英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2015冬ドラマ雑感

2015-12-31 21:47:57 | ドラマ・映画
今年最後の記事なので、2015年を通して、しかも、ドラマだけでなく、将棋、スポーツ、社会などについて、総合的に書きたかったのですが、時間的に、気力的に無理です。

 今年の冬ドラマですが、やはり、『下町ロケット』を最初に挙げるべきでしょうか?
 このドラマ、主人公たちはかなりの苦境に立たされ、苦汁を飲まされることもあるが、1話に一度は、技術者のプライドや心意気を熱く語るシーンがあり、視聴者はそれに共感し、溜飲が下がる……『花咲舞が黙ってない』と同種のドラマである。花咲舞の啖呵も良かったが、こちらの方が信念や熱い気持ちにより共鳴した。

 第1部の方が、ひっ迫度や技術的苦心が強かったので、面白かった。
 第2部はややマンネリ感があったが、このドラマはこれで良いと思う。ただ、ストーリーがやや単調になってしまったのと、最終話の冗長感が強かったのが残念。
 悪役2人…ライバル会社社長・椎名(小泉孝太郎)と貴船教授(世良公則)の憎たらしさが良かった。
 ただ、椎名がデータ改ざんまでしたのは、少々解せない。
 それも精度ではなく耐久性に関するデータなので、実用化されれば問題(事故)が起きる可能性が高く、リスクが大きすぎる。
 データを改ざんした時点で、椎名は技術者として敗れてしまっているので、最後の「佃対椎名」の対決の勝負の帰趨が見えているので、緊張感が低く、長く感じられた。
 貴船に関しては、最後に日本クラインの悪党二人に八つ当たりしていたが、その際、「死んだ患者は生き返られないんだよ!」と怒鳴っていたが、これが医師としての使命を思い出しての言葉なのか、単なる無理難題の駄々をこねているのか、ハッキリしなかったのが、モヤモヤ…。
 営業第二部部長の唐木田(谷田歩)が、経理部長の殿村(立川談春)の熱く誠実な言葉を聞いて、「あんた…いい人だなあ」と声を掛けたシーンが一番のお気に入り。

 だんだん面白くなって、『下町ロケット』に追いついてきたのが、『掟上今日子の備忘録』
 日本テレビ土曜午後9時枠のドラマは、福井ではほぼ1週間遅れの土曜の午後なので、イマイチテンションが上がらなく、知らない間に1回目の放送が終わっていたり、留守録のし忘れることも多く、視聴を断念することが多い。毎週録画にしておけばいいのだが、それをする意欲も低下している。
 実は、今シリーズも、視聴したのが、前半部分の1話、中盤過ぎから毎週見始めて、全部で4話か5話観ただけ。
 推理はやや強引だったが、楽しめたし、「眠るとそれまでの新しい記憶が消えてしまう」という困難に翻弄されながらも、負けない心で、心の交流を深めていく、主人公二人が切なく素敵だった。
 眠ると記憶がリセットされるのは、悲しくて心細く、むなしいが、その彼女を慕う厄介はスタート地点に戻されるのを毎日実感し、それが、心に積み重ねられるのは、辛すぎる。
 それでも、ふたりのキャラが素敵だったので、悲壮感が感じられなく、心に染み入るラブストーリーだった。


 内容はともかく、漫画(アニメ)の主人公の再現度に感心したのが、『エンジェル・ハート』
 主人公・冴場獠と恋人・香のやり取りが、この漫画の核であるのに、初回で死別させ、シャンインに纏わる“家族愛”にすり替えてしまったのは、非常に残念。原作の傑作を厳選して、再現してほしかった。敵組織のレギオンもチャチだったし……

 冴場獠を再現するのに、視聴していて「痛さ」を感じるまで、一挙一動に気を配った上川さんに免じて?毎回視聴した。


 この他に視聴したのは『相棒 season14』と『科捜研の女15』。


 ここまで書いていたら、今年もあと1時間弱。
 今年は、書けないまま流れていった記事が多く、また、書いても納得のいかない記事も多かったです。
 ≪来年は、もう少し頑張ろう≫と思うだけですが、思わないより良いでしょう。
 こんなブログに、足を?運んでくださり、読んでいただけることに感謝します。
 コメントを下さる方は、もう“神様”です……いえ、ちょっと、持ち上げ過ぎました(笑)

 今年は異常な事件、いやな事件が多かったです。
 来年はいい年になりますように。
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2015年大晦日と2016年年始の天気予報(週間天気予報) 【追記あり】

2015-12-31 08:58:05 | 気象
 福井県の週間天気予報  12月31日5時発表
31日 木  曇のち雨か雪    降水確率(%) -/40/90/70 (6時間ごと) 最高気温8℃
1日  金  曇り後雨か雪    降水確率(%) 60/20/20/20 (6時間ごと) 最高気温9℃ 最低気温3℃
2日  土  曇一時雨      降水確率(%)    50   (終日)    最高気温11℃ 最低気温3℃
3日  日  曇一時雨か雪    降水確率(%)    60   (終日)    最高気温11℃ 最低気温5℃
4日  月  曇一時雨      降水確率(%)    50   (終日)    最高気温12℃ 最低気温4℃
5日  火  曇一時雨か雪    降水確率(%)    50   (終日)    最高気温11℃ 最低気温3℃
6日  水  曇一時雨      降水確率(%)    50   (終日)    最高気温11℃ 最低気温4℃
(最高気温の平年値 7.5℃  最低気温の平年値 1.0℃)



 天気が良くない方に寄せた予報である。
 「雨と予報したのに降らなかった」という様に、天気が良い方に外れる場合は批判も小さい。それを見越して予報を出しているような気がする。
 先日の27(日)~29日(火)の3日間雪マーク(積雪の予報も)も、雪がちらつく程度で終わった(北日本はかなり降った)。

 正月の週間予報も、毎日雨か雪の予報だが、寒気の南下は弱く、強い冬型の気圧配置にはならない模様。大陸の高気圧の強い張り出しもなく、移動性高気圧となって何回か日本列島を通過する見込み。
 なので、高気圧の通過時は、日本海側でも晴れる可能性が高く、半日ぐらいの晴天が何度かあるはず

 しかし、移動性の高気圧の谷間は気圧の谷になるので、天気は崩れる。気圧の谷は日本海から北日本を通過するので、北陸地方もその影響を受けるので、雨や雪の予報を出したのだと考えられる。


 北陸地方週間天気予報  平成27年12月30日16時35分 新潟地方気象台発表
予報期間 12月31日から1月6日まで
 向こう一週間は、気圧の谷や寒気の影響で雨または雪の日が多いでしょう。
 最高気温・最低気温はともに、平年より高い日が多く、期間の後半はかなり高い日もあるでしょう。
 降水量は、平年並の見込みです。



「気圧の谷や寒気の影響で雨または雪の日が多いでしょう」
 冬の間の、通常時(寒気が弱く、強い冬型にはならない時)の決まり文句である。
 一見すると、≪天気が良くないなあ≫と思ってしまうが、
 北陸地方にとって、この時期のこの天気は、“上々の天気”なのである

 だから、「強い寒気の南下はなく、寒さも緩み、天気は崩れがちだが、時々晴天に恵まれそうです」と表現すべきである。


【追記・私の予想】
 恐れ多いが、予想してみます。
 31日夕方から1日午前中に掛けて、北陸上空に寒気が通過するので、時雨模様。
 寒気通過後の1日昼過ぎからは移動性高気圧に緩やかにおおわれてくるので晴れてくる。
 2日以降は寒気は北日本まで北上、強い冬型にはならないが、弱い冬型基調の気圧配置が続く。移動性高気圧も通過するが、南寄りに進むので、日本海には気圧の谷が生じる。
 確かに、予報は難しいが、移動性高気圧がやってくる2日から3日は、比較的青空が広がりそう。
 4日以降は、弱い冬型が継続。通常なら曇り基調で時々雨が予想されるが、寒気の南下はないので晴れ間も望める。運よく、大陸の高気圧から分離した移動性高気圧がやってくれば、晴れそう。
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ウィンターカップ 2015  ~勝てた試合だった…土浦日大~

2015-12-30 22:17:05 | スポーツ
高校バスケットボール・ウィンターカップ、男子は明成が78-73で土浦日大を破り、3連覇を果たした

 土浦日大が勝てた試合だった。
 第1ピリオド途中から、土浦日大がバランスよく攻め、ペースを握っていた。特に、第3ピリオド、3ポイントシュートがよく決まり、残り4分56秒で48-39と9点差をつけたところでは、このまま土浦日大が押し切るかと思われた。この後、互いに3ポイントシュートを決め合い、残り3分58秒で51-42と、やはり9点差を維持。
 流れが変わったのは、残り3分15秒で3ポイントシュートを決められたプレイ。これに至る前のオフェンスでターンオーバーを犯し、その後相手のシュートが外れたリバウンドをやすやすと奪われての3ポイントシュートだった(土浦日大51-明成45)
 この少し前もターンオーバーを犯しており、リバウンドと言い、土浦日大に心の隙が生じていたのではないだろうか。ベンチとしては、ここでタイムアウトを取るべきだった土浦日大がタイムアウトを取ったのは、3点差に迫られてからだった(51-48、残り2分36秒)。結局、このピリオドは土浦日大57-54明成の3点差で終わり、明成は≪まだまだやれる≫、土浦日大は≪もっと点差があってもいいはずなのに≫という気持ちで、最終ピリオドに向かうことになった。

 第4ピリオドは、重圧からか土浦日大のプレーがぎこちなく、シュートが決まらない。これに対し、第3ピリオド途中から、エース八村以外の選手が活躍し始め、伸び伸びとしたプレーで、逆転。その後も、得点を重ね、残り4分42秒で、明成64-57土浦日大と7点差をつける。
 第4ピリオド、5分を経過しても、なんと土浦日大は無得点。ここに至るまで、タイムアウトを取らなかった土浦日大、第3ピリオドに続いて、疑問のベンチワークだった逆転されたところで、タイムアウトを取るべきだった。
 その後、土浦日大も立て直したが、流れを変えることができず、明成が78-73で勝利、3連覇を果たした。

 明成は第3ピリオド途中まで、パスの回りやシュートタッチが悪く、八村が孤軍奮闘で何とか踏み止まっていたという状況。苦しい中、辛抱し、勝負どころで爆発した見事な優勝だった。


★その他、気がついた点
1.八村選手の気になるプレー
 マークしているプレーヤーをかわして回り込むプレーの際、腕を相手の背中に回して巻き込むように相手を押しのけるプレーがあるが、八村選手の場合、巻き込むどころか、ひじを当てて押していた。ほぼ“肘打ち”といって良いプレーで、ハッキリ反則である。
 私の認識は「巻き込むだけでも反則」なのだが、どうなのだろう?
 とにかく、この“肘打ちまがい”のプレーをことごとく見逃していた審判にも、大きな疑問を感じた

2.八村選手に対する土浦日大のベンチワーク
 「八村選手の30得点は覚悟しており、他の選手を押さえ込んで勝つ」という方針で、中盤過ぎまでは、功を奏していたように思う。(この試合の八村選手は34得点、19リバウンド)
 ただ、時折は、土浦日大のツインタワーでダブルチームを掛けて、八村選手にプレッシャーを与えても良かった。八村選手に気持ち良くプレーをさせてしまった。

3.実況、解説陣に不満
 解説は長谷川健志氏、田臥勇太氏、実況は青嶋達也氏。
 田臥氏は、3年連続高校3冠の偉業を為し、NBAでもプレーをし、全日本を引っ張っている名選手(現役)。
 なので、高校時代の話や、バスケット全般における話が多くり、プレーそのものの実況がおざなりになってしまった。誰が得点したか?何点差がついたか?ゲームの流れはどちらにあるか?などを押さえずに、流れてしまうことが多かった。
 どこをどうすべきか?とか、大きなキーポイントになったと思われるプレーも気づかずスルーと、観ていて、かなりフラストレーションを感じた。

4.高校バスケットボール事情に疎い川淵三郎氏
 男子プロリーグの分裂によるゴタゴタで、統括団体の機能を果たしていないと国際連盟(FIBA)から無期限の加盟資格停止処分を受けた日本バスケットボール連盟。
 その立て直しに起用された川淵氏。見事に再建を果たし、国際大会への参加が認められ、女子は五輪出場を決めた。

 この試合のハーフタイム時に、この大会の印象を語っていたが、
「ビックリしました。こんなたくさんのお客さんが詰めかけているとは、夢にも思わなかった。こんな大会が日本にあったのかと言う印象ですよ。凄いですね、バスケットボール人気は。
 (3年連続3冠に挑んでいる)桜花学園が勝つものと思って岐阜(岐阜女子)を一所懸命応援していたが、第4ピリオド、大逆転。
 片っ方は名のある選手がいっぱい集まったチーム、片一方はあまり名のない選手が集まったチーム。それが、最後まであきらめず、勝利を勝ち取ったということで、感動しました。本当に素晴らしかった」


 非常に率直な感想だった。今年の年頭に会長に就任したので、事情に疎いのは仕方がないが、「こんな大会が日本にあったのか」は拙いであろう。
 岐阜女子を“はあまり名のない選手が集まったチーム”と評したのも失礼。

 せめて、「岐阜女子はインターハイ、国体の決勝で、4点差、2点差と僅差の試合をしていた」ぐらいの情報を得て、観戦してほしかった。
コメント (5)
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高浜原発再稼働 その1 ~西川・福井県知事の同意…「すべて条件は満たした」って?~

2015-12-27 22:32:36 | 時事
 高浜原発3・4号機は、今年4月に福井地裁が運転差し止めを命じる仮処分が下されていたが、その仮処分が24日に取り消され、再稼働に向けて準備が始められた。その司法判断については、余裕があれば「その2」として取り上げたいが、まず、その2日前の西川福井県知事が再稼働に同意した件について考える。

 西川知事の判断の過程を検証する前に、同意したタイミングについて考えたい
 司法判断が下される直前の2日前に同意判断が為されたことに非常に大きな疑問を感じる。知事が言うように「すべての条件を満たした」として同意の判断を下したわけだが、とても“条件を満たした”と言える状況でない。司法判断が為される前に、強引に同意判断を表明したように思われる。
 このタイミングに関して、勘ぐって考えると
1.司法判断が出された後で、知事が同意の可否を下す場合(特に、差し止めの仮処分が取り消された場合)、知事の決定が最終判断になる。(本来この手順であるべき) 
  西川知事は、その判断の責任から逃れたのではないだろうか?
2.西川知事の同意が表明されれば、≪知事が同意したのなら≫と、司法は差し止めの仮処分の取り消しを下しやすくなる。
  それに、“安全基準が適正かどうか”仮処分取り消しの論点で、総合的な原発稼働の是非という最終判断の趣きも小さい。


 西川知事は司法判断が出る前に同意表明したことについて「理由はない。前か後かにこだわる性質のものではない」と述べたらしいが、最終判断を下すのは知事の責任であるので、当然こだわるべき性質の事案である。それに、別の意味で、こだわって、直前に判断を表明したとしか思えない。


 さて、西川知事の提示していた再稼働の条件は、
 以下は『朝日新聞デジタル』
 「高浜原発再稼働、福井知事が同意“すべて条件満たした”」(2015年12月22日14時46分 堀川敬部氏)
を参考、引用しています。


①原発への国民理解の促進
②2030年度の電源構成比率の明確化
③使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外立地に向けた国の積極的関与
④事故制圧態勢の強化
⑤地域経済と地元雇用への対応

注!福井、京都、滋賀の3府県や国との広域避難計画に基づく訓練が実施されないまま再稼働に同意。これについては「再稼働の条件ではない」と述べたが、国や府県と今後、実施について協議する意向を示した。


 これらに対する、堀川氏の分析
 政府は7月に原発を「20~22%」とする電源構成比率を決定し、10月には使用済み核燃料対策の「アクションプラン」を発表。関電も20年ごろに福井県外での中間貯蔵施設の建設場所を決め、30年ごろの操業を目指す計画を策定した。西川知事が最も重視してきた「国民理解の促進」も、安倍晋三首相が今月18日の原子力防災会議の場で「全国各地で国民理解のための説明会を行う」と明言。原発の40年超運転や廃炉、高速増殖原型炉「もんじゅ」の存廃など、福井県が抱える諸課題にも「国が責任を持って総合的な対策を進める」と約束した。知事は条件をすべて満たしたと判断した。

 一方、高浜3、4号機の重大事故時に避難対象となる半径30キロ圏には福井、京都、滋賀の3府県が入り、約18万人が暮らす。原子力防災会議で広域避難計画は決まったが、避難手段の確保、経路となる道路の整備、交通渋滞対策などの課題が残されている。

 高浜3、4号機は2月に原子力規制委員会の新規制基準に基づく審査に合格。現在、新たに設置された設備の検査が進んでいる。高浜町議会は3月に、高浜町の野瀬豊町長は今月3日に、県議会は17日に再稼働に同意していた。
(以上、堀川氏記事)

【私見】(『日刊 県民福井』の記事を参考にしています)
①原発への国民理解の促進
 ここで言う「国民」とは、「一般的全国民」を示ししているようだ。これまで西川知事は「国民理解が必要というのは地元というより、それ以外の消費地」という認識を示してきた。
 “消費地”という言の裏には、「福井県が犠牲になって危険な仕事(原子力発電)を果たしてきた。それを踏まえたら“原子力反対”という言葉は容易に掲げられないはずだ」という意識が感じられる。
 そもそも、「国民の理解」が得られたとしても、原発の再稼働に同意する理由にはならない。周囲がその行為を認めても、その善悪を判断するのは本人でなければならない。理解不能な西川知事の論理である。

 では、地元の理解(地元の同意)はどこに行ったのだろうか?
 これまで「地元の同意」=「立地自治体と県の同意」とされていて、高浜原発の再稼働に関しては、高浜町議会は3月20日に再稼働に同意の決議、高浜町長は12月3日に同意を表明、県議会は12月17日に同意を決議している。

 町議会の決議から町長の同意表明まで間が空いたのは、地元産業振興への後押し、事故が起きた際の安全対策、広域避難体制の確立などの国の確約を待っていたためと思われる。地域振興の為の駆け引きとも思われるが、“同意”という決断をするには、地元住民が納得できる材料が欲しかったのだろう。
 とにかく、“地元の同意”の手続きとしては、県知事の同意を残すのみとなっていた。

 しかし、“地元”と言えるのは高浜町や福井県だけなのだろうか?
 原発から半径30キロ圏内の自治体には避難計画の策定が求められているように、半径30㎞避難(事故の影響)の目安とされている。
 「京都府舞鶴市は、高浜原発からはその圏内にあるが、舞鶴市の同意は必要ないのであろうか?」と書こうとしたら、舞鶴市が再稼働の容認(市長、市議会とも)したらしい。理由として「容認の理由としては、原発の必要性を理解したことに加え、原発の安全対策や避難計画の整備、住民理解が一定程度進んだ」ことを挙げている。そう言えば、林幹雄経済産業相は「舞鶴市長などの理解を得るべく動いている」と述べていたっけ。
 ただ、容認と「同意(権)」は異なり、立地市町村や県以外は、原発稼働についての拒否権はない。
 原発事故の被害(放射線)は市町村の区別をつけないというのに、おかしな話だ。

 それに、議会や町長、知事の決定だけで、「地元の同意」と言えるのだろうか?
 西川知事は、町議会、町長の同意がされたことで、「知事の同意以外の手続きは済んでいる」と考えているようだが、地元住民、福井県民の同意は関係ないと考えているのだろうか?
 地元新聞紙のアンケート調査によると、福井県民どころか、高浜町でも反対意見の方が多いと報じている。西川知事は県民の声を聞こうとしない(聞いた結果が好ましくないとわかっている)し、県民に向けての説明をしたこともない
 

②2030年度の電源構成比率の明確化
 原発稼働の理由が欲しいだけ。
 しかし、原発に依存しなければならない比率を算出したモノではなく、国がこういう比率で行きたいと計画しているだけで、原発稼働の何の理由にはなっていない。


③使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外立地に向けた国の積極的関与
 原発稼働の大きな課題、いや“非常に大きな課題”に使用済み核燃料の処分がある。この処理の道筋が立っていないのが現状で、原発稼働して老朽化が進めば、“核のゴミ”と言うとんでもない厄介なお荷物を背負うことになる。
 西川知事の持論として、先にも書いたが「福井県は原子力発電のリスクを追って電力を消費地に供給している。なので、そのごみの処理まで福井県が負うことはない」と言うような旨を、書く処理施設についての各県知事のアンケートで答えている。
 そんな考えを公にしたら、もし、福井県の原発が事故を起こした時、誰も助けてくれないぞ。
 そもそも、原発稼働で莫大な補助金を得ている地元自治体(敦賀市、高浜町、大飯町、美浜町)なので、犠牲になっているという考えは成り立たない。
 それより、わずかの補償金しか得ていない近隣市町村は、リスクだけを背負わされただけで、迷惑この上ないのである。

 使用済み核燃料の処理や事故対策を国や電力会社の仕事と思わず、有事の際の費用として補助金をプールしておくべきなのではないだろうか?


④事故制圧態勢の強化
 西川知事は、原発に関する福井県が抱える諸課題にも「国が責任を持って総合的な対策を進める」という約束を得られたことで胸を張っている。
 また、「発電所の安全確保は事業者の責務で、事業者の規制は国に責任がある。国や事業者を厳格に監視することで、県としての責務を果たしたい」と発言しているが、県がもっと責任を持って事業者を監督してほしいものである。


⑤地域経済と地元雇用への対応
 原発関連産業による地域振興で、原発依存度が非常に大きい現状。≪原発はない方が良いのは分かっているが、原発に頼らざるを得ない≫というのが地元住民の本音。
 理想論になるが、原発以外の産業の振興、あるいは、原発以外の太陽光、風力、潮力発電の開発に取り組んでもいいのではないだろうか(実用性は高くないが)


 間近な潤いより、使用済み核燃料の処理問題、事故が起きた際の重篤な被害など、未来を見据えて考えてほしい。
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横綱・北の湖を想う

2015-12-22 16:44:10 | スポーツ
 「北の湖理事長死去に思う」という記事を書いてから、3週間以上が過ぎてしまった。
 書きたい記事がたくさんあるが、思考力や文章力が伴わず、忙しさもあり、書けないままでいる記事が多々ある。
 この記事の他に、“その2”までで頓挫している「王座戦第5局」、「出前の方が手間も費用も掛かるのに(軽減税率)」、「冬ドラマ雑感」などがあるが、書こうと思ったことを忘れ去っている事象も多数あるはず。紹介したい詰将棋もたくさんあるなあ。

 北の湖と言えば「憎らしいほど強い」という修飾語を即座に連想してしまう程、強かった。
 現に、氏の死去を伝えるニュースのほとんどにこの言葉が使用されたように思う。
 大鵬…盤石な強さ、千代の富士…鬼神のような強さ、貴乃花…柔剛併せ持つ強さ、朝青龍…疾風怒濤の強さ、白鵬…万能の強さなど、強さの修飾語が思い浮かぶが、「憎らしいほど強い」という言葉がぴったりするのは北の湖である。(朝青龍にもその要素があった)
 勝ちを決めた後、背中や尻を付いた相手に手を差し伸べるのはもちろん、一瞥さえしない。踵を返し颯爽とややふんぞり返って勝ち名乗りの位置まで戻る仕草がそう感じさせる一因であろう。
 ふんぞり返ったように見えるのは、北の湖の体型によるものだと思う。それに、「相手を労わる(同情する)のは失礼だ」という信条もあったと聞く。
 そして何より、輪島、貴ノ花(貴乃花の父)、若乃花(若三杉)らの人気力士を払いのけて優勝してしまう敵役であった。人気はあまりなかったし、「憎らしい強さ」と称されてはいたが、ファンすべてが認める横綱の強さで、北の湖がいたからこそ、大相撲が盛り上がったのだ。

 北の湖と言えば、輪島。
 北の湖対輪島は盛り上がった。
 「天才」「黄金の左」の輪島。昇竜の如く横綱まで駆け上がった男。ライバル貴ノ花との強靭な引き付け合いは見ごたえあったが、それはまた別の話。
 貴ノ花が軽量の弱点を克服しきれなかったので、“貴輪(きりん)時代”は確立されなかったが、北の湖が台頭し“輪湖(りんこ)時代”に移行した。
 北の湖の横綱昇進までは、輪島が10勝3敗と8場所先輩横綱の貫禄を見せた。
 北の湖が横綱昇進後の約3年間(19場所)は輪島の9勝7敗(輪島3場所連続休場あり)と拮抗(1977年11月場所まで、通算では輪島の19勝10敗)。この19場所中、輪島5回、北の湖7回と二人でほぼ3分の2を優勝している。特に1976年、77年の2年間は輪島、北の湖ともに優勝5回と、まさに“輪湖時代”であったと言える(ここまでの通算の優勝回数は、輪島12回、北の湖9回)。
 1978年は北の湖が1月場所から5場所連続、賜杯を手にし、休場2回の輪島は優勝はなく、通算優勝回数も輪島12回、北の湖14回と逆転した。ふたりの対戦も輪島1勝、北の湖3勝と力関係の逆転を思わせた。(通算では輪島の20勝13敗)
 1979年も北の湖が4勝2敗とリード(通算輪島の22勝17敗)。優勝も北の湖3回、輪島1回であった。ただ、1978年の11月場所から1979年7月場所までを区切ると、輪島から見て○●●○○とリードし、7月場所では13度目の優勝を果たし、意地を見せている。
 1980年から翌年1月場所までは(1980年1月場所と7月場所は輪島休場)、北の湖が4勝1敗、優勝も北の湖が3回、輪島1回。
 ただ、輪島は11月場所では北の湖に勝利し、14勝1敗で14回目の賜杯を手にしている。(その2場所後引退)

 1978年以降は北の湖が11勝4敗と圧倒した期間のイメージが残っており、初期のころの貯金が利いていたとはいえ、通算では輪島が23勝21敗と勝ち越していたのは意外だった(北の湖死去の時、確認)。
 「北の湖対輪島戦」後期は、パターンが決まっていた。
 がっぷり四つから、輪島が右からおっつけながら寄り身を見せる。北の湖は腰を落とし堪え、回り込んで凌ぐ。このやり取りを3、4回繰り返していくうち、輪島の息が上がってくる。そして、満を持した北の湖が寄り立て、輪島が堪えきれず土俵を割る。
 二人の力関係が逆転したのは、輪島の衰えと北の湖の充実によるところが大きいが、北の湖が輪島の取り口を読みきっていたことも一因であろう。
 どこかで見た(聞いた)が、………最初の頃、「黄金の左」という謳い文句にとらわれ過ぎていた。ところが、輪島の真の強さは、「黄金の左」ではなく、「強烈な右のおっつけ」にあると気づいたのだという。それから、輪島の右に注意を払うようになり、勝てるようになった………


 実は、この記事で書きたかったことは、「輪湖時代(対決)」ではなく、「北の湖対旭国」である。
 大関・旭国……小兵の上、膵臓炎に苦しみながらも大関昇進を果たす。確かな技と、鍛え上げた自分の相撲の型を持っており、小兵ながらも正攻法の取り口で、好きな力士だった。(奇襲に近い技“とったり”も得意だったが)
 取りこぼしが少なく、序盤は7勝1敗ぐらいで優勝争いに加わるが、終盤戦の横綱大関戦で勝ち星を上げられず、10勝5敗や9勝6敗で終わることが多かった。
 それでも、1977年9月場所、14勝1敗の好成績を上げる。しかし、優勝は出来なかった。優勝したのは北の湖、15戦全勝だった。旭国の1敗は当然、北の湖によるもの。
 北の湖との対戦成績は7勝22敗。この成績だと、善戦しているようにも見えるが、旭国は大関昇進後、1勝しか上げられていない。

 そんな旭国ではあるが、大関時代かそれ以前かは覚えていないが、強烈に覚えている一番がある。
 旭国が北の湖に食いつき長時間粘って勝利した一番だ。旭国が北の湖のアゴの下(咽喉付近)に頭をつけ、何度も寄り身を見せ、北の湖が堪え、更に腕力で旭国の身体を振る。
 旭国の身体も起きかけるが、足の裏に根が生えたように踏ん張り、さらに深く頭をつける。この様子を実況アナウンサーが
「旭国がコバンザメになった!」
と表現。
 旭国のしつこい寄りに、ついに北の湖が根負けして、土俵を割ったときは、割れんばかりの歓声、飛び交う座布団の嵐……


 懐古に浸り過ぎるのは良くないが、≪ああ、あの頃の大相撲は、面白かったなあ≫としみじみしてしまった。
 
 
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相棒 season14 第9話「秘密の家」

2015-12-20 22:03:07 | ドラマ・映画
 今回の脚本家は金井寛氏
 氏の脚本は意表を突くことにとらわれ過ぎて、人物の心理の動きや行動に強引さがあったり、状況などに細かい不整合が多い傾向が強く、私がマークする要注意脚本家の一人。他に真部千晶氏西岡琢也氏池上純哉氏らがいる。(『相棒』の脚本とは限らない)
 今回は、氏にしては面白かった(上から目線で、ごめんなさい)

 放送日から間が空いてしまったため、若干、記憶や考察が薄れたのと、先の「『相棒 season14』の低視聴率に関する記事についての反論」その1その2で少々疲れてしまったので、ごく簡単に。

川口健作(西田健)
「罪は暴かない方が、幸せだということもある」
 娘・志乃を誘拐した黒幕が、娘婿であることに気づいたが、敢えて素知らぬふりをし、さらに、隠蔽工作までした。
 志乃にとっては“夫”(ひなたにとっては父)が、金に窮して、志乃を誘拐し、義父から身代金をせしめる……最低の娘婿。しかし、家族(娘、孫娘)の為、罪を暴かず、庇ったのだった。

 これに対し、
杉下右京
「罪という秘密を抱えたままで、本当の幸せを手にすることなど決してできないと、僕は思いますがねぇ」

 これは、『相棒』シリーズ通しての右京の信念。

 志乃やひなたにとっては最悪の真実で、知らない方が幸せのような気もするが、右京の信念も真理のような気がする。
 だいたい、そんな最低のことをする夫では、今回はやり過ごせても、幸せになるとは到底、思えない。


 少し話が逸れるが、やはり肝心なのは“相談”かなぁ。
 家族のことを思うなら、男のプライドなど捨てて、妻に打ち明け、義父・健作に援助を乞う。そうすれば却って、健作も娘婿を許容し、援助したのではないだろうか。

【雑感】
・見過ごしてしまいそうな子どもの絵から、誘拐事件、更に、半狂言の誘拐の真相、さらに、義父の隠蔽工作までたどり着くというストーリーは面白かった
・絵を特命係が見つける過程には、「指名手配中の暴力団員が誘拐監禁場所であった倉庫に潜んでいた」という高レベルの偶然
・誘拐の実行犯が、「倉庫内に入ったことがない」と言っているのに、手慣れた感じで電燈のスイッチを入れて、墓穴を掘るというのは、あまりにも使い古されたネタ。≪ああ~、やっちゃったよ≫と、実行犯に対しても、脚本家に対しても思ってしまった。
・健作が誘拐事件の真相が露見するのを予見し部下に命じて、防犯カメラのデータに細工し、実行犯のアリバイ工作をしたが、実行犯が「喫茶店にいた」とアリバイを主張するとは限らない。健作の部下と実行犯が直接、接触した感じはなかった。
・志乃のペンの持ち方が歪(いびつ)だった


【ストーリー】番組サイトより
少女の誘拐監禁事件が起きていた可能性が浮上
それを隠ぺいしているのは被害者家族だった!?

 組対五課の応援に駆り出された右京(水谷豊)と、見学ということで同行した亘(反町隆史)は、現場の廃工場で、小さな子供が描いたと思われる母親の似顔絵を見つける。
そこは子供が立ち入るような場所ではなかったため、気になった右京は、落し物を届けるという名目で、絵を描いた子供・ひなた(須田理央)の家を訪れる。応対に出た母親・志乃(新妻聖子)とのやり取りから、絵が廃工場で見つかった経緯に疑問を感じた右京は、母娘の周囲をさらに捜査。すると、かつてひなたが誘拐され、廃工場に監禁されていた可能性が浮上してくる。
しかし、通報された形跡はなく、母娘をはじめとする家族は固く口を閉ざし、まるで誘拐などなかったかのように振る舞っていた。さらに、志乃の父で警備会社社長の健作(西田健)は、警察OBでもあり、警察上層部に圧力をかけて右京と亘の動きを封じはじめてきた。

一枚の子供の絵から浮上してきた誘拐事件の可能性。
被害者一家が、それをひた隠しにする理由とは…!?
右京の推理が、思いも寄らない“家族の秘密”を解き明かす!

ゲスト:新妻聖子 西田健

脚本:金井寛
監督:池澤辰也
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『相棒 season14』の低視聴率に関する記事についての反論 その2

2015-12-19 17:00:36 | ドラマ・映画
『相棒 season14』の低視聴率に関する記事についての反論 の続編記事を書くことになろうとは…)
 『相棒14』の低視聴率に関する記事で、こんな記事も見つけてしまった。
『相棒』8年ぶり12%台下落は“脚本”が原因!? 水谷豊審査員の“異例コンペ制度”の内情(livedoor NEWS)

 第8話(12.9%)の低視聴率から第9話(15.0%)の回復した件での考察記事だが、その副因(外的要因)として
「この週は裏の日テレが『ザ!世界仰天ニュース』で14.9%と高視聴率を叩き出したため、『相棒』は完敗してしまいました。また、『相棒』の前番組である『ナニコレ珍百景』が8.6%と、流れも悪かった。16日の日テレはサッカー中継、また『ナニコレ珍百景』も11.1%と2ケタだったため、巻き返しに成功したのではないでしょうか」(テレビ局関係者)
 という考察を挙げている。
 前記事の白根麻子氏は、外的要因はないとしていたが、それとは別の見方である。
 まあ、『ザ!世界仰天ニュース』で14.9%の高視聴率の原因が、“『相棒』離れ”によるという可能性もあるので、上記の根拠も信用度は高くないが、直前番組からの流れという考えは、ある程度的を射ているように思う。

 この記事の主題は、低視聴率の原因は視聴者の第8話の脚本家・藤井清美氏への信用度が低かったからというもので、ファンからは「前シリーズではまったく共感できない回を担当していた」といった意見も出ていたことを根拠に挙げている。
 しかし、そうだろうか?
 脚本家を前もって調べて、その脚本家の前作の出来を思い出すなんて行為は、相当な相棒ファンであると言える。そんなファンなら、期待できない脚本家の回であっても、取りあえず視聴するはずで、かなり的外れな考察ではないだろうか?
 

 ちなみに、第9話の脚本家・金井寛氏については、
「第9話の金井寛氏はseason12、13でそれぞれ4話ずつ受け持つなど、安定して脚本を担当し続けている」という事実を挙げている。
 私は、金井寛については“要注意人物”の範疇に入れている。
 「自身が思いついたプロットを成立させるために、登場人物の心理や行動、事件の展開に強引さが目立つことが多く、脚本に当たりはずれが多い(外れの方が多い)」という評価である。
 今シリーズでは第3話「死に神」を担当しているが、やはり、登場人物の心情や行為に納得のいかない点が多かった。
コメント (2)
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『相棒 season14』の低視聴率に関する記事についての反論

2015-12-18 23:34:48 | ドラマ・映画
 『相棒 season14』の視聴率が低調で、その原因があれこれ言われている。
 批評記事目当てで検索していたわけではないが、目についたのがこの記事。

『「相棒」8年ぶり低視聴率は反町の「法務省出向」が全く活かされてないから!?』『Asagei plus』
 記事を書いたのは、白根麻子という記者。

「12月9日放送の「相棒season14」(テレビ朝日)第8話で、視聴率が12.9%と低迷した。相棒シリーズで視聴率が12%台まで落ち込んだのは、「相棒6」の第7話で12.5%を記録して以来、実に8年ぶり」

 この事象についての考察記事だが、ある芸能ライター(氏名は不明)の言葉を取り上げている(下記)
「前回から2%も数字を下げた第8話ですが、強力な裏番組があったわけでもなく、単に視聴者が離れたと言えそうです。この影響で平均視聴率も15.5%と低迷。それでも立派な数字ですが、『相棒』はここ2シリーズ連続で平均視聴率17.4%の超優良コンテンツですし、今作の低迷ぶりが目につきます」

 一見、事実を基にした考察に思える。第8話の放送時に強力な裏番組がなく、第7話の14.9%から2%も下がったのは、「視聴者が離れた」ことを示していると言及。
 さらに、「12.9%の数値の影響で平均視聴率も15.5%と低迷」とも言及。

 これについて検証すると、7話までの平均視聴率・15.87% ⇒ 15.5%(8話を含めた平均視聴率)で、0.37%の降下である。これが急降下かどうかは主観の問題だが、この2シーズンの平均視聴率17.4%と比較すると15.87も15.5%も大差がないように思える。
 そもそも、この主張のおかしな点は、「第8話の影響で平均視聴率が低迷」というのなら、この第14シーズンは問題がないことになる。ところが、「今作の低迷ぶりが目につく」と言及している。(“今作”が第8話を刺している可能性もあるが、文脈からすると“14シーズン”を指すと考えられる)

 さらに、「強力な裏番組がないこと」と「第8話の低視聴率」から、「視聴者が離れた」と結論付けている。
 しかし、これは早計で、第8話の低視聴率の原因として、①「前話が面白くなかった」、②「今シリーズは面白くないと判断して、見切り時と視聴者が判断した」が考えられる。(②は第9話が15.0%と回復しているので、根拠としては薄い)
 なお、この論理はkiriyさんも、相棒14「第9話 秘密の家」の記事で論及している。(先を越されてしまったが、私も常々、視聴率に齟齬があると感じている)


 白根麻子氏はさらに、
「ネットでは新たに主人公・水谷豊の相棒となった反町隆史を槍玉にあげる意見が多い。見た目は格好いいものの、どうしてもヤンキーっぽさが抜けず、相棒にはそぐわないという声もある」
 と、巷の声を紹介するが、「前出のライターは、反町以上の戦犯がいると指摘するのである」と、再び芸能ライターの言葉を引用。

「今作は脚本がダメですね。警察ものとしての面白さや緻密さに欠けています。第8話は車椅子の漫画家を巡る話でしたが、今どきアシスタントなしで手描きの漫画家なんていませんよ。反町の使い方にしても、法務省から出向してきた官僚という設定がまったく活かされていないのですから、むしろ可哀想なものです」


 ………………まず気になるのは、ここまで白根麻子氏の意見が全くないこと。芸能ライターの言葉と、ネットの声と数値(視聴率)だけ。
★芸能ライターの言葉への反論
 「今どきアシスタントなしで手描きの漫画家なんていませんよ」……現代の状況にはマッチしていないかもしれないが、第8話の漫画家・咲良の天才性のひとつとして「すべてひとりで描き上げる」ことがあるとしており、この点を取り上げて、「脚本がダメ」と結論付けるのは乱暴。
 脚本としてダメというのは、第7話の「死んでしまった姉の人格が発生し、長年二重生活をしていた」「生存不明の父親と歳の離れた弟の存在」のご都合主義な設定や、「娘・幸子の遺体を竹藪に埋めてしまい、妹に生じた幸子の人格を認め、本当の幸子はないモノとした」という、理解し難い母親の行動ではないだろうか?

 また、冠城(反町隆史)については、「したたか」で「軟派」で「ひょうきん」で捉えどころのないキャラであるが、したたかさはともかく、ひょうきんなおどけ振りには魅力を感じない。
 それに、法務省の官僚という設定を活かす云々より、反町が出向してきた目的がはっきりせず、今のところ“暇つぶし”。右京と行動を共にする理由もはっきりしない。
 つまり、冠城がどういう意思で右京と行動を共にしているのか示されず、冠城の過去も明かさず、正義感などの人生観の表現も薄い。つまり、冠城の意志がほとんど感じられない。これでは、魅力を感じる訳がないのである。


 そして、ようやく、白根麻子氏の意見らしきものが示される。
「そんな脚本のマズさは第7話でも露呈していた。双子の姉が5歳の時、風呂で妹を溺死させたことについて、「殺人は時効」と説明していたのである。だが、5歳児の行為を殺人として扱うことはあり得ず、事故として処理されるはず。これこそ法務省官僚の反町が指摘すべき点なのだが、脚本家にはそういった配慮もなかったようだ」

 そうなのかもしれないが、ストーリーの核とは外れた末端をつついて悦に入っているだけのように感じる。
 そして、また引用。
「ただ、今シリーズの脚本家はこれまでのシリーズでも活躍してきた人ばかり。決して相棒テイストのわからない人が参入してきたわけではありません。だからこそ余計に不思議なんですよ」(テレビ誌ライター)

 まず、ここ数シーズンは古参の脚本家の割合が減ってきている。
 特に「今シリーズの脚本家はこれまでのシリーズでも活躍してきた人ばかり」とい指摘には疑問を感じる。初期よりずっと携わってきている輿水泰弘氏は第1話と第7話を担当しているが、私は相当出来が悪かったと感じている。

 私の独善的考察だが、古参の脚本家たちは疲弊してきており、新規参入の脚本家は育ちすぎた“相棒世界”をこなし切れていない。
 ここ数シーズンは、事件の展開、登場人物の心情・行動などに不合理さや不可解さが目立つようになってきている。それでも、視聴率が取れていたのは、惰性で視聴しているだけである。“ダークナイトという暴発事故”があっても、『相棒』を信じて、惰性で視聴しているのだ。
 相棒の再放送を観ることが多い。一度、あるいは数度見ていて筋を覚えていても、過去の作品の方が面白い。

 「何を偉そうに語っているんだ!」という声が聞こえてきそうだが、初期からずっと視聴してきており、さらに、“シーズン10”からは毎話レビューを書くようになってからは、楽しむだけでなく、記事を書くために事細かに観るようになった。
 1度目はドラマを楽しむために観て、記事を書くときは時々再生を止めて、更に、気になる部分を確認……。この私に免じて、偉そうに語らせてほしい。もう一度言おう。

 最近の相棒は面白くない!


白根麻子氏は、記事を下記のようにまとめている。
「ここに来て露呈しつつある脚本のマズさ。この謎こそぜひ、水谷が演じる右京に解いてもらいたいものだ」

 「露呈しつつある脚本のマズさ」は同意。(でも、なぜ「マズさ」と片仮名なんだ?)
 しかし、白根氏は自分の意見をほとんど言っていない。右京に語りかける前に、あなたに言いたい。
「引用ばかりしないで、自分の考察を述べよ!」
コメント (6)
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軽減税率の対象品目、合意したが……

2015-12-14 23:26:17 | 時事
相変わらず、目先しか見ない……国民は置き去り……

公明党
「(軽減税率の対象品目が)生鮮食品だけでは、国民が納得しない」
 何度も「国民が納得しない」というフレーズを使用した公明党。
 しかし、「国民が納得しない」の意味は「今度の参議院選挙で勝てない」という意味である。実際、この本音も両党間での協議の間で、時折、公明党が主張していた。
 「社会保障の財源」と「景気の動向」との天秤で、軽減税率を主張した(衆議院選挙の時にことあるごとにこの公約を主張していた)のではなく、選挙の為だったのである。

 これに対し、
自民党
 もともと、消費税引き上げの理由は、財務省のホームページによると
「今後、少子高齢化により、現役世代が急なスピードで減っていく一方で、高齢者は増えていきます。社会保険料など、現役世代の負担が既に年々高まりつつある中で、社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、一層現役世代に負担が集中することとなります。特定の者に負担が集中せず、高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと考えられます」

 という訳で、「軽減税率の対象品目を増やせば、それだけ、税収が減り、社会保障財源の確保という目的が達せられない」と主張。
 珍しく筋の通ったことを言う自民党と、ほんの少し見直していたのだが……

 しかし、公明党の「参議院選挙で敗れると、また、“捻じれ国会”で苦労することになるよ」「加工食品を加えないと、選挙協力しないよ」と脅されて、譲歩してしまった。

 加工食品まで対象にするのに合意した自民党、今度は、
「酒類を除く外食にまで対象品目を拡げよう」と主張
 “税収が減り、消費税アップの意味がなくなる”と加工食品を対象とすることに、難色を示していたというのに、全く矛盾する主張である。
 “加工食品を軽減税率の対象にするのなら、外食も対象に含めろよ!”という、スポンサーから突き上げを食らったのだろうか?
 そもそも、外食は低所得者とは縁が薄く、所得の低い人の負担を和らげるという軽減税率の対象にするのはおかしい。

 財務省のホームページで謳っていた消費税引き上げの理由は、お飾りであるとしか思えない。

 しかも、財源の確保の道筋は立っていないと言う

 結局、将来を見据えて消費税引き上げを決めたのだが、政治家は目先の都合しか考えていないのである。

 さらに、本日、「新聞も軽減税率の対象にする」という合意がなされた。
                ………新聞社の圧力?!

 ちなみに、『Yahoo! JAPAN』のアンケートでは、12月15日午前0時20分現在

 投票総数 83,408票のうち
・新聞は適用すべきでない……65,001票 77.9%

という数字が出ている。
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相棒 season14 第8話「最終回の奇跡」

2015-12-10 21:59:49 | ドラマ・映画
漫画のシーンと、殺人の現場の様子が酷似していた………
        ………漫画で殺人を予言したのだろうか?


 面白いシチュエーションだ。
そのまま単純に考えれば、「咲良が殺人を予言した」となる
しかし、偶然や奇跡と考えなければ、
漫画のシーン通りに殺人を行えるのは、編集長、編集者、漫画家・咲良、その姉・ますみの4人。
    ……誰が犯人なのか……………
        ………………その誰でもなかった


①最初に疑われたのは、犯行時刻にアリバイがなったことが発覚した編集長。
②しかし、編集長は不倫相手に呼び出されており、アリバイが成立。
③その不倫相手が、漫画家邸から女性が出ていくのを目撃。
④咲良は足が不自由なので、犯行可能なのは姉のますみということになる
⑤咲良の足は治っていること、漫画を姉が手伝っていることが判明→咲良が犯人か?
⑥3年前の転落事件の際、最終回の原稿が持ち去られていたことが判明。
 →犯行は持ち去られた原稿を見た者なら、犯行は可能である
⑦ネットにアップされた画像の中に、漫画と同じアングルのモノがあり、それをアップしたモノが怪しい。
 →犯人は3年前は咲良と衝突しけがを負わせたマネジメント会社の社員だった

 下記の捜査や推理を積み重ねて、上記のように事件が解明されていく相棒らしい展開だった。 

咲良にまつわる謎や判明した事実
1.ファンを大事にしていた
2.心機一転すると、サインを一新
3.筆致はデビュー当時に戻っていた
4.3年前の転落事故で意識不明となり、その後遺症で足が不自由で車いす生活
5.漫画の創作作業に追われ続け、更に、原田(被害者)の金儲けに利用されていた
6.確かな姉の画力
7.車いす生活とカーペットの矛盾
8.被害者の手に血が付いていなかった点が、原稿と一致しなかった

 
 もう一つのテーマ
芸術家の創作欲


「これを書いたのは、あたしじゃぁありません、神様です」(ドラマの序盤の咲良の言葉)
「紙に向かうと、イメージが降ってくる」(姉が右京に説明した咲良の執筆の様子)  しかし、これらは視聴者に向けて“殺人の予言”を匂わせる為の台詞のように感じた。
 実際は「神は細部に宿る」というのが咲良の信条で、ラストシーンに3年間も拘り続け、ほんの細部ではあるが、修正し、満足できたという、創作欲に溢れ、努力を惜しまない創作家であった

 さらに、致命的な怪我を負わせた桜岡に対し、
「あの転落事故のおかげで、“まだ書きたい。もっと書きたい”という気持ちに気づくことができた」
「あの事故があったから、今度の最後の場面が書けた。指先の血、小さな違いですが、私には重要なことです……“神は細部に宿る”
「あなたのおかげで、いい最終回が描けました。これから、もっと凄いモノを描きます。ありがとう」

 咲良にとって、名声や著作権や金儲け(原田の悪行)はどうでもよかったんだね。


☆大きな疑問
 確かに画力や筆致は大きな要素で、思うように描けないのは、咲良にとっては辛いことだが、ファンにとっては未完の最終回を観たい。ストーリーの方が重要な気がする。
 また、原田が拘った“描くことができなくなった悲劇の天才漫画家”の価値より、漫画を描く“漫画家咲良”の方が価値があり、≪咲良の漫画を読みたい≫というのが一番の気持ちではないだろうか?



☆多少の疑問
・高校時代の咲良と、漫画家・咲良のイメージが一致しない
・咲良の特異性を強調させるためなのだろうか、姉が妹を公の場以外でも“先生”と呼ぶのは不自然。

☆余計な感想
 殺人は許されないが、被害者・原田は「漫画家・箱崎咲良に取りついた寄生虫」(by編集長)ぶりが酷いので、犯人・桜岡に対し、≪でかした!≫と思ってしまった。


【ストーリー】番組サイトより
大怪我から復帰した女流漫画家が殺人事件を予言!?
最終回のラストシーンに未来の出来事が描かれていた!

 人気漫画家・箱崎咲良(玄理)のマネジメントを担当する会社の社長・原田(内田健介)が、刺殺される事件が発生。現場は特徴的な建物付近の階段で、遺体の近くには花びらが散らばっていた。
 警察が到着する前に、その様子を複数の一般人がスマホで撮影しており、SNSに多数の現場写真がアップされるという騒動も起こる。そんな中、咲良の人気漫画を掲載する漫画雑誌編集部が、発売前である最終回のラストシーンと原田の遺体写真が、まったく同じ状況であることを公表。事件があったとき、咲良は編集部の人間によって缶詰状態でまさに最終回を執筆中だったといい、「天才漫画家が殺人事件を予言した」と触れ回った。
 咲良の大ファンである米沢(六角精児)は、咲良に疑いの目が向けられることを避けるため、特命係に捜査を依頼。事件に興味を持った右京(水谷豊)は、亘(反町隆史)と共に咲良を訪ねると、彼女は3年前の事故から車椅子生活で、姉のますみ(原田佳奈)のサポートで生活していた。

 天才漫画家はなぜ殺人を“予言”することができたのか?
 伝説的な人気漫画の最終回をめぐる愛憎とは…!?
 右京と亘が予言殺人に秘められた謎を解き明かす!

ゲスト:玄理 原田佳奈

脚本:藤井清美
監督:池澤辰也
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