英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

すずめの戸締り

2024-04-30 17:47:37 | アニメ
【ストーリー】公式サイト:冒頭部分のみ(全文は文末に)
 九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。
 彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。


 というのが冒頭シーン……ではなく、幼い女の子が泣きながら必死に母を探している。しかし、母は見つからず、泣き暮れているところから始まった。……そこに、人影が……
 そこで、ヒロインの鈴芽(すずめ)が目を覚ます。冒頭のシーンは鈴芽の夢だった。と言っても、全くの夢や幻ではなく、遠い過去の記憶や前世の出来事だったりと、物語の根底にあるモノとか、重要な鍵であることがほとんど。(映画やドラマでよくある手法で、それをどうこう言うつもりはない)

 詳細の感想はネタバレになってしまうので、まず、さっくりとした感想を。
 夢から覚めた鈴芽、母(実際は叔母)との朝の会話、登校と日常生活が始まったが、登校中、「この辺に廃墟はないか?」と尋ねられる。心当たりを教えて別れるが、その青年に何となく既視感を感じ、気になり廃墟へと向かう。
 そこで、異次元?への扉を見つけ、水没していた石像らしきものを引き抜く。すると、それは猫のような小動物に変化し、その場を走り去ってしまった。怖くなった鈴芽も、その場を逃げだし学校へ。
 昼食中、廃墟のあるあたりから黒い煙を目撃するが、それが見えるのは鈴芽だけ。その煙が、どんどん大きくなり龍のような形を成していく。ただ事ではないと、再び廃墟へと走る。

 異次元への扉を開き、不可思議な冒険が始まる……冒険と言うより、困難苦難の連続だが、《どうなる?》という好奇心でコマーシャルをスキップする(金曜ロードショーを録画したものを、3数日前に視聴)。
 『すずめの戸締り』というタイトルから、異次元と現世を管理する雀が扉を閉め忘れ、それを偶々見つけたヒロインが異世界に迷い込んでしまった……『不思議の国のアリス』的なストーリーかと思ったが然に非らず(さにあらず) 。
 また、得体のしれない石造を引き抜いたため大変な騒動が起きる『学校の怪談』的な展開かと思ったが、もっと大変だった(『学校の怪談』では石像ではなく、土偶か埴輪)
 “考えるより行動が先”になるヒロインということもあって、展開が早くぐんぐん引き込まれる
 日本各地を旅するその風景が美しかったのと、異世界の風景や異形のモノの描写も神秘性や迫力があった。
 ただし……
 物語の設定や展開に納得がいかないモノが多かった。視聴者(観客)を置き去りにする不親切さも感じた。
 それと、設定の題材に疑問を感じる人が多いかもしれない



★以下はネタバレを含みます
【設定について】(よく分かっていないところもありますが)
“ミミズ”と“閉じ師”
 廃村(ゴーストタウン)、閉校、閉園した遊園地など、人の生活エネルギーや思いが欠落してしまった場所に異世界(常世)と現世をつなぐ扉の“後ろ戸”が出現する。(ラストシーンで草太は「人の心の重さがその土地をを沈めているんだ。それが消えて後ろ戸が開いてしまった」と語っていた)
 その後ろ戸から災いを成すものが現世に侵入し災いを起こす。この物語では、ミミズが大地震を引き起こす。
 普通はミミズではなくナマズだと思うが、ナマズだと出現してから倒れ込む(地震発生)までの時間が少なそうで、ミミズ(長いモノ)にしたのだろうか?
 その“後ろ戸”を見つけ、常世にミミズを押し返しを閉め鍵を掛ける……所謂、“戸締り”をするのが、「閉じ師」である草太の役目なのだという。

 草太も即行動タイプ。壊れた子供用いすにされたにもかかわらず、ダイジンを追って街に飛び出す。フェリーに乗った大臣を追って愛媛まで行き、そこで、「今までありがとう、鈴芽さん。ここでサヨナラだ。気をつけて帰りなさい」と椅子の姿でトコトコ歩いていこうとする。結構、短絡的の考え足らずだ。おまけに、寝起きも悪い。

要石のダイジンとサダイジン
 ゴーストタウンの後ろ戸のそばに設置されていた石像のようなモノ。ミミズを抑える役割を担っていた。
 要石は2つ。西のダイジンと左のサダイジン。

 ダイジンはSNSで名付けられた名だが、ルミのスナックで客としていた時、“ダイジン”と名乗っていた。一般人には人に見えるような術を用いていたようだ(鈴芽と草太には猫のままに見える)。本当に“ダイジン”という名なのか、SNSで名付けられたのを使用したのかは不明だが、“サダイジン”は本名?らしいので、“ダイジン”も本名なのかもしれない。“サダイジン”は鈴芽に尋ねられ、環の口を借りてそう答えていた。
 草太は要石の名は知らなかったようだ。草太の祖父は、大臣とは既知の仲で(名称で呼びかけはしなかった)、敬っていた。もしかしたら、草太の祖父がダイジンを要石として設置したかもしれない。

 ゴーストタウンで鈴芽に引き抜かれ解放され、生身?の猫に戻り、その場から逃走。
 要石が抜かれたせいで、ミミズは活発化し各地の後ろ戸から現世に出現し災いを成そう(地震を引き起こそう)とした。
 ゴーストタウンの扉を何とか閉め鍵を掛けたが、草太の怪我の処置をしている時に現れ、餌をもらう。
 愛らしいダイジンに、鈴芽は「うちの子になる?」と何気なく声をかけると
「すずめ やさしい すき」「お前(草太)、邪魔!」と言い、草太を3本脚の“子ども椅子”の中に閉じ込めてしまう(草太を子ども椅子の姿に変えたとも考えられるが、食べる必要がないようなので、“閉じ込められた”と考えられる)
 鈴芽が好きで、一緒に居たいダイジンにとって、草太は邪魔な存在。排除するついでに、自分の代わりに草太に要石の役目を押し付けた。自分を要石にした“閉じ師”への仕返しかもしれない。
 客を招く力があるのかもしれない(ルミのスナックが、やたら賑わった)

 サダイジンは東京に設置されていた要石。大きな黒猫の姿。
 東北へ向かう途中のサービスエリアで環に憑依し、環の心の奥にあるモノを吐露させた(後述)。その後、実体を出現し、歯向かうダイジンを簡単に撃退。以後、旅に同行。
 
 ダイジンがあちこちに出現し、SNSにアップされている様子を見た草太は
「気まぐれは神の本質だからなあ」
と呟いていたので、神様の一種と考えられる。

鈴芽の“戸締りの旅”
宮崎県の“静かな町”……鈴芽の住む町。今回の発端の地。後ろ戸はゴーストタウン(リゾート地?)の植物園風の建物
愛媛の廃村……土砂崩れ?によって、廃校になった中学校の生徒玄関が後ろ戸になっていた。民宿の娘(高校2年生)の海部千果と出会う。
神戸の遊園地……閉園になって長い。後ろ戸は観覧車のワゴン。なぜか、電気系統は稼働。愛媛でスナックのママ・二ノ宮ルミの車に拾われ、世話になる(ルミの息子と娘の託児係や、店の下働きでこき使われる?)
東京……東の要石も存在。地下鉄の地下軌道の脇の広場に後ろ戸があった。要石も抜け、ミミズ本体が東京上空を覆って降りてくる。降り切ってしまうと、関東大震災の再来。要石となった草太(形態は椅子)を突き刺してミミズを沈める。草太の友人・芹澤朋也と出会い。鈴芽が東京の後ろ戸を戸締りを終え、東北に向かう時にタイミングよく現れ、東北の旅につき合う。東京出発時にダイジンと環も同行。途中のサービスエリアでサダイジンも合流。
東日本震災の東北の被災地……鈴芽の生家の跡地付近に後ろ戸が存在。震災時に鈴芽が後ろ戸から常世に迷い込んだらしい(後述)。鈴芽とダイジンが“草太椅子”を抜き、要石の役から解放。鈴芽と草太がダイジンとサダイジンを要石としてミミズに突き刺し、沈静させる(後述)。その後、常世に居た幼少期の鈴芽と出会う(後述)。後ろ戸を閉め、鍵を掛けて終了。


謎や疑問点(問題点も併記)(私の理解力不足があるかもしれません)
主要登場人物が口下手?(きちんと説明する気がない)
 鈴芽も草太も、“即行動タイプ”(口より手が先)。“ミミズ”に関しての知識は何もない鈴芽(視聴者)に対して、草太は多くを説明しない。椅子にされたうえ、ダイジン逃走、ミミズ発現と緊急事態が発生するので仕方がないとは思う。しかし、ラストシーンになって草太は「人の心の重さがその土地をを沈めているんだ。それが消えて後ろ戸が開いてしまった」と語るのは、遅すぎる
 ストーリー前半で、「“後ろ戸”になっていた」というセリフがある。《“後ろ戸”と云うからには、“前戸”があるのか?》、《鈴芽が後ろ戸から見える常世に行こうとして、行ったり来たりして、前から入ったところでやめたので、“後ろ戸”という状態になってしまった?》などと思ってしまった

(東京の“後ろ戸”越しに、要石になってしまった草太を見た鈴芽が、助けに行こうとするが、そこは常世なので行くことができない。そこで、草太の祖父を尋ねるが、
「人がくぐれる後ろ戸は生涯ひとつだけ」だと言う。
 ……《じゃあ、もう常世に行くことはできないのか》(生涯に一度だけしか後ろ戸をくぐって常世に行けない)と解釈したが、《他の後ろ戸では常世に行けない。くぐれる後ろ戸は一つだけ》という意味で、くぐれる後ろ戸は一つしかないが、何度もくぐって常世に行けるらしい。「生涯ひとつだけ」という表現にで、誤解してしまった。

“閉じ師”と“戸締り”に関する疑問
“閉じ師”について
………代々受け継がれている神職?
 ただし、それだけでは生活できないらしく、草太は教職に就く予定(今回の騒動で、採用試験を棒に振ったが……)
 全くの無給か、薄給なのかは不明。給料(手当、報酬、お礼)が支給されるのか?
 団体、協会とかいう組織があるのか?他に、閉じ師がいるのか?
 そもそも、草太の両親は?
 今回の一大事が収束した後も、後ろ戸を探して旅をするので、閉じ師がたくさん存在するとは思えない。

“戸締り”について 
………後ろ戸を見つけて、祝詞(呪文)を唱えながらミミズを後ろ戸の内側の常世に押し込め、扉を閉じて、鍵を掛ける
 《“人の心”(人の生活)が消えると後ろ戸》が開くのなら、現代日本では、至る所で後ろ戸が開きそう。
 草太には後ろ戸に対して予知能力も感知能力もない(希薄)ので、今回を見る限り、間に合うとは思えない。
 もっとも、今回は要石が抜けてしまったので、後ろ戸の発生頻度が高く、ミミズの侵入速度が速いのかもしれない

やはり口下手な要石たち
 草太を椅子に変え、各地で後ろ戸を開け回る(ように見えた)“かまってチャン”に思われた。実は、要石の役目を放棄したものの、後ろ戸を放置できず、鈴芽に警告していたようだ。鈴芽に好かれたかった気持ちもあったようだ。
 不穏な登場の仕方をしたサダイジン(後述)に対し、戦いを挑んだダイジンだったが敢え無く撃退される。一見、サダイジンの悪の所業のように思われたが、おそらく責務を放棄したダイジンを戒めたのだろう。これも、分かりにくい。

 制作サイド(脚本)は、“ネタバレ防止”に努めたようだが、不親切すぎ。


 ネタバレ防止の為の説明不足や設定に無理があるというのは、ある程度は仕方がないと考えるが、一番納得できなかったのは、
《東北の旅の途中のサービスエリアでの鈴芽と環の言い争い》
今回の家出(←環にはそうとしか思えない)について、
「話しても分からない事だから、環さんには」
「環さんこそ帰ってよ。ついてきてなんて頼んでない」
という鈴芽の言葉に、激怒する環。
「あんたには分からんと!あたしがどんだけ心配して来たか?」
「それが私には重いのっ!」
そして、キレる
「はあぁぁ……もう、私……しんどいわ!
 鈴芽を引き取らんといかんようになって、もう10年もあんたの為に尽くして、バカみたいやわ、あたし。
 どうしたって気ぃ使っとよ、母親亡くした子どもなんて。
 あんたがいたから、ウチに人も呼べんかったし。
 コブ付きじゃ、婚活だってうまくいかんかったし。
 こげな人生、おねえちゃん(鈴芽の母)のお金があったって、全然割が合わん!」
「……そう…なの?
 でも、私だって、来たくて一緒にいたんじゃない。
 環さんが言ったんだよ、“うちの子になれ”って!

そんなの覚えちょらん!
 あんたぁ!ウチから出てってよ!あたしの人生返してよ!


 サダイジンは環の心の奥にある不満を吐き出させて、鈴芽にもそれを理解させ、環自身のモヤモヤも一掃させようとしたのだろう。
 実際、環は鈴芽に対してどこか遠慮と言うか距離を置いて接していたように推察できるし、そのせいか、いつもカリカリしていたように感じる。鈴芽も環のそんな距離感を感じていて、鈴芽も遠慮というか、心を100%ゆだねてはいなかったようだ。
 ただし、本音ではないと言え、心の奥にある気持ちであることには変わりはない。鈴芽もサダイジンが言わせた言葉であるとは理解できるが、全くの嘘ではない心情を、環の姿で環の口から環の声で発せられたことはトラウマになってしまうのではないだろうか?
 このシーンは、鈴芽が何気なくダイジンに「うちの子にならない」と声を掛けたのとリンクさせていると思うが、必要なシーンだったのだろうか?
 それはそうと、鈴芽も今回の戸締りの旅について、環に説明しなさすぎ!


冒頭シーンで、鈴芽に近寄った人影は?
 《実際に震災時に鈴芽が体験》、《後ろ戸から鈴芽が覗き見たビジョン》で登場した人影を鈴芽は母親だと思った。それで、「死ぬのは怖くない」…常世(あの世)に行けば母に会えると思ったようだ。しかし、今回の旅で、《草太がいない世界になるのが怖い》という気持ちになった。
 で、その人影だが、実は自分だった。草太の靴、草太が掛けてくれた上着(コート?)を身に着けていたので、最初、草太を観た時、あの人影の人物かと思ったフシもあったが、そのせいで、まさか自分だったという発想はなかったようだ。その時の記憶もはっきりしないし。
 おそらく、このタイムパラドックス的な仕掛けも、新開氏がやりたかったことなのだろう。
 母を失い(行方不明)、明日を観ることができない幼い自分を、まさに“明日そのものである自分”が励ます……素敵なシーンだ。
 今回の旅で、草太、千果、ルミ、芹澤、そして環の心に触れ、成長した鈴芽だから励ますことができたのだ。


細かな疑問 
不可解な椅子の輪廻
①母親の椿芽(つばめ)が作製
②鈴芽の部屋で3本脚状態の椅子←草太が閉じ込められる
③草太椅子と鈴芽が戸締りの旅
④東京で草太椅子は要石と化す(常世で存在)
⑤東北の後ろ戸から、鈴芽が常世に行き、草太を要石から解放(3本椅子と草太が分離)
➅常世で幼少の鈴芽を見つけ、3本椅子を渡して励ます
⑦環が3本椅子と一緒の鈴芽(幼少)を発見。その後、宮崎の鈴芽の部屋に存在
………という流れで、⑦→②というループになる。
 ①で作成された椅子は震災で足が1本欠落したと想像できるが、その後どうなったのか、途切れている。全くの謎だ!
 常世で鈴芽が幼少鈴芽に渡したのは、震災当時の椅子ではなく、宮崎の鈴芽の部屋で草太が閉じ込められた椅子なのだから……

  
草太の部屋の書物で肝心な部分が黒塗り?
 東の要石の場所を調べたが、肝心の部分が黒塗りにされていたのは何故?

要石だったダイジンは現世側にあった
 宮崎のゴーストタウンの後ろ戸付近で、大臣の要石を鈴芽が抜いたが、その場所は現世と思われる。
 東京上空で要石としてミミズを封じた草太椅子は常世に存在していた事に反している。

東の要石のサダイジンを抜いたのは誰?
 これは、西の要石のダイジンが抜かれてしまったことに連動して、抜けてしまったと考えられる。要石の効力が弱まったため、ミミズが抜いたのかもしれない。

解放されたサダイジンが、しばらく所在不明
 東京で解放されたサダイジンだが、サービスエリアに出現するまで所在不明。何をしていたのか?


最後に
 超巨大な不幸・悲しみを生み出す大地震を題材にするというのは、決断が必要だっただろう。
 しかも、要石の力もあったが、《若い男女の力(決死の思いはあったが)で巨大地震を防ぐ》という物語は、大バッシングを浴びるかもしれない。
 実際そういうバッシングを受けたかもしれない。(私は、今回のテレビ放送までこの『鈴芽の戸締り』を全く知らなかった)
 私自身、震災被害は全く受けていないので、その件に関して意見を言うのははばかられるが、支持したいと思っている。




【ストーリー】公式サイトより
 九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。
 彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。

 扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、草太は扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。すると、二人の前に突如、謎の猫・ダイジンが現れる。
「すずめ すき」「おまえは じゃま」
 ダイジンがしゃべり出した次の瞬間、草太はなんと、椅子に姿を変えられてしまう―!それはすずめが幼い頃に使っていた、脚が1本欠けた小さな椅子。逃げるダイジンを捕まえようと3本脚の椅子の姿で走り出した草太を、すずめは慌てて追いかける。

 やがて、日本各地で次々に開き始める扉。不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”。
 旅先での出会いに助けられながら辿りついたその場所ですずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。
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U氏は、どこかよそのお伽の国の日本にいるらしい

2024-04-27 21:13:50 | 時事
円安が加速する中で日銀の金融政策決定会合が開かれ、政策金利の維持や国債購入の継続を決定。
会合後の会見では「当面は緩和的な金融環境が継続する」と述べた。


 物事にはプラスとマイナス、陰と陽、表と裏があり、一方を立てればもう一方が立たない。すべてがうまくいく政策なんてないのだろう。
 金融の緩和政策を維持すれば、米国経済や金利政策の差で、円安が進行するのは目に見えている。
 金融緩和の維持を決めたとしても、もう少し、表現を曖昧にしても良いだろう。(曖昧、あやふやな表現は得意なのでは?)

 日銀も政府も「注視する」とか、なんだかんだ言っているが、1ドル150円台というのは許容範囲なのだろう。
 許容範囲どころか、もう少し安くなっても構わない。もう少し安い方が良い?と考えているのかもしれない。

 先に述べたように物事には表裏があり、円安はメリットもある。今夜のNHKの「ニュース7」では、円安進行に触れた後、ゴールデンウイーク初日ということもあり、行楽地の外国人観光客が円安の恩恵を受けている様子を報じていた。その分、海外旅行者は大変。ネットで調べると、アメリカでハンバーガーが約1210円(9.29ドル)だそうだ。これは4月7日の記事。現在は158円超なので、9.29×158=約1468円ということになる。
 しかし、この報道は《円安でインバウンド効果が大きい》という印象を強く与える。まあ、《円安で海外旅行に行く日本人は大変》というマイナス面も述べてはいるが……
 問題なのは、その他の面について一切述べていないことだ。
 円安になれば、輸入する原材料、原油などが高くなり、原材料費や光熱費も高くなり、ガソリン代などの経費もかさむ。つまり、物価が高騰。
 これまでも、物価上昇の要因として、人件費アップと並んで、原材料費などのコスト高が挙げられていた。
 逆に、輸出産業は円安は追い風になると考えられる。しかし、純粋に円安の恩恵を受けられるのは、海外に工場を持つ企業で(資金のやり取りがドルなら円安は関係ないのかな?)、国内生産タイプの企業はコスト高の影響を受けてしまう。
 とにかく、輸出、輸入の区別なく下請け会社はもろにコスト高の影響を受けてしまう。価格転嫁ができればよいが、なかなか難しいのではないだろうか?
 価格転嫁ができたとしても、それはそれで、物価が上昇してしまう……



 金融緩和の維持の理由は、借入金がある企業の倒産の恐れが高まるなど色々あるのだろう。
 巨額な国債を抱えてしまっているので利上げできないという話もあるらしい。
 円安で輸出企業や観光業が潤えば、他の産業のマイナスを埋められる……かもしれない。
 もしかしたら…もしかしたら(笑)……《日本の30年後ではなく、今、自分たちが潤えばよい。そのための政策をすればよい》と考えているのかもしれない。もしかしたら(笑)

……それはともかく、これまでの状況(経緯)を十分熟知していて、さらに、今後の展望も予見できる能力を有しているべきの方が、今日の会見で
「基調的な物価の上昇率に、円安が今のところ大きな影響を与えているということではない」
と述べたのは、許し難い理屈だ。

 会見中も円安が1円くらい進行した。
 もしかしたら、U氏はどこかよそのおとぎの国の日本に住んでいるのかもしれない。
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天使の耳~交通警察の夜 (NHKドラマ10)

2024-04-26 21:36:53 | ドラマ・映画
【原作】
東野圭吾による日本の短編推理小説集。1992年、『交通警察の夜』の題名で実業之日本社より単行本が刊行。1995年、『天使の耳』に改題されて講談社文庫版が発売(ウィキペディアより)
【テレビドラマ】
『天使の耳〜交通警察の夜』(てんしのみみ こうつうけいさつのよる)のタイトルで、2023年3月20日に NHK BS4Kで放送(前後編の一挙放送)。同年6月10日・17日にNHK BSプレミアムでも放送された(前後編の全2回)。
2024年4月2日から4月23日まで、地上波のNHK総合「ドラマ10」枠にて再編集版が全4回で放送された。(ウィキペディアより)


 原作は全6篇(編)。(作品の数や前篇後篇など“まとまり”を表す使い方では、本来は「篇」を使うべきだが、終戦後に定めた「当用漢字(常用漢字)」に、「篇」は除外され、「編」が代用されている)
 それぞれの話の交通課の警察官は別々だが、ドラマでは同じ警察署の交通課の陣内瞬(小芝風花)と金沢行彦(安田顕)が捜査に当たっている。
 それと、原作が書かれた時代と現代では、スマホやネット環境、ドライブレコーダー、防犯カメラ、Nシステムなどが大きく異なっているが、うまくマッチさせていた。

《第1話》
 陣内瞬(まどか・小芝風花)は念願の交通課に配属されて最初の事故は深夜の交差点での衝突事故。ベテラン刑事、金沢(安田顕)と現場へ向かうが、目撃者はおらず、一方の運転手は青信号での直進を主張。もう一台の運転手は搬送先の病院で死亡する。しかし同乗していた妹の奈穂が青信号だったと訴える。奈穂は目が不自由だが、ラジオから流れていた「リフレインが叫んでる」から青信号だったと主張するのだが…

《第2話》
 目の不自由な奈穂は、事故車のラジオから流れていた「リフレインが叫んでる」の歌詞のタイミングを使って青信号だったことを証言してみせると言う。奈穂の証言を立証しようと奔走する陣内(小芝風花)は、事件解決とともにある事実を突きつけられ、陣内は衝撃を受ける。
 そんな中、あらたな事故発生の報が入り、現場に金沢(安田顕)と駆けつける。事故車はあおり運転のすえ当て逃げされた疑惑が浮上する。被害者は命を狙われていると訴えるが…

《第3話》
 当て逃げの被害者は、以前にも命を狙われたことがあると言う。そして川に人が投げ込まれるのを目撃したと。証言通り男性の遺体が発見される。当て逃げをした車を探す陣内(小芝風花)と金沢(安田顕)だが、捜査の行方が思わぬ真相をあぶり出していく。
 そしてまた新たな事故が。トラックが急ハンドルをきり横転した。運転手は死亡、目撃者の証言から路上駐車していた車の運転手に疑惑がかかる。金沢は運転手にある不信を抱くが…

《第4話》
 トラツク横転死亡事故の原因を作ったのは、路上駐車をしていた主婦。歩行者だったために事故の加害者にはならず、陣内(小芝風花)はやり切れない思いを抱える。金沢(安田顕)もまた怒りをあらわにする。その様子に陣内は、金沢の過去を調べ始める。やがて15年前の事故をあぶり出す。ある路上駐車から始まる事故の真相とは…そして金沢の悲しい過去とは…


 東野圭吾氏の作品は、反することが多い「法」と「情」で登場人物や読者・視聴者が揺れ動くことが多いが、このドラマに於いては、原作よりさらにモヤモヤ感(ジレンマ感)が残るものとなっているらしい。金沢の過去の闇を加えているし…
 すっきりしないのは、原作当時と今とでは社会の風潮や考え方がかなり変わってきているからかもしれないし、NHKドラマなので、復讐ぽいことを成立させてしまうわけにはいかないという事情からかもしれない。


 事故の第一印象とは違う真相が明らかになっていく……という筋立てなので非常に複雑。それを詳細に表現する技量も根性もないので、第1事故「天使の耳」の感想のみを書きます(オンデマンドで実際にドラマを視聴するか、もっと優れたドラマ感想ブログをご覧ください)

《天使の耳》
 交差点での衝突事故。互いに青信号を主張するが、軽傷ですんだ若い男女の言葉はあやふやな点が多く、さらに、後日現れた目撃者も、当事者に頼まれた虚偽証言の可能性が高い。
 もう一方のドライバーは死亡。。後部座席に乗車していた妹・御厨奈穂は軽傷だったが、目が不自由で証言の信ぴょう性が低いと判断される。(奈穂は「目が見えないと“目撃者”ではないのか?」という痛烈な批判)

 ただし、奈穂は音に敏感で、記憶力も常人とはかけ離れており、その時、ラジオから流れていた『リフレインが叫んでいる』の歌詞のどこで、「青信号に変わった」という兄の声や、衝突の衝撃を受けたかを鮮明に覚えていた。
 その信ぴょう性を疑問視されたが、実際の実験で彼女はその能力を証明。それに加えて、ラジオ局で曲が始まる正確な時間、さらに信号機と時刻掲示板(時計)が映っている野次馬動画から事故発生時刻に兄が交差点に進入した時は青信号だったことが立証された(本来なら、信号機のデータから事故発生時刻の信号の色が分かるはずだったが、その少し前に停電が発生し、正確なデータは分からなかった)
 奈穂の特殊能力と陣内の熱心な捜査で、奈穂の兄は信号無視でなかったことが証明された……が……

 ところが、事故直後の自分たちに有利になるような証言をした同乗者の畑山瑠美子(足立梨花)が、まるで別人のように反省し、現場に花を供えてに来ていた。偶然、陣内も現場に来ていて、謝罪の気持ちと事故直後の様子を聞いた。
 瑠美子も、事故直後に電光時計を見ており、その瞬間に「00:00」から「00:01」に変わったのを見ていた。《奈穂の証言と一致》という見解を持ったのだが、実際にあの電光時計は約40秒(41秒だったかな)ズレていて、奈穂の証言とは一致しない。
 瑠美子の証言を基にすると、事故の瞬間は全赤状態(どちらの信号も赤)で、双方が信号無視ということになる。

 《金沢も奈穂の行動に疑問を感じていた》
・事故直後に奈穂がスマホの音を聞いているのを目撃(話している様子はない)……盲目者用の「通りゃんせ」の出だしの時刻を確認?
・翌日?事件現場に妹と来ていた……信号機の青→黄→赤→青の切り替わる時間を計っていた?
        
兄の言葉や事故の衝撃を、兄が青信号になるようなタイミングを割り出し、それに当てはめて『リフレインが叫んでいる」の歌詞を当てはめた?

 …………その推論が正しいと思ったが、ふたりはそれを追究することはしなかった。

第1事故《天使の耳》の感想
・事故発生時刻を割り出す論理・検証が面白く、さらに、その裏を突いた奈穂には恐ろしさを感じた(まだ、兄が生死を彷徨っているのに)
 事故発生後、まだ、それほど時間が経過していない段階(事故直後と言って良いかも)で、事故発生時の信号機の色について検証しようとしていた。
 まだ、この時は、兄の信号無視を否定しようとしていて、発生時刻をずらすことまでは考えていなかったかもしれない。
 この、冷静さと論理的思考は、コナン並である。
 音に関する機会並みの記憶能力は否定しないが、この冷静さと頭の回転の良さは信じがたい。
・本当の事故発生時刻が判明(100%ではないが)したあと、それについて追及しなかったのはどうなのか?
 《主人公がどういう選択をするか?》というのは、こうあるべきというモノはないと思う。
 しかし、あとの事件、特に金沢の結末を考えると、一貫性はない。
 《奈穂の兄(だけ)の信号無視による事故発生ではなかった(双方の信号無視)》ということで帰結するのが妥当だと思うが、それが明らかになれば、今度は奈穂の偽証が明らかになってしまう。……やはり、追及できないか……
 それでも、“ふとどき者”ではあるが、信号無視で一方的に罪を被って、大きな補償責任や行政罰や刑事罰を受けることになるのは、可哀そうかも。同情はできない奴だが、犯した違反は同じである。
・交通課着任の日が浅いので仕方がないとは思うが、被害者と思われる当事者に気持ちを寄せすぎ(金沢も注意をしていた)
 捜査によって当事者の今後が大きく左右されるので、冷静に公平に事件を検証してほしい。特に、聴取の際には、先入観を持たずに、真偽を見極めるべきだし、当事者に状況を正確に語ってもらえる聴き取りも重要。(今後に期待)
「交差点を横断」という表現はおかしい
 横断は「道路を横切る」行為だと思う。広義に解釈すれば、「横断」でも良いかもしれないが、「交差点に進入」あるいは「交差点を通過」が適切だと思う

全話を通して、他の話に関しての感想
・「天使の耳」のどんでん返し(奈穂の偽証)のせいで、第2事故の“玉の輿美人姉妹”は、怪しく感じて仕方がなかった
・浮気した相手が悪かったが、もう少し、巧く対処できたと思う。妹が悪知恵を働かせすぎ。
・このドラマの主題のひとつに
=======【『大矢博子の推し活読書クラブ』の記事より引用】=====
ドラマでは繰り返し「誰だってやってる」「みんなやってる」「よくあること」という言葉が登場する。前のクルマがのろのろ走っていたら後ろからせっつくくらい誰だってやってる、駐車スペースがない場所での路上駐車くらいみんなやってる。車の窓から何かを捨てるなんてよくあること。その「誰だってやってる」ことが大きな悲劇に結びつくのに、「誰だってやってる」程度の軽微な違反だから罰せられない。
===============================【引用・終】
が、あるが、「みんなやってる」「よくあること」というのは頻度が高すぎでろう。特に、煽り運転は。
 まあ、それはともかく、《路上駐車など大したことではない》(それほど悪いことではない)とか、《歩行者が飛び出しても罪は問われない》(故意でなければ)とか、安易な行為が命に係わる重大な不幸な結果をもたらす。その理不尽さを取り上げている。

 山下容莉枝さんが演じる金持ちのおばさんが、飛び出して、それをよけようとしたトラックがクラッシュしてドライバーが死亡。
 それなのに、ドライバーが“加害者”になるという。

 おまわりさん、別に罪にならないんでしょ?
私は歩行者だったんですもの。
こういうときってトラックの前方不注意ってことになるのかしら。」
 高笑い!


 ほんと、憎たらしかった!


 そして、金沢の過去の闇
 大雪の日、彼の妻が心臓発作を起こしたが、救急車も出動できない。金沢は自分の車で病院に搬送しようとした。
 道路に詳しい金沢は、裏道(抜け道)を通ろうとしたが、路上駐車の車があり、通り抜けられない。追突して何とか通り抜けようとしたが、うまくいかず、他の道に引き返して病院に行ったが、間に合わず、妻は死亡。
 路上駐車した車の持ち主は、被害者づらし(実際に、金沢が加害者で、路駐男が被害者)、修理費も大幅上乗せしていた。
 金沢は、彼に近づき親密になり、パーティに誘い、彼を酔わせる。そして、大雪の日の出来事を静かに語る。それが自分の事だと悟った男は、逃げ出し、山道を運転(飲酒運転)。その山中の道に路上駐車の車。後ろからは、金沢がクラクションを鳴らしながら接近。男は路駐の車の脇をすり抜けようとしたが、崖に転落。飲酒運転の末の死亡事故と判断された。

 “未必の故意”と言えるが、15年経ってしまっては、立証は難しいだろう。
 手錠を掛けられて移送される金沢が乗るカーラジオから『リフレインが叫んでる』が流れる。
 切ないラストシーンだったが、自首は良いとしても(NHKドラマだし、有耶無耶にはできないか?)、手錠されて移送というのは演出過多なのでは?
 「天使の耳」で使われたユーミンの曲を使いたかったのかな?と邪推してしまった。
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ゆるゆるの自民党案と  岸田総理の答弁…「~しなければならない」と「~する」は全然違う

2024-04-25 12:01:24 | 時事
政治資金規正法の改正での自民党案の「連座制」らしきものは、やはり“緩々(ゆるゆる)”であった。

自民党案の主旨
《議員の責任を強化するため、収支報告書の「確認書」の作成を本人に義務づけた上で、会計責任者が虚偽の記載などで処罰された場合、内容を確かめずに「確認書」を作成していれば、議員の公民権を停止することを柱》としている
 ”確認書”??……「収支報告書に署名と押印」でよいのでは?
 ”会計責任者が虚偽の記載などで処罰された場合”……《会計責任者が処罰されるまでは、議員本人はフリー》というタイムラグが生じる。
 ”内容を確かめずに「確認書」を作成していれば、議員の公民権を停止する”……内容を確かめるのが「確認書」であるはずなのに、“内容を確かめずに確認書を作成する”可能性を想定するモノなのか?まるで、《秘書など他人任せで、書類を作成するのが一般的》という認識である。
 それに、《内容を確かめて確認書を作成している》場合……つまり、収支報告書を故意にごまかした場合についてはどうなのか?
 ”議員の公民権を停止”……これも分かりにくい
 こういった文言を堂々と主張するのが信じられない!





「~しなければならない」と「~する」は全然違う
政治資金規正法の改正について岸田総理の国会答弁は、前に進む意思が全く感じられなかった
自民党の田中昌史氏:派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について
「政治とカネの問題で国民に多大な政治不信を抱かせている。岸田総理大臣は今の国会で政治資金規正法を改正するとしているが、同時に重要なのは、自己規律のもとで法を順守する姿勢だ。再発防止に向けた意気込みを示してもらいたい」
岸田総理
「不記載の慣行が長年続けられてきた背景には、コンプライアンス意識の欠如や『長いものには巻かれる』という風土があったと感じている。法改正により制度面から再発防止を図ることは当然で、今の国会で実現し、あわせて運用面でも党の改革を進め、再発防止につなげていかなければならない」 
―――――――――――――「いかなければならない」

立憲民主党の蓮舫氏:政治資金規正法の改正で、議員に収支報告書の「確認書」の作成を義務づけるなどとした自民党の案について
「会計責任者の処罰が確定していなければ『確認書』を提出しても国会議員には処分が連座しない。『なんちゃって連座』だ」
岸田総理
「議員が確認を怠った場合は本人の責任が問われることを『確認書』の提出で担保しようという内容だ。公職選挙法の『連座』と収支報告書の不記載に対する責任の厳格化はおのずと性格は異なる
―――――――――――――“自ずと性格は異なる”という理由は?そもそもどう違うのだろうか

蓮舫氏
「私たちは、議員にも報告書の記載と提出を義務づけ故意や重過失があれば議員も処罰となる『連座制』を提案している。歩み寄る余地はあるか」
岸田総理
「この問題にはさまざまな議論や意見があり、自民党としても深めていきたい
―――――――――――――「いかなければならない」の変形バージョン

日本維新の会の片山大介氏:自民党の案について
「与党の公明党にも促されようやく出されたが、中身を見ると本当にもの足りない。企業・団体献金や『政策活動費』の廃止も言及していない。これで十分だと思っているのか」
岸田総理
「再発防止に向けて議員の責任と透明性を強化する法改正は間違いなくやらなければならない。『政策活動費』などの問題も今後、与党や与野党の協議で議論していくという考え方を明記しており、この方針に従って深めていきたい
―――――――――――――「いかなければならない」の変形バージョン

公明党伊藤孝江氏:派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について
「公明党の案ではパーティー券の購入者名の公開基準を引き下げるべきとしているが、自民党案では触れられていない。自民党案に固執せず、国民の信頼を得るため真摯(しんし)に検討し協議に臨んでもらいたい」(自民党に遠慮して、“検討し協議に臨んでもらいたい”と表現)
岸田総理
「与党協議で真摯に議論したい。自民党のとりまとめの中でも政治資金パーティー収入の透明性は課題として掲げており、これも含めて与党として協議していきたい
―――――――――――――「したい」……「いかなければならない」の変形バージョンⅡ
―――――――――――――「いきたい」……「いかなければならない」の変形バージョン

共産党小池書記局長:政党から議員に支給される「政策活動費」をめぐり
「自民党以外はみんな見直そうと言っており、自民党が『うん』と言えば済む話だ。自民党だけがいかがわしい活動をやっていると思われてもしかたがない」
岸田総理
個人のプライバシーや企業の営業秘密などの観点から使途を明らかにすることには慎重でなければならないが、それらを踏まえたうえで議論することを避けているものではない」
―――――――――――――“個人のプライバシーや企業の営業秘密”を盾にする常套手段
 個人のプライバシーに関係する内緒の行動なのだろうか?
 政治と企業との間で関係する支出なら、それこそ、公にしないとダメである

小池氏:国会議員に支給されている旧「文書通信交通滞在費」、「調査研究広報滞在費」の見直しを言及
岸田総理「支出可能な経費を何にするかや公開のあり方といった残された課題も議論を行うよう改めて党に指示を出した。今の国会で結論を出せるよう各党と議論していく
  旧文通費も結局有耶無耶にされてしまった……
 ―――――――――――――“今の国会で結論を出せるよう各党と議論していく”……これも「~していきたい」と同様

国民民主党舟山参議院議員会長:安倍派の所属議員へのキックバックをめぐり、派閥会長を務めた森元総理大臣の関与について
「いろいろな状況証拠や発言がある中で改めて聴取なりをすべきではないか。証言の音声データもあるようだが、確認したのか」
岸田総理
「これまでの党の調査に加え、政治倫理審査会の弁明や発言、追加の聴き取り調査を踏まえても森元総理大臣の具体的な関与を確認することはできていない
―――――――――――――“確認することはできていない”も常套手段
 確認していなくてもOK(嘘をついたことにはならない)


法に触れなければ、問題なし
 収支報告書に議員の署名欄がなく、責任(罪)は秘書に押し付ける政治資金規正法だったが、今回も、違法にならない退避場所を設けるような自民党の緩々の改正案だった。
 政治資金を、その管理団体から使途を記載する義務のない後援会に移し、使途を明らかにしなくても問題ないようにしていること自体が問題なのに、そこには全く手をつけようとしない。
 収支報告書に無記載だったかどうかが、責任を問われる境界線というのも納得できない。
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舟を編む ~私、辞書作ります~ 最終話(第10話)

2024-04-23 19:03:50 | ドラマ・映画
【関連記事】
「第1話」「タイトルに違和感」

 面白かった!
 こういう収束に向かう連続ドラマで10話というのは、わざわざ困難やイベントを挿入してダレてしまったり、ストーリーに齟齬、矛盾が生じたりするのだが、ずっと面白くて、長さを感じなかった。
 ドラマ構成としては、中辞典を完成させるため、「言葉の選定」「語釈」「紙づくり」「図版」「表紙デザイン・装丁」「紙発行の中止」など段取り(工程)消化や難問解決を段階的にクリアしていく。そういう行程・工程も目新しいということもあったが、新人?女性編集員の成長や、彼女の新たな視点や疑問、柔軟な考えなどに応える編集スタッフたちの真摯で熱い情熱などを視聴者(私)は照射し続けられた。
 先週(第9話)では、“あるべき言葉”の漏れが発見され、すべての候補言葉を再チェックという地獄を見た。で、最終話……これ以上のイベント?があるのか?と思ったら、松本先生(柴田恭兵)が食道がんに罹患していることが分かり……《嗚呼、先生は発刊を見ることなく……》となるのか?と思ったら、違った。その代わり、アレがあった……
 新型コロナウイルスの感染拡大だ。

 ただし、《コロナによる編集スタッフが離脱》とか、《製本などの工程が進まない》とかではなく……
……「パンデミック」「濃厚接触者」「クラスター」「テレワーク」「不要不急」「生活様式」「密」「エアロゾル」など新型コロナウイルス感染拡大関連の言葉の重みが増してしまった。
 新たに加えなければならない言葉や、コロナ関連の収録言葉の語釈も再考する必要がある。……となると、ページ構成さえも変わってしまう。
 もちろん、「《新語などは、しばらく様子を見てその言葉が定着するか見極める必要がある》ので、無理ににコロナ関連の事項を修正しなくてもよい」と考えることもできるが、《辞典の意義…使用者の手助けになる》ということから、修正した方が良いのでは?
 そこへ、松本先生の奥さんが訪問し、お礼の言葉やお土産?(芋羊羹?)と共に、翠への手紙と編集スタッフへ松本先生の用例採集カードの束
 松本先生は、入院中でも辞典づくり(言葉の探求)に燃えていたのだ。

 《やはり、修正しよう》という意志が固まり始め、《どのようにしたら、発刊が遅れないようにできるか》と考え始めたところに、「印刷所(印刷機)が見つかりました」と製紙会社社員・宮本(矢本悠馬)が飛び込んできた。
 校了の遅れを印刷所を増やすことでカバー(究極の紙なので、どんな印刷機にも対応できるらしい)。

 もちろん、新たに語釈や図解を加える分を、他の言葉の語釈を用例などを削るのと、新たな語釈の検証なども行わなければならず、苦闘の日々が続いた末(当然、印刷開始の遅れは少ない方が良い)、無事校了を終えた。最終話も大変だった。
 ……という流れだったが、実は、最終回の主題はこれではない。

 新型コロナウイルス感染拡大により、
・松本先生と面会がままならない
・馬締氏の妻・香具矢が、小料理店「月の裏」の客足が途絶え、彼女の師の京都の料亭の手伝いをすることに
 という事態になってしまった。

 馬締氏は《香具矢がもし京都で感染したら、身近で支えることも出来ないし、もしかしたら、会うことも出来ないかも》と危惧し、「いってらっしゃい」という言葉を香具矢に掛けられなかった。

 馬締は
「距離には負けます。
 引き裂かれそうに苦しい時、そばに体温を感じられる距離にいられることに、比べたら……
 言葉なんて無力です

そんな馬締に、みどりは……!

 
 みどりは熱い恋心を綴った長文ラブレターを取り出し、熱く語る。
「滅茶苦茶感じた!……マジメさんのドキドキも、ちょっと上がった体温も、手の震えも、滲んだ汗も、不安も焦りも切なさも……
 溢れて溢れてどうしようもない香具矢さんへの恋と愛。
 それを伝えようって言葉を綴ったんじゃあないですかっ!
 この言葉たちは、そのために生まれてきたんじゃないですか?
         ………
 (『大渡海』への馬締の熱い思いを、みどりは訴える⇐申し訳ありません、省略します)
         ………
 負けちゃうんですかっ?距離なんかに!」


さらに、編集スタッフたちに松本先生からメール(ccメール、一斉メール)が届く

=========================================

(担当医に手足の痺れについて、「ピリピリと電気が流れる感じ」なのか、「氷水に長い時間浸していたような感じ」なのか、「ゴム手袋を何枚も重ねてはめている感覚」なのかを尋ねられたが)
「驚きました。私は手足に電気を流したことも、長時間氷水に手を浸したことも、ゴム手袋を何枚も重ねたこともないのに、ありありとその感覚が分かるのです。
 言葉の持つ力とは、何と不思議なモノでしょう。何と素晴らしいものなのでしょう

「病になって、やはり死について考えます。もう十分生きたはずなのに、恥ずかしながら、堪らなく恐ろしくなることもあります。そんな時、私はこんな想像をするのです……
 ………私の死後、あなた方が言葉を潤沢に、匠の使い、私の話をしてくれる。
 その時、私は確かにそこにあなた方と共にあるのです。
 言葉は死者とも、そして、まだ生まれていない者とさえ、繋がる力を持っているのだと。
 繋がるために、人は言葉を生み出したのだと……そう思えてならないのです。

 その瞬間、死への恐怖は、打ち上がった後の花火のように散り去って、
 消えることのない星の輝きだけが残るのです。

 新型コロナウイルスによって、人々が分断されてしまった今、まさに、言葉の力が試されているのかもしれません。
 無論、言葉は負けないでしょう。
 距離を超え、時を超え、
 大切な何かと繋がる役目を、見事果たしてくれることでしょう



  “辞書の鬼”と松本先生は評されるが、“辞書への情熱が常人とかけ離れている”ことへの比喩で、人柄は“仏”のようである。
 熱い情熱と奥行きのある温かさ……ぜひとも教えを請いたいなあ。
 そう言えば、柴田さんが『空飛ぶ広報室』で演じた鷺坂正司も素敵だったなあ。

 松本先生とみどりの言葉に後押しされて、馬締氏は出発間際の香具矢の下に駆けつけ、「行ってらっしゃい」と送り出す。
 「体温を感じられる距離には負けます」という馬締の弱音に対し、松本先生の言葉が《そんなことはないんだよ》と背中を押し、みどりの“叱咤激励”が尻を叩く……とても良いシーンだった。
 でも、馬締の弱音については、不満(疑問)を感じた。
 “言葉大好き人間”の馬締が「(言葉は)距離には負ける」と言い切ってしまうことに違和感があり、たとえ、そんな弱音を吐いたとしても、自力で思い直す……それが馬締なのではないだろうか!

 まあ、《香具矢を愛しく思うあまりに弱気になってしまった》というのも分からないではないので、《みどりに尻を叩かれる》というのもありだと思う。(みどりがヒロインだし)
 ただ、みどりの叱咤激励だけではなく、さらに松本先生の言葉に後押しされた後、馬締がようやく足を踏み出すというのは、どうなのか?
 せめて、自分のラブレターを見て、香具矢の下に駆けだし、そのシーンに松本先生の言葉がが被せられるというのなら、納得できる。

 


★最終話でこれまでのエピソードをきちんと回収していたなあ
「恋愛」(第2話)
 第2話で、《みどりは「恋愛」は男女間(異性間)には限らないのでは?》と疑問を呈した。(さらに、“恋”とは? “愛”とは?と深く考える…そんなエピソードが盛り込まれていた。
☆その時に、みどりが考えた【恋愛】の語釈
 ……特定の二人の互いの思いが、恋になったり、愛になったり、
   時には入り交じったりと、非常に不安定な状態。

 今回、病院から松本先生が奥さんに託した手紙に、その回答が書かれていた
 ……特定の二人が、互いに引かれ合い、恋や愛という心情の間で揺れ動き、
   時には不安に陥ったり、時には喜びに満ち溢れたりすること。


 みどりの語釈を尊重したモノだった。
 個人的には、「恋になったり、愛になったり」や「恋や愛という心情の間」というのではなく、「恋」や「愛」を用いない別の表現をして欲しかった。

 さらに、
「三年間の観察・検証の結果、『大渡海』の恋愛の項目には、「異性」「男女」の表記は不要とする」
という注釈もつけられていた。



「なんて」(第1話)

「なんて」……みどりがよく口にする言葉。無意識に使ってしまっていて、無自覚に人を傷つけていた
 (感嘆の気持ちを強調する”副詞”もあるが)
副助詞として――次に来る動作・内容を、軽視する気持ちを込めて例示する
副詞として―――軽視する気持ちを込めて、同格の関係で次の語を修飾する
副助詞として――無視または軽視する気持ちを込めて、事柄を例示する。
《用例》?
「ほんと助かる。朝から電話する余裕なんてないからさぁ」(人気料理店の予約をしてくれた友人に対して)
「言葉と説明が並んでいるだけですよね、辞書なんて」
「辞書なんて、どれも同じだと思っていたんです」
「あとにして、カメラなんて」
 この《軽視》の他に、「私なんて」と《卑下》する用法(意味)もある。

 最終話では、松本先生のスタッフへの感謝の言葉の中で
「あなた(みどり)が来てくれた3年間は、なんて素敵な楽しいものだったでしょう!」と述べていた。


「言葉の国」「上がる」(第1話他)
 馬締は、気になる言葉があると、それに考えをめぐらし、他の刺激(声)を受け付けなくなる。……この状態の馬締に対して、周囲は「言葉の国に行ってしまった」とあきらめの気持ちで表現している。
 香具矢も馬締との遊園地デートの時、馬締が“言葉の国”に行ってしまい、置き去りにされてしまった経験があると語っていた。
 で、この最終話、間締とみどりの会話の中でそのエピソードについて、「遊園地デートの時は何の言葉で“言葉の国”に行ってしまったのか?」とみどりが尋ね、
 「確か……「上がる」という言葉……」
 「「あっ!」」二人同時に叫ぶ。
 みどりが食堂で友人と会話中「上がるよね」と発したのを聞いて、「その“上がる”というのは、どういう状況に於いて…」と質問したのが、ふたりの初対面だったのだ。


 エピソードの回収という訳ではないが……
・【癌(がん)】(校了前の語釈)
 ……生体を死に至らしめる病気

 これを馬締が「生体に深刻な害を与える」と修正。

 でも、「死に至らしめる」という表現は、馬締たちの信条の「(辞書は)手助けになりたい」というモノとは、かなり離れているように感じた。“らしくない”のである。
 ちなみに、旺文社『国語辞典」(重版)では、①[医]悪性腫瘍の総称。表皮・粘膜・腺などの上皮組織にできる悪性のできもの。「胃―」②組織や機構上、最大の障害となるもの。根強いさまたげ。

・「コロナウイルス」の“コロナ”の由来が、コロナウイルスの画像(電子顕微鏡)が太陽のコロナに似ている…ことらしい
 

【最終話・あらすじ】
 「大渡海」校了直前、松本先生(柴田恭兵)が入院する。
 すぐにまた会えると信じるみどり(池田エライザ)たちだったが、新型コロナウイルスで世界が一変。暮らしが大きく変わる中、馬締(野田洋次郎)のある問いかけが、辞書編集部に衝撃を与える。一方、客足の途絶えた店で、香具矢(美村里江)もある決断をしていた。
 十数年の時をかけた辞書作りは、彼らに何をもたらすのか。令和の「舟を編む」の結末がここに…!

原作:三浦しをん『舟を編む』
脚本:蛭田直美
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アリバイ崩し承ります スペシャル(2024年4月6日)

2024-04-20 15:49:07 | ドラマ・映画
 2020年2月1日から3月14日まで、テレビ朝日の「土曜ナイトドラマ」で放送された。
 大山誠一郎による推理小説が原作(2014年から2017年にかけて実業之日本社の雑誌『月刊ジェイ・ノベル』に掲載)


 このドラマで初めて浜辺美波を拝見。
 《やたら、かわいいなあ》と思った記憶がある。この頃、小芝風花も初見、《非常にかわいい》と。小芝風花は、2020年『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ)、『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日)、2021年『モコミ〜彼女ちょっとヘンだけど〜』など立て続けに視聴したが、変わった個性のキャラが多く、ドラマに恵まれないなあと残念に思った記憶がある。
 浜辺美波は、NHK朝ドラの『らんまん』で再会(←私が一方的に)。素敵な演技だった。

 で、4年前のドラマだが、アリバイ崩し(アリバイ工作)は楽しめたが、ドタバタが強すぎて楽しめなかった。
 今回もその基調は変わらず、残念感が強い。
特に、渡海刑事( 成田凌)がウザい。
 ドタバタは諦めて、浜辺美波とアリバイトリックを楽しめばいい……とは思うが、事件の構造(関係者の行動)が不可解すぎる!

容疑者・朝倉正平(矢本悠馬)のアリバイ工作
 《宅配便を自宅で受け取った》という事実により、殺害現場に行って犯行を行うのが時間的に不可能というもの。
 アリバイからくりは、宅配の発送者も朝倉で、受け取り票に予め透明インク(冷やされることで文字が現れる性質)で書いておいて、宅配を受け取った身代わりが冷却された下敷きを使用し文字を出現させたというもの。
 配達人は「フードを被り、サングラスにマスク着用。部屋には花のようないいにおいがした」という証言もあり、この身代わり受取人は医師・江島聡美(高梨臨)と判明。彼女も認めたが……

 ……ところが、朝倉はアリバイ工作を認め、さらに、「殺害しに行った」とは認めたが、「被害者の父・資産家の富宰建一は既に殺されていた」と主張。さらに、「自分は先端恐怖症で包丁を握るどころか、見るのも無理」だと。実際、先端恐怖症と診断されており、犯行は不可能とされた(実際にも別の人物の犯行だった)
 ただし、「故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者」という相続欠格により、相続することはできないらしい。


で、真犯人・江島聡美の意図
 《自分(聡美)が朝倉のアリバイ工作に協力した(朝倉の住居に居た)》と認定されることで、聡美の富宰健一殺害に関するアリバイが成立することになる。
 その後に、朝倉を殺せば、富宰の財産絡みの連続殺人と考えられ、自分は容疑者から外れる

という筋書き。
 ……警察視点、視聴者視点であれば、《おお、なるほど!アリバイ工作を利用した逆転のアリバイ構造だったのか!》となるわけだが……
……【朝倉の行動・心理】は全く不合理!理解不能だ!

 《アリバイ偽装トリックを見破られる》のが犯人の目的だったと、ヒロイン・美谷時乃(浜辺美波)は語るが、それは犯人の聡美の都合であって、朝倉にとっては何のメリットもない。朝倉が身代わり(代行)の宅配受取人として振る舞い、実際に透明インクのトリックを使用したのだから、朝倉が自宅にいたという証明が難しい。
 まあ、朝倉は“先端恐怖症”という刃物を扱えないという根拠があるので、アリバイを主張する必要性は薄い。しかし、その“先端恐怖症”を後から明らかにする理由もない。《聡美のアリバイを作るために偽装したと思わせた》ということも考えられるが、そういう訳でもなく、聡美に誘導されて偽装工作をしただけのようだ。まあ、理由があるとしたら、作者の都合であろう。
 そして、何より不可解なのは……アリバイトリックの準備をしながら、実際は自宅にいただけだったこと
 朝倉が聡美に協力して聡美のアリバイを作るためだったのなら、理解できるが、上述したように、そういう関係ではない。だとしたら……
 ……だとしたら、朝倉は(聡美に誘導されて)アリバイ工作を思いつき、実際に聡美がアリバイ工作に協力した痕跡(人相を不明にして香水をつけた)を残して、じっと自宅にいた。……いったいどういう理由で、こんな行為をしたのだろうか?全く分からない。
 殺意があり、計画を立てたのに、何も行動を起こさず、自分に不利になることをしただけ。
 しかも、「殺すつもりで殺害現場まで行った」とまで供述。意図が分からない!

 おかげで、《殺害計画を立てた》ということで、相続欠格になってしまった。これも、よく考えたら、《アリバイ工作を考え実践した》だけで、実際に殺害どころか、現場にもいっていないのだから、セーフなのでは?
 …理由を上げるとしたら、《殺害場所の部屋のソファーなどの配置換えを知らずに、「被害者・伯父が血だらけで倒れていた」といいう証言が嘘》という推理を時乃に語らせるためなのだろう。

 実際にアリバイ工作を実行し、朝倉に伯父を殺害させ、その後で聡美が朝倉を殺害すればよかったのでは?


江島聡美の行為もおかしい!
 婚約者が朝倉のパワハラに追い詰められて自殺。その復讐心は理解はできるが、遺産相続絡みの連続殺人と思わせるために、何の恨みもない富宰を殺害。
 勤務している病院で「パワハラは許せない」と叱っていたのに、殺人は良いのか?

 朝倉殺害時も、「どうして?」と朝倉が呻いたが、恨みをぶつけてから朝倉を殺さないと意味が薄い。


【その他の疑問点】
・テレビの密着取材はドラマに必要だったのか?(目立つのを牧村匠(勝村政信)に持っていかれてしまったというオチの為?)
・容疑者のひとり、女優・宇川蒔絵(雛形あきこ)の付き人が、意味深に登場したが、関係なかった


【ストーリー】(番組サイトより)
 美谷時計店の若き店主・美谷時乃(浜辺美波)が那野県警捜査一課を訪れると、管理官・察時美幸(安田顕)らが人気テレビ番組『県警密着24時』が、捜査一課に密着することになったと大騒ぎ! 察時は、この密着取材中に事件を華麗に解決し、東京の警察庁に返り咲こうと目論んでいた。番組のプロデューサー・君嶋薫子(松本若菜)も、《アリバイ崩しの名人》として名をはせる察時に注目しているというのだが、実はその察時から時乃が“アリバイ崩しを承っている”ことなど知るよしもなく…? 一方、無関心を装う巡査部長・渡海雄馬(成田凌)だが、密かに想いを寄せている時乃が番組のファンだと知るやいなや、なんとしてでも密着取材で自分をクローズアップしてもらおうと張り切り始める。
 捜査員たちが盛り上がる中、フザイ建設の社長で資産家の富宰建一(春海四方)が自宅で刺殺されたと通報が入り、察時や雄馬らは番組のクルーを引き連れてさっそうと事件現場に臨場! しかし、検視官・樋口秀人(柄本時生)いわく、刃物のようなもので刺されたにも関わらず、現場には凶器が見当たらず…。
 重要参考人として名前が挙がったのは、元フレンチシェフ・朝倉正平(矢本悠馬)、女優・宇川蒔絵(雛形あきこ)、フットサル選手・井田泰明(山本涼介)の3人。いずれも被害者の姪・甥で、かねてから遺産争いでもめていたという。しかし涙ひとつ流さず口論を続ける3人には、死亡推定時刻に完璧なアリバイが!
 捜査を進めた察時は、自宅で宅配便の荷物を受け取ったとアリバイを主張する朝倉が、実は替え玉を使ったのではないかと疑い、送り主の医師・江島聡美(高梨臨)に話を聞きに行くのだが…!?
 そんな中、聡美のもとで実習中の医学生・葉加瀬裕次郎(葉山奨之)が、時乃に会いに時計店にやってくる。葉加瀬は時乃の高校時代の先輩で、どうやら初恋の相手らしい。組織犯罪対策課の刑事で親友でもある真壁剛士(間宮祥太朗)の後押しでようやく時乃とのデートにこぎ着け、上機嫌の雄馬は、突然現れた葉加瀬に敵意むき出し! しかも、葉加瀬が富宰殺害にも絡んでいるかもしれないという新たな疑惑までぼっ発し、とうとう公私混同のドタバタ捜査を開始する。
 一方、自力で事件を解決すると意気込むも、なかなかアリバイが崩せず焦る察時に、時乃が意気揚々と協力を申し出る。しかし、真のアリバイ崩しの名人・時乃をあざわらうかのように事態は二転三転!
 はたして時乃は、“アリくず”史上最難関のアリバイを崩して、衝撃の真相にたどり着くことができるのか!?

脚本:いずみ吉紘
【原作】大山誠一郎『アリバイ崩し承ります』(実業之日本社文庫)
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Wリーグプレーオフ 2023-2024 ファイナル 第3戦

2024-04-19 07:43:10 | スポーツ
「Wリーグプレーオフ 2023-2024 ファイナル 第1戦」
「Wリーグプレーオフ 2023-2024 ファイナル 第2戦」

 第3戦は、《4分6分でデンソーアイリス有利かな》と思っていたが、富士通レッドウェーブが100%力を出し切り、勝利を掴んだ。富士通89-79デンソー
 富士通の勝因はいくつも考えられるが、《得点で先手を取り続けた》ことが大きかったように思う。
 拮抗状態から富士通がリードを奪い、10点前後まで広げ、デンソーが差を詰め、富士通が突き放し、デンソーが追い上げ、富士通が押し返す……
 追い上げられた時は苦しいが、そこで立て直せたのが富士通の強さか。デンソーはスコア的な不利感がプレッシャーになっていたのではないだろうか?
 その精神的な有利不利の差が、プレーに多少なりとも影響を与え、地力の差を埋めた……そんな感じがした。
 富士通は出場した全選手が、自分の役割をきっちり果たし、チームとしても攻守共に機能した。
 デンソーは100%の力を発揮できず、チームオフェンス、ディフェンスが機能しなかった部分があった。と言っても、ほんのわずかだったが。

【富士通レッドウェーブ】
宮澤はセミファイナル、ファイナルを通じて活躍。このゲームでも素晴らしいプレーを続け、MVPは誰も異存はないだろう
 攻撃面では得点はもちろん、アシストでも貢献した。ディフェンスでは、リバウンドによく絡み、そして何より、厳しいマークで高田を自由にプレーさせなかった。18得点、5リバウンド、6アシスト、1スティール。
町田のゲームメイクは視野が広くて秀逸。アシストを前提に組み立てるが、相手ディフェンスに応じて、機を見てジャンプシュートも正確。町田がいてこそ、デンソーに対抗できた。8得点、6リバウンド、9アシスト、
ジョシュアは縁の下の力持ち。チームとしてのペイントゾーンでの高さやパワーはデンソーがかなり上回っていたのを、ジョシュアは2人分くらい補っていた。しぶとく、ペイントゾーンで踏ん張りシュートを決めていた。このゲームでの3連続シュートは大きかった。サイド方向からの難しいミドルシュートもよく決めていた。16得点、4リバウンド、1ブロック。
もよく3Pシュートを決め、ドライブシュートも要所で決めていた。よく動き、よく働いていたが、もう少し動けるような気がする。15得点、3アシスト、1スティール。
内尾はディフェンスでよく頑張っていたが、このゲームでは積極的なオフェンスが目立った。このゲームでは11得点で、勝利に大きく貢献した。得点を上げられなくても、積極的に得点を取る姿勢を示すことが大事だ。11得点、3リバウンド、4アシスト、2スティール。
中村は、宮澤やジョシュアのバックアップとして欠かせない存在。体幹の強く、突破力が魅力で得点能力もある。第1戦、第3戦では、宮澤などがベンチに下がった時に、コート上のチーム力を維持し、得点も挙げていた。勝利の大きな要因となった。反面、やや雑なプレーが多く、がっかりさせるターンオーバーや、迂闊なファールも多い(第2戦の敗因のひとつ)。9得点、3アシスト。
赤木は町田がベンチに下がった時、それを良くカバーしていた。ポテンシャルはあるが、やや遠慮がちなプレーが見られたが、このゲームでは不退転の決意が伺え、勝利に貢献した。12得点、2アシスト。
・第2戦で圧倒されていたリバウンドを、オフェンスR14、ディフェンスR19、計33リバウンドと逆に圧倒した。(デンソーはオフェンスR9、ディフェンスR12、計21)
・ファイナルを通じて、フリースローの成功率が低かった。これがもう少し高かったら、もう少し楽な展開になったはず(富士通14/22,デンソー15/17)

【デンソーアイリス】
・エブリン23得点、高田20得点、赤穂ひまわり12点、木村10得点と悪くない。スティールは木村3、高田と高橋が2、エブリン1で富士通を苦しめていた。
・やはり、リバウンドを支配されていたのが一番の敗因か?ただし、攻撃回数(野投数)はデンソー58、富士通55と上回っている。となると、成功率の差が勝負を分けたか?成功率富士通は60.0%とやたら高かった。デンソーは48.3%。
・デンソーは24秒オーバータイムか、タイムオーバー寸前の苦しいオフェンスが目立った。ブザービーターを決めることもあったが、全体的に富士通ディフェンスに手を焼いていた印象が強い。
・スコア的にもバスケ内容も苦しんでいたが、それをエブリンが何度も撥ね返していた。富士通サイドからは手強い厄介な存在だった。
・高田はフィールドゴール5/6とシュート確率が良く、20得点とさすがのスコアだ。しかし、内10点はフリースローによるモノ(10/10)。宮澤に好きにプレーをさせてもらえなかった気がする。
・第2戦で縦横無尽に活躍したひまわりは、このゲームは少しおとなしかった

ゲームの流れを左右したプレー
互いに無得点で2分弱の膠着状態が続いた第2Q残り7分33秒(富士通25-22デンソー)、フリースローを得たジョシュアだったが、2本とも外してしまう。しかし、このリバウンドを宮澤がキャッチ。それをつないで赤木が3Pシュートを狙ったが、外れる。ところが、これをまたもや宮澤がオフェンスリバウンド。これを再び赤木が3Pシュート。今度はネットに吸い込まれた。
 もし、ジョシュアがフリースローを2本とも外し、そのままデンソーがオフェンスを成功させていたら、ゲームの流れはデンソーに傾いたかも。
第4Q残り5:43、スコアは富士通73-63デンソー。内尾が木村からスティール。そのまま内尾と町田が攻め込み、ゴールした付近で町田にアシストパス。ところが、ほぼフリー状態の町田がシュートミス。しかし、このリバウンドを内尾が確保。宮澤が走り込みパスを受けてそのままシュート!

 大事な場面でのミスをつないで得点。大きい2プレーだった。
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【歳時メモ】 花水木

2024-04-18 15:11:30 | 歳時メモ
「歳時メモ」と勝手に銘打っていますが、このカテゴリーの意味は、植物の様子や気候などをメモして、翌年以降に現記事を振り返ると、季節の進み具合が分かりやすいかなと思い、記事にしています。

 昨年(2023年)の4月8日の記事を読むと、その前年(一昨年・2022年)の4月10日過ぎは無茶苦茶暑かったらしい(4月10日 24.7℃、11日 27.9℃、12日 28.2℃、13日 28.3℃、14日 26.6℃)。対照的にその前の4月初旬は気温が低かったようで、一昨年の桜の開花は4月1日とほぼ平年並みで、満開までの期間が長く、満開になってから散るのが足早だったようだ。
 表題の花水木の開花は、一昨年(2022年)は14日。これもかなり早い開花のようなイメージだが(以前はゴールデンウイーク前半に写真を撮った記憶がある)、昨年(2023年)は4月6日に咲き始めたようだ。花水木の花弁に見えるのは苞(つぼみを包むように葉が変形した部分)なので、“伸び始める”“育ち始める”“広がり始める”と書いた方が良いのかもしれません。
 今年(2024年)の花水木は、最近の暖かさ(暑さ)で、昨日(4月17日)あたりから、咲き始め(広がり始め)、一気に目立ち始めた。
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忙しそうな?天気図

2024-04-18 14:29:53 | 気象
昨日から黄砂が襲来しています。
その黄砂に少し関連していると思うのですが、日本海からその北方のロシア極東にかけて、寒気が南下・停滞していて、弱い低気圧(寒冷渦)が大陸の黄砂を巻き上げているのではと、推測。

 そんな訳で、その辺りの低気圧がほとんど動きません。


 それで……特にどうと言う訳だはありませんが……
 上図よりもう少し時間が経過した天気図が、下図。

 天気図の高気圧や低気圧には、その速度が示されるのですが、動きが遅い時には「ゆっくり」とか「停滞」と記入されます。
 この図にも、それが記されています。
 「ゆっくり」は4つも!

 でも、混雑しているので、何だか忙しそうに感じます。

  ……ただそれだけの感想記事です。

 ついでに、上図より少し経過した天気図と、現在の天気図をアップしておきます。
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女流棋士考 その18「2024年4月 女流棋士独断ランキング」

2024-04-17 14:34:51 | 将棋
昨年(2023年4月)に「改・女流棋士独断ランキング」を考えた。
Aランク           B1ランク
 里見女流五冠         清水女流七段
 西山女流二冠         塚田女流初段
 加藤桃女流三段        中井女流六段
 伊藤女流四段         石本女流二段
 甲斐女流五段         室谷女流三段
 上田女流四段         中村真女流三段
 山根女流二段         千葉女流四段
 香川女流四段         野原女流初段
 渡部愛女流三段        山口恵女流二段
 鈴木女流三段         岩根女流三段
                加藤圭女流二段

 ここ1年で、福間女流五冠、西山女流三冠のツートップは揺るぎないが
・甲斐女流五段、引退
・大島女流二段、内山女流初段の台頭

など、動きが大きく、改定しなければならないと思っていた。
里見姓が福間姓に変化したのも、大きな動きだった。

 せっかくなので、少し深く考えてみたい。
まず、レーティング
 レーティングについては、過去にも使用させていただいた『将棋連盟 棋士別成績一覧』さんのデータを利用させていただくことにしました(前回「将棋情勢 2023年12月1日現在のレーティングランキング」の際、アポイントと承諾を試みたのですが、返答がありませんでした。「黙認」していただけたのかと、勝手に判断しています。ご容赦ください)

【女流棋士レーティング 2024年4月14日現在)】
1 福間香奈五冠   2011   22     16 山口恵梨子三段 1624  21
2 西山朋佳三冠   1999   28     17 加藤結李愛初段 1609  -8
3 加藤桃子四段   1890  -12     18 千葉涼子四段  1602   0   
4 伊藤沙恵四段   1838  -47     19 和田あき二段  1602  63
5 山根ことみ三段  1758  -39     20 今井絢初段   1599  90
6 上田初美四段   1729  -38     21 小髙佐季子初段 1597  45
7 鈴木環那三段   1720   -2      22 北村桂香二段  1592  20
8 大島綾華二段   1704  133     23 室谷由紀三段  1591  -17
9 野原未蘭初段   1701  104     24 清水市代七段  1588  -18
10 渡部愛三段   1699  -29     25 岩根忍三段   1587  34
11 石本さくら二段 1685   2     26 木村朱里初段  1586  -1
12 香川愛生四段  1676  -32     27 松下舞琳初段  1585  13
13 内山あや初段  1659   75     28 加藤圭二段   1582  -8
14 塚田恵梨花二段 1652   -4     29 中村真梨花四段 1580  -63
15 磯谷祐維初段  1648   44     30 中井広恵六段  1578  -62
(レーティング値の右の数字は、1年前からの増減)

 レーティングは直近の実力や成績をかなり正確に反映するが、
・若手は初期レートの低さに影響される
・ノーシード者は、勝ち星を稼ぎやすい
 上記の2点は、時の経過とともに解消されるが、上位棋士からの勝ち星が少なくても15位前後までは進出できる。
 なので、各棋戦で上位の成績を上げているかどうかも考慮する必要がある。

 これまで2回のランキングも、各棋戦での成績を考慮したが、けっこう大雑把だったような気がする。
 今回は、割と真面目に?調べたが、直近の白玲戦、名人リーグ、清麗戦、マイナビ(女王)、女流王座戦に限らせていただいた。女流王位戦、女流王将戦、倉敷藤花戦は省かせてください。手抜きです。ごめんなさい。

福間香奈女流五冠  
 レーティング2011(+22) 2023年度成績 34勝12敗 .7391
 白玲A級リーグ…5勝0敗(現時点)
 女流名人…奪取(リーグ戦7勝2敗)
 清麗…防衛
 マイナビ…ベスト8
 女流王座…防衛

西山朋佳女流三冠
 レーティング1999(+28) 2023年度成績 38勝13敗 .7450
 白玲…保持者
 女流名人戦…失冠
 清麗(進行中)…予選1位通過(ベスト4確定)
 マイナビ…女王保持者
 女流王座…挑決敗退

加藤桃子女流四段
 レーティング1890(-12) 2023年度成績 36勝16敗 .6923
 白玲A級リーグ…3勝2敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦4勝5敗陥落、今期予選勝ち上がりリーグ入り
 清麗(進行中)…ベスト7以上(予選通過決定戦進出)
 マイナビ…ベスト4
 女流王座…挑戦権獲得

伊藤沙恵女流四段
 レーティング1838(-47) 2023年度成績 30勝21敗 .5882
 白玲A級リーグ…4勝1敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦3勝6敗陥落、今期はリーグ入りの一戦で野原に敗退
 清麗(進行中)…ベスト7以上(予選通過決定戦進出)
 マイナビ…ベスト4
 女流王座…ベスト8

 福間、西山のツートップが抜きん出た存在。
 加藤桃、伊藤も昨期の名人リーグでは不覚を取ったが、他棋戦では挑戦権獲得など上位進出者に名を連ね、一段上の実力。


山根ことみ女流三段
 レーティング1758(-39) 2023年度成績 19勝17敗 .5277
 白玲A級リーグ…2勝3敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦5勝4敗(4位)でリーグ残留
 清麗(進行中)…ベスト7以上(予選通過決定戦進出) 
 マイナビ…ベスト32
 女流王座…一次予選敗退

上田女流四段
 レーティング1729(-38) 2023年度成績 19勝19敗 .5000
 白玲A級リーグ…2勝4敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦3勝6敗でリーグ陥落、今期は予選初戦敗退
 清麗(進行中)…予選本戦ベスト32、敗者戦は2勝後、伊藤に敗れる 
 マイナビ…ベスト8
 女流王座…ベスト4

鈴木環那女流三段
 レーティング1720(-2) 2023年度成績 21勝15敗 .5833
 白玲B級リーグ…4勝2敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦4勝5敗(6位)でリーグ残留
 清麗(進行中)…ベスト7以上(予選通過決定戦進出) 
 マイナビ…予選敗退
 女流王座…二次予選敗退

山根と上田は勝率は良くないが、ここまでは、この記述順でランク付けしていいように思う。


大島綾華女流二段
 レーティング1704(+133) 2023年度成績 32勝9敗 .7804
 白玲C級リーグ…1勝3敗(現時点)
 女流名人…予選勝ち上がりリーグ入り
 清麗(進行中)…予選本戦ベスト16、敗者戦は2勝後、鈴木に敗れる 
 マイナビ…挑戦権獲得
 女流王座…予選通過、本戦1回戦敗退

 マイナビでは福間、加藤桃を撃破し挑戦権獲得。これだけで、Aグループを確定しても良いが、白玲戦C級で1勝3敗はマイナス材料。
 白玲戦発足後に女流棋士になり、D級から参加なので、低いクラスに在籍しているのは仕方がないが、1勝3敗というのは不振と言って良い。
 そこで、もう少し吟味……女流王位戦ではライバルの内山を破ってリーグ入り、更にリーグ戦でも中井、伊藤、千葉、山根を連破。最終戦で西山に敗れ、4勝1敗となり、伊藤、西山と同成績の4勝1敗で並んだが、規定によりプレーオフなしで伊藤が紅組優勝(変な規定だ)。
 女流名人戦予選でも、室谷、岩根を破ってのリーグ入り。昨年度の成績も32勝9敗 .7804。やはり、Aグループ入りは異論が出ないであろう。


野原未蘭女流初段
 レーティング1701(+104) 2023年度成績 30勝12敗 .7142
 白玲B級リーグ…4勝2敗(現時点)
 女流名人…予選勝ち上がりリーグ入り
 清麗(進行中)…予選本戦ベスト32、敗者戦は3勝(渡部に勝利を含む)後、伊藤に敗れる 
 マイナビ…予選敗退
 女流王座…ベスト8

 女流棋士になった当初から、腕力(悪力?)はあったが、出来不出来の差が大きく星を取りこぼすことも多かった。2021年度は倉敷藤花戦の挑戦者決定戦まで進出したが、その年度成績は15勝14敗 .5172。翌2022年度も16勝12敗 .5714でややアップしたものの、物足りない成績であった。
 しかし、昨年度(2023年度)は30勝12敗と躍進。上位者相手にも、2023年4月~2024年4月14日の期間で、対加藤桃1勝1敗、対伊藤1勝1敗、対山根1勝0敗、対鈴木1勝1敗、対大島1勝0敗、対渡部1勝2敗、対香川1勝1敗、対石本0勝1敗、計7勝7敗と互角に戦っている。実績(タイトル挑戦など)はまだないが、Aクラスの力はあるのではないだろうか?これを書いている段階で、《Aクラスは10人》と考えており、《他の棋士と比較してどうなのか?》というところだ。
 いずれにしても、これから始まる名人戦リーグが彼女の試金石となる(初戦は4月22日、対大島戦)


渡部愛女流三段
 レーティング1699(-29) 2023年度成績 22勝18敗 .5500
 白玲A級リーグ…1勝5敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦5勝4敗(4位)でリーグ残留
 清麗(進行中)…予選本戦ベスト32、敗者戦は2勝後、野原に敗れる 
 マイナビ…予選敗退
 女流王座…ベスト4

 昨年度の成績は、 22勝18敗 .5500と物足りないが、その中身は濃い。
 2023年4月~2024年4月14日の期間で、対福間0勝2敗、対西山0勝1敗、対加藤桃1勝2敗(不戦勝1は除く)、対伊藤1勝1敗、対山根2勝1敗、対上田1勝1敗、対鈴木1勝1敗、対野原2勝1敗、対香川3勝1敗、対石本0勝2敗、対甲斐(引退)2勝0敗、計13勝13敗と互角。2トップ(福間、西山)戦を除くと13勝10敗(引退した甲斐戦を除外すると11勝10敗)、白玲戦では苦戦しているが、白玲A級、女流名人戦リーグに入っていることも合わせると、Aクラスであることに疑念の余地はない。


石本さくら女流二段
 レーティング1685(+2) 2023年度成績 17勝18敗 .4857
 白玲A級リーグ…4勝2敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦5勝4敗(3位)でリーグ残留
 清麗(進行中)…予選本戦ベスト8(西山に敗れる)、敗者戦はベスト7入り目前で磯谷に敗れる
 マイナビ…予選敗退
 女流王座…二次予選敗退

 昨年度の成績は17勝18敗の負け越しだが、白玲戦A級で現在4勝2敗、昨年度女流名人リーグで5勝4敗の3位で残留は軽視できない。
 2023年4月~2024年4月14日の期間で、対福間0勝2敗、対西山0勝1敗、対加藤桃2勝2敗、対伊藤1勝0敗、対山根0勝1敗、対上田0勝3敗、対鈴木1勝2敗、対野原1勝0敗、対渡部2勝0敗、対香川1勝0敗、対甲斐0勝1敗、計8勝12敗……苦戦していると言って良いだろう。ただし、対ツートップと対甲斐戦を除くと8勝8敗と互角の成績。対加藤桃、伊藤戦に限ると3勝2敗と健闘しており、対上田戦の3戦全敗が響いているとも考えられる。
 白玲、女流名人リーグも考慮すると……う~ん、《Aクラス・ボーダーライン》ということで保留。


香川愛生女流四段
 レーティング1676(-32) 2023年度成績 20勝24敗 .4545
 白玲B級リーグ…4勝2敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦2勝7敗でリーグ陥落
 清麗(進行中)…予選本戦初戦敗退(磯谷に敗れる)、敗者戦は1勝後、敗れる
 マイナビ…本戦1回戦敗退
 女流王座…二次予選敗退(渡部に敗れる)

 パッとしない……
 女流王位戦には予選決勝で鈴木を破って挑戦リーグ入りしたものの、1勝4敗で陥落。
 女流王将戦は挑戦権を獲得したが、0勝2敗で西山女流王将に敗れた。挑戦トーナメントでは、福間は準々決勝で小高初段に敗れ、加藤桃と伊藤が準々決勝でつぶし合い、それに勝った加藤桃も準決勝で渡部に敗れるという展開。香川の挑戦権獲得は評価できるが、決勝までに破った相手が木村1級、中井六段、小高初段と微妙(ごめんなさい)。
 昨年度の倉敷藤花でも初戦敗退(今井1級に敗れる)。
 2023年4月~2024年4月14日の期間での上位棋士との対戦は、対福間0勝1敗、対西山0勝3敗、対加藤桃0勝2敗、対伊藤1勝1敗、対山根0勝1敗、対上田0勝1敗、対鈴木2勝1敗、対野原1勝1敗、対渡部1勝3敗、対石本0勝1敗、計5勝15敗(四強との対戦を除いても4勝8敗)……本人が一番痛感していると思うが、残念というしかない。
 Aクラス(←私の独断クラス)陥落もやむを得ない。


 ……ここまでがAクラス候補だが、内山女流初段についても考慮する必要がありそうだ。
内山あや女流初段
 レーティング1659(+75) 2023年度成績 25勝14敗 .6410
 白玲C級リーグ…3勝2敗(現時点)
 女流名人…7勝2敗で福間とのプレーオフで挑戦権を争う
 清麗(進行中)…予選本戦初戦敗退(岩根に敗れる)、敗者戦は2勝後、敗れる
 マイナビ…予選敗退(上田に敗れる)
 女流王座…一次予選敗退(香川に敗れる)

 女流名人リーグで福間、伊藤、上田、鈴木、香川、渡部、石本に勝利したのは強烈な印象。
 白玲戦は第2期からの参戦なので、まだC級。やや伸び悩んでいる印象があり、今期も現在9番手で、昇級は少し難しそうだ。ただ、上位にいる清水(4勝1敗・現4位)、本田戦(4勝1敗・現3位)、田中(3勝2敗・現8位)を残しており、現在1位の千葉は小高(4勝1敗・現2位)、山口恵(3勝2敗・現7位)、加藤結(2勝2敗・5戦目に勝つと7位浮上)戦を残している。さらに、現2位の小高も千葉、清水、大島戦を残している。かなり、上位陣の星のつぶし合いが見込まれ、予断を許さない。
 他の棋戦では……女流王位戦はリーグ入りの一戦で大島に敗れている。
 女流王将戦は昨期は予選初戦敗退だったが、今期は本戦入りを果たしている(本戦はこれから)
 昨期倉敷藤花は準々決勝に進出したが、そこで西山に敗れている。(今期はこれから)
 2023年4月~2024年4月14日の期間での上位棋士との対戦は、対福間1勝1敗、対西山0勝1敗、対加藤桃0勝1敗、対伊藤1勝0敗、対山根0勝2敗、対上田1勝1敗、対鈴木1勝0敗、対渡部1勝0敗、対大島1勝1敗、対石本1勝0敗、対香川1勝1敗、計8勝8敗と互角に戦っている。

 上述した野原、渡部、石本、香川の項の段階では、内山女流二段が比較対象にはなっておらず、内山女流との対戦成績を記載しませんでした。
 本来なら、上記の項でも対内山戦の成績を加えるべきですが、省略させてください。「内山女流初段」の項で、各女流棋士との成績を記しているので、それをご参照ください。


 ここまで、レーティング上位13棋士について分析したが……
1位福間女流五冠、2位西山女流三冠、3位加藤桃女流四段、4位伊藤女流四段、5位山根女流三段、6位上田女流四段、7位鈴木女流三段、8位大島女流二段、9位渡部女流三段まではあまり悩まず決まった。大島、渡部の順位は少し悩んだが、大島のマイナビ女王挑戦、女流王位リーグ4勝1敗、女流名人リーグ入りを重視した。
 残る1枠……野原女流初段、石本女流二段、内山女流初段の比較で悩む……
 内山の女流名人リーグでの活躍、野原の強さの最大値の大きさ、石本の白玲、女流名人戦での着実な実績……甲乙つけ難い。
 無理に順位をつけるなら、10位内山女流初段、11位石本女流二段、12位野原女流初段の順か……と言っても、微差……無理にクラスを分けなくても………というわけで、12位までAクラス!


 13位以下のB1クラスのランキングは以下の通り。
13位…香川愛生女流四段、14位…磯谷祐維女流初段、15位…塚田恵梨花女流二段、16位…加藤結季愛女流初段、17位…千葉涼子四段、18位…山口恵梨子女流三段、19位…小高佐季子女流初段、20位…北村桂香女流二段、21位…今井絢女流初段、22位…和田あき女流二段。
この辺りまでがB1クラスだろうか……

 清水女流七段、中井女流六段、室谷女流三段、中村真女流四段、岩根女流三段、加藤圭女流二段は残念ながらランク落ち。ただし、岩根女流三段は復活の気配を感じる。
 松下舞琳女流初段は昨年度後半に調子を崩したのが残念。
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