英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『すべてがFになる』 第1話&第2話「冷たい密室と博士たち」

2014-10-30 23:51:10 | ドラマ・映画
 かなり以前に、友人から「これは面白いという自信がある」と勧められ読み、若干悔しかったが「確かに面白かった」と感想を述べた記憶がある。
 しかし、≪面白かった≫という感触だけしか残っておらず、恥ずかしながらストーリーはほとんど覚えていない(さすがに「F」の意味は覚えているが)。ただ、天才・真賀田四季と萌絵とのやり取りはうっすらと覚えており、四季にまつわるエンディングが衝撃的に面白かったという感触(やはり感触、具体的には覚えていない)が残っている(1996年に発行。実はもっと以前だと思っていた)。

 巷では、酷評しているブログレビューが目立つ。確かに残念な要素も散見され、きっぱりと否定できないというのが正直なところだ。
 私としては、細かいところはさておいて、間賀田四季に関するエピソードをしっかり描いてほしいと思っている。冒頭の萌絵と四季の会話は雰囲気は出ていたが、四季の上から目線の態度が鼻についた。早見あかりさんが、そういった天才気質を上手く演じていたと言えるが、体格的に読書後(中)の繊細なイメージと離れていたのが不満に感じたのかもしれない。

★巷の酷評を検証
「冗長感、引き伸ばし感が強かった」
 1番の原因は、2回に分けたこと。
 さらに、複雑で強引(サプライズと偽って、被害者のふたりにも協力させる)なトリックだったので、うまく要点を整理しないと、視聴者がついていけなくなるのだが、探偵役の犀川と萌絵が天才という設定で、凡人の視点がない為、事象の整理ができなかった。萌絵も頭の回転が速いので、視聴者がじっくりと考えるところをすらすら進んでしまった。
 2回に分けるのなら、最初に萌絵が提示したトリックを考えるまでの過程を時間を掛けた方が良かった。後編の間延びの為、トリック解明も焦点がぼけてしまった。
 フェイクのトリックをじっくり見せることで、≪なぜ、ふたりは防寒服を脱いだのか?≫≪車にウエディングドレスが置いてあったのはなぜか?≫≪なぜ、意義のない密室だったのか≫等のポイントや事件を時間的空間的要素を、視聴者に整理させることができたはずだ。

 本で読む場合は、読者が何度もポイントに戻って考えを整理できるし、進行も自分の都合(マイペース)で読み進め考えるので、展開についていく間も意思も生じる利点がある。テレビは視聴者が楽するので、却って、ミステリーモノは見せ方に工夫が必要である。


 失踪した増田がミイラ化して発見のエピソードは不要だったかも。さらに間延び感を増長させた。彼の死の真相(閉じ込められたのか)もはっきりしなかった。殺されたのなら、彼のPCはその時点で処分されてしまったはずだ。そもそも、PCどのような事実が隠されていたのだろうか?
 それに、失踪の際の研究室での暴れ方もおかしい。敵意は丹羽だけに向けるのが通常だろう。
 

 間延び感が強くなってしまった要素に、刑事と萌絵のやり取り、萌絵の少女時代のエピソードが挿入されたことがある。これらのエピソードがもう少し、萌絵の魅力を感じさせるものなら意味もあったが、萌絵の行動が、単に好奇心旺盛な女の子ぐらいにしか描けてなかったのが残念。
 ラスト近くでも、彼女が乗り込んでこなかったら、里佳が飛び降りることもなかったような気がする。
 この際、天才ならではの変な論理・思考・行動とか、思考レベルが高くて冷たさを感じさせるが、犀川に対しては少女になってしまうといった所謂“ツンデレ”だったら面白いのに…



「犯人の心情・行動に納得できない」
 丹羽はともかく、「増田にレイプのことを漏らした」ことが、珠子を殺害動機というが、殺人の動機としてはかなり弱い。犀川は「彼女に悪気がなかった」と言うが、珠子が増田が好きで、嫉妬や計算から漏らしたというのなら納得できる。

 さらによく分からないのは父親の木熊。娘の殺意を知り止めるどころか、綿密な殺人計画を練る。日本が誇る研究者コンビというが、浅はか過ぎる。


★このドラマだけではないのだが…
 前編のラストで、萌絵が絶体絶命になるが、その直後の予告編で萌絵がピンピンしているシーンを流すのはどうかと思う。


【ささいな突っ込み】
 父の自殺を他殺に見せかけるため、死体発見のシーンを犀川に目撃させたが、あの悲鳴、タイミング良すぎ。1~2分おきぐらいに悲鳴を上げ続けていたのだろうか?


 面白い要素が多くあり、密室モノは好きなので、期待したい。


【ストーリー】
『前編』
 神南大学工学部建築学科3年の西之園萌絵(武井咲)は、同学科の准教授の犀川創平(綾野剛)に、ある報告をした。“もっとも神に近い人間”と犀川も絶賛する天才プログラマーの真賀田四季(早見あかり)に、面会して来たというのだ。四季は、事情により幽閉されているが、萌絵は、県知事の叔母に頼んで面会にこぎつけた。
 犀川がそれをうらやんでいると、助教の国枝桃子(水沢エレナ)がやって来る。犀川は国枝に、これから同大学の極地環境研究センターに出かけると話す。犀川に好意を持つ萌絵は、一緒に付いて行く。
 ふたりを迎えた工学部土木工学科准教授の喜多北斗(小澤征悦)の案内で、萌絵と犀川はマイナス20度の低温実験室を見学する。その後、萌絵の先輩の服部珠子(吉谷彩子)に誘われ、ふたりは実験終了の打ち上げに参加。そこには、土木工学科教授の木熊京介(平田満)や助教の市ノ瀬里佳(市川由衣)を始め、複数の学生もいた。
 打ち上げは始まったが、なんと実験室の隣室で珠子が、さらにその隣室で丹羽健二郎(菊田大輔)が殺害されていた。
 駆けつけた警察により、喜多らは事情を聞かれる。萌絵と犀川もそこにいたが、刑事の鵜飼大介(戸次重幸)によって帰宅を許される。驚く現場の刑事に鵜飼は、萌絵が県警本部長の西之園捷輔(吉田鋼太郎)の姪だと明かす。すると、突然萌絵が、犯人の逃走経路について話し始め…。

『後編』
 何者かにより低温実験室に閉じ込められた萌絵(武井咲)は、犀川(綾野剛)に救助され一命を取り留める。集中治療室に運ばれた萌絵の元へ、叔父の捷輔(吉田鋼太郎)がやってくる。捷輔は犀川に、萌絵が事件のことを調べているのは、犀川に認められたいからだろう、と話した。
 翌朝、一般病棟に移った萌絵のそばには犀川がいた。犀川は萌絵に、犯人の目星が付いているだろう、誰だと思うか、と聞く。萌絵は、犀川の推察と同じだと答え、自分の代わりにそれを確かめて来てほしいと頼む。
 同じ頃、極地環境研究センターに里佳(市川由衣)が出勤して来る。早い出勤に驚く守衛に里佳は、出張先から直接戻ったのだ、と明かした。
 その頃、研究センターに着いた犀川は、悲鳴を聞いて建物に駆け込む。実験室付近の階段の下に木熊(平田満)が倒れていて、隣では里佳が震えていた。
 現場に到着した刑事の鵜飼(戸次重幸)は、同じ場所から4つも遺体が出るとは狂っている、とため息をもらす。犀川は、そんな鵜飼から情報を収集し考察を重ねる。さらに、喜多(小澤征悦)に亡くなった増田のパソコンに残された「shika」というフォルダについて聞くと、喜多は、誰かの登録名では、と答える。
 研究室に戻った犀川は、桃子(水沢エレナ)から、犀川のパソコンのセキュリティーが何者かによって破られていたことを聞く。やがて犀川は誰かにメールを打つ。手法はすべて自明――、と書き始めた相手は、shikaだった
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相棒 season13 第3話「許されざる者」【補足あり】

2014-10-29 21:58:47 | ドラマ・映画
「許されざる者」
……………まさにタイトル通りの真犯人たちだった


長谷川重徳……一応、今回の被害者。3年前の殺人事件の真犯人でもあった。(弁護士・永井の手腕によって無罪になっている)
 唐突に気にも留めていない男性からナンパされ、あいまいな言葉と笑顔で受け流そうとしただけの女性を、「嘘をついた」といきなり殴り殺す。そんなことで、殺意を抱き、犯行に及び、罪の意識もないというのなら、止めどもなく殺人を犯してしまうのではないだろうか。
 全く罪の意識はなく、一事不再理をいいことに、金欲しさに暴露本を出版しようとした。また、3年前の被害者・香奈の父親にも、全く悪びれない非道ぶり
 弁護士・永井にとってこの上もなく邪魔な存在であることに全く無自覚で、金儲けの誘いにホイホイ乗ってしまう“間抜け”でもあった。

永井多恵……人権派の女性弁護士。3年前の殺人事件で長谷川を弁護し、無罪に導いている
 自分の行為が絶対で、そのためには何をしてもいいという歪んだ正義の持ち主。
 長谷川が殺人を犯していたことを初めから知っていて、自分が勝ち取る判決が絶対の事実だと思い上がり、躊躇いもなく無罪を主張、勝ち取る。

「裁判に勝てば、あなたが(殺人を)やっていなかったことになるの。裁判は真実ですら変えられるの」
「この世の中には私を必要としている“弱者”と言われる人たちがたくさんいるの。彼らを一人でも救うことが私の理想なの」

 自分が勝つのが正義というとんでもない人権派弁護士だった。
 そんな歪んだ正義に対し、“モンスター”と呼び、「罪は極めて重いですよ」と糾弾する右京に対し、至近距離で睨み返し、不敵な笑みさえ浮かべる強者だった。


(上記の二人ほどではないがかなり許せない)
目撃者と捜査一課……実際には一課が聞き込んだだけで顔も名前も不明なので、芹沢の言葉を引用。
「事件の前日、“マンション近くで男が長谷川さんともめているのを見た”という人がいるんですよ。
 ガッチリした体型で、中年男性の声でこう言ったそうです。“やっぱりお前だったのか、殺してやる”、あんたそう言ったでしょう」
 実際に揉めていたのは香奈の父親。脳梗塞で歩くのも杖が必要。長谷川ともめた時もよろけて、「その体で何ができる?怪我しないうちに帰った方がいいですよ」と言われてしまうほどであった。
 実際と証言にかなり隔たりがある。こういういい加減な証言と、それを鵜呑みにする一課のぼんくら振りも許しがたい。
 永井弁護士連行の際、手錠を掛けないのは駄目である。「お前は犯罪者なんだよ」とはっきり自覚させるべきである


杉下右京……あくまでも非常手段、「仕方がなく」と言うが、、、
 長谷川の原稿のデータだと見せたメモリーチップは、右京のスマートフォンのものだった。
 インチキ証拠で自供に追い込むのは右京の良くやる手だが、決定的な証拠も鑑識任せだったこともあり、不満。
 永井弁護士に対する糾弾に、激高がなかったのも、インチキ証拠のうしろめたさの為かも。

甲斐享……これは私の個人的な好き嫌い
 米沢に対する態度が偉そう。
 監視カメラに映らずに侵入できるかの検証なら、もう少し映らないような努力をして欲しい。 


密室のトリック
 「犯人は侵入せず、被害者に自ら抜け出させる」という逆転のトリックだった。
 私は前日から被害者の部屋に泊まり込んでいて、時間差トリックで監視カメラを掻い潜ったのではないかと思ったが、season7第2話「還流~悪意の不在」で西岡徳馬がホテルで行ったトリックが似ているし、実際に実行困難なのでないだろうとは思っていた。


今週の内村刑事部長語録
「“特命”だろう。そういう最悪の状況を作り出すのは“特命”に決まっている」
「おまえ(参事官)は記者会見が得意だったな。
 おまえにやらしてやろう。大丈夫!お前だったらできる。警察の未来はお前にかかっている、頼んだぞ」

 

【その他の(些細な)突っ込み】
・闇サイトの陰の代理人(殺し屋)はどうなった?委託料の400万円は?

・役者過ぎる父親と弁護士
「ええぇぇっ!じゃあ誰が香奈を殺したんです?」
「………あんた、あの時の弁護士だな。……長谷川が犯人だったのか?じゃあ、あんたは真犯人を無罪にしたのか?どうなんだぁっ!」
 激怒振り、まさに初めて3年前の殺人の真相を知ったように思えたぞ。
 その時の永井弁護士の動揺振り。
 また、長谷川から今回初めて告白されたという嘘の回想シーンでの、彼女の驚愕振りと、なかなかの役者である。(役者なんだけど) 

・3年前の捜査がずさん過ぎ
 「刑事ドラマで過去の事件が浮上する場合は、そのほとんどが捜査が杜撰」という法則

・下記のあらすじ
「出版社に勤める長谷川(夙川アトム)という男性」…フルネームで記述してほしい



 ストーリーを成り立たせるために、あまりにも長谷川のキャラが浅はか過ぎ。
 いくら歪んだ正義感の持ち主でも、長谷川の無罪を勝ち取る必要性が薄いと感じた。
 今話の脚本家の金井氏は、視聴者の意表を突くのが第一のように感じる(今回は人権派弁護士の驚きの本性)。
 しかし、過去にも言及したことがあるが、意表を突くことにとらわれ過ぎて、人物の心理の動きや行動に強引さがあったり、状況などに細かい不整合が多い傾向が強い


【補足】(書くのを忘れていたことがありました。こてくんのコメントで思い出しました)
 女性の腕力では、男性一人をトランクに入れて運ぶ、しかも階段を上るのは困難。
 死体を運搬したとなると、検視官や監察医が気付くはず。



【ストーリー】番組サイトより
 出版社に勤める長谷川(夙川アトム)という男性が自室で殺害された。室内が派手に荒らされていたことから、捜査一課は強盗殺人の線で捜査を始める。
 しかし、長谷川は3年前、強盗殺人の容疑者として裁判にかけられたものの、人権派の女性弁護士・永井多恵(片岡礼子)の手腕もあって、無罪となった人物であることが判明。さらに、今回の現場マンションが巨大な密室状態になっていることを知った右京(水谷豊)は、そこにミステリーを感じ、享(成宮寛貴)と共に独自の捜査を開始する。
 その後、多恵が裁判後も長谷川と交流を持っていたという情報を得た2人は、彼女から事情を聞く。そんな中、3年前の強盗殺人の“真犯人”とされていたホームレスが無実だった可能性が浮上して…!?

3年前の強盗殺人と今回の殺人事件の関係は?
右京と享は巨大な密室マンションの謎を解くことができるのか!?
事件はやがて、思わぬ方向へと転がっていく!

ゲスト:片岡礼子

脚本:金井寛
監督:和泉聖治
コメント (4)
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法医学教室の事件ファイル38 ~土曜ワイドらしい反則技~

2014-10-28 15:40:59 | ドラマ・映画
 第38話(10月4日)、第39話(10月18日)と立て続けに放送された『法医学教室の事件ファイル』。
 このドラマは、主人公・監察医の二宮早紀(名取裕子)、夫で刑事の一馬(宅間伸)が絶妙なずれ具合で事件を解明していくのだが、40話に届く長期シリーズだけあってキャラが立っていて、一馬の姉・七海(由紀さおり)を交えたホームドラマトリオ漫才や、「実験くん」こと助手・永岡(本村健太郎)へのパワハラまがいの実験台イベント、クライマックスの早紀の「真相解明+絶体絶命」を一馬が危機一髪で駆けつける“お約束イベント”が満載である。

 そのお約束イベントのひとつのエンディング夫婦漫才があるが、けっこう自虐ネタが多い気がする。
 その今回の夫婦漫才。
「私って、本当によくできた妻だわ」
「えっ、よく太った妻?」
「私は太っていない!ちょっと大きいだけ、縦も横も…」


 さて、今回、長年の僚友・村中葉子検事(五十嵐めぐみ)が退場。
 初期の頃は、親友として、早紀の突飛な発想を弁護するような言動が多かったが、最近はもっぱら早紀の主張にケチをつけるいじわるキャラ(ごく最近は、事務官の方が難癖をつけていた)。
 “いつも結局は早紀の主張が正しかった”という事実を学習せず、毎回ケチをつけ、ドラマ後半には登場させてもらえない“気の毒なキャラ”。それに嫌気がさしたのか、弁護士に転身するそうで、このドラマからは卒業


土曜ワイドらしい反則技!
 被害者の女性は、かつての名女優・桐嶋夏子の姪で、殺害現場付近に姿を見せ、思惑ありげな表情を見せていた。
 ≪フェイクだろう≫とは思っていたが、実際に詰問され、「私が60過ぎに見えるの?失礼しちゃうわ」と免許書を見せ、プンプンして去って行った。
 正真正銘の無関係者であった。
 黒幕と思わせるフェイクと、「自ら消息を絶った大女優が実は殺されていた」という真相に気付かせないための小細工だったのだ。

 それにしても、見事な反則技!だった。


 事件のカギが“心臓震盪症”だったが、かなり偶発的な症例で、これを利用して殺人というのは強引。また、フェイクとして交番勤務の警官も関わってきたが、彼の兄も“心臓震盪症”で命を落としており、疑惑をもたれる要因となったが、やはり強引さを感じる。
 しかし、その強引さが気にならないほど、キャラクターの魅力とストーリー奇想天外な展開の面白さがあり、だからこそ、39回も製作・放送されるのだろう

 

【ストーリー】番組サイトより
 二宮早紀(名取裕子)は港南医大・法医学教室の准教授で、神奈川県警から監察医を委託されている。夫の一馬(宅麻伸)は横浜東署の警部で、2人の間には新米新聞記者として奮闘中の息子・愛介(佐野和真)がいる。また、一馬には七海(由紀さおり)という叔母がいて、時々二宮家内を引っ掻き回すので、早紀にとってはありがたい相手ではない。

 横浜市内の廃工場で、男女の死体が発見された。女性の首には絞殺された痕があり、男性の遺体の右手が凶器のロープを握りしめていた…。現場で検視に当たった早紀は、被害者の女性が20年前に失踪した大女優・桐島夏子(里織)の姪・桜(宮内知美)と知って驚く。桐島夏子は45歳のとき「年老いていく私をファンに見せるわけにいかない」と言い残して姿を消したまま行方知れずで、近々、愛介が紙面で特集を組む予定と聞いていたのだ。また、男性は、桜の大学時代の友人・工藤正彦(扇田拓也)とわかる。
 早紀の検死と解剖の結果、桜はやはり背後から首を絞められて殺されたことが判明。一方の正彦の死因は、心臓が収縮するタイミングで何かが胸に当たって心室細動を起こす“心臓震盪症(しんぞう・しんとうしょう)”だとわかる。実は2人の死体を発見したのは、ボールを捜しに来た近くの野球部員・藤堂慎吾(橋龍飛)とマネージャーの赤石恵(當麻真歩)で、練習中に慎吾が打ったホームランのボールが遺体の近くに転がっていた上、正彦の衣服の胸にボールの形の白い粉が付着していたのだった。法医学教室の助手・伊吹南(中村静香)は、正彦が桜の首を絞めて殺害した後、飛んできた野球のボールが彼の胸を直撃し死に至らしめたのではないかと推理するが、早紀は「それを調べるのは、あくまで警察の仕事」といさめる。
 その直後、早紀は正彦の妻で、美術解剖学の研究員である杏子(酒井美紀)から「夫には殺人などできない。遺体の声を聞いてくれ」と詰め寄られて困惑する。だが、まもなく死んだ正彦と桜は大学時代に交際していたという事実が発覚。杏子も、桜の夫・大作(林泰文)も、2人のかつての関係を知っていたことがわかる。

 そんなとき、第一発見者の慎吾と恵が、早紀のもとを訪ねてきた。慎吾は交番勤務の巡査・谷村元彦(田中幸太朗)から正彦の死因が心臓震盪症であることを聞き、自分が打ったボールが正彦を殺してしまったのかと心配していた。早紀は「事件のことを話すわけにはいかない」と前置きしつつ慎吾を励ますが、谷村がなぜそんな推測を軽々しく話したのか憤る。
 さらに、桐島夏子を失踪直前まで追っていたというドキュメンタリー監督・吉野和文(野間口徹)が早紀の前に現れ、正彦の死因とボールとの関係について探りを入れてきたため、早紀は、情報を漏らした谷村に対して激怒。だが逆に、谷村から「心臓震盪症を起こした原因は本当にボールなのか、法医学でハッキリさせるべき」と反論され、早紀は反省。もういちど死因を追究する決意を固める。
 再び遺体に向き合った早紀は、とある偶然から、正彦の胸の部分に拳の痕が浮き出てきたことに気がつく。正彦は犯人に拳で殴られて心臓震盪症を起こし、その後、凶器のロープを握らされ、しかも野球ボールに当たって心臓震盪症を起こしたように偽装されたのではないか…。早紀の中に、犯人は心臓震盪症に関する知識のある者ではないかという疑惑が湧きあがり…!?
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『軍師官兵衛』 第43話「如水(じょすい)誕生」

2014-10-26 20:50:38 | ドラマ・映画
前話の終盤、秀吉の怒りの要因(勝手に帰国したこと)については納得はいかないが(前話記事参照)、三成の罠にはまり、秀吉の怒りを買ってしまった官兵衛は蟄居を命じられ窮地に陥った

 諸将の嘆願や北の政所から淀への働きかけ、家康の様子見、三成のエサを待つ犬のような表情などもあったが、今回の見せどころは、サブタイトル通り「如水誕生」。

如水円清
身は毀誉褒貶の間にあるも心は水の如く清し
  「人にどう思われようと、心は澄み切った水のように静かである」(訳:秀吉)
【官兵衛の弁舌】
 潔白を示す意味で、自分の非については申し開きはしないが、これまでの武功を考えると、その罪が死に値するほどのものではない。
 利休のように意地を貫くべきかと考えたが、意地のために命を捨てるのは性には合わない(祖父の教え)。
 まだ死ぬわけにはいかない。お救い願いたいと乞う。

水は方円の器にしたがう
  「器の形に合わせて、水はいかようにも形を変える」(訳:官兵衛)
  「水にどのような形を与えるか……役に立つも立たぬも、器たるこの秀吉次第ということか」(意訳:秀吉)
【官兵衛の弁舌】
 人は生かしてこそ、使い道がある


 ………「お主を許す」(秀吉)


 でも、「人は生かしてこそ使い道がある」と言っておきながら、隠居を願い出るのは、矛盾しているような気がする。



拾(秀頼)の誕生、立場が微妙になる秀次
 如水の助言により、娘を拾いの許嫁を願い出て、に秀吉への従順さを示すが、≪我が子を天下人に≫という淀の願いを汲んだ三成が動く。

天下取りの機を窺う家康
 秀吉に官兵衛の処分を尋ねるだけで、意見を言わない家康は巧妙である(「致し方ない」、「惜しい」という感想は述べる)。
 長政、正則らの三成への不満を黙って聞く。
 ……正則、酒弱すぎ


三成の顔芸
・物欲しそうな顔(早く官兵衛に切腹を言い渡してほしい)
・びっくり顔(官兵衛の剃髪を見て)
・うんざり顔(官兵衛の弁舌を聞く間)
・がっかり顔(官兵衛が許されて)
・嬉し顔(如水の隠居の願いを聞き)…視線の方向が変
・悪巧み顔(淀が秀吉に秀次の心に猜疑心を持たせる会話を聞き)

 分かりやす過ぎるぞ。
 それに、悪人顔を見せ過ぎ。
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相棒 season13 第2話「14歳」

2014-10-24 22:41:42 | ドラマ・映画
「あなた方おふたりを僕のゲームのプレイヤーに認定します」
「僕は学習したんだ。“どんなことでも、なかったことにできる”って。
 だったらね、人を殺してもなかったことにできるんですか?」


インパクトのある台詞(2つ目の台詞は若干、文脈がおかしい)で視聴者の興味を引く
………この手法自体、ドラマの常套手段であるし、正当な手段である。
 しかし、今回、一話を通して、こういった小手先の手法で面白く見せることに走ってしまった感がある。

 過去の苛めによる自殺未遂事件、官僚である父と息子・優の断絶(享と峯秋と関係にもダブらせる)、文科省と学園の誘致、意味深な優のゲームの誘い、不動産がらみ(土地ころがし)、ベゼルの謎、享による被害者・中居の足取りの追跡など、テーマや謎解きが絡み合って……面白そう。そう「面白そうなだけ」なのである。
 ベゼルの謎は大したことなかったし、足取り追跡も常套手段であり、かなり運が良かったような気がする。事件の真相にしても、脅された理事長がいきなり凶行(撲殺)に走ったり、校長も理事長に指示されて殺人を犯してしまう。さらに、台詞の重複や矛盾、高宮親子の理解不能な心情(後述)など、納得のいかない点が多かった。

①ストーリーや台詞に、重複や無駄や矛盾が多かった
ドラマ序盤、優と右京の推理ゲーム
 営業時間外の飲み屋街に男性2人組、水商売関係ではなさそう、殺人現場付近などと、右京と享を所轄の刑事と判断した根拠を得意気に語るが、捜査一課、所轄云々はさておき、殺人現場付近に男二人組がうろつけば普通、刑事と思うのでは。
 それに優の言葉には嘘が多い。「父があいまいな供述をしてはぐらかすのは、自分を庇っているから」と思わせるのは良いとして、「ナカイフトシを知らない」や、“父親が強請られていたとような心当たりはないか”という問いに「全くありません」、“本当に?”「本当です」ときっぱり。
 ゲームを持ちかけたのに、ゲームに誘う前とは言え、嘘をつくのはゲームが成り立たない

3年前のいじめ事件を知った享が優に確かめたかったこと
「実の親を密告して、君の狙いはなんなんだ?……それ(狙い)が君の言うゲームなんなんだろ」
「君は何を知っているんだ?中居さんを殺した人間は誰なんだ?」

 享君、ゲーム(クイズ)の答えそのものを聞いたら、ゲームにならないだろ!
 冒頭のインパクトの強い台詞を、優に吐かせるためとはいえ、興醒めである。


②優がゲームを持ちかけた理由に納得がいかない
 特命係にゲームを持ちかけて不動産売買や文科省と学園の癒着を調べさせようとするより、自分が犯人と名乗り出て、父親に真相を語らせようとした方が、過去の苛め隠蔽で心に傷を持っている優にとって、父に≪自分か?官僚システムか?≫を問うチャンスのはず

 学園の裏側を暴くことが、優の目的だったのも納得できない。(父への復讐という目的もあったが)


③官僚は違う人種なんだんなあ(理解不能)
 “文科省と学園の癒着を隠し、官僚の天下り先を確保することが、官僚システムを維持する必要悪”で、官僚システムの維持を重要視し、殺人の容疑者でいることを容認した。
 個より組織が大事で、自分の人生が崩壊しても構わない。息子への悪影響も顧みない。
 苛め・自殺未遂事件を隠ぺいするため、いじめに加担していない息子も加害者に加えてしまうほどだから、今回の選択も当然か。それにしても、ひどい親である。

 そもそも、息子がいじめに加担していない無関係者が示談金を支払った方が、取りまとめがうまくいくと思うが……


【ストーリー】番組サイトより
 文科省の官僚・高宮(山崎銀之丞)が殺人容疑で逮捕された。しかし、取り調べをのらりくらりとかわし、容疑を認めようとしない。そんな中、警察に「高宮は被害者に強請られていた」という告発メールが届く。一連の出来事に引っ掛かりを覚えた右京(水谷豊)と享(成宮寛貴)は、独自の捜査を開始。
 現場を調べていると、そこに容疑者・高宮の息子を名乗る、優(濱田龍臣)という14歳の少年が現れる。父が殺人などするはずがないと考え、自分で調べているらしい。そして、聡明で如才ない優は、右京から「密告メールを送ったのは君ですね」と指摘されても動じず、逆に「おふたりを僕のゲームのプレイヤーに認定します」と不敵な態度を示す。 その後、右京たちは被害者と優に接点を見つける。小学校時代、優と同級生だった被害者の息子が、いじめを苦に自殺を図っていたのだ。被害者はその遺書をネタに高宮を強請っていたと思われた。

 殺人容疑をかけられながらも挑戦的な態度を見せる
 14歳の少年は、事件とどうかかわっているのか?
 さらに、特命係の捜査から第二の殺人が発覚して…!?
 事件はやがて、思ってもみなかった方向へと転がり始める!

ゲスト:濱田龍臣 山崎銀之丞

脚本:森下直
監督:池澤辰也
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コスモス(9月29日撮影)

2014-10-23 16:07:29 | 歳時
 コスモスの開花期間の長さに甘えて先送りにしていたら、散ってしまったものが多くなってしまいました。(まだ咲いているので、「OK」にしてください)
 撮影は9月29日、南越前町・今庄地区。この頃はあちこちでちょうど真っ盛りだったように思います。



 薄いピンク、ピンク、赤紫、紫、濃い紫色、さらにグラデーションタイプと色とりどりです。

 すでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、

 線路沿い、踏切付近です。
 なので……


 列車も特別出演してくれました。



 なんだか、カメラを向けると「俺も俺も、わたしもぼくも」とレンズの前に群がってくる小学生みたいです。




 普通、撮り始めた地点から移動しながら撮り、ある地点(今回の場合、踏切)でUターンするのですが、私は欲張りというか優柔不断なので、行きも帰りも撮ってしまいます。
 この最後の2枚は、対象も構図も同じですが、行きと帰り、それぞれで撮ったものです。
 意識して撮ったのではなく、2枚ともこの花のこのアングルが良いと思ってシャッターを押したようです。
 感覚がワンパターンなのですね。
コメント (4)
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『西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ53 伊豆・踊り子号殺人ルート~消えた一億円の謎~』

2014-10-22 22:56:09 | ドラマ・映画
『消えたタンカー』をはじめ、観ては後悔してしまう西村京太郎原作ドラマ……
今回も例にもれず、後悔の嵐……

 「じゃあ、なぜ観たんだ?」と突っ込まれそうですね。

人気女優が誘拐された!
十津川たちが警護に当たるが身代金の一億円が消えた…
古代エジプトの神、イシスと名乗る犯人の狙いは何か?
十津川が真相を推理する


 はい、謳い文句に騙されました。


 “営利誘拐”は最低部類の犯罪だが、ドラマで観る場合は、身代金引渡しの緊迫感や、警察と犯人の知恵比べ、監禁場所の特定など、見所は多い。
 なので、それに期待したのだが……

 確かに、ドラマ序盤は、女優のそっくりさんを利用して警察を出し抜くなど斬新だった。(そっくりさんの方が美人だったような気がしたが…)
 しかも、誘拐は単なる身代金目的ではなく、裏がありそう。
 と、ここまでは良かったが、殺人事件が起こり、これがイシスに関係していることが判明。イシスの正体や目的を追い始めると、どんどん、話が突飛になって、単なるドタバタ劇になってしまった。


 とにかく、変なことだらけ
身代金は奪われ人質も救出できなかった十津川、大失態なのだが(実際に上司からは叱咤されていた)、彼自身は全く悪びれず、焦るそぶりもない
 さすが十津川!……って、おそらく主演・渡瀬さんだからなのだろう。
②大失態に≪どうするんだ?≫と観ていると、すんなり人質は解放される意外な展開。犯人と被害者側のプロダクションが裏取引(過去のひき逃げ事件の謝罪など)があったらしい。
 でも、確か十津川警部は「人質は大丈夫、金蔓の人質を簡単に殺害はしない」という読みだったが、大外れ?
③で、誘拐犯グループ・イシスは、その他にも営利誘拐で身代金を得ていることが判明。物語は急展開!
 急展開は良いけれど、女優誘拐事件はこの後は置き去りにされてしまった。
④十津川とは旧知のジャーナリスト・緑川冴子(古手川祐子)もよくわからない。
 イシスの本拠地のレストランの常連で、マスターとも懇意。それなのに、一連の犯行を掴めていないのは、間が抜けている。単に、十津川の便利な情報屋となっていただけ。私の洞察力が不足しているせいかもしれないが、マスターを救ってあげたいのか、これ以上罪を重ねてほしくないのか、十津川といちゃつきたいだけなのか…。
この情報屋の存在の為、亀さんの活躍の場がなくなってしまった。通常は、亀さんが他の視点から事件を捉え、事件の裏にある真相に迫っていく役割を果たすのだが、その役目を冴子に奪われてしまった。その上、冴子は単に言葉で十津川に伝えるだけなので、味も深みも全くなかった。
女性教師を誘拐するのを目撃しながら泳がして、一味を一網打尽って、非道過ぎ。なぜ、誘拐の現行犯で逮捕しないのだろうか?女性教師がとんでもない奴だったので、懲らしめたかったのだろうか?
サブタイトルの「踊り子号殺人ルート」って関係ないよね。最近、このパターンが多い。
⑧十津川の部下の刑事で、台詞が棒読みの役者がいた。あかつと言うらしいが、なぜ、こんな大根役者を起用したのだろう?




【ストーリー】番組サイトより
 人気女優の桂アヤ(Sharo)が誘拐され、所属事務所に一億円の身代金が要求された。事務所から連絡を受け、十津川警部(渡瀬恒彦)たちが駆けつける。社長の五十嵐壮平(西田健)は金を用意したのでアヤを無事救出して欲しいと懇願する。
 自らをイシスと名乗る犯人は、アヤのマネージャー・井上仙太郎(石橋保)にアヤの車で金を運ぶよう電話で指示をする。イシスとはエジプト神話で死者を再生へと導く守護神の名前だ。イシスは井上の携帯電話に行き先を告げ、井上を尾行する十津川の車両を巧みにまいた。やがて別車両に乗る西本刑事(堤大二郎)が井上の車を発見するが、井上は催涙ガスを吸って気を失っており、金はまんまと持ち去られていた。アヤの行方はわからないまま、さらにイシスからアヤのマンションへ行くよう指示が出る。即座に向かう十津川らだったが、部屋には数枚の写真と伊豆修善寺に行けというメッセージが残っていた。
 その頃、十津川とは旧知のジャーナリスト・緑川冴子(古手川祐子)は訳知り顔で十津川に近づき、事件について探りを入れる。
 十津川は五十嵐と井上を伴って修善寺へ向かう。五十嵐は三年前にアヤが出演するドラマの撮影が伊豆で行われたと十津川に告げる。アヤの部屋に残っていた写真は伊豆の風景ばかりだった。
 ところがなんの前触れもなく、アヤが釈放され事件は解決に向かう。しかし疑問が残る十津川は、さらに伊豆で聞き込みを続ける。やがてアヤの部屋にあった写真の一枚が三年前に起こった交通事故の現場だったことを突き止めた。この事故では小学生の少女が死亡したが、犯人は捕まっていない。十津川はこの事故にアヤと五十嵐が関わっていたのではないかと疑問を抱く。同じ頃、亀井刑事(伊東四朗)も東京で事故とイシスの関連について捜査をすすめる。
 一方、ある公園で男の変死体が発見された。男の父親はイシスから一億円の身代金を要求されていたと十津川に語る。イシスの犯行はまだ終わっていなかった。
 十津川は冴子の協力を得てイシス一味をあぶりだすよう罠を仕掛けるが・・・。

プロデューサー … 森下和清
原作 … 西村京太郎
   「伊豆誘拐行」より
   (講談社刊)
脚本 … 平林幸恵
監督 … 池澤辰也
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うちわ問題 ~松島みどり法務大臣、辞任~

2014-10-21 21:45:38 | 時事
「うちわのように見えるかもしれないが…」問題

まず、答弁を確認してみる。

民主党の蓮舫議員が国会で指摘した時の答弁
『【うちわ論争】;松島みどり法相、有権者にうちわ配る うちわ、それとも、討議資料――?』を参考)

松島みどり法相が似顔絵や政策が書かれたうちわを選挙区内のお祭りで配ったうちわが「しっかりとした柄(え)。それにつながる骨組みがある。うちわなら、価値のある有価物で、その配布は寄付となり違法だ」という指摘に対し

松島法相は、最近成立した法律名などを印刷した「討議資料」として配ったとした上で、「うちわのように見えるかもしれないが、イベント会場で無料配布しているものに類するものだ」「有価物である物品ではないと解釈して配った。政治家個人としては公選法の寄付には当たらない」と釈明、「うちわと解釈されるならば、うちわとしての使い方もできる」などとし、公選法の寄付には当たらないと主張

法相辞任会見においての答弁
『松島みどり法相が辞任「うちわかと言われれば、うちわの形」【会見詳報】』を参考)

Q うちわの問題ですが、うちわについて討議資料であると表現されました。有価物ではないともおっしゃっていました。辞表提出して、その認識は変わったか。

A いえ、まったく変わっておりません。私自身、法に触れることをしたとは考えていませんが、とにかく私の問題で国政を停滞させてはならない、その思いで法務大臣を辞職することにいたしました。

Q 国会で追及された問題、配られたのはうちわですよね?

A 国会でも申し上げました。1年間に成立した主な法律について、国民というか私の地元の方々にもいろんな年代の男女の方々に知って頂きたいと一生懸命記しました。反対側には私の名前も入っています。で、確かに形の上でうちわかと言われれば、うちわの形は、持つところはありますし、していると思います。ただし財産上の有価物かと問題については、うちわというのは一般に、信用金庫や商店街の名前が書いてあって、イベントなどで配ってそのまま捨てられる、そんな類いのものだと思いますし、そういう問題になる寄付行為だとは思っていません。


Q 一部にカレンダーが配られたという話も出ているが。

A カレンダーというのは、まあ、室内用ポスターですよね。政治の世界で室内用ポスターという、外に貼って見せてはいけないけど、応援している人が自分の家や会社の中で(貼るもの)。これも1枚のペラっとしたものに私の名前や説明や写真を載せているものが中心で、財産上の価値というのは値段からみてもそういうものではないと思っています。

Q それはカレンダーとしての機能は有しているものなんですか。

A 12カ月分の日にちとかは書いています。曜日も書いてあります。

Q そうすれば有価物になってしまうのではないか。

A 財産上の有価物をどれくらいからいうのかちょっとわかりませんが、私はそういう認識は持っていないから、法律違反になると思っていないから、自分の親しい人の後援会その他の会合で配っています。


整理すると
 選挙区内で有価物であるうちわを配布したことが寄付に当たるとして、公職選挙法に抵触するというのだ。
 で、うちわが財産的な価値がある有価物に当たるかだが、東京都の選挙管理委員会が7、8月に市町村に配布した冊子には、寄付に当たる行為として、「お祭りへの寄付や差し入れ」と明記してあり、うちわのイラストも添えられていた。選挙の常識としては、うちわは有価物と見なされているようだ。ちなみに、松島議員の配布した「うちわのようなもの」は計算すると1本(1枚)80円だそうだ。



 という訳で、
「選挙区内でうちわを配った」と認めてしまうと、公職選挙法に抵触してしまうので、上記の苦しい答弁になったというわけだろう
 ところが、「討議資料を不特定多数に配ることも、これまた公選法で禁じられている」そうで、どちらにせよアウトだったようだ。
 うちわでなく討議資料であるならば大丈夫、あるいは言い逃れられる目論んだと推測できるが、どちらにせよ、認識不足、考えが甘かったと言わざるを得ない。

 それにしても、蓮舫議員が突っ込んだように、「しっかりとした柄(え)があり、それにつながる骨組みがある」もの(このように表現されたものは何かと10人に尋ねたら10人全員が「うちわ」とこたえるであろう)を「うちわのように見える討議資料」と言うのは苦しい。
 それならば、「うちわというのは一般に、信用金庫や商店街の名前が書いてあって、イベントなどで配ってそのまま捨てられる、そんな類いのもの」で有価物ではないと主張するのはおかしい。
 うちわって、貰ったら捨てないよね。第一、この主張自体、「配ったのはうちわである」と認めているのではないか!
 さらに、「すぐ捨てられると思うものに、なぜわざわざ、骨組みや柄を付け加えるのか?」


 この寄付行為はどのような罰則が規定されているのかはわからないが(一応、検索して調べたがよく分かりませんでした。どなたか教えてください)、類似ケースはけっこうあるような気がする。内心、ドキドキしている議員もいるのではないだろうか?
 法的にはアウトかもしれないが、常識的にはうちわぐらいいいような気がする。
 「討議資料」として言い逃れるために作った(書いた)のなら論外だが、「自分の主張を一人でも多くの人に読んでもらいたい。そのための工夫(うちわ)である」と声を大にして釈明し、「私の認識が甘かった」と謝罪し辞任した方が良かった。
 法的に逃れられたとしても、「うちわ」を「うちわのように見えるもの」と言い逃れる人間に投票しようとは思わない


 それから、公職選挙法に触れたのは「議員」としての行為であるので、責任を取るのなら、議員を辞職すべき。議員を辞職して、大臣は続けてもいいような気がする。あ、松島議員の場合は「法務大臣」なので不適格か?
コメント (6)
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第27期竜王戦考察

2014-10-20 22:51:03 | 将棋
第27期竜王戦第1局は、糸谷七段が133手で先勝した。

 第1局は『YOMIURI ONLINE』の記事を引用させていただくと
「角換わりの戦型から、森内が仕掛けて開戦。穴熊に入ってから攻め合いを目指した糸谷に対し、森内は端攻めで応じ、相手をけん制しながらの難解なねじり合いが続いた。そのまま終盤戦に突入したが、攻めを継続する森内に対し、糸谷は自陣を堅くしてから攻め合いに持ち込み、的確な攻めで後手玉を寄せきった」

 難解な将棋で、形勢の細かな揺れはあったが、主導権は糸谷七段が握っていて、勝ちきった。
 特に終盤の読みは深く正確で、“糸谷強し”と思わせる内容だった。


糸谷七段について
 以前、羽生名人が挑戦者決定戦で敗れた際、「一番負けてほしくない相手」と書いてしまったことがあったが、『将棋世界』11月号のインタビュー記事を読んで、糸谷七段に対する認識が変化した。
 そのインタビューから、糸谷七段は自己についても将棋についても客観的に考えるタイプ。さらに、棋風改革中で、対局中は序盤から時間を使う(考える)ようにしている。また、普段からとにかく考えることに努めているとのことだ。
 考える対象は、将棋だけでなく、イベントについてでも社会問題でも構わない。考えることによって「自分の先入見を消せます。自分ならこうだが、他人ならどう思うか、考えることにより、多角的に物事を見ることができます。多角的ということは、考える技を増やすことになります」(インタビューより引用・「先入観」ではなく「先入見」と表記されていた。誤植かと思ったが、もう一度使われていたので、糸谷七段独特の表現なのだろう)
 また、西遊棋(関西の若手棋士普及サークル)での活動について
「マルチに活動することは、人間にとって視点を増やすことになります。そういう点では将棋にも人生にもプラスになっていると思います。
 そこでしか得られないさまざまな考え方は、いろいろなことを経験しなければ分かりません。将棋をやっているだけでは分からないことを経験するだけでも、全然違うと思います」

 人間の幅を感じさせるコメントである。


 挑戦者決定戦の勝利直後の気持ちは「楽しい将棋が指せた」と述べており、糸谷七段の充実ぶりが窺える。
 さらに、羽生名人の強さについては
「読みが深く、人が読んでいない手を読んでおられるところです。直観的な手を選択されることは少ないように感じるのですが、普通の棋士が読みを絞るところを、読みの範囲を狭めず読まれているように感じます。
 深さ、広さ、正確性において他の棋士より優れておられ、結果、人より広い範囲で手を正確に読むことができているのではと思います」

と分析している。(なかなか愛いやつである)


 森内竜王については(森内竜王とは過去1勝2敗。いずれも持ち時間の短い棋戦)
「持ち時間の長い棋戦と短い棋戦」では別物になるので、初対戦のような形になると思います。最後の対戦から4年が経ち、私も違う将棋になっております」
 別物を承知で、過去の対戦で感じた「森内将棋の特徴」を尋ねたが、
「早指しと長い将棋では全然違いますから、そういう先入見は必要ないと思います。結局、将棋というゲームは特徴というよりメインは読みだと思います(将棋は特徴より読みがメインである)」
 糸谷七段の合理的考え方が感じられるが、強情さも垣間見られる。


 自信
「思ったように勝ててないというのは、非常につらいものがありました。もっと勝っていかなければなりませんし、勝てるはずだと思っています」
--糸谷さんの中では、これまでん満足できる結果を残せなかったということでしょうか?
「はい、全然結果が出ていないと思っていました」

 ええと、糸谷七段の通算成績が263勝114敗で勝率0.6976。今年度の成績が17勝4敗で0.8095。つまり、昨年度末までの通算成績は246勝110敗の勝率0.6910でかなりの高勝率ではあるが、この勝率では全く満足できておらず、今年度の勝率8割が当然の成績と言っているのである。(昨年度の26勝14敗、勝率0.650を指して不満足と言っているのかもしれないが)


森内竜王について
 森内竜王の将棋に対する思い、棋士として将棋に向かう真摯な姿勢も尊敬している(これは本心です)。
 そして、昨年度の名人戦と竜王戦で羽生三冠と渡辺竜王を圧倒した強さにも脱帽した(28勝12敗、勝率0.7000) 。2011年度10勝19敗(0.3448)、2012年度13勝12敗(0.5200)の低勝率への疑問も晴れつつあった。
 しかし、今年度の成績(竜王戦七番勝負開幕直前)は、9勝15敗、勝率0.375の低空飛行。この成績には対羽生戦の0勝7敗が含まれており、それを除外すると9勝8敗、この9勝8敗も対戦相手が強敵ぞろいであることを考慮すると、及第点と言えるのかもしれない。

 しかし、直近の4連敗はどういうことか?
 対松尾七段(王将戦二次予選)、対丸山九段戦(日本シリーズ)、対広瀬八段戦(A級順位戦)、対郷田九段戦(棋王戦本戦)。「竜王戦に集中するため?」とは思わないが、対松尾、対郷田の後手番の「一手損角換わり」を採用。これは、糸谷七段得意の「一手損角換わり」を自ら採用して、対策を確かめている気がしないでもない。負けるつもりはないにしても、敢えて「一手損角換わり」側を持って、課題の局面に誘導し、対局相手の指し手を試している……邪推?


 第一局は好局だったと思う。
 第二局は森内竜王の先手番。私の邪推はともかく、好局を期待したい。
 森内竜王が巻き返して、この七番勝負が好勝負になって欲しい。
 ≪糸谷七段が竜王になるのはまだ早い≫と思っていたが、今年度の強さを見ると、私の方が早計だったかもしれない。挑戦者決定三番勝負で羽生名人を破り、この七番勝負で森内竜王も破る……ニューヒーローの誕生を予感させる第一局だった。そう言えば、渡辺竜王誕生の対戦相手も森内竜王だった。
 
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『軍師官兵衛』 第42話「太閤の野望」

2014-10-20 09:35:06 | ドラマ・映画
サブタイトル……ネタバレにならずにストーリーの核心を表すのは難しい。
今回の「太閤の野望」、確かに野望「大陸制覇」に向けて実際に動いたので、妥当な線かもしれない。
しかし、大政所の死去や国内を留守にはできないという事情はあったとは言え、それらを振り払って秀吉自ら出陣するのなら「野望」と題するのに疑問を感じてしまう。
今回の秀吉を見ていると、大陸制覇より世継ぎの誕生の方に重きを置いていた。さらに言うならば、「淀とHする」ことに走った……


 今回の真のテーマは「三成の小っちぇー野望」である。
 これまで三成の施策にことごとく異を唱えていた官兵衛は、三成にとって非常に邪魔な存在、嫌いな存在だったのだろう。
 大陸制覇断念(出兵失敗)の責任を官兵衛に向けさせ、保身と邪魔者排除を果たした「三成、会心のほくそ笑み」の回だった。


 “黒田家の監視役”を公言、名護屋城を普請したことへのねぎらいの言葉なし。
 朝鮮では、兵糧調達を十分に果たせず、口だけ出すので皆に煙たがられる。
 今回、さらに小者の“腰ぎんちゃく”を携えていた。


脇役たちが面白かった
小西行長

 朝鮮からの使者の偽りの件で官兵衛と利休に窮地を救われたのに、自身の功名のことばかり優先させ、失敗。
 「官兵衛の言うとおりだったよぉ~」と反省する点は可愛い。
 和睦交渉の際の秀吉の無茶な条件に、過去を反省し、官兵衛に相談(泣きつく)。
 秀吉の条件を無視することにした官兵衛から「他言無用」と念を押され、しっかりと頷いた。……大丈夫か?

加藤清正
 血気盛ん、猪突猛進でやはり自分の手柄しか考えないやつ。
 逃がした王を捕まえると言ったきり、戻ってこない“糸の切れた凧”

福島正則
 清正の舎弟(弟分)。
 先鋒の件で行長を「“薬売り上り”が」と貶めるが、官兵衛に「自分も“目薬売り上がり”だ」と言われ沈黙してしまう“うかつな奴”


嵌められた官兵衛
 三成の諫言に乗せられ怒り心頭の秀吉、その怒りの要素は
①勝手に漢城を撤退したこと
②秀吉の名代である奉行の三成らをないがしろにしたこと
③秀吉の許しなく勝手に帰国したこと

 一番の怒りは③の帰国とのことだが、あまりピンとこなかった。
 てっきり、和睦の際の秀吉の書状を焼き捨てたことだと思った。

 個人的な疑問だが、漢城を保持している時点で、「漢城撤退」を豊臣軍の譲歩として交渉した方が有利のような気がする。


将棋を知らない母さんの悔しがる「きぃぃぃ~」の声が聞こえてきそうな回だった。
コメント (4)
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