恐るべし、老女神!そして、悲しみ
◆強盗殺人の犯人グループを爆死させた巧妙な手口、
さらに、出来るだけ他の人を巻き込まないという配慮?
彼女の犯行の裏には、娘を惨殺された悲しみ、警察の無力さ、刑法の機能不全さなど、やるせない思いが充満していた。
今回の犯行は、後藤が老夫人の前を通りかかった時に都合よく携帯が鳴ったことにイチャモンをつけたくはなったが、手口が巧妙で、老夫人の犯行という盲点、強盗犯たちと直接かかわりがないことなどから、福家でなければ、真相を明かされることはなかったであろう。
福家は、「爆発現場にミカンがあったこと」と「現場付近でぶつかった老夫人からミカンをもらったこと」に引っかかりを感じ、老夫婦の行動の不自然さ、爆弾が2種類あったことなどにより、疑いを強め、老夫婦に接近する。
老婦人は、自身の犯行に自信を持っているのか、福家に惜しげもなく情報を提示する。余裕なのか?……
いや、自分の巧妙な犯行を暴いてくれる刑事が現れることを待っていたのだ。
もちろん、卑劣な奴らをのさばらせることを許せないという気持ちもあったのだろうが、犯行が暴かれることによって、社会へ自分の気持ちを知らしめることもできるし、警察の中にも有能な者がいてほしいという願望もあったのだろう。
そもそも、ミカンを強盗犯や福家に上げたのも、ヒントを出したかったのかもしれない。
後の爆弾に福家の指紋が残っていたというのは、「意表を突く決定的証拠」(でも、どこかで見たようなパターン)ではあったが、上述した老夫人の心内を考えると、福家が示す「決定的な証拠」も、実は老夫人の掌の中だったという方が、最終話としてふさわしいように思う。
あと、読唇術云々は、無理があるので、この部分はなかった方が良かったように思う。老夫人の犯した犯行はこれだけにして、犯人たちの近所に住んでいて、たまたま、犯行を知ってしまったでいいのではないだろうか?
シリーズを通すと、福家警部補の魅力がイマイチ、核となる推理や証拠が従来の推理モノの焼き直しの匂いが強かったこと、登場人物の心情や行為が理解困難なことが多かったことなど、不満が多くかった。
面白くなる要素があるのに、その面白さを練り込み不足によって潰してしまったという残念さがある。
この残念さは『ビブリア古書堂の事件手帖』と類似している。ビブリアの方は、原作のキャラクターの改変、さらにストーリを歪めた点で、罪は重いが。
残念な点は多かったが、福家の細かい推理は面白く、楽しめたドラマではあった。
【ストーリー】番組サイトより
車椅子の老女、後藤喜子(八千草薫)がミカンを落とし、通りがかりの男、網山聡(松本実)に拾って貰う。その間に、老人、後藤秀治(山本學)が網山の持っていた黒かばんと用意していた黒かばんとをすり替えた。その後、合流した喜子と秀治。二人は実は夫婦であった。二人は静かに近くの喫茶店へ場所を移す。
一方、網山は仲間の下に黒かばんを持って行き、次の犯罪計画について語り合う。実は、網山ら3人は宝石店強盗殺人事件の犯人グループだった。その時、すり替えられたかばんに入っていた爆弾がさく裂する。犯人たちは、この爆発で全員即死してしまった。
野次馬でごった返す爆発現場に駆けつけた福家警部補(檀れい)は、車いすに乗った喜子とぶつかってしまう。この出会いが全ての始まりだった。福家は爆破が起きた際、近くの喫茶店に老夫婦がいたとの証言を得て後藤夫婦の家を訪ねる。福家は、この老夫婦に違和感を覚えていたのだ。そんな福家の訪問を夫の秀治は訝しむ。だが、喜子はどこか嬉しそうに応対していた。
一方、石松和夫警部(稲垣吾郎)は、福家のこれまでの経歴を把握し、彼女の処遇についてある決断をする。福家にその決断を告げる石松。福家は意外な反応をするが…。なぜ福家は自ら捜査一課に異動して来たのか。福家自身の口から、あることが語られようとしていた。
福家自らの過去と重なる老夫婦の悲しき犯行。福家の過去最大の捜査が始まろうとしていた。
◆強盗殺人の犯人グループを爆死させた巧妙な手口、
さらに、出来るだけ他の人を巻き込まないという配慮?
彼女の犯行の裏には、娘を惨殺された悲しみ、警察の無力さ、刑法の機能不全さなど、やるせない思いが充満していた。
今回の犯行は、後藤が老夫人の前を通りかかった時に都合よく携帯が鳴ったことにイチャモンをつけたくはなったが、手口が巧妙で、老夫人の犯行という盲点、強盗犯たちと直接かかわりがないことなどから、福家でなければ、真相を明かされることはなかったであろう。
福家は、「爆発現場にミカンがあったこと」と「現場付近でぶつかった老夫人からミカンをもらったこと」に引っかかりを感じ、老夫婦の行動の不自然さ、爆弾が2種類あったことなどにより、疑いを強め、老夫婦に接近する。
老婦人は、自身の犯行に自信を持っているのか、福家に惜しげもなく情報を提示する。余裕なのか?……
いや、自分の巧妙な犯行を暴いてくれる刑事が現れることを待っていたのだ。
もちろん、卑劣な奴らをのさばらせることを許せないという気持ちもあったのだろうが、犯行が暴かれることによって、社会へ自分の気持ちを知らしめることもできるし、警察の中にも有能な者がいてほしいという願望もあったのだろう。
そもそも、ミカンを強盗犯や福家に上げたのも、ヒントを出したかったのかもしれない。
後の爆弾に福家の指紋が残っていたというのは、「意表を突く決定的証拠」(でも、どこかで見たようなパターン)ではあったが、上述した老夫人の心内を考えると、福家が示す「決定的な証拠」も、実は老夫人の掌の中だったという方が、最終話としてふさわしいように思う。
あと、読唇術云々は、無理があるので、この部分はなかった方が良かったように思う。老夫人の犯した犯行はこれだけにして、犯人たちの近所に住んでいて、たまたま、犯行を知ってしまったでいいのではないだろうか?
シリーズを通すと、福家警部補の魅力がイマイチ、核となる推理や証拠が従来の推理モノの焼き直しの匂いが強かったこと、登場人物の心情や行為が理解困難なことが多かったことなど、不満が多くかった。
面白くなる要素があるのに、その面白さを練り込み不足によって潰してしまったという残念さがある。
この残念さは『ビブリア古書堂の事件手帖』と類似している。ビブリアの方は、原作のキャラクターの改変、さらにストーリを歪めた点で、罪は重いが。
残念な点は多かったが、福家の細かい推理は面白く、楽しめたドラマではあった。
【ストーリー】番組サイトより
車椅子の老女、後藤喜子(八千草薫)がミカンを落とし、通りがかりの男、網山聡(松本実)に拾って貰う。その間に、老人、後藤秀治(山本學)が網山の持っていた黒かばんと用意していた黒かばんとをすり替えた。その後、合流した喜子と秀治。二人は実は夫婦であった。二人は静かに近くの喫茶店へ場所を移す。
一方、網山は仲間の下に黒かばんを持って行き、次の犯罪計画について語り合う。実は、網山ら3人は宝石店強盗殺人事件の犯人グループだった。その時、すり替えられたかばんに入っていた爆弾がさく裂する。犯人たちは、この爆発で全員即死してしまった。
野次馬でごった返す爆発現場に駆けつけた福家警部補(檀れい)は、車いすに乗った喜子とぶつかってしまう。この出会いが全ての始まりだった。福家は爆破が起きた際、近くの喫茶店に老夫婦がいたとの証言を得て後藤夫婦の家を訪ねる。福家は、この老夫婦に違和感を覚えていたのだ。そんな福家の訪問を夫の秀治は訝しむ。だが、喜子はどこか嬉しそうに応対していた。
一方、石松和夫警部(稲垣吾郎)は、福家のこれまでの経歴を把握し、彼女の処遇についてある決断をする。福家にその決断を告げる石松。福家は意外な反応をするが…。なぜ福家は自ら捜査一課に異動して来たのか。福家自身の口から、あることが語られようとしていた。
福家自らの過去と重なる老夫婦の悲しき犯行。福家の過去最大の捜査が始まろうとしていた。