英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

鎌倉殿の13人 第45話「八幡宮の階段」

2022-11-29 11:43:09 | ドラマ・映画
実朝暗殺を巡る義時の思惑の推移
①実朝を襲撃殺害した公暁を、太刀持ち役の自分(義時)が討ち取るつもり
②太刀持ち役を仲章に奪われたので、成り行きを見つめるだけ(悔しそう)

 仲章を含めた護衛は、襲撃を予期していないので、実朝の殺害自体は成功する可能性が高い(少なくとも実朝は深手は負うだろう。クーデターが成功するかは不明)。
 《成り行きを見つめるだけという状況は、悪くはない》と考えていたと思われるが、まだ、自分も標的になっていたことは知らない。
③自分も標的になっていたこと泰時に知らされる。襲撃を阻止しようとする泰時を制する。
④実朝死亡、さらに仲章も殺害された。その後、公暁も義村に討ち取られた。……予定外の太刀持ち交代により、難を逃れると同時に、邪魔者の仲章も殺害されたという願ってもない結果となった。
 「《まだ自分にやることがある》と天が守ってくれた」と頼朝張りの思考

義時vs義村
公暁の企てを後押しする目論見だったが、義時に気取られ拝賀式への参加を止められてしまう。
拝賀式を陰で観ながら、今後の算段を思案していたが、後ろから肩を叩かれ振り向くと、式に参列しているはずの最も警戒を要する義時がいた!そりゃ驚くだろう。……太刀持ち交代させられたことを告げる義時……

「公暁はどこに潜んでいる?」の義時の問いに、義村は「そこまで知っていて、なぜおまえは動かない?」と問い返す。
「思いは同じだ」と義時。
 真意が分かりにくい。《それぞれの理由は違うが”公暁の計画が成功してほしい”という思いは同じ》という意味なのだろう。
「実朝は自分(義時)に対して憤っていて、暗殺が失敗し、(実朝が健在のままだと)北条は終わりだ」と漏らす。
 《太刀持ち交代、お前は用無しだ》と言ったのは仲章で、実朝の真意は義時は知りようがなかったはずだが(義家の死の真相を実朝が知ってしまったことを、義時は知らないはず)、仲章の勝ち誇った顔でそう思ったのだろうか?
 
実朝と仲章が殺害され(公暁は逃走)、一段落?した後、義時が義村を問い詰める
「(計画を)どこまで知っていたか?」
「公暁に焚きつけて実朝を殺し、天辺に登り詰めようと思ったが、やめた。
 力にしがみついて恨みを集め、怯え切っているお前(義時)の姿を見て、取って代わろうとは誰が思うか!」
《自分は天に守られている》という義時に
「頼朝気取りか。せいぜい、馬から落ちないように気をつけるんだな」と捨て台詞?(会心の皮肉?)
対して義時、
「公暁が自分を殺そうとしていたことを知っていたのか?私に死んでほしかったのではないのか?」と強く問う!
「それを知ったら、その場で殺していた」と言って義村は去っていく……
 ……しかし、暗転する直前、義村は襟を直していたような……じっと佇む義時の背中……
(多くの視聴者が《襟、直したよね》と思ったことだろう)

 三浦を頼ってきた公暁を討った義村
 公暁に義村にとって拙いことを語られてはお終いだ。
 《義時が頼家を殺した》と公暁に義時への怨念を植え付けたのは義村。義時の想像以上の義村の暗躍だった。

 内心とは裏腹に、表向きは、《北条と三浦が手を携えて鎌倉を盛り立てていく》図を演じていたふたり……


義時vs泰時
 実朝暗殺を阻止しようとしたのを、義時に止められたのを問いただす泰時、そして、
「父上は鎌倉殿の死を望んでおられた。すべて父上の思い通りになりました。これから好きに鎌倉を動かせる。しかし、そうはいきませぬ。私がそれを止めて見せる。あなたの思い通りにさせない」と反抗宣言。
「面白い。受けて立とう」と義時
 二人の対決が盛り上がるシーンだが、こういうやり取りって、これまでも何度かあったような……デジャブ?

義時vsのえ
「お前も救われたな。(仲章が生きていたら)いずれお前は言わなくてよいことをしゃべっていただろう。私はお前を斬っていたかもしれない」
「八重も比奈も、もう少しできた女子だった」
のえは
「言っていいことと悪いことがございます。今のはどちらでしょうか?」と激怒

……前妻と比べるのは、最もしてはいけないこと。
“言わなくてよいこと”を言ってしまったのは、義時だ。

 それにしても義時は、いつから“のえ”を蔑むようになったのだろうか?

雪降る石段での惨劇 実朝公暁with仲章
「義時ぃ~!」と叫んで斬りつける公暁
実際に斬られたのは、“太刀持ち”の大役を奪った仲章……痛みと驚愕と恐怖で、のたうち回る……(その後、2度、突き刺され…絶命)
 護衛や参列者が呆然とする中、公暁が実朝ににじり寄り、両者が対峙。
 実朝は懐の短刀(←泰時から強引に渡された)を取り出すが、それを自ら手放した。公暁の太刀を受け入れる……《斬ってくれ)という表情。
 しばしの間の後、公暁は袈裟懸けの一閃!

 父・頼家の死の真相などを書き記した文書を取り出して、大義を宣言しようとするが、文書を落とし、おびただしい血で書面が台無しに……
 頃合いを見定めた義時の「捕えよ~」の号で賊、護衛が入り乱れる……公暁、逃走


両者の後押しをしたのは「天命に逆らうな」という歩き巫女の言葉。
 公暁にとっての天命とは……《実朝から“鎌倉殿”の地位を奪うこと》だったのだろうか?
 実朝にとっての天命は……《公暁に討たれること》だったのだろうか……

 歩き巫女の予言「雪の降る日には災いが待っている」(第35話「苦い盃」)を実朝は思い浮かべたのかもしれない。
 実朝は、辞世の歌(別れの歌)を残しており、覚悟をしていたようだ。

実衣
・凶事を知り、姉のもとに駆け付ける
・実朝(息子)を失った姉・政子の心を慮り、「公暁を討つのです!」と声を荒げる
が、事件が一段落すると
「ここが正念場」「必ず鎌倉殿にしてみせます。この母に任せておきなさい」と野心が頭をもたげる……
 実朝、公暁が亡くなった今、源氏嫡流の血を引くのは、実衣の息子の阿野時元のみ(時元の父・全成は頼朝の異母弟)。

政子&公暁
 上記の実衣の言葉に対して「命ばかりは助けてあげて」と請う
 公暁は政子の前に現れ、“鎌倉殿の証”の髑髏を取り出す。
 政子は慈悲の心から「なぜ、このような愚かなことを。謀反を起こした者に、従う者はいない」(←意訳)
 公暁「愚かな行為だということは分かっているが、武士の証を示したかった。私が4代目の“鎌倉殿”だ」(←意訳)
 「もうお目にかかることはないでしょう」(←意訳)と別れを告げ、去る

大江広元
「御無事で何よりです」と義時の無事を喜ぶ。が、実朝の死を悲しむ言葉はない。
「気の毒だった」と仲章の死を悼むが、「手間が省けた」と非情さを見せた。

政子&トウ
 悲しみのあまり、自ら命を絶とうとした政子を、寸前でトウが止める。「殺して」と請う政子。
「主の命がなくては殺せぬ。自ら命を死んではならぬ」と言い、去っていく。

義時vs政子
悲しみに打ちひしがれ《伊豆に帰る》と言う政子に、《それは許さない》という義時(政子が自ら命を絶とうとしたのを、寸前でトウに止められたことを、義時は知らない)
「頼朝様のご意向を示すことができるのはあなただけです。立場は今まで以上に重くなる。今こそ北条の鎌倉を作るのです」と言い放つ
さらに、
「鎌倉の闇を忌み嫌うのは、けっこう。
 姉上は今まで何を為された?…闇を絶つために、あなたは何を為された?!」
「頼朝様から学んだのは、私だけではない。
 我らは一心同体、これまでも、そしてこの先も」

……少し分かりにくい。
 《全部、自分に汚いことを押し付け、あなたは何もしていない。(少しはあなたも手を汚せ)》
 《見ていた(容認した)ということは、やっていたのと同じ》
 《頼朝と行動を共にしてきたのだから、私にできることはあなたにもできるはずだ》
と、解釈すればいいのだろうか。


義時vs運慶
 運慶を言い負かして、自分を基にした仏像を作れと命じる。
 運慶は、どういう仏像を彫るのだろうか?

ところで……
義時の夢の中に、薬師如来につき従う十二神将のうちの戌神将が現れ・・・ 「今年の将軍の参拝は無事であったが、来年の拝賀の日には供奉しないように」と告げたという伝説があり、前話の冒頭でも、義時と犬が対峙するシュールな画があったが、この大河では、《仲章が自ら、義時の身代わりになってしまった》という筋にした。
どちらも面白いが、脚本の三谷氏は流石だなと思った。


【一つの不満】
小栗旬の台詞……心の内を呟いたり、吐き出すように言うときは、が聞き取りにくいことが多い。
今回は義村とのシーンと、"のえ”とのシーンがそう。
特に、「着替えてから御所に行く」とか言うセリフは2度再生して、ようやく聞き取れた。


――今までもそうであったが、今話で更に、姉・政子、息子・泰時、親友・義村、妻・のえ、仏師・運慶とますます溝を深めた義時……その行く末は?――

(親王を鎌倉に迎えるかどうかの、鎌倉と京の思惑云々は、書くのに疲れたので省略)


第1話「大いなる小競り合い」  第2話「佐殿の腹」
第3話「挙兵は慎重に」     第4話「矢のゆくえ」
第5話「兄との約束」      第6話「悪い知らせ」
第7話「敵か、あるいは」    第8話「いざ、鎌倉」
第9話「決戦前夜」       第10話「根拠なき自信」
第11話「許されざる嘘」     第12話「亀の前事件」
第13話「幼なじみの絆」     第14話「都の義仲」
第15話「足固めの儀式」     第16話「伝説の幕開け」
第17話「助命と宿命」      第18話「壇ノ浦で舞った男」
第19話「果たせぬ凱旋」     第20話「帰ってきた義経」
第21話「仏の眼差し」      第22話「義時の生きる道」
第23話「狩りと獲物」      第24話「変わらぬ人」
第25話「天が望んだ男」     第26話「悲しむ前に」
第27話「鎌倉殿と十三人」    第28話「名刀の主」
第29話「ままならぬ玉」     第30話「全成の確率」
第31話「諦めの悪い男」     第32話「災いの種」
第33話「修善寺」        第34話「理想の結婚」
第35話「苦い盃」        第36話「武士の鑑」
第37話「オンベレブンビンバ」  第38話「時を継ぐ者」
第39話「穏やかな一日」     第40話「罠と罠」
第41話「義盛、お前に罪はない」 第42話「夢のゆくえ」
第43話「資格と死角」      第44話「審判の日」

【ストーリー】番組サイトより
 京から大納言ら公卿を招き、鶴岡八幡宮で盛大に執り行われる源実朝(柿澤勇人)の右大臣拝賀式。
 泰時(坂口健太郎)が警固をする中、公暁(寛一郎)は門弟と共に木の陰に潜んでいた。御家人たちに交じり、状況を静観する三浦義村(山本耕史)。今後の鎌倉と自身の命運を賭し、儀式を見守る義時(小栗旬)と時房(瀬戸康史)。
 式を終えて楼門から出てきた実朝を公卿と源仲章(生田斗真)が迎えて整列すると、牡丹ぼたん雪が降り積もる中…… 

脚本:三谷幸喜
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羽生九段将棋事情 その2「勝てなくなった理由」

2022-11-27 20:19:22 | 将棋
 私ごときが《羽生九段の勝てなくなった理由》をあれこれ言うのは、おこがましいが……

1.内的要因(本人に起因する要素)
①棋力の衰え
 ここでの“棋力”というのは、正味の将棋の実力のこと。つまり、読みの精度(読みの量、深さ、大局観などに基づいて最善手を指す頻度の高さ)とスピード。“能力”とか"脳力”と言うべきか…。
②体力や持久力の減退
 「将棋は体力」と故・板谷進九段が言ったように、長時間させるだけの体力が必要。病気や怪我など健康状態も大きな要素。
③モチベーション・気力(集中力)の低下
 《将棋が好き……将棋を指したいという気持ち》も肝心。そういう純粋な気持ちの他に、名誉欲・金欲もモチベーションに繋がる。
 また、心配事などの精神的要因も集中力・気力に影響する。集中力は、➀や②から影響を受けることもありそうだ。
 要因①の「棋力の衰え」も、健康状態に左右されそうだ。まあ、厳密に考えず、本人に起因する要素、つまり、よく言われる心・技・体」が肝心ということを、もっともらしく言っただけ。

 これらは、個人差はあるが、40歳過ぎてから、下り坂の勾配が強くなり始める(②の根本である健康状態は個人差が大きい)。当然、羽生九段も年齢による衰えを掛けることはできない。とは言え、羽生九段の場合は、その降下の具合が少し違う気がする
 「その1」で書いたように、《年度別成績が2016年に5割台に落ち、2018年12月に広瀬八段に敗れて竜王位失冠し、無冠に。2020年に豊島竜王に挑戦するも、1勝4敗で奪取ならなかった》という状況は、ずっとタイトルを保持してきて、タイトル挑戦もしてきた実績、そのイメージが強いだけに、成績の落差が大きく感じてしまう。が、そうではない実績もある。詳しくは、「その3」で。
 それはともかく、昨年度は14勝24敗、勝率.368。7月から9月にかけて6連敗。NHK杯で準決勝進出して、希望を感じたが、準決勝の敗戦を含め年度末7連敗(今年度初戦敗局を含めると8連敗)し、順位戦A級陥落……年によって出来不出来はあるにしても、つらい一年だった。
 通常の下降曲線を大きく下回った原因は、内的要因だけではなく、外的要因が働いた為と考える。

2.外的要因
④棋界全体のレベルアップ
a.AIによる詳細に及ぶ定跡研究
b.実戦の敗因究明とそれによる更なる定跡の上乗せ
c.対戦相手に対する研究が深くなり、局面を想定して対策が練れるようになった
d.今までの常識を超える大局観や新たなる手筋の開発

 これらにより、棋界全体の棋力が上がり、羽生九段が勝つのが大変になった。
⑤羽生九段への畏れや信用の低下
 前項目(項目④)の要素cにより、羽生九段に対する事前対策が深くなった。
 それに付随して、羽生九段が最善手を続けているわけではない……《けっこう、間違えている》ことが分かった。これにより、羽生九段の指し手を《羽生九段の指した手だから、良い手なのだろう》という先入観がなくなった。さらに言うと、予想外の手を指された時、《そうか、そんな手があったのか!》と少なからず動揺してしまうことがあったが、羽生九段への恐れが低下したことにより、《もしかしたら、悪手かも?》と冷静に分析されている。
⑥羽生九段本人の読み筋への自信の揺らぎ、迷い、大局観の狂いが生じている
(“内的要因”に入れた方がいいかもしれないが、項目④の二次的現象なので、敢えて「外的要因」に入れることにする)
 長い項目題名と括弧内の説明により、記述することがなくなってしまった(笑)。
 自身の読み筋や大局観への自信が揺らいでいるため、入念に読むようになり、時間とエネルギーを消費して終盤のミスが増えた。

 要約すると、年齢的衰えと、対局相手の棋力向上と羽生九段への畏れ低下による“羽生マジック的効果”が薄れ、羽生九段の迷いなどによるエネルギーのロスによるミスの増加が相まって、勝ちにくくなった……

 その3「棋戦による相性」に続く
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FIFAワールドカップ2022の大人の事情

2022-11-26 16:48:57 | スポーツ
先日、ニュースや特番などで、サッカーW杯関連が多すぎると述べた。
ある程度の事情は察しがついたが、想像以上に大変な状況であることが分かった。

【情報元はここ(『Yahoo!ニュース』『デイリー新潮』
テレビ朝日関係者「今回、うちも数十億円を負担して、何百億円とも言われる放映権NHKフジテレビ、インターネット放送局のABEMA共同で購入しましたが、どんなに高視聴率であっても元が取れることはありません。そもそも時差が6時間もあるので、深夜に行われる注目カードの視聴率は期待できない。放映権を持っている局は、ニュース映像権のみの局よりも多くの映像が番組でも使用できるので、ワイドショーからニュース番組まですべて使い切って、なんとかペイしようという算段なんです」
・前回2018年のロシア大会までは、TBS日テレも放映権の共同購入に参画していたが、今回は降りた。両社はニュース映像権のみを購入してニュース番組などで使っているが、「それだって簡単に出せる額ではなかったはず。日テレさんにはメジャーリーグの放映権を契約しなかったために、大谷翔平の活躍をいまも静止画でしか報じられない苦い経験がある。背に腹は代えられない思いでカネを出したのでしょう」(←テレビ朝日関係者の言葉)
テレビ東京は、報道・ニュースでも、試合の様子を振り返る場面も静止画のみで、浅野拓磨の劇的な逆転ゴールの動画はなし
 「ウチは試合映像が使えないんです。W杯の放映権が回を重ねるごとに高騰していることはつとに知られていますが、実はニュース映像を流す権利にも多額の費用が発生するのです。今回は1億5000万円とも言われている。地上波としてメンツを保つためにも買うべきという声もあるかもしれませんが、それを考慮しても高すぎて手が出せないんです」(テレビ東京・局員)

 NHKが躍起になって、ワールドカップサッカーを宣伝しているのは、そういう事情によるのだろう。
 受信料が偏って使われるのは、釈然としないなあ。
 NHKの昨年度(令和3年度)の決算報告書によると、スポーツ区分の製作費は430億円で、14.0%(構成比率)。ちなみに、テレビ6波(総合、Eテレ、BS1、BSプレミアム、BS4K、BS8K)の総放送時間に占めるスポーツ区分の割合は15.6%(編成比率)。
 今年度のスポーツ区分の製作費は、どのくらいになるのだろうか?
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羽生九段将棋事情 その1「復調か?」

2022-11-24 16:35:33 | 将棋
一昨日(11月22日)に、王将戦挑戦者決定リーグ最終局で、羽生九段が豊島九段を破り、6勝0敗で挑戦権獲得を決めた(11月23日記事参照)。

 年度別成績が2016年に5割台に落ち、2018年12月に広瀬八段に敗れて竜王位失冠し、無冠に。2020年に豊島竜王に挑戦するも、1勝4敗で奪取ならず(タイトル通算100期ならず)、昨年度に至っては、A級陥落、年度成績も14勝24敗、勝率.368と辛い成績だった。
 今年度は20勝9敗、勝率.690と復調傾向。ただし、順位戦(B級1組)では、2連勝の後、4連敗(その後、1勝して3勝4敗)。NHK杯戦でも初戦(2回戦)で姿を消してしまうなど、完全復調とは言い難い。将棋内容も強さを感じることも増えてきたが、辛勝も少なくなく、惨敗に近い将棋もちらほら。
 しかし、王将リーグでは服部五段、糸谷八段、近藤七段、渡辺名人・棋王、永瀬王座、豊島九段相手に、全勝。これは、喜んでいいのではないだろうか。
 服部五段は37勝12敗(勝率.755)、近藤七段は今年度は振るわないが順位戦B1で4連敗後4連勝(昨年度成績は36勝16敗、勝率.692)、糸谷八段はA級棋士、そして、渡辺名人、永瀬王座、豊島九段は現在の“トップ4”のメンバー(残りひとりは突き抜けてしまっているが…)。
 特に後半三局は、圧巻と言って良い。最終局の豊島九段戦は、豊島九段の暴発による勝利だったが、昨年の羽生九段や二人の対戦成績を考えると、勝負がもつれる可能性は低くなかった(とにかく、羽生ファンとしてはドキドキ)。対渡辺戦は、渡辺名人が嫌気がさすほど不出来な将棋だったらしいですが、裏を返せば、羽生九段の指し手が冴えていたと考えられる。対永瀬戦は、難解極まる将棋で、終盤で当然に思えた手が疑問手で、永瀬王座の勝ちになったが、永瀬王座も勝ちを読み切れず、再逆転。手順に金を取られ、自陣は2段目に歩を連打しただけで、玉の延命になっていないように思えたが、勝ちになっていたという運を感じた将棋だった。ただし、この歩の連打ができる棋士が何人いるのだろうか?

 で、“トップ4”の残りの一人が、タイトル保持者として待ち構えているのだが……ドイツに勝ったことだし……

 その2「勝てなくなった理由」に続く
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寺田総務大臣、辞任(更迭) ~その2 内閣総理大臣としての(更迭の)判断とは?~~

2022-11-24 15:16:28 | 時事
 「その1」では、政治資金収支報告書に故人を会計責任者として記載したことについて書いたが、その他にも《借入金600万円の借入金の記載漏れ》など4度も訂正したという。
 とにかく、政治資金収支報告書をチェック・監督する省庁のトップが、ごまかしとも受け止められる杜撰な処理で良いはずがない。

 前記事(その1)を書いたのが11月20日午後で、その夜には更迭された。さらに、21日には東京地検が政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで捜査に乗り出すことがわかった。寺田氏ら関係者を任意聴取し、起訴か不起訴を判断するという。

 おそらく、多くの人(自民党議員の中にも)が《遅すぎる》と思ったのではないだろうか?
 東南アジア遊説中、総務相を更迭するのか?との問いに
「総理として判断する」
という、答えになっていない答えをしていたが、
 更迭の前日の19日の記者会見でも、
「各閣僚に於いても、各自求められる説明責任は徹底的に果たしていただかなければならない。
 各閣僚に於いて、どうあるべきか、内閣総理大臣として判断していく」

と、同じように訳の分からない言葉を述べていた。
 ニュースでキャスターは、
「国会運営への影響を見極めた上で、近く対応を決める方針」
という補足をしていた。

 ……つまり、内閣総理大臣とか自民党総裁とかいう立場
①1か月間で、立て続けに3人もの閣僚が辞任する総理としての痛手(任命責任の追及)
②辞任しなければ(更迭しなければ)、更に、野党の追及が続き、国会の運営(補正予算案の審議)に遅れが生じる
③予算審議中に、担当大臣が辞任するのは、さらに混乱する
 などの状況を吟味して、補正予算の審議前に大臣を後退させるのが、一番マイナスが小さいと判断したと考えられる。


 そう、寺田総務大臣が総務大臣として不適格かどうかは、全く判断の材料にはなっていないのだ。
 本来ならば、国会議員として不適格かどうかを考えるべきなのだが。

 過去に、いろいろな問題が生じた大臣は、大臣を辞任することで、“責任を取った”扱いになっているが、それで済むような問題でないことの方が多かった。
 国会も、大臣が辞任した時点で追及の手を緩めてしまう。《辞任すればおしまい》ではないであろう。
 寺田議員が辞任して、“前総務大臣”になっても、国会議員としての政治資金収支報告書の誤記(虚偽報告の疑いもある)の責任は問われるべきだ。



 さて、上記の①~③の判断に於いては、普通、早く辞任させた方がいいと考える。自民党内でも、いろいろな判断があったようだが、「早く辞めさせるべき」という声が大きかったようだ。
 それなのに、ずるずると20日まで更迭を引き延ばした。
 なぜか?
 
 寺田大臣も「辞めないのか?」という国会や報道の追及にも、「辞めるつもりはない」旨の返答をしていた。
 それが、20日夕方には《更迭の調整に入った》と報じられ、急展開の印象がある。
 ………憶測だが………

 東南アジア外遊中、あるいは外遊前に、3人もの閣僚が立て続けに辞任(更迭)というのは、各国首脳・閣僚に対して、《あまりにも格好が悪い》。
 寺田大臣には「帰国する前に、勝手に辞表を出すな(辞意表明するな)」と命じていたのではないだろうか?
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ワールドカップサッカーは嫌いじゃないが……そもそも「勝ち点4で大丈夫」と言い切って、大丈夫なの?

2022-11-23 18:07:45 | スポーツ
 ワールドカップサッカーが始まった。
 ワールドカップサッカーは嫌いじゃないが……ちょっとうんざりしている。
連日、現地からの選手やコンディションのレポート、“ハイプレス”云々などの戦術面解説、対戦相手の分析、過去のワールドカップのゲームの再放送……。今朝のNHK『おはよう日本』(7時台・全国)は、25分の放送時間のうち、ワールドカップの話題が12分強(冒頭のW杯紹介挨拶を入れると約14分)。番組の半分以上の時間を費やしている。《ここ数日、特番などいろいろ放送しているんだから、もういいじゃん!》……ちなみに、羽生九段が6戦全勝で藤井王将(竜王・王位・叡王・棋聖)への挑戦を決めたニュースは40秒だった。
 定時のニュースなので、もう少し、普通のニュースを報道してほしい。もっとも、最近は、旧統一教会問題、閣僚辞任、物価高騰、新型コロナ関連、ウクライナ情勢、北朝鮮ミサイル……気が滅入るニュースばかりなので、ワールドカップ関連の方が、はるかに良いような気がするが……

 ちなみに、午後7時の『ニュース7』では冒頭から8分10秒がワールドカップ情報、エンディング27秒が直後のW杯直前情報のPRメッセージや映像だった。いい加減にしろよ、という感じ。

 文句を言うついでに、疑問を言わせていただく。
 先日の『サンデースポーツ』か『ワールドカップ特集番組』で山本氏(少し記憶が曖昧)が、
「予選リーグ初戦のドイツ戦は、勝つのは大変だが、勝ちにいって引き分けで、予選リーグ勝ち点4で大丈夫(決勝トーナメント進出)」
というような解説をしていたが、本当に大丈夫なのだろうか?


 日本の所属するグループEはスペイン(世界ランク7位)、ドイツ(11位)、日本(24位)、コスタリカ(31位)
 ドイツは世界ランク11位と意外に低いが、過去4度優勝の強豪、簡単に勝てるチームではない。山本氏も「簡単に勝てないが、勝てない相手ではない」「10試合すれば、1勝か2勝しかできないだろうが、その1試合になればいい。勝ちにいって引き分けを目指したい」というような主旨の解説をしていた。
 それで、ドイツと引き分けて勝ち点1。勝ち点4に至るには、1勝すればよい(残り2試合を2引分で勝ち点3にしかならない)ということになる。コスタリカには申し訳ないが、コスタリカ戦の勝利が大前提なのだろう。
 スペイン戦も引分けには持ち込みたが、山本氏は「勝ち点4で大丈夫」と言う。……つまり、《ドイツ戦を引分ければ、スペイン戦は負けても良い》と言っている

 ここからは、コスタリカが3戦全敗すると仮定して(ごめん)、話を進める。
 ドイツは日本に引分けた後、コスタリカには勝つとして、ドイツースペイン戦はどうなのか?……両チームの実力が互角であるとすると、引き分けになる可能性は低くない。
 引き分けと仮定するとドイツは1勝2分けで勝ち点5
 山本氏の《日本は勝ち点4で大丈夫》説を採用すると、スペインは日本戦勝利、上記のようにドイツ戦は引き分け、コスタリカ戦勝利とすると、2勝1分けで勝ち点7。コスタリカ戦を引分けても1勝2分けで勝ち点5となる。
 つまり、スペインードイツが引き分けの場合、日本は1次リーグ敗退となる公算が大きい。

 では、ドイツがスペインに勝つ場合は、ドイツ2勝1分けで勝ち点7。スペインは2勝1敗で勝ち点6。やはり日本は1次リーグ敗退
 さらに、スペインがドイツに勝つ場合は、ドイツ1勝1分け1敗で勝ち点4、スペイン3勝0敗の9ドイツとの得失点差勝負となる

 本当に勝ち点4で大丈夫なのだろうか?


【追記】
ドイツ戦に勝利した翌日の今日(11月24日)の『おはよう日本』は冒頭17分が日本勝利の話題でした(放送時間枠は45分)
フリーキックでのロングパスはオフサイドにならない絶妙さだったし、奇跡的なトラップだったし、狭いシュートコースでのシュートは信じられない見事さだった。
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2022王将戦リーグ 羽生九段、挑戦権獲得

2022-11-23 10:56:26 | 将棋
王将戦挑戦者決定リーグ最終局で、羽生九段が豊島九段を破り、6勝0敗で挑戦権獲得を決めた

 5戦目で永瀬王座に勝って5勝0敗とした時点で、1敗以内の挑戦権圏内にいるのが2勝1敗の豊島九段のみとなっていた(他のメンバーは2敗以上)。1敗とは言え2勝しかしていない豊島九段はリーグ戦残り3局を全勝しなければ、羽生九段と同率となり、プレーオフに持ち込めない。さらにそこで勝たないと、挑戦権を獲得できないという状況。豊島九段にとっては、4連勝が必要。羽生九段からすると最終局とプレーオフに連敗しなければ良い。
 単純に勝ち負けが半々(50%9だとすると、豊島九段4連勝の確率は6.25%。つまり、羽生九段挑戦権獲得の確率は93.75%。しかも、豊島九段の残る対戦相手が、新進気鋭の服部五段と渡辺名人。羽生九段の直接対局までに豊島九段が星を落とす可能性は低くない。できれば、最終局にドキドキしたくない。(詳しくは「羽生九段5連勝とし挑戦権目前」(11月1日記事))
 しかし、服部五段、渡辺名人を連破してしまい、直接対局に持ち込まれてしまった。……羽生九段は連敗しなければよく、まだ優位な立場であるが、両者の直近の対戦成績は羽生九段の1勝9敗。豊島九段が連勝して“しまう”確率は81%!……
 まあ、羽生九段も復調してきているので、勝つ可能性は40%ぐらいはあるはず。連敗する可能性は36%なので大丈夫?……でも、1局目(リーグ最終戦)で負けると……駄目かも……

 将棋は、角換わり相掛かり系?で、互いに早めに桂を3七(7三)に跳ねる好戦的な構え。(棋譜は速報ページをご参照ください)さらに、羽生九段は居玉のまま、3筋の歩を突き捨てて桂を4五に跳ね、後手銀を4四に誘い、2筋の飛先歩を交換するという積極策。対する豊島九段も3筋の突き捨てを逆用し3六に歩を突き出し飛車を3筋に呼び込んだ。そして、その飛車の頭(3五の地点)に銀をグイと出た。3五には後手の駒の利きがないので、タダ。只捨ての銀!
 当然取りたいが、取ると△2六角の王手飛車取りがある(居玉が祟ったか?)。この王手飛車には▲3七飛と受ければ、飛車角交換で済みそうだが(先に銀をもらっているので。先手の大きな駒得)、△3六歩の厳しい追撃がある。この一連の銀捨てから飛頭の歩打ちの筋は、『将棋世界』の「初段コース」問題に出てきそうだ。
 △3六歩に対して取ることも逃げることも出来ない(玉が取られてしまう)ので、飛車が助からない。となると、銀と飛車の交換になってしまい、先手が大損となってしまう……はずだが、そうはならないようだ。
 △3六歩に対しては▲1七角の反撃があり、以下△3七歩成には▲2六角が絶好となる。後手も△3八とと銀を取る手があるが、ここで▲5三角成と王手で角が成れるのがあまりにも大きく、△5一玉に▲3八金と手を戻せば、飛車角交換打にはなるが「銀得+角成(馬)」の利があるので、先手が大優勢。
 ▲3五同飛にほぼノータイム(133秒)で△2六角と打った豊島九段は、▲3七飛に3062秒(約51分、持ち時間は4時間)の長考に沈み、△3六歩と打たず△4四歩と辛抱。しかし、▲3三歩から桂交換に持ち込まれた後、▲5八玉と玉飛の金縛り状態を解消され、結局ほぼ銀損状態が残り、先手の大優勢となった。
 大技直前の△3六歩に1861秒(約31分)、大技勝負手の△3五銀に1567秒(約26分)を掛けていたのに、大ポカに近い読み落とし……。そう言えば、昨年の王位戦▲藤井王位ー△豊島竜王戦(称号は当時)で、銀損を甘んじる大辛抱……やはり直前に読み落とし……思い出す。読みを深く掘り下げる豊島九段ならではの落手か……

 そこから、豊島九段も懸命に頑張り、羽生玉の両側に飛車と龍で挟撃。羽生九段にとっては嫌な筋がちらつき、それに注意を払わなければならないので、迂闊に後手玉に攻め込めない。2六に銀、3八に角と攻めに使いたい駒を投入。歩や桂を駆使して攻めを進めるしかない。評価値上は大優勢であるが、豊島九段を相手に勝ち切るのは容易ではない。評価値で1000点、いや2000点プラスでも、1手で逆転してしまうのが将棋。
 大優勢を自覚してから、おそらく6時間……ようやく勝利。この6時間、長かった……。棋譜速報はかなり頻繁に更新してくれるが、それでもリアルタイムではない。何度クリックしたことか!

 七番勝負は年が明けてから。藤井五冠相手に七局で4勝する画が見えないが、好勝負を期待したい。

 なお、この羽生九段が挑戦権獲得した記事、『日刊スポーツ』の「羽生善治九段と藤井聡太王将との頂上対決実現 豊島九段を破り竜王戦以来のタイトル戦」は、勝負の背景や状況が詳細で的確に記されていると思う。
 その記事の中で……

『藤井が18年2月の朝日杯で15歳6カ月の史上最年少での公式戦初優勝を果たした時、準決勝の相手は羽生だった。終局後の会見で、「藤井さんは将来必ずタイトル戦に出てくる方。ただ、私がそこにいるかは分かりませんが。そこが問題です」と語った。』(引用)

 “そこにいなかった”羽生九段であるが、この両者の七番勝負が実現して、本当に良かった。


1渡辺名人 1勝5敗  ●近藤 ●服部 ○永瀬 ●羽生 ●豊島 ●糸谷
2永瀬王座 3勝3敗  ○糸谷 ●渡辺 ○豊島 ●羽生 ○近藤 ●服部 残留
3羽生九段 6勝0敗  ○服部 ○糸谷 ○近藤 ○渡辺 ○永瀬 ○豊島 挑戦
4近藤七段 3勝3敗  ○渡辺 ●豊島 ●羽生 ○服部 ●永瀬 ○糸谷 残留
5豊島九段 4勝2敗  ○近藤 ●永瀬 ○糸谷 ○渡辺 ○服部 ●羽生 残留
5糸谷八段 2勝4敗  ●永瀬 ●羽生 ●豊島 ○服部 ○渡辺 ●近藤
5服部五段 2勝4敗  ●羽生 ○渡辺 ●近藤 ●糸谷 ●豊島 ○永瀬
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鎌倉殿の13人 第44話「審判の日」

2022-11-22 12:15:22 | ドラマ・映画
(タイトルの「審判の日」がピンときませんが……)
 冒頭の義時と犬が対峙するシーンは、シュールだった。犬の鳴き声の代わりに、頼朝が落馬した時に聴こえた鈴の音がしていた。この夢を見て、義時は運慶を急かせた。
 十二神将像にはどういう意味があるのか?……十二神将像の戌神像が義時を救ったという伝説があるらしい

《今話当初、序盤の各々の思惑》
義時……京から親王を迎えるのはやむを得ない。京の影響力を強めない為、取りあえず源仲章を何とかしたい。公暁が不穏な動きを警戒。
義村……公暁のクーデターに加勢。成功すれば乳母父として三浦は安泰。勝負に出る
実朝……親王を迎え入れ、自身も右大臣に叙され、前途洋々。頼家の復讐心に燃える公卿の心内など思いもよらない
公卿……義時、実朝に対し、父・頼家の復讐心を燃やし。クーデターを計画
政子……実朝の権力増強の為、京から養子を迎える案を実朝に授け、思惑以上に事が運び、内心嬉々
泰時……実朝の力にもなりたいし、北条や鎌倉がより良くなることにも尽力したい。公暁や三浦の動きも気になる。嫌な予感しかしない
実衣……息子・阿野時元は源氏の血を引き、自身は実朝の乳母。もっと力を振るえるはずだが、姉・政子に押さえつけられる日々。でも、鶴岡八幡宮で執り行われる拝賀式は楽しみに思っている
源仲章……実朝が上皇と近づくことで、自身も鎌倉での力を増しそう。義時を追い落とす動きが顕著(あからさま過ぎのような…)
 ――と言う訳で、鶴岡八幡宮での拝賀式で、《公暁&義村のクーデターを義時&泰時が阻止、または、迎え撃つ》大紛争が勃発するという流れだったが……


《水面下で各々の心情に激震》
義時……実朝から「御所を鎌倉から六波羅に移す」意思を告げられ、激怒。クーデターを利用して、実朝の排除を決意。義村の旧知のクセから思惑を見抜く
義村……「拝賀式には参加するな」との命に、義時に計画が察知されたことを知る。命に従い、クーデターの行方を見定めてから、今後の行動を決めることにする
実朝……頼家の死の真相を三善から聞き出し、頼家・公暁親子の無念さを慮り、図らずも公暁を追い詰めていたことを激しく後悔。共に生きようと公暁に固く約束する
公卿……義村が引いたが、クーデターは計画は継続。母・つつじの説得も聞き入れず、実朝の申し出も信じない
政子……実朝から頼家を死に追いやったことを責められる。降雪で拝賀式参加は取りやめに。「こっそりと観ましょう」という実衣の誘いも断る
泰時……義村や公暁の計画を知り、阻止しようと動く
実衣……拝賀式の観に行こうと政子を誘うが、政子は「あなただけ行って」と。「尼御台が行かないのに、行けるわけないじゃないの」と姉を立てる
源仲章……やたら義時を挑発したのは、暗殺者(トウ)を捕え、義時糾弾のネタを確保
 ――と言う訳で、各々の心情は激震だったが、が三浦が“様子見”に引いた以外は、公暁のクーデター計画は続行。それを泰時が阻止しようとする、大まかな流れは変わらないが、義時が公暁の計画を利用して、源氏(実時&公暁)を排除しようという新たな企てが加わった。一方、トウが仲章に捉えられ、危機に。

 実朝は“いい人”なのだが、人の心の機微には疎すぎる。
 「御所を六波羅に移す」(鎌倉を捨てる)と、悪びれずにサラッと言ってしまった……


★北条3姉弟妹
・3人揃うと、けっこう仲が良い
・実衣は一方的に政子に対抗心を燃やすが、やはり姉が好きなのかな
・政子は、義時の所業を“私たち”と自分もひっくるめられて、心外。(義時の言に押し切られるパターンが多い)
 今回、「私たちが正しかったのだ」と自分を言い聞かせているような義時を、黙って見つめていた

運慶「あんまり酷い(顔の)時は言わない(指摘しない)ことにしている。気の毒が先に立ってな」と言っていたが……

★けっこう迂闊な癖……義村
 これまで、きっと義時の前で嘘をついていたのだろう。しっかり、義時に癖を見切られていた。
 でも、嘘をつく時の癖が分かりやすいというのは、策士としては迂闊すぎ!
 せめて、《嘘をつくときに、かすかに鼻の穴が大きくなる》という義時にしか見切れない癖でないと……(今話の場合なら、泰時が「分かりませんでしたが」というくらいの癖が望ましい?)

 ネット上では、「過去にもそのしぐさをしていた」という指摘が上がっている。(みんなよく視ているなあ)
 さらに、「義時に見破られることを承知していた。つまり、合図を送ったもではないか」という推察もある。



 次回は、番組サイトの公暁の紹介文に出てくる“日本史上に残る大事件”が勃発する。
 蚊帳の外に置かれっぱなしの“のえ”の鬱憤も爆発しそう。

雪が降る鎌倉は綺麗だ。風情があるなあ。


第1話「大いなる小競り合い」  第2話「佐殿の腹」
第3話「挙兵は慎重に」     第4話「矢のゆくえ」
第5話「兄との約束」      第6話「悪い知らせ」
第7話「敵か、あるいは」    第8話「いざ、鎌倉」
第9話「決戦前夜」       第10話「根拠なき自信」
第11話「許されざる嘘」     第12話「亀の前事件」
第13話「幼なじみの絆」     第14話「都の義仲」
第15話「足固めの儀式」     第16話「伝説の幕開け」
第17話「助命と宿命」      第18話「壇ノ浦で舞った男」
第19話「果たせぬ凱旋」     第20話「帰ってきた義経」
第21話「仏の眼差し」      第22話「義時の生きる道」
第23話「狩りと獲物」      第24話「変わらぬ人」
第25話「天が望んだ男」     第26話「悲しむ前に」
第27話「鎌倉殿と十三人」    第28話「名刀の主」
第29話「ままならぬ玉」     第30話「全成の確率」
第31話「諦めの悪い男」     第32話「災いの種」
第33話「修善寺」        第34話「理想の結婚」
第35話「苦い盃」        第36話「武士の鑑」
第37話「オンベレブンビンバ」  第38話「時を継ぐ者」
第39話「穏やかな一日」     第40話「罠と罠」
第41話「義盛、お前に罪はない」 第42話「夢のゆくえ」
第43話「資格と死角」      第44話「審判の日」


【ストーリー】番組サイトより
後鳥羽上皇(尾上松也)の計らいにより、右大臣に叙されることとなった源実朝(柿澤勇人)。政子(小池栄子)が愛息の栄達を喜ぶ中、鎌倉殿への野心に燃える公暁(寛一郎)は三浦義村(山本耕史)のもとを訪れ、鶴岡八幡宮で執り行われる拝賀式について密談を交わす。三浦館の動きに胸騒ぎを覚える泰時(坂口健太郎)。一方、義時(小栗旬)の周りでは、朝廷と鎌倉の橋渡し役として存在感を高める源仲章(生田斗真)がのえ(菊地凛子)を……

脚本:三谷幸喜
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寺田総務大臣、辞任(更迭) ~その1 政治資金収支報告書の扱いの軽さ~

2022-11-21 17:49:50 | 時事
《地元後援会が政治資金収支報告書に亡くなった人を会計責任者として記載した》など、政治資金を巡る問題が相次いで明らかになった寺田総務大臣が辞任した更迭された)
 昨日(20日)の朝のニュースの段階では、辞任は確定していなかったが(明らかにされていなかっただけか?)、昨日の午後7時のニュースでは、“辞任で調整”となって、8時前には辞表提出となった。
 で、この事案について、いろいろと問題に感じることがあった。

1.《政治資金収支報告書に亡くなった人を会計責任者として記載した》ことって、どのくらい悪いことなのか?
 そもそも、政治家の後援会というのがどういう組織なのか?が、私には分からない。
 営利団体なのか?いわゆる“政治団体”に属するものなのか?
 国などから助成金などをもらっているのか?会費を徴収しているのか?(すみません、勉強不足です)

 よく、逮捕とか起訴とかされるのは、選挙期間の選挙活動で公職選挙法に抵触する行為をした場合であるが、今回の件は、それではない。
 《政治資金収支報告書の記載間違い》が書類送検等に該当する事案なのかは、私には分からない。(“書類送検”も法律用語ではないらしい)

 「分からない」の連発なので、『ウィキペディア』に頼ってみる
【以下引用】
政治資金収支報告書は、日本の政治団体の収入、支出及び保有する資産等について記載した報告書である。政治資金規正法により政治団体の会計責任者等に作成・提出が義務付けられている。

――概説――
政治団体の会計責任者は、毎年12月31日現在で、当該政治団体に係るすべての収入、支出及び資産等の状況を記載した収支報告書を翌年3月末日(1月から3月までの間に総選挙等があった場合は、4月末日)までに、都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならない

収入及び支出の総額、項目毎の金額を記載するほか、一定額以上の寄附を受けたり支出をした場合などは、寄附をした者の氏名や、支払先の名称等も記載しなければならない。また、12月31日現在で保有する一定の基準以上の預貯金や不動産、借入金等についても記載する必要がある。

収支報告書を提出しなかったり、虚偽の記載をした場合などは、罰則が科される
【引用終わり】


 この引用内容から分かることは
・政治家の後援会は“政治団体”である
・“政治資金収支報告書”は重要な提出書類

であること。

《提出先が総務大臣(または都道府県の選挙管理委員会)》というのは笑う他ない!
 《政治資金収支報告書に亡くなった人を会計責任者として記載した》ことの発生理由としては、報告書作成する際、昨年度の書類を基にした。その時、“会計責任者”の変更をしなかった可能性が考えられる。
 しかし、普通、会計責任者が報告書を作成するのではないだろうか?部下が作成したとしても、責任者が最後に確認するべきものであろう。
 とにかく、杜撰。この杜撰さは、《後援会や政治家の収支報告書を軽く見ている》という姿勢から来ているのであろう。考えすぎかもしれないが、その姿勢が管理すべき総務省の怠慢さ(きちんとした報告書でなくても通ってしまう)から生じている……のだろうか?

 それにしても、
政治資金収支報告書を受け取り、精査する総務省のトップの総務大臣が、この杜撰な報告書を作成した後援会の被後援者の当人だった
というのは、笑ってしまう。……落語のオチなのか?!


【補足】政治団体とは(「総務省ホームページ」より引用)
政治資金規正法においては、下記の活動を本来の目的とする団体及び下記の活動を主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体を政治団体としています。

(1) 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること
(2) 特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること
また、下記に該当する団体については、政治資金規正法上、政治団体とみなされます。

(1) 政治上の主義又は施策を研究する目的を有する団体で、国会議員が主宰するもの又はその主要な構成員が国会議員であるもの(いわゆる政策研究団体)
(2) 政治資金団体
(3) 特定パーティー開催団体(政治団体以外の者が特定パーティー(政治資金パーティーのうち収入の金額が1,000万円以上のもの)になると見込まれる政治資金パーティーを開催する場合には、当該政治団体以外の者を政治団体とみなして政治資金規正法の規定の一部が適用される。)
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2022棋王戦 本戦決勝 羽生九段-佐藤天九段

2022-11-19 17:58:20 | 将棋
 棋王戦は、先日の記事「2022棋王戦 藤井五冠、敗者復活戦に回る」の後、本戦のもう一つの準決勝で、羽生九段が伊藤匠五段を降し、本戦決勝は羽生九段-佐藤天九段戦となった。(藤井五冠と伊藤匠五段は、敗者戦に回り、そこで勝つと本戦決勝の敗者と対戦する)
 で、本戦決勝(11月17日)は……羽生九段や羽生ファンにとっては残念な結果となってしまった。せっかく、藤井五冠が準決勝で敗れて、チャンスが大きくなったというのに……私がそんなせこい了見だったのが敗因(そんな訳はない)

 羽生ー佐藤天戦は、佐藤天九段が珍しい△3三桂戦法を採用、手将棋の難解な将棋となった。
 相撲で言う"差し手争い”が続いた後、一気に大捌きとなったが、この大捌きは佐藤天九段に分があり、佐藤九段が優勢で終盤に。しかし、そこで佐藤九段が誤り、逆転。見た目には羽生九段が相当勝ちやすそうに見えたが、薄い佐藤玉が意外に生命力があり、見た目ほどは優勢ではなかった。
 優勢や有利でも、最善手を指し続けるのは難しいという先手(羽生九段)の状況。△6五桂で7七の角取りの局面。後手の飛車が7五におり、角が動くと先手の7八の金が取られてしまう状況。

 ここで、《それでもかまいませんよ》と▲1一角成!
 玉の守備金をポロリと取られる。しかも、飛車成りで!

 角取りに対して、その角を逃げる際、香を取りつつ角を成るというのは、効率の良い手なのだが、その代償(飛車を成り込まれ、守備金を取られる)の方が痛い。
 なので、《終盤は駒の損得より、速度》…角を取られる一手(只で取られるのではなく、桂との交換)を利用して敵玉に迫るというのが、普通の棋士の考え方。その常識に捉われず、さらに踏み込む……羽生九段らしい着手だったが、決断の良すぎ、気前良すぎだった。

 ここでの最善は、▲6二金(詰めろ)△8四歩▲7六歩らしいが、私には解読不明で、これを最善と読むのは相当難しい。後手玉は心もとない状態だが、△8四歩の延命策が相当しぶとい。歩を突くだけで駒を消費せず、延命できるのが大きい。藤井五冠が先手を持っていたら、残り時間僅かで疲労もあるこの局面で、どう指したのだろうか?
 この取引(▲1一角成△7八飛成▲7九金△7五龍)で、佐藤天九段が勝勢に近くなったが、羽生九段も踏みとどまり、《互角近く》~《不利》の形勢で推移した。
 見ていて、《ダメそうだな》と思ってしまったのが下図での羽生九段の次の一手。

 図の△5一歩は、直前に先手攻略の大きな足掛かりの5六の歩を成り捨てて(二歩にならない為)、打った歩。
 マイナス面が大きく、最善手とは言い難いが、佐藤天彦九段らしい実戦的な一着。(糸谷八段も指しそう)
 ▲4二成桂。……これでは、後手玉に迫るべき成桂が遠ざかってしまう。(これが△5一歩の目的)
 暴発せずに辛抱した一着ではあるが、正確な形勢はともかく、後手玉へのプレッシャーがなくなり、佐藤天九段も怖いところがなくなり、実戦的には先手が勝てない将棋となった。
 実戦も、着実な△3三香を打たれ、着実に佐藤天九段が勝利に近づいていった。
 図での最善手は難しいが、▲7七桂と一旦飛車の態度を聞いて、△7四飛なら▲6五馬と勝負した方が、勝機があったかもしれない。

 本局では、踏み込む個所を間違って形勢を損じた。これは羽生九段の負けパターンの一つ(まあ、羽生九段でなくてもそうであろう)。
 ただ、佐藤天九段に対しては、そういう方針(大局観)を誤ってしまうことが多いような気がする。言い訳ぽくなってしまうが、佐藤天九段とは読み筋が合わない……そう感じる。

 本局の敗局で。棋王挑戦の道が険しくなったが。閉ざされたわけではない。
 敗者復活決勝の相手は、藤井五冠になる公算が強いが、伊藤匠五段も強敵。この際、どちらが相手になっても、"楽しみな一局”と思うことにしよう。
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