14点台の安定した演技だった。床運動のタンブリングの高さも魅力昨年12位、高校1年生の伸び盛りで、今後が楽しみ。

 4位は湯元さくら。全日本は6位で、この日(NHK杯)は15.200の平均台が素晴らしかった。表現力が豊か。昨年13位からの躍進。

 5位は内山由綺。全日本は2位で、寺本と優勝を争うと目されていた。
 得意の床の落下が痛く、平均台にも影響したのか落下。5位にとどまった。
 試合前のインタビューで「2種目目の段違い平行棒でトップに立って、平均台で持ちこたえれば」と答えていたが、優勝を意識し過ぎた感もある。
 ただ、平均台で落下した後、大きく息を吐いたあとグッと口を結び、気を取り直した表情は素晴らしかった。



 今回のNHK杯の順位決定規定は、全日本の得点を持ち点として加算した総得点で順位を決定していた。当日の得点だけで決定した年もあり、順位決定方式が一定しないのはおかしい。

 もう一人の代表は、種目別選手権で決定するとのこと。
   
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【歳時メモ】 ヒメジョオン、オオキンケイギクも、ぼちぼちと

2015-05-22 15:11:23 | 歳時メモ
「歳時メモ」と勝手に銘打っていますが、このカテゴリーの意味は、植物の様子や気候などをメモして、翌年以降に現記事を振り返ると、季節の進み具合が分かりやすいかなと思い、記事にしています。

 道端や堤防などに、にょきにょきと伸びて、咲き始めたのはヒメジョオン(姫女苑)です。
 ハルジオンとよく似ているので、本当はじっくりと観察して検証したいのですが、そこまでする気力が欠如しています(多忙とか心理的スランプとかではなく、ただ怠慢なだけです)。
 これまでも何度も書いていますが、ハルジオンの方が花弁が細かく多いので、花の感じはモコモコっとしています。一番の違いは、茎が空洞かどうかですが(ハルジオンは空洞)、個人的興味で茎を切るのはかわいそうです。
 で、“パッと見”ですが、茎が詰まっている分、ヒメジョオンの方が直立感が強いです。平均して、茎も太く丈も高いです。

 5日ほど前からオオキンケイギクも咲き始めました。
 フランスギクと群生の仕方や繁殖場所も似ていて、白から黄色にバトンタッチするかのようです。
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2015NHK杯体操 男子

2015-05-20 17:31:49 | スポーツ
内村航平、盤石の優勝であった。
 床運動 15.600 種目別2位 (1位・白井健三 16.150)
 あん馬 15.200 種目別4位 (1位・亀山耕平 15.550)
 つり輪 15.150 種目別4位 (1位・山室光史 15.500)
 跳馬  15.550 種目別2位 (1位・小倉佳祐 15.800)
 平行棒 15.300 種目別6位 (1位・神本雄也 15.900)
 鉄棒  16.100 種目別1位 (2位・田中佑典 15.800)
  合計 92.900  持ち点91.350  総合計 184.250
 (持ち点は全日本体操選手権(4月下旬開催)の2日間の得点の半分)

 種目別で見ると大したことがない良いように思えるが(以前はどの種目も1位か2位であったように思う)、床の白井、あん馬の亀山、跳馬の小倉、は各種目のスペシャリストと言ってよい。
 特に、床の白井と跳馬の小倉は、種目別の世界一を争うレベル。今回、小倉が成功した跳躍技は、きちんと成功したのは小倉が最初ではないかと言われている。(国際大会で成功させると、選手名が技の名前になるらしい)
 また、あん馬の亀山にしても、世界チャンピオン経験者であるし、山室、田中はオールラウンダーではあるが、それぞれ、つり輪、平行棒を大得意にしている。
 つまり、日本男子のレベルが高くなっている中、そんなスペシャリスト相手に、内村は全種目でひけを取らない高レベルを体操を展開しているのである。

 内村の平行棒は種目別順位は6位と低いが、一つ一つの技の完成度や捌き具合はピカ一で、技の切れや美しさは、見ていて惚れ惚れする。内村の演技を見た後だと、他の選手のE得点(技の完成度)は甘すぎるのではないかと思ってしまうほどである。
 跳馬は、今回、実戦で初めて大技のリー・シャオペンをほぼ完ぺきに決め、跳馬も得意な白井(3位・15.400)をも上回った。
 鉄棒は、カッシーナ、コールマンなどの離れ技が体線の乱れもなく、また、その円運動の渋滞もなく、その美しさは他選手を寄せ付けない。着地も最近にはないピタリ度であった。
 唯一、技の切れや美しさで対抗できるとしたら、田中佑典の平行棒と鉄棒であろう。

★個人総合成績(床、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒、合計点、持ち点、総合計点の順)
1 内村 航平  15.600 15.200 15.150 15.550 15.300 16.100   92.900  91.350  184.250
2 田中 佑典  15.050 14.750 15.100 14.800 15.550 15.800   91.050  90.275  181.325
3 加藤 凌平  15.400 14.500 14.550 15.350 15.300 14.750   89.850  90.000  179.850
4 早坂 尚人  15.550 14.550 14.200 14.850 15.150 13.900   88.200  89.000  177.200
5 野々村笙吾  14.600 14.350 15.300 14.600 14.800 14.750   88.400  88.675  177.075
6 田中 和仁  15.100 14.100 14.700 13.950 15.600 15.100   88.550  88.450  177.000
7 長谷川智将  14.700 15.250 14.350 14.150 14.900 15.100   88.450  88.250  176.700
8 萱  和磨  14.550 15.250 14.250 14.500 14.900 14.700   88.150  88.500  176.650
9 山室 光史  14.300 13.100 15.500 14.650 15.200 14.650   87.400  88.500  175.900
10神本 雄也  14.150 14.100 15.000 14.650 15.900 13.850   87.650  88.175  175.825

 2位、3位の田中選手、加藤選手も個人総合でメダルが狙える実力者で、4位以下の選手と力の差を感じる。(特に田中選手は、4月下旬の全日本選手権より得点を伸ばしてきている)
 内村選手は、その彼らの追随をも許さぬ内容・得点であった。


 その全日本であるが、1日休みを入れるとは言え、3日間で6種目を2度行うのは、如何なものであろうか?
 優勝インタビューで、内村選手も「疲れが半端じゃない」と漏らし、“難易度を落として6種目をこなすのがやっとだった”という旨の感想を述べていた。
 「予選で選手数を絞る必要がある」、「過酷な状況でも、力を発揮する」、「演技数が多ければ、より実力通りの結果が出る」などの考えもあるとは思うが、過酷過ぎるし、怪我や故障の可能性も高くなるので、全日本のこの競技日程は再考の必要があると思う。
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王位戦リーグ最終局 ~つまらない規定~

2015-05-19 17:06:20 | 将棋
昨日(18日)、王位戦リーグの最終局が行われた。
【白組】
佐藤康光九段(4勝1敗)○-●千田翔太五段(2勝3敗)
菅井竜也六段(4勝1敗)○-●横山泰明六段(2勝3敗)
伊奈祐介六段(0勝5敗)●-○松尾歩七段(3勝2敗)
 この結果、佐藤九段と菅井六段が4勝1敗で並び、両者のプレーオフへともつれ込んだ。他の4名は陥落。
 (今期より、リーグの順位決定規定(優勝、残留など)が変わっている。詳しくは後述)

【紅組】
木村一基八段(3勝2敗)○-●広瀬章人八段(3勝2敗)
山崎隆之八段(3勝2敗)○-●阿部光瑠五段(1勝4敗)
田村康介七段(2勝3敗)●-○佐々木勇気五段(3勝2敗)
 広瀬八段、木村八段、山崎八段、佐々木五段の4人が3勝2敗で並んだが、規定により広瀬八段が紅組優勝、挑戦者決定戦に進出、残留は山崎八段となった。(詳しい状況はこちら

 パッと思ったことは、「紅組の3勝2敗の広瀬八段が決定戦進出が自動的(強制的)に決まったのに、白組の4勝1敗のふたりがプレーオフを勝ち抜かなければならないの?」であった。しかも、木村八段(前年度挑戦者)は広瀬八段に勝ったというのに、優勝やプレーオフどころか、陥落してしまった。

 広瀬八段には申し訳ないが、
「勝ち抜いた」と言うよりは、「抽選勝ち」のイメージしかない。

 今期より改正された「各組の優勝、残留について」であるが、
「リーグ戦の優勝者はリーグ戦勝敗を優先とし、同星で並んだ場合、
(1)4勝1敗で並んだ場合、該当者が2名・3名に関わらずプレーオフを行う。<3名の場合は、前期成績(前期リーグ勝星>前期予選勝星)でシード者を決め、1回戦は残留決定戦を兼ねる)。
(2)3勝2敗で並んだ場合、該当する直接対決の成績>前期成績(前期リーグ勝星>前期予選勝星)で優勝者・残留者を決める。それでも差のつかなかった場合には決定戦を行う」

 「4勝1敗で並んだ場合、該当者が2名・3名に関わらずプレーオフを行う」…三者同率の時の下位の頭ハネがない点は評価できる。
 ところが、3勝2敗で並んだ場合が、ややこしい。しかも、ややこしいだけでなく、強引に優勝決定させてしまうという暴挙により、非常に納得のできないものとなってしまった。
 先にも述べたが、そもそも、3勝2敗というぬきんでた成績でないにも拘らず、プレーオフを行わないことが、非常におかしい。
 そのため、他の同率者との直接対戦成績や昨年度の成績などを照らし合わせて1名を選出するのであるが、この微妙な判定基準により、優勝になるか、リーグ陥落となるかが、他者の成績次第となってしまう。
 木村八段を例にとると、広瀬八段に勝った場合、
①.○山崎-阿部●、○田村-佐々木●の場合……3勝2敗の4者(木村、広瀬、山崎、田村)の直対関係から、木村八段が優勝、(広瀬八段残留)
②.○山崎-阿部●、●田村-佐々木○の場合……3勝2敗の4者(木村、広瀬、山崎、佐々木)の直対関係から、木村八段は陥落(広瀬八段優勝、山崎八段残留)
③.●山崎-阿部○、○田村-佐々木●の場合……3勝2敗の3者(木村、広瀬、田村)の直対関係から、木村八段が優勝(広瀬八段残留)
④.●山崎-阿部○、●田村-佐々木○の場合……3勝2敗の3者(木村、広瀬、佐々木)直対関係は三つ巴。前期成績は木村挑戦、広瀬リーグ4勝、佐々木予選敗退より、木村八段が優勝(広瀬残留)
という、かなり有利な状況であったが、四分の一の外れクジの②を引いてしまった。まさに、貧乏クジ!……≪そんな阿呆な!≫であった。
 同じく3勝2敗で陥落の佐々木五段、残留した山崎八段も釈然としないモノが残ったであろう。

 とにかく、最終局3局の結果の目は8通りあるが、その勝敗の組み合わせにより、優勝、残留、陥落が入れ替わるという状況であった。(広瀬八段が勝てば、すんなり優勝は決まるが、残留は山崎-阿部、田村-佐々木戦の勝敗の組み合わせで決まる)
 詳しい状況は、中継ブログの「各組の優勝、残留について」で、丁寧に紹介されている。(なかなかの労作だと思う)
 それに、3勝2敗の同率で並ぶ可能性のあった木村、広瀬、山崎、田村、佐々木のうち、山崎八段、田村七段、佐々木五段は挑戦の目がなくなっていて、最終局に勝っても、山崎八段、田村七段は50%で陥落、佐々木五段は75%で陥落というのも、如何なものだろうか?


 結果的に、4勝1敗で佐藤九段と菅井六段のプレーオフとなった白組も、佐藤九段、菅井六段の勝敗の組み合わせによって残留の顔ぶれも変わっていた。
 特に、1敗だった両者がともに敗れた場合、5者同率の可能性もあった(5者同率の場合は千田五段の優勝、四者同率の場合は佐藤九段の優勝)。


 2敗での同率は複数局必要である考えられる。今回の規定変更は、日程上の都合か、対局数を増やさない為か……
 とにかく、規定変更でリーグ戦の面白みが減少したのは間違いない。千日手指し直しの、木村八段-広瀬八段の熱戦も、他の対局が終了した時点で「広瀬優勝」が決定していたのだから(木村八段は「勝っても陥落」が決定していた)。
 もし、対局料の削減が目的だとしたら、方向性を間違えている。対局料を減らしたいのであれば、「予選の参加資格制限を設ける」とか、「予選1、2回戦は対局料なし」にすればよい。

 
 
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『迷宮捜査』……意図しない“ハチャメチャなストーリー”、頑張り過ぎて大クラッシュ!

2015-05-15 21:08:43 | ドラマ・映画
 意図しない“ハチャメチャなストーリー”と言えばいいのだろうか……
 このドラマが目指していたモノは、番組サイトの“みどころ”によると(なぜ、平仮名なのだろう?)………

 連続発生した一家殺人事件の謎を追うミステリーでありながら、天涯孤独の刑事・名波洋一郎が“家族とは何か”を考えていく人間ドラマでもあります。
 名波は、生き別れた妹・有希子と再会するまで孤独な境遇で育ってきたため、“家族”というものがよくわかりません。心の底で愛情を渇望する彼は、幸せな家庭を残酷に破壊した2つの一家惨殺事件の謎に果敢に挑み、さらに唯一の肉親である妹を守ろうとするがゆえに、運命に翻弄されていきます。
 深い“迷宮”に飲み込まれた名波は、隠された真相にたどり着き、最後に希望を見出すことができるのでしょうか…!? “家族”とは、“愛情”とは何か、さまざまな問題を投げかけるヒューマン・サスペンスが展開していきます!


 ………………ということらしい。
 確かに、頑張っていたとは思うが、頑張り過ぎてカーブを曲がりきれず、スピンして大クラッシュ!してしまった。
 大クラッシュというのは、まず、
①犯人・鷹栖が外道過ぎる
 時の流れに沿って列挙すると
・愛人のいる京都まで通う
・暴力団の抗争に巻き込まれて死亡した(愛人との間にできた)息子の復讐で、銃を乱射し皆殺し
・それを目撃した少年・直純(犯人の次女の幼馴染)の口を封じようと襲い、その結果、マンションの階段(6、7階)から転落
・鷹栖と再会し転落の際失った記憶を取戻し、強請ってきた直純を、品川の一家惨殺事件に似せて殺害する。折悪く帰宅した母親も殺害。その際、アリバイ工作で、病身の長女を利用
・品川のの一家惨殺犯人・九鬼を殺害し、直純、母親殺害の罪を着せる
・真相に近づいた名波を、名波の妹・有希子を拉致した上、有希子の過去をネタに脅迫する
・次女の麻子が、かわいそ過ぎる

②看板倒れのテーマ
「深い“迷宮”に飲み込まれた名波は、隠された真相にたどり着き、最後に希望を見出すことができるのでしょうか…!? “家族”とは、“愛情”とは何か、さまざまな問題を投げかけるヒューマン・サスペンス」
 ドラマの序盤、鷹栖と娘二人の仲睦まじい家庭を描いていたが、上記のような外道な親父で、≪長女には自分の罪を知らせたくない≫と名波を脅すが、アリバイに利用するは、愛人をつくるはで、保身の為としか思えず、同情の余地は全くない。

 「鷹栖が家族の為に已むに已まれぬ事情で罪を犯し、名波がその真相に気づき、葛藤する」というのなら、「“家族”とは、“愛情”とは何か」を描いたことになるが、そんなことは全くなし。


 名波にしても、過去に殺人(正当防衛、あるいは、過失致死)を犯した妹を必死に守ろうとし、遂には週刊誌記者を殺害してしまうが、本当に妹のことを思うのなら、もっと真っ当な対処をすべきであった。
 “殺人者の兄を持つ”という事実は重すぎるし、自分の少年時代に重ね合わせ、一家惨殺で一人きりになってしまった少年を守ることもできなくなってしまった。
 そもそも、この名波の感情も、家族愛というよりも“兄妹愛”と言ったほうが良い。

 さらに、「深い“迷宮”」とか、「その事件には、決して“解いてはならない”不気味な闇が隠されていた…!?」(番組サイトの表現)とか言うが、鷹栖を中心に名波、有希子が迷走していただけで、“深い迷宮”でも“解いてはならない不気味な闇”でもない。そもそも、“解いてはならない闇”ではなく、解き明かさなければならない罪である。

 この他にも、突っ込みどころが多々あるが、もう面倒なので、箇条書きに留めます。
・あれだけ派手に銃を乱射したのだから、捕まってもいいはずだ
・直純少年転落事件もきちんと捜査したのだろうか?
・この二つの事件が報じられていた新聞を見て、「“刑事の勘”が働いた」と呟いて、視聴者を納得させようとするなんて……
・息子を亡くした愛人は放ったらかしなのか
・殺人を犯した?妹ととは言え、そのことで名前を変える必要があるのか?ピアニストという身分(職業)はそのままだし
・2つの惨殺事件が、政治的圧力から、合同捜査本部を立てないことになったが、何のために誰が、政治的圧力を立てたのだろう?
・フィットネスクラブ銃乱射現場に急行するのに、タクシーの方が早い(速い)のか?
 いつタクシーを捕まえたのか?タクシーを降りた時、名波は足の悪い鷹栖をどうしたら見失えるのか?
・あれだけ非道な鷹栖を見逃して自殺させるなんて。しっかり逮捕しないと駄目である。
・「名波、俺はもう何も言わん。その代り、麻子(次女)を頼む」って、そんな偉そうなことを言える立場か?
 「はい」って、名波も名波だ。しかも、名波も殺人を犯してしまい、約束を果たせず。

脚本の西岡琢也氏は、『出入禁止の女〜事件記者クロガネ〜』で私の中で“要注意脚本家”の仲間入りをした脚本家であった。

【ストーリー】番組サイトより
 東京・品川の閑静な住宅街で一家3人が惨殺される事件が起きた。現場に急行した御殿山署の刑事・名波洋一郎(反町隆史)は、奥のクローゼットに隠れ、ただひとり刃を逃れた5歳の次男・長原耕次を発見し、保護する。7歳のとき火事で両親を失い、妹・有希子(貫地谷しほり)とも生き別れとなった過去を持つ名波は、わずか5歳で突然、両親と兄を奪われた耕次のことを気にかける。
 すぐに捜査本部が発足し、名波は捜査一課三係係長・鷹栖誠司(高橋克実)から、三係主任・香川崇(八嶋智人)とコンビを組むよう命じられる。三係は親分肌の警部・鷹栖が統率しており、通称“鷹軍団”とよばれる強者ぞろいの集団だった。名波と香川は、動物虐待を繰り返している近所の男・九鬼祐太(竜星涼)を疑うものの、明らかな目撃証言もなく、彼の存在はいつしか捜査線上から消えていた。
 1年後――。名波は鷹栖に引き抜かれて捜査一課三係の一員となっていたが、品川一家3人殺害事件の有力な手掛かりは未だつかめず、捜査は難航していた。
 ところが、その矢先、大田区蒲田の住宅で母親・沢松優子と息子・直純(山口大地)が惨殺される事件が発生! 現場には品川の一家3人殺人事件の遺留品と同じタオルが残されていたほか、同サイズ、同メーカーの下足痕が検出されるなど、すべての証拠が同一犯であることを示唆していた。
 だが、政治的圧力から、管理官の真壁繁樹(大杉漣)は合同捜査本部を立てないことを宣言。名波ら現場の刑事たちは反発する。その直後、名波は、殺された直純が鷹栖の次女・麻子(夏菜)の知り合いだったことを知るが…!?
 そんな中、名波は有希子の周囲を、週刊誌記者・柿崎功(でんでん)がかぎまわっていることに気づく。ピアニストとしてヨーロッパで成功し、華々しく凱旋帰国を遂げた有希子は、ある理由から“中里美沙”と名を変えて生きていたが、柿崎はその事実をかぎつけて強請ろうとしていたのだ。名波は妹を守ろうと、柿崎と対峙するのだが…!?

脚本:西岡琢也
監督:藤田明二
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