第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その1」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その2」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その3」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その4」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その5」
の続きです。
只捨ての金打ち!金を取らせて一手稼ぐ手である。
川平さんなら「むむむ」と唸る場面だ。
羽生三冠、△4五角と1八に利かせながら詰めろで切り返す。が、冷静に▲5六歩と突き△同角(いつでも▲5六龍と角を消す手も生じている)と角の利きを変えて、▲1八飛を打つ(飛車の横利きで詰めろを解消)。
以下△1七歩▲2八飛に△2七歩と抵抗するが、▲5二龍△1三玉に▲2六香が後手の打った負の裏を突く巧みな寄せで、粘るすべもなく△2八歩成▲2四銀で投了。
玉頭を叩き▲8七同金と玉の脇を空け飛車打ちに弱い形を強いておき、先手飛車を詰めて≪しめしめ≫と思ったが、角切りから銀捨てで後手玉の囲いを崩壊させつつ、目標になった飛車も敵陣に成り込まれてしまった。……≪甘かった≫
やはり、飛車を捕獲すれば何とかなると手駒3枚を投入した構想が甘かった。それに、玉頭を叩き、横からの攻めを有効にしようとしたが、その反面、玉頭が厚くなり、後手の8二の飛車が無力化してしまったのも大きかった。
では、どうすべきだったのか?………
第5図は渡辺王将の新手▲3五歩に対し、△4五銀直から清算し(銀桂交換の駒損)、△6九銀から先手の囲いを1枚剥がした局面。
対局中の控室や感想戦では、この局面で△6九角と打つ手が研究されていた。
これに対し先手は▲3四歩と取り込むが、ここで①△8六桂②△8六香が有力。
①△8六桂には、▲6七銀△3六角成▲4九飛△2五馬▲4二角成△同金▲2八香△5八角(参考図2)の進行を渡辺竜王は気にしていたとのこと。
また、②△8六香には、▲3三香と攻め合うならば、△6七金▲3二香成△同金▲3三銀△同桂▲同歩成△同玉▲3四歩△4二玉(参考図3)で後手玉が詰まず負け。
なので、△8六香に▲6七銀と受けるが、後手としては十分に考えられる変化だったとのこと。渡辺王将も▲8六香は見えにくいと話しており、後手としてはこう指すべきだった。
さて、本局は渡辺王将の新手▲3五歩、切っ先鋭い「角切り~銀捨て」、決め手の金捨て▲6九金と、渡辺王将の会心譜となった。
と、潔く、これで締めようと思ったが、一つ疑問が……
それは、上図の4図~5図、あるいは△8六歩~△8七歩の辺りまでのどこかで、△1四歩と角の位置を打診する手はなかったのだろうか?もし、実戦と同じように進行するのなら、あの強烈な角切りは食らわなかったはず。
まあ、△1四歩を利かせば、また違う進展になったとは思うが、私の棋力では≪△1四歩をどこかで利かせれば、後手が良い≫ように思うのだが、どうなのだろう?【終】
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その2」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その3」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その4」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その5」
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只捨ての金打ち!金を取らせて一手稼ぐ手である。
川平さんなら「むむむ」と唸る場面だ。
羽生三冠、△4五角と1八に利かせながら詰めろで切り返す。が、冷静に▲5六歩と突き△同角(いつでも▲5六龍と角を消す手も生じている)と角の利きを変えて、▲1八飛を打つ(飛車の横利きで詰めろを解消)。
以下△1七歩▲2八飛に△2七歩と抵抗するが、▲5二龍△1三玉に▲2六香が後手の打った負の裏を突く巧みな寄せで、粘るすべもなく△2八歩成▲2四銀で投了。
玉頭を叩き▲8七同金と玉の脇を空け飛車打ちに弱い形を強いておき、先手飛車を詰めて≪しめしめ≫と思ったが、角切りから銀捨てで後手玉の囲いを崩壊させつつ、目標になった飛車も敵陣に成り込まれてしまった。……≪甘かった≫
やはり、飛車を捕獲すれば何とかなると手駒3枚を投入した構想が甘かった。それに、玉頭を叩き、横からの攻めを有効にしようとしたが、その反面、玉頭が厚くなり、後手の8二の飛車が無力化してしまったのも大きかった。
では、どうすべきだったのか?………
第5図は渡辺王将の新手▲3五歩に対し、△4五銀直から清算し(銀桂交換の駒損)、△6九銀から先手の囲いを1枚剥がした局面。
対局中の控室や感想戦では、この局面で△6九角と打つ手が研究されていた。
これに対し先手は▲3四歩と取り込むが、ここで①△8六桂②△8六香が有力。
①△8六桂には、▲6七銀△3六角成▲4九飛△2五馬▲4二角成△同金▲2八香△5八角(参考図2)の進行を渡辺竜王は気にしていたとのこと。
また、②△8六香には、▲3三香と攻め合うならば、△6七金▲3二香成△同金▲3三銀△同桂▲同歩成△同玉▲3四歩△4二玉(参考図3)で後手玉が詰まず負け。
なので、△8六香に▲6七銀と受けるが、後手としては十分に考えられる変化だったとのこと。渡辺王将も▲8六香は見えにくいと話しており、後手としてはこう指すべきだった。
さて、本局は渡辺王将の新手▲3五歩、切っ先鋭い「角切り~銀捨て」、決め手の金捨て▲6九金と、渡辺王将の会心譜となった。
と、潔く、これで締めようと思ったが、一つ疑問が……
それは、上図の4図~5図、あるいは△8六歩~△8七歩の辺りまでのどこかで、△1四歩と角の位置を打診する手はなかったのだろうか?もし、実戦と同じように進行するのなら、あの強烈な角切りは食らわなかったはず。
まあ、△1四歩を利かせば、また違う進展になったとは思うが、私の棋力では≪△1四歩をどこかで利かせれば、後手が良い≫ように思うのだが、どうなのだろう?【終】