英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

嫌なシーズンが始まった

2024-03-30 10:50:09 | 日記
嫌なシーズンが始まった。
野球シーズン到来だ。

 野球が嫌いなわけではないし、少年時代はよく遊んだ。
 プロ野球中継だって、一生懸命観た。

 昔は中継延長なんてなく、8回裏ぐらいで「残念ながら中継終了の時間になりました……」というアナウンスの後、残念な気持ちで番組スポンサーのロゴを見送った。
 ある時期から、中継延長がされるようになった。15分、30分と延長されていき、《ありがたいなあ》と喜んでいた。

 しかし、プロ野球への欲求は徐々に薄れていった。
 他のスポーツや分野などに関心が広がったことや、ひいきの選手が少なくなったことなどが要因だが、球場のマーチ応援がひっきりなしに演奏されることも、原因になっているような気もする。
 まあ、そんな要因はともかく、プロ野球への関心が薄れると、逆に、その存在が邪魔になってきた。
 スポーツニュースで(普通のニュースでも)、キャンプ情報が多くの時間を締めて、バレーボールやバスケットボールなどはテロップが流れるだけの事なんて、珍しくなかった。

 そして、何より、中継が長い!
 近頃は、6時過ぎから延々と9時、10時まで中継が続く。日本シリーズなどは、中継終了が11時近くになり、後続のドラマやニュースなど、2時間近く遅れて始まるなんてことも珍しくない。
 迷惑この上ない。

 昨夜は『葬送のフリーレン』の感謝祭(名場面ハイライト企画)があったが、プロ野球開幕戦の影響で放送がずれ込んだ。30分遅れだったと思われる。
 最近の予約録画は、そういう放送時間のずれにも対応して録画してくれる。賢い!
 しかし、偶に(たまに)、その機能がうまく作動しないことがあり、昨日がそれに遭ってしまった!(録画失敗!)
 《ゲキオコ プンプンマル!》(激怒、ぷんぷん丸)である。
 ヽ(`Д´)ノプンプン


 こういうプロ野球延長被害に遭う方は多いらしく、知恵袋などに不満を問いかけているのをよく見かける。しかし…
「アニメなどよりプロ野球の方が需要があるから、仕方ねえんだよ」というようなプロ野球ファンから反撃にあう。
「“サブチャンネルでやって欲しい”などと言っているが、サブダと画質が落ちろことも分からないのか」などとおっしゃられる。
《いや、サブチャンネルで放送するのはプロ野球のつもりだと思うんだけど、なぜ、野球が本チャンネルで中継されるのが前提なのだろう?》

 そもそも、3時間で終了しろよ!
 それに、いつ中継が終わるか分からないのが、始末が悪い。


 テレビ業界は、プロ野球びいきが多い気がする。(まあ、日本テレビは仕方がないか…)
 昨年のメジャーリーグシーズン終了後も、大谷選手の移籍問題で、オーナー会議?情報を連日、かなりの時間を割いて報道していた。
 確かに、大谷選手は非常に能力・実績充分で魅力あふれた選手である。
 しかし、その能力、人気より過剰に取り上げられているように感じる。私だけだろうか?

 予約録画失敗に気がついたのは、番組開始約10分後。(「アウラ自害しろ」辺り)
 その10分間の内容を知っている方がいたら、教えてください。あと、主題歌が流れたのかどうかも。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

禁止技・バックフリップ 減点2は甘すぎ、失格でよい

2024-03-30 01:30:35 | スポーツ
2024世界フィギュアで、男子シングル・フリーで、アダム・シャオ・イム・ファが禁止技のバックフリップ(バック宙返り)を行った。

 欧州選手権優勝者の実力者だったが、ショートプログラムでは失敗し19位に沈んでいた。
 フリーでは、その鬱憤を晴らすかのように、次々と高難度のジャンプを決め、高得点を上げ(フリーだけでは2位)、総合3位に駆けあがった。

 しかし、私は彼を評価しない。彼は、禁じられているバックフリップを披露した。
 この技が禁じられている理由は
・危険
・リンクにダメージを与える

 が主な理由らしい。(普段の練習でも貸し切りでなければ、他のスケーターにも危険が及んだり、リンク破損による迷惑も掛かりそうだ)

 そういう理由もさることながら、私が問題だと感じるのは、禁止されている行為(プレー)を故意にしたこと。悪質である。
 そもそも、「減点2」は軽すぎる!
 彼のフリーのスコアは206.90。マイナス2点はその1%にも満たない。10%のマイナス20点ぐらいが妥当か。
 中継では「減点2」という解説しかされなかったが、技や表現の評価対象になるのだろうか?
《以下は私の推測や考察》
・禁止技なので基礎点は設定されていないだろう。表現技法のひとつとして。評価されるのだろうか?
・加点要素がなくても、会場が盛り上がって、多少ジャッジにプラスになる可能性はある。
・転倒したら、マイナス1点になると考えられる(ジャンプ以外の転倒もマイナス1。正確には3度目の転倒からは倍倍に減点される)
・バックフリップをジャンプと考えるのなら、一般的ジャンプ(アクセルやルッツなど)の試技数は一つ減らすべきだ


 スポーツである以上、どんな競技でもルールがある。そのルールで重要な一つが反則。
 他のプレーヤーに危害を与えるプレーや、技の取り決め制限を超える行為(バスケットでボールを持って3歩移動するなどのバイオレーションなど)、その質や程度によって、失格・退場、場合によっては出場停止などの重いモノから、相手に攻撃権が移るなどの軽度のモノもある。
 道具の規定違反などもある(ジャンプなどスキーのスーツやスキー板の長さなど、浮力に関する失格、柔道着の襟を窄め過ぎなど)
 競泳背泳ぎのバサロ(潜水)泳法は、現在飛び込みやターン後15mまでと規制されている。15mを超えると失格。

 バックフリップは競技中に他者に危害を与えるものではないし、得点にプラスになる可能性は分からないが、上述のように大きなプラスにはならないと思われる。体力や技術を考えると、リスクが大きい。
 しかし、問題なのはそういう次元ではない。
 禁止されている行為(プレー)を、故意に犯す。これは看過できない。

 実は、彼は昨年(2023年)10月の「上海トロフィー」や今年1月の「欧州選手権」でもバックフリップを実施ししている(優勝。2ポイント減点を受けていた)
 『Number Web 』の記事によると、
「シーズンの始めに、フリーでバックフリップをやったらどのくらいの減点になるのかチームで検討しました。アダムは常に新しいことに挑戦し、このスポーツを進化させたいと思っているんです」(振付師のブノワ・リショー)
彼自身も
「エキシビションでやるより、フリーでやる方がエネルギーは使います。でも調子が良かったので、試合だったけれど、観客のためにやりました」と述べている。

 世界フィギュアの演技後にも
「今日はとても満足している。人生で最高のパフォーマンスだったと思う。昨日は本当に腹が立っていたし、SPの後は自分にイライラしていた。
コーチからは、戦って攻めろと言われた。ネイサンのオリンピックの演技を思い出して、それもすごく助けになった」


 新しいことに挑戦することやスポーツの進化はけっこうなことだが、ルールーを守らないのはダメであろう。

 国際スケート連盟(ISU)もダメである。
 こういう違反行為を3度も「減点2」で済ませてしまっては!
 最初の「上海トロフィー」で黙認してしまったのが過ち(この大会後、警告でも出したのだろうか?)
 「上海でOK(失格にならならず、減点2)なら、欧州選手権でもOKだろう」「欧州選手権でOKなら、世界フィギュアでも」
 悪い前例を作ってしまった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023年度NHK杯将棋トーナメント 準決勝 羽生善治九段-藤井NHK杯保持者 その3

2024-03-29 14:33:17 | 将棋
間が空いてしまいました。(「その1」「その2」
……何を書くつもりだったのか……え~と………

 そうそう、まず、幻の妙手▲6三桂について
 この手については、「その2」で詳しく述べているので、《何を今更?》と思われることだろう。

 復習すると………
・第5図より、羽生九段は▲3六飛と角取りに逃げ、△5九角成▲同銀と進み、ほぼ互角。(△5九角成では△3七角成が正着で、後手が優勢だった)
・第5図では、▲6三桂と打てば、羽生九段が有利~優勢で勝ちやすい将棋になったはず。 


《ちょっと、この▲6三桂は浮かばない!》というのが巷の評判。
 そして、《藤井八冠は▲6三桂が見えていた!》(感想戦で、藤井八冠は「▲6三桂で自信がなかった」旨の言葉を発していた)
 でも、この▲6三桂って、そんなに見えにくい手なのだろうか?
 第5図の局面であるが、先手としては3三の成桂は4三に動かしたい。しかし、図からすぐ▲4三成桂とすると、△3八とと飛車を取られて、手負けになる。
 しかし、▲4三成桂の前に▲6三桂△同金を利かせておけば、▲4三成桂△3八とには▲5二銀と打つ手が成立しそう(実際にこう進めば先手勝勢。詳しくは「その2」
 この思考過程は、普通、行いそうな気がする。
 ▲3三桂成とする筋はずっと視野に入っており、桂成りの後、▲4三成桂と銀を取る手も自然な手の流れだ。そして、飛車当たりになっている第5図の局面になれば、攻め手を加速する▲6三桂が指し手の上位候補に上がってきそうに思える。
(藤井八冠がどの局面で▲6三桂が見えたのかは不明)
 

△3四歩(第6図)での▲3四同成桂について

 ▲3四同成桂は順当な手である。ただし、△同銀▲同飛△3三銀と受けられ、▲3六飛と引くことになっては、後手陣から先手の駒影が消えてしまっている。対する先手陣には4七にと金が残っている。しかも、手番は後手。(ただし、△3三銀では△4三銀が正着。△3三銀だと3二の金が浮いているので、▲7六角のような攻防手が生じている)
 ▲3四同成桂は無難な手だが、“無難”で済む局面ではなかった。▲3四同成銀では▲4三成銀と貪欲に指すべきであった。これに対し、△3五歩と飛車を取るのは▲6三桂△6一玉▲3四角で先手優勢。▲6三桂に△同金は▲5二銀で先手勝勢。なので、▲4三成桂には△同金と取ることになるが、▲4五飛△4四歩▲4七飛で手順にと金を消去でき、本譜とはかなり得(ほぼ互角だとは思う)


とにかく、ここ数年の羽生九段は、終盤になると踏み込みが浅くなる。貪欲さが足りない……そんな気がする。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わざとやっているとしか……日銀(政府)

2024-03-27 21:28:43 | 時事
(本当は、他に違うことを書くつもりだったのですが……記事がたまる一方…)

日銀・田村直樹審議委員 今日(3月27日)・午前中の講演で
当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」と述べ、
「(金融政策の正常化について)ゆっくりと着実に進めるべきだ」と発言。

これを受けて、東京外国為替市場では円を売る動きが強まり、
正午前に1ドル=151円97銭に値下がり、1997年7月以来、33年8か月ぶりの円安ドル高 水準となった。


 政府は市場の動きを強くけん制
 正午過ぎ、鈴木財務相
高い緊張感をもって市場の動きを見ている
 行き過ぎた動きには、あらゆるオプションを排除せず、断固たる措置を採っていきたい」

 午後2時ごろ、田村委員が記者会見
「“緩和的な金融環境が続く”というのは、“利上げを一切しません”ということではない」

午後6時20分頃、財務省(神田財務官)・金融庁(栗田長官)・日銀(清水理事)が臨時会合
 金融市場の動向を分析し、日本経済に与える影響などについて、意見を交わしたうえで、
 《為替相場への過度な変動は望ましくない》という認識で一致した。

神田財務官は会見で
「インフレ動向、あるいは金利・金融政策の方向性に照らすと、
 最近の円安の進展は、ファンタメンタルズ(経済の基礎的条件)に沿ったものとは到底言えず、
 円安の背景に投機的な動きがあることは明らか。
 為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに
 あらゆる手段を排除せずに、適切な対応をとっていく」


 田村氏の発言は、“迂闊”からきているのか、円安を誘導する意図があるのか?……

“高い緊張感をもって市場の動きを見ている”(鈴木大臣)
“行き過ぎた動きには、あらゆるオプションを排除せず、断固たる措置”(鈴木大臣)
“為替相場への過度な変動は望ましくない”(会議での認識)
“為替市場の動向を高い緊張感を持って注視する” (神田財務官)
 この発言、流れは今日だけでなく、これまでも何度も聞いたことがある(円安の動きが顕著になった後の会見、発言)
 以前の映像をそのままリピートしているかのようだった。


 ……形だけの会合を開いただけ。
 円安でまた原材料費が上がり、下請け企業が苦しくなる。物価高も進む。
 輸出企業は嬉しいかもしれない(どこだとは言わないが)


 日銀がようやくマイナス金利政策を終了したが、植田総裁は強い表現を用いず……逆に円安気配。
 さらに、今日の田村氏の発言……


 そう言えば、植田総裁、昨年の12月の国会で、大いなるフェイントを掛けていたっけ(笑)
…………12月7日に国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言した
 てっきり、早期の金融政策の修正を意図しての発言だと思ったが、
 12月19日まで開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策を維持することを決めた


 国会での発言の意図を問われ、「国会でのやり取りとしては今後の仕事の取り組み一般について問われたので2年目にかかるところなので一段と気を引き締めてというつもりで発言した。金融政策については同じ委員とのやりとりの中で粘り強く金融緩和を継続すると述べたところだ」と述べ、早期の金融政策の修正を意図した発言ではないことを明らかにした
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年(2024年)の桜の開花は……

2024-03-26 17:19:39 | 気象
 学校は春休みに入っているのに、寒い!
 今日(3月26日)の最高気温は9.4℃。しかも、これを記録したのは午前0時03分。
 つまり、そこから気温が全く上がらない。午前2時からずっと8℃台(夜中~明け方の8℃というのは、この時期ではかなり暖かいのだけれど)。

 そして、午後3時からガクッと下がり6℃台に。日中の6℃台は大寒頃の寒さ。
 今年は、“異常な暖冬”と判断された。これはデータ的には正しいのだが、2月の暖かさに因るところが大きい。
 さらに、寒い時は寒く、暖かい時には暖かいという、寒暖差が大きいというのが特徴。暖かい部分が大きかったので、一冬としてまとめると、異常と言えるほどの暖冬と言えるのだ。
 3月が終わったら、記事にしようと思っているが、平年より寒い日というのは、4割ぐらいあった(3月15日時点)。
 私は寒さが苦手なので、感覚的には暖冬ではなかった。“平年並みの気温”とか気象予報士やニュースキャスターが言うが、1~2月の平年並みは、充分に寒いのである。(北日本の人にとっては、北陸の私が“寒い”と不平を言うのは、”ちゃんちゃら可笑しい”とお思いでしょう。ご容赦ください)
 確かに、降雪は少なく、雪かきの量や時間もかなり少なかったので、ありがたかった。それでも、午前中は雪か気に追われた日は4日ほどあったので、できればスコップを握る日がないようにしてほしい(←誰に要望している?)

 それはともかく、2月が異常に暖かかったので、今年の桜の開花予想はかなり早めだった。
 それが、3月上旬には、当初の予想より遅めに訂正され、3月半ば前にさらに訂正されたが、それよりもさらに開花が遅れた。
 今日3月23日に全国で1番早く咲き25日に宮崎、広島で桜開花が発表された。詳しく調べていないが、これらの3地点は、ほぼ平年並みの開花だったようだ。
 他の地域では、もっと開花が遅れるのではないだろうか?

《400℃の法則》
桜の花芽は秋から冬にかけて「休眠」状態に入り、寒さが厳しくなると刺激を受けて目覚める。 この「休眠打破」を2月1日と仮定し、1日以降の日々の平均気温を合計して400度を超えると開花するというもの


 たしかに、この法則は妥当であろう。
 ただし、今年は単純に当てはまらなかった。
 素人の私が言うのも何だが、《開花の要素》としては、2月の気温より3月の気温の方が大きく作用する
 さらに、気象庁などの予報機関は、3月の低温傾向を見誤っていたように思われる。

 と言う訳で、今年の開花予想は大外れ!

 まあ、私にとっては、もう寒いのは勘弁してほしい(北日本の皆様は、「日中の気温が6℃くらいで何を言っているんだ」と思っているでしょうね) 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

舟を編む ~私、辞書作ります~ ……タイトルに違和感

2024-03-23 17:04:57 | ドラマ・映画
“舟を編む”……
 私の違和感については、想像難くないとは思う。《船(舟)なら造る(作る)ではないのか?》
 それを“編む”と表現した理由は、第1話で日本語学者・松本朋佑がドラマヒロイン・岸辺みどりに語った言葉で語られている。
「辞書は…言葉の海を渡る舟だと。
 人は辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かび上がる小さな光を集める。
 最もふさわしい言葉で、正確に、思いを誰かに届けるために。
 もし、辞書がなかったら、私たちはぼうわくとした大海原を前に、佇むほかないでしょう。
 だから………“大海を渡る”…それにふさわしい舟を編む。
 それが私たちの仕事です」


 辞書を編纂する……だから“編む”なのだろう

 でもね、舟は“乗り物”、あるいは“人”そのものだと思う。
 舟(或いは“人”)が旅(航海)に出る場合、資金や食料も必須だが、船(舟・人)そのものが……浮力、頑丈さ、スピード、耐久力、操作性などがしっかりしていなければならない。

 上記の松本氏の言葉…「最もふさわしい言葉で、正確に、思いを誰かに届けるために。
 もし、辞書がなかったら、私たちはぼうわくとした大海原を前に、佇むほかないでしょう」

 (今の時代、《“辞書を引く”という行為は減ったかもしれないし、スマホ、ネットで代用》云々は、横に置いて於いて)
 この言葉には同意する。しかし、辞書は、舟というよりは、海図やレーダーや灯台の方がピンとくる。


 へそ曲がりな私の戯言です。呆れてくださってけっこうです。
 第2話も観ました。面白かったです。
 サブタイトル(テーマ・小見出し)をつけるとしたら……
・“恋愛”の語釈。“恋”とは“愛”とは“恋愛”とは?
・辞書編纂は、言葉の観察者・分析者

 レビューは……大変そう。そう言えば、ジャンルは違うが『AIの遺電子』(アニメ)のレビューは大変だった。
 しかも、今回は既に5話まで進み、明日には第6話も……
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

舟を編む ~私、辞書作ります~ 第一話……「なんて」と「右」

2024-03-20 15:02:08 | ドラマ・映画
ドラマ冒頭、夜明け前の岸壁、若い女性が走り寄り……
「嘆息・歎息」「涕泣」「嗚咽」「慟哭」
 これらは、その女性の行為を順に現した言葉だ。
 しかも、感情を添えて説明・表現している。

 夜明け前の暗い場景の中、悲しみに沈みもがき、泣く……
 その情景に、その都度
お えつ【嗚咽】(名)
 声を詰まらせて泣くこと。

などの字幕が重ねられる。
 女性の悲しい気持ちに重なり……陰鬱。
 正直、《最悪だ…観るのやめようかな》と思った。



 日曜日に録画したスポーツ中継やドラマの再生を止めた時、時々、目にしたドラマ。
 すぐ次の再生を始めるまでの一分弱、《面白そうだな》とは思ったが、途中から観るのも中途半端。
 《NHKだから、そのうち、再放送があるだろう》と思っていたら、先日、まとめて再放送していた。
 取りあえず録画したが、放置。リアルタイムで録画した5話までがハードディスクに溜まった。ハードディスクの容量残が少なくなったので、第1話を観て、面白くなかったら消去するつもりだった。
 で、冒頭のシーン……


 思いとどまり、とにかく、1話見よう。………面白かった。

(ドラマの説明は、番組サイトにお任せします↓)
【番組サイトより引用】
誰もが一度は手にしたことのあるぶ厚い本、辞書。一見淡々と言葉が敷き詰められたように見える辞書の裏には、「作り手」の想像を絶する情熱と心血が注がれています。
「ヤバい」に無数の意味を持たせ、込み入った会話は簡略化。空気を読み、雰囲気で済ませてしまいがちな昨今。そんな時代だからこそ、言葉にこだわる辞書作りの魅力を通し、”言葉は誰かを傷つけるためではなく、誰かを守り、誰かとつながるためにある”という未来への希望を伝えたい。
原作の主人公・馬締ではなく、新入り社員・岸辺みどりの視点で描く、まったく新しい『舟を編む』。全10話で放送します。

【あらすじ】
大人気ファッション誌の編集部員・岸辺みどり。雑誌の廃刊が決まり、突如異動になった先は辞書編集部!そこは、ぼさぼさ頭で超がつくほどの生真面目上司・馬締光也を筆頭に、くせ者ぞろい。みどりは、彼らに翻弄されながらも、一冊の辞書を作るために十数年間に及ぶ時間と手間をかける根気と熱意に触発され、次第に自らも言葉の魅力を発見、辞書編さんの仕事にのめり込んでいく。辞書「大渡海」を完成させるまでの、辞書編集部員たちの奮闘物語。

【放送予定】2024年2月18日(日)スタート〈全10話〉毎週日曜よる10時~10時49分(NHK BSプレミアム4K・NHK BS)
【原作】三浦しをん 『舟を編む』
【脚本】蛭田直美(全話) 塩塚夢(第5話共同執筆)
【音楽】Face 2 fAKE
【演出】塚本連平 麻生学 安食大輔
【出演】池田エライザ 野田洋次郎 ほか
【制作統括】高明希(AX-ON) 訓覇圭(NHK)
【プロデューサー】岡宅真由美(アバンズゲート) 西紀州(AX-ON)




言葉にまつわる心に響く言葉が多かった。
たくさん述べたいが、とても大変なので端折ります…
「なんて」……ヒロイン・岸辺みどりがよく口にする言葉。無意識に使ってしまっていて、無自覚に人を傷つけていた
 (感嘆の気持ちを強調する”副詞”もあるが)
副助詞として――次に来る動作・内容を、軽視する気持ちを込めて例示する
副詞として―――軽視する気持ちを込めて、同格の関係で次の語を修飾する
副助詞として――無視または軽視する気持ちを込めて、事柄を例示する。

「ああ、ごめん。ご飯食べてる時間なんて、ないかも」(せっかく、同棲している恋人が作ってくれた朝食を前にして)
「ほんと助かる。朝から電話する余裕なんてないからさぁ」(人気料理店の予約をしてくれた友人に対して)
「言葉と説明が並んでいるだけですよね、辞書なんて」
「辞書なんて、どれも同じだと思っていたんです」
「あとにして、カメラなんて」
「また朝日………綺麗だけどさ…ごめん、て言うか……ありふれているっていうか……大事だと思うんだよね、被写体のインパクトって。結構みんな撮ってんじゃん、朝日なんてさ」(思い入れのある朝日をテーマで写真コンテストを勝負しようとする恋人に対して)

 単に言葉に無頓着なのだろうと思う。優しい面も多いし、強引なところもない。
 でも、言葉に無頓着というのは、人の気持ちを思いやらないことにつながる。

 彼がキレた場面などは、酷い。↓
「おれが馬鹿にされるのは“しょうがない”と思ってる。夢だけ語って、結果出せなくて…。けど、俺が撮りたいと思っているものまで、馬鹿にしなくても」
「待って、してないよ。してないって、馬鹿になんて」
「してるよ」
「いや、してないって。してたら、ウチにおいでよとか言わないし、家賃とか食費なんて出してないって」
「思ってるよ、マジで情けないって」
「言ってないじゃん、そんなこと。馬鹿になんて」
「してるよっ!……ごめん、コンビニ行ってくるね」


 辞書編集部に異動してきた岸辺みどりの歓迎会で、「“右を説明しろ”と言われたらどうする?と問われて、みどりは、お品書きの裏に「→」書いて、皆に見せた。
 一同、呆れたような顔になり、場はしらけた?……
みどりは、場を取りつくように、言い訳をしたが
「私、知らないんです。辞書のことなんて、何も…
 辞書なんて持ってないし、欲しいとも思ったことないし。
 馬締さん(編集長)に貰った辞書も、読んでないというか、正直、すいません、袋から出してもなくて…
 国語の成績もずっと悪かったし、ミラクルだったんです、玄武書房に入れたのも。入りたかったのも、別に本作りたいとかじゃなくて、ファッション誌に関わりたくて……
 だから、作りたいなんて思ったこともないです、辞書なんて」

バチン!(バイトの青年がキレてテーブルを叩く)
「いい加減にしろよ、この人たちの前で、辞書馬鹿にするんじゃんねえよ!」
「してない!」
「したじゃねえかっ!」
「馬鹿になんて…」

 恋人が怒って出ていった理由を考えなかったのだろうなあ。
 同じパターンをここまで繰り返して、ようやく、思い当たるみどり。

 バイト君が出ていき、契約社員のおばさん(ごめん)と社外編集員の初老の男性(ごめん)が彼をとりなしに追う。
 馬締氏と日本語学者・監修者の松本朋佑(柴田恭兵)が残る。
 後悔の念に沈むみどりに、松本が突然、
「げきおこ(激おこ)、ぷんぷんまる!」
「少し気持ちが軽くなりませんか?
 “天童君(バイト君)が怒った”と言うよりも、“天童君が、げきおこぷんぷんまる”と言う方が。
 もちろん、真摯に受け止めなければならない怒りはあります。真剣に怒ってくれた天童君には申し訳ないんですが…
 げきおこ…ゲキオコ、プンプンッマルッ!
 私大好きなんです、この言葉。この言葉がどれだけの人の心を軽くしてきたか…その健気さを想うと、涙すら出そうになります」
「わたし、馬鹿になんてしているつもり、ほんとになくて……
 でも、思われちゃうんです、なぜか、そう思わせちゃう何か、“悪い言葉”を使ってしまっているんだと思います、無意識に」

「不思議ですよね、言葉って。
 どんなに尽くしても、何一つ伝わらないこともあれば、たった一つの言葉で、千も万も伝えられることもある。
 全く意図していないことを言葉が勝手に伝えてしまうこともある。
 でも、この世に“悪い言葉”は存在しませんよ」(馬締氏)
「馬締さんの言う通りです。
 全ての言葉には、その言葉が生まれてきた理由があります。
 誰かが誰かに何かを伝えたくて、伝えたくて、必要に迫られて生れて来たんです。
 悪いのは言葉ではありません。選び方と使い方です。

 私思うんです、岸部さん。辞書は…言葉の海を渡る舟だと。
 人は辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かび上がる小さな光を集める。
 最もふさわしい言葉で、正確に、思いを誰かに届けるために。
 もし、辞書がなかったら、私たちはぼうわくとした大海原を前に、佇むほかないでしょう。
 だから………“大海を渡る”…それにふさわしい舟を編む。
 それが私たちの仕事です。

 岸部さん、あなたの柔軟さが私たちの舟を、より強くしてくれるでしょう」

「柔軟さ……いえ、そんな…私なんて全然…」(皆は、“右”の語釈を矢印で表現したみどりの柔軟さを感心した)
「“なんて”……気が向いたら、その言葉、“なんて”を辞書で引いてみてください。
 辞書はあなたを褒めもしませんが、決して責めたりもしません。安心して開いてみてください」

……で、辞書で引いてみて、自分の口癖の“なんて”の罪を悟るのだが、遅すぎ!
 それに、「なんて」を使わなくても、「辞書を欲しいと思ったこともない」云々は酷い!


「右」の語釈……辞書編集部に異動してきた岸辺みどりの歓迎会で、「“右を説明しろ”と言われたらどうする?と問われて
➀矢印「→」
②「“朝日を見ながら泣いた時、暖かい風に吹かれて、先に涙が乾く側の頬っぺた”……それが、“右”です……」(冒頭の慟哭のシーンは、歓迎会の夜、彼に別れを告げられ、彼の好きな朝日を観に行った時のモノだった)
「“なんて”……なんて素敵な“右”でしょう!」と返す馬締氏。

 辞書「大都会」の真意は……「大渡海」だった。
 
【参考?】
「やばい」(以下の表記は辞書での説明ではなく、登場人物が恋愛ドラマを観ての感想で使用した「やばい」の使用例)
➀意外性があって面白かった……「やばいよね、あのラスト」
②危険だ。怖い……「やばいよね、あんな人、隣に住んでいたら」
③素敵、かっこいい……「あそこで助けに来てくれるの、やばいよね」

 ちなみに、1985年版旺文社『国語辞典』には
《俗》危険だ。あぶない。

とだけ。

【第1話・あらすじ】
 岸辺みどり(池田エライザ)は、大手出版社・玄武書房のファッション誌編集者。仕事熱心だが、ある日突然、辞書編集部への異動を命じられ、知らない言葉にやたら食いつく上司・馬締光也(野田洋次郎)や日本語学者の松本先生(柴田恭兵)、社外編集の荒木(岩松了)らと共に、玄武書房初の中型辞書「大渡海」の編纂に関わることになる。
 慣れない辞書作りに戸惑うみどりには、同棲中の恋人・昇平(鈴木伸之)が唯一の癒やしだが…。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023年度NHK杯将棋トーナメント 準決勝 羽生善治九段-藤井NHK杯保持者 その2

2024-03-20 09:40:11 | 将棋

 前記事は、この図から、《▲3六飛は疑問手で最善手を指せば、先手羽生九段がやや有利だったのでは》と述べたところまでだった。
 で、その最善手というのは、▲6三桂。(感想戦で、藤井八冠もこの手を示しており、自信がなかった模様)

 この手に対し、①△6三同金と取る手が当然考えられる。
 △6三同金以下▲4三成桂△同金▲3一飛成△4一歩▲3二銀△5二銀▲2三角(変化図2-1)が想定される。

 上記手順の▲4三成桂△同金では△3八とと飛車を取りたいが、▲5二銀△6二玉▲6三銀成△同玉▲4一角で先手勝勢。(▲6三桂はこの▲5二銀を打つためだった)
 当たりが掛かっていた飛車が手順に成り込め、後手玉に迫っていて調子が良い。
 ただし、図の局面は意外に難しい。図より△4二金▲4三歩で後手が困っているようだが、△6二玉と身を翻され、予定通り▲4二歩成と金を取ると△同銀が龍当たりになり、▲1一龍に△5七歩成という変化が考えられる。それに、▲4三歩に対して△4二ではなく△3三金と角取りに逃げておく手もありそうだ。
 ①△6三同金の変化は、先手が良いとは思うが、簡単ではない。

 ▲6三桂に△同金が思わしくないなら②△6一玉と躱す手のはどうだろうか?
 △6一玉には、▲3二成桂が調子が良い。後手は△3八とと飛車を取りたいが、▲7一金△5二玉▲4一角で詰んでしまう。かと言って、▲3二成桂に△同銀と取るのは▲同飛成で先手勝勢。そこで、もう一手△7二玉と先逃げする手がしぶとい。飛車当たりになっているので、▲3三飛成(変化図2ー2)と成り込むが、やや不満な成り込み位置。

 図より△4四銀と逃げる手や、逃げずに△8七歩と攻め合う手がある。先手が良さそうだが、相当難解な形勢。

 結論めいたことを言わせていただくと(自信なし)……
 ▲6三桂と打てば、①△6三同金も②△6一玉も難解ながらも先手がやや良し。

 先手が気持ちよく攻める手順なので、先手ペースで先手が勝ちやすそうだが、気持ちよく攻めている割には難解なので、《おかしいなあ》と焦りが生じるかもしれない。たいていの場合、後手が間違えそうな将棋だが、相手が藤井八冠なので踏みとどまる。そのうち、こちら(先手)が間違えてしまうことも大いにあり得る。


 実戦は、▲6三桂とせず、▲3六飛と角取りに逃げ、△5九角成▲同銀と進み、ほぼ互角に。実は、△5九角成では△3七角成が正着で、後手が優勢だったらしい。
 ▲5九同銀以後、△3五歩▲同飛△3四歩(第6図)と進み、

 ▲3四同成桂△同銀▲同飛△3三銀と進む。
 上記手順中、▲3四同成桂では▲4三成桂が、また、△3三銀では△4三銀が正着だったらしい。
 3三に歩でなく銀を打ったのは、▲2四飛と回られる手を防ぐためだが、△4三銀でも飛車回りは防げている。歩を使わなかったので、飛車回りには△2三歩と打つ歩が残っている。銀の位置は3三より4三の方が良いということなのだろう(よく分からないが、3二の金が浮いているかいないかの違い)。
 ともかく、△3三銀に▲3六飛と引いた局面はほぼ互角。
 ただし、ここで最善手を指すのが藤井八冠。やはり、最善手の△8七歩(第7図)を着手。

 歩を打たれて…
《そうか、藤井八冠に攻めのターンが回ってしまったのか……気がつけば、後手陣には敵影(先手の駒や足掛かり)が消えてしまっている
 評価値は互角でも…………》

 そこで、後手陣に手を付けておこうと▲2一角……
 次に▲3二角成と金を取られると、一気に後手玉は危険になる。△4二金と躱すなら、▲8七角成と打った歩を払いつつ、馬を自陣に引き付けることができるのだが……藤井八冠は△8六飛。この手が厳し過ぎた。
 ▲8九歩と受けたが△7六桂の追撃され、▲9七銀と飛車当たりに受けても、かまわず△5七歩成とされ、▲8六銀に△5八と左で先手玉に必至が掛かってしまった。羽生九段、敗勢に

 ▲2一角では、▲7六銀が粘り強い手で、まだまだ熱戦が続いていただろう。また、“寄せてみろ”と強く▲8七同金とする手もあった。以下△5七歩成に▲7六角なら、藤井八冠ももう一汗かかねばならなかっただろう。

 
 羽生九段は▲8一飛と王手。合駒に金を使ってくれれば、先手玉の詰めろ(必至)が解けるが、藤井八冠は当然、△6一金と金を引いて受ける。その後も正確に受け続けた。
 △5二玉で、羽生九段、投了。 



 面白い将棋だったが、やはり、負けたのは残念。本音を言えば、面白い将棋でなくても、勝ってほしい。
 ▲2一角が残念だったが、敗因は別のところにあったと思う。
 ここ数年の傾向として、中盤までは“斬り合い辞せず”と、強く踏み込んでいくが、終盤に差し掛かると、妥協してしまうことが多い(本譜で言えば、▲6三桂を逃した“▲3六飛”、第6図の△3四歩に対する“▲同成桂”
 勝ちを求める貪欲さが薄くなってきているように思う。
 それともう一点。
 中盤戦までで将棋力が消耗・摩耗してしまう。“局面でのアンテナの感度”、「“大局観”(ここはこう指せないとおかしい)と、それを実現させる“読みの精度・深さ・意欲”……終盤戦になるころには、そういったものが摩耗してしまう。
そんな気がする。

 とは言え、NHK杯の決勝戦での解説は、非常に手が良く見え、読みも正確だった。
 そう、羽生九段はまだまだ強いのである

(「その3(追記)」に続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023年度NHK杯将棋トーナメント 準決勝 羽生善治九段-藤井NHK杯保持者 その1

2024-03-19 15:21:47 | 将棋
決勝戦の放送も終わってしまいましたが、準決勝です。


 角換わり模様の出だしだったが、後手の藤井NHK杯保持者(以後“藤井八冠”と表記)が雁木を選択。
 角換わりの通常の初手▲2六歩ではなく、▲7六歩と指し飛先の歩も2六で留め▲7八金を先に指したので、羽生九段が後手雁木を誘導したのかもしれない。第1図の先手の陣形は短手数で固め、右四間飛車腰掛銀と戦闘意欲十分の構えだ。
 後手は居玉のうえ、桂頭も手薄。仕掛けるなら、今がタイミング。▲4五歩△同歩▲7五歩△同歩▲2四歩△同歩と進む。

 《陣形の差(後手は居玉で桂頭に弱点)》、《攻めている》ので、アマチュア二段同士なら相当先手の勝率が良いはずだ。もちろん、藤井八冠は先手の仕掛けとの間合いを計り、仕掛けられても大丈夫(悪くはならない)と見ている。
 ここで(第2図で)、▲4五桂と跳ねるのが順当と思われたが、羽生九段は▲3五歩。△同歩なら3三への歩の叩きが生じ、攻めの手段を広げる羽生九段好みの突き捨てだが、藤井八冠は取らずに△7七角成▲同桂△2六角(第3図)と角交換から先手飛車に当たりを掛けられ、

 ▲3八飛を強いられ△4六歩と突きだされ、先手の5六の銀がいなくなると△4七歩成とされる嫌味が生じている。それにより、《先手の先制攻撃から主導権を取って攻める》という目論見だったのが、《攻め合い》に持ち込まれてしまった感がある。
 先手としては、《先手攻勢、後手守勢》でも《攻め合い》でも攻めるという選択肢には変わりはなく、▲3四歩と攻めを継続。対する藤井八冠も△8六歩▲同歩を利かせ、△5五歩と狙い筋を敢行。▲同銀なら△4七歩成があるので、後手の攻めが部分的には決まってるのだが、先手も▲4五桂と跳ねて、全軍総攻撃の態勢。『肉を切らせて、骨を断つ』という兵法だ。

 後手も△5六歩と銀を取り、次に△4七歩成(これが飛車取りになる)を見せる。この猛烈な攻め合いは、先に銀を取った後手の攻めが速いように思えるが、NHKのAI形勢判断は若干先手に振れていたように思う。

 後手としては、銀取りに△5五歩と突きだした手では△7五歩、△5六歩と銀を取る手では△4四銀と手を戻す手が有力だったようだ。実際、感想戦で藤井八冠も「△7五歩の方が良かったかもしれない」と言っていたような…
 ただし、藤井八冠の感想はともかく、AIの評価値……例えば、勝利確率60%であっても、その60%の有利を維持する手が指せなければ意味がない。要は、棋士(人間)のトップレベルが勝ちやすいかどうかが問題なのである。

 とは、言ったものの、テレビ画面のAI形勢判断や候補手には、どうしても目が行ってしまう。
 △5六歩と銀を取られた局面は、評価値は“先手やや良し”だったと思う。そして、候補手の最上位(最善手)は▲7四歩(変化図1)

 私からすると、△4七歩成が相当な脅威で、対する▲7四歩は単なる桂取りで、反撃のパンチとしては軽すぎるように思える。
 しかし、△4七歩成には▲3六飛が角取りになる。この角取りには、△5九角成と切る“返し技”があるが、▲5九同銀と取る手が次の△5七歩成に対する先逃げとなっており、先手からは次の▲7三歩成の非常に厳しい手が残っている(△7三同金には▲5三桂成がある。角を切ったことで2六の角の5三への利きもなくなっている)
 なので、▲7四歩には△同飛としておく方が良いのかもしれない(飛車を7四に移動させた方が先手の得になるのかは私には分からないが、NHKのAIは“▲7四歩が良い”と言っていた)
 でも、これはAI的な手で、藤井八冠ならともかく、人間には浮かびにくい手だ。羽生九段は、人間の最善手の▲3三歩成。
 以下△3三同桂▲同桂成に△4七歩成と進む。

 ここで、羽生九段は▲3六飛と躱す。角取りの先なので当然に思えたが、この手で画面の形勢判断の藤井八冠の帯グラフがにゅ~と伸びた(60%ぐらいで藤井有利)。ただし、この将棋、AIにとっても難解らしく、よく帯が伸びたり縮んだりした。この局面について言うと、▲3六飛と指す直前で羽生有利の60%をが53%に減り、▲3六飛の直後には40%(藤井60%)になり、約30秒後に藤井八冠が指す直前は44%に戻っているという具合。

 ともかく、上記の評価値の変動が示すのは、《▲3六飛は疑問手で最善手を指せば、先手羽生九段がやや有利だった》ということ。
 で、その最善手というのは……「その2」に続く。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北陸新幹線敦賀延伸、開業……複雑な思い

2024-03-16 22:58:31 | 時事
 ニュースで、「晴れの新幹線乗車なので、正装で臨んだ」(←意訳)という辰巳拓郎の男性が「福井に新幹線が来るなど、思いもよらなかった」(←意訳)と述べていたが、そうではない。1973年に「整備新幹線」計画が決定されていた。この整備新幹線とは、「東北新幹線(盛岡 - 新青森)」「北海道新幹線」「北陸新幹線」「九州新幹線(鹿児島ルート、西九州ルート)」の5路線。51年前に、計画が発表されていたのである。「ようやく」という表現では全然足りないぐらい、長かった。
 東北新幹線は、盛岡までは「整備新幹線」以前に計画が決定していて、“あっと言う間に開業した”という感覚がある。大宮駅 - 盛岡駅間が1982年に開業(1991年(平成3年)6月に東京駅 - 上野駅間が開業)、2002年に八戸駅まで、2010年に新青森まで延伸している。
 北陸新幹線も、実は割と早かった……長野までは。長野五輪が1998年に開催されることもあり、1997年に開業。正式名称は「北陸新幹線」のはずなのだが、「長野新幹線」が世間では定着していた。かく言う私も「長野新幹線」と認識していて、長野まで開業した数年後に、「北陸新幹線は開業している」と聞いて、驚いた記憶がある。ああ、そうか、長野新幹線は北陸新幹線の一部だったんだな……と再認識したのだが、長野以降は全く実現する気配はなかった。それでも、1999年に、南越駅(現・越前たけふ駅)までの工事の認可が決定した。
 しかし、予算がつかない等、なかなか実現する見通しは立たない状況だった。それでも、金沢までは2015年に開業。もしかしたら、金沢まででストップするかもという懸念はあったが、2012年に金沢以西が着工。2023年開業予定だったが、1年遅れの2024年3月開業となった。

 福井県民はこの1週間は落ち着かず、昨日は心がざわつき、今日はふわふわしていた。新幹線駅界隈は、お祭り騒ぎだった。
 と言っても、懸念される点がいくつかあって、一番の課題として挙げられていたのは、恐竜博物館、東尋坊、永平寺、朝倉遺跡などの観光地が点在しているのに、地方交通が貧弱ということ。鉄道は北陸本線(第3セクターに移行)以外は2,3本。バス運行力は都道府県で最下位。そこで、周遊型観光バスや、越前市では観光向け500円タクシーで補おうとしている。
 福井県の売りとしては、越前ガニ、越前そばなど食がおいしいこと。そこで、食スポットを充実させているようだ。とにかく、100年に一度のチャンスということで、いろいろ、施設や利便性のアップ図っている。
 でも、本当に福井に人が来るのだろうか?「金沢まででいいんじゃない」と思わないだろうか?金沢は兼六園や街並みや近江町市場など、金沢市全体が観光地で、北陸と言えば金沢と連想する人がほとんどと言っていいだろう。福井まで来るのだろうか?いろいろ施設を作っているが、心配……そうならないよう、皆、頭脳や労力を絞っているのだろう。

 個人的な都合で言えば、新幹線延伸で不便になった。
 福井、金沢回りで東京に行っても、従来の米原回りとほとんど時間は変わらない。たけふから利用できるのは、最速の「かがやき」は1日2本で、各駅停車の「つるぎ」から「かがやき」に福井で乗り換えなければならない。料金も米原回りより少し高い。
 米原回りの方が時間的にも料金的にも若干、得だとは思うが、これまでは「しらさぎ」で米原まで行って、米原で東海道新幹線に乗り換えていたが、今後は、「しらさぎ」が敦賀までの運行になったので、敦賀までは第3セクターの列車または、北陸新幹線で敦賀まで行って、敦賀で「しらさぎ」に乗り換えなくてはならなくなった。
 また、京都・大阪との行き来も、「サンダーバード」も敦賀止まりなので、敦賀乗り換えが必須となってしまう。関西や東海方面から北陸に来る人も減るのでは……
 まあ、そんなに再々、遠出するわけはないので、余計な心配と言えるが……

 1999年の工事の認可は南越駅(越前たけふ駅)までだったはず。武生止まりだったらよかったのに……
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする