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英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

続・女流棋士の濫造 その20 2025女流王座戦 一次予選③ 

2025-05-16 17:18:36 | 将棋
「続・女流棋士の濫造 その1」 「続・女流棋士の濫造 その2」
「続・女流棋士の濫造 その3」 「続・女流棋士の濫造 その4」
「続・女流棋士の濫造 その5」 「続・女流棋士の濫造 その6」
「続・女流棋士の濫造 その7」 「続・女流棋士の濫造 その8」
「その9 暫定・女流棋士ランキング」 「その10 女流名人戦考察」
「その11 倉敷藤花戦考察」 「その12 ある棋譜……」
「その13 ある棋譜……②」 「その14 ある棋譜……③」
「その15 ある棋譜……④」 「その16 2025女流王座戦 一次予選」
「その17 2025女流王座戦 一次予選の結果」 「その18 女流王座 一次予選 大田-今井戦」 
「その19 デジャヴの指し手」
  の続きです。

2025女流王座戦 一次予選 小高佐季子女流初段-砂原奏女流2級

 先手の小高女流初段が仕掛けた第1図。先手の玉形は最近、対振り飛車戦で見直され採用が増えてきている。角交換に▲8八同銀と応じることもでき、二枚金が二段目の飛車の攻めに強いことなどの利点がある。
 後手は最初は四間飛車で、先手の攻めに対応して三間飛車に変化。さらに、ここまでに4三に上がった銀を一度3二に引いてまた4三に上がっており、手損をしている。ただし、手損がそのまま形成に直結するわけでなく、6筋の歩を突いていないので、3一の角打ちから6四に成り替えられる筋はないという利点もある。
 居飛車の仕掛けに対し、金を5三に上がって4筋、5筋を厚くするのは、振り飛車の一つの手法。
 第2図は先手が飛車を3筋に寄せて▲3四歩と取り込んだ手に、先に角を引いた後手が△3四同銀と応じたところ。
 この図では、5三金型の欠点を突いて▲4五桂と強襲する手も有力。以下△同歩なら▲同銀が継続手。これに△4五同銀は▲3二飛成と飛車を取られてしまうので、①△4三銀▲3二飛成△同銀▲3一飛△3九飛▲3四歩か、②△3五歩▲4六飛△4三銀▲1一角成が想定されるが、居飛車は不満ないと思う。
 実戦は第2図以下、▲5五歩△3五歩▲2六飛△4三銀▲5四歩△同銀と進む。振り飛車の銀の動きは柔軟でいかにも振り飛車らしいが、最後の△5四同銀は△5四同金と取ったの方が防御力は高かった。
 ここで▲3三歩が好手だった。

 これに銀が5筋にいるので3筋が弱いので、△3三同角は▲3五銀が嫌(不利ではない)。なので△3三同飛と取るが、角の利きが消えたので先手は▲2四歩から飛車先を交換する。


 図で後手は△3六歩と突きたいが、▲3四歩の切り返しがある。以下△同飛▲2三飛成で金桂両取りに飛車を成り込まれてしまう。……が、△3三飛と受けて▲2一飛成を許すのは先手の言い分を通してしまうようだが、△3七歩成と桂を取ってと金を作れば、後手も指せる。
 実戦は△3六歩を楽しみに△4三金と自陣を整える。ならばと▲2二歩と桂取りに打つ。
 どちらかと言うと、先手のペースに見えるが、△3六歩と桂取りに伸ばすのがなかなかの手で、互角の域と言える。戻って、▲2二歩のところでは▲3四歩と叩いておく方が良かったようだ。△同飛なら▲5五歩が痛い。△6五銀と逃げる手に▲2三飛成で先手好調。5五歩と6五銀の違いがあるが、先の変化より△3六歩が入っていない分、先手が得。
 なので▲3四歩には△3四同金と取ることになるが、それから▲2二歩の方が良かった(△3六歩に▲同飛と取れる)。

 先手の小高女流初段も△3六歩は見えており、この手には▲2五桂と飛車取りの先で逃げる手があり大丈夫と読んでいる。
 その読み筋通り、△3六歩▲2五桂△3四飛と進み、▲3五歩と飛車取りを掛ける。

 △2四飛とよろける手に▲2一歩成と桂を取り、後手の頼みの△3七歩成も消え、先手は思惑通りの展開……
……のはずだったが、△4五歩▲5五銀に△6二角(第6図)が好手。以下▲5四銀△同金で第7図。

(続く)
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続・女流棋士の濫造 その19 2025女流王座戦 一次予選② デジャヴの指し手

2025-05-14 15:12:10 | 将棋
「続・女流棋士の濫造 その1」 「続・女流棋士の濫造 その2」
「続・女流棋士の濫造 その3」 「続・女流棋士の濫造 その4」
「続・女流棋士の濫造 その5」 「続・女流棋士の濫造 その6」
「続・女流棋士の濫造 その7」 「続・女流棋士の濫造 その8」
「その9 暫定・女流棋士ランキング」 「その10 女流名人戦考察」
「その11 倉敷藤花戦考察」 「その12 ある棋譜……」
「その13 ある棋譜……②」 「その14 ある棋譜……③」
「その15 ある棋譜……④」 「その16 2025女流王座戦 一次予選」
「その17 2025女流王座戦 一次予選の結果」 「その18 女流王座 一次予選 大田-今井戦」
  の続きです。

2025女流王座戦 一次予選 村田智穂女流三段-岩佐美帆子女流1級

 第1図の△3二銀は“ない手”ではないが、少し違和感。
 先手の村田女流三段は足早に銀を繰り出す。後手の岩佐女流1級も△8三銀と棒銀指向。この手は飛車の横利きを通し守備にも働く手だが、▲4五銀(第2図)と進出されると、一手遅れている感じだ。無難に指すなら△8三銀では△4四歩だった。
 適当な受けはないと見た岩佐は△7四銀と反撃の態勢を整えるが、△3五歩と歩を取らせない受けの手筋が考えられる。以下▲3四銀△4四角▲2四歩△同歩▲同飛△2二歩(変化図1)が想定される。

 ここから▲2三歩と嵩にかかれば2筋を突破できそうだが、意外に難しい。▲2三歩以下△同歩▲同銀成に△2二歩(変化図2)で意外にしぶとい。

 ▲2二同成銀は△3三銀で失敗。△2二歩(変化図2)には▲3二成銀とするしかないが△同金で思ったより成果がない。
 変化図1では▲7六歩と角交換を挑むのが良いようで、後手は△3一金と我慢するしかなく▲4四角△同歩に▲7七角で4四の歩を狙うのが良い。無理に△4二飛と歩を守る手はあるが、後手陣は作戦分裂気味なので、一旦▲6八銀から8八に玉を入城させたのち、攻勢を掛ければよい。

 実戦は▲4五銀(第2図)以下、△7四銀▲3四銀△4四角▲2四歩△同角▲2二歩(第3図)と進む。

 ▲2二歩は速度アップの手筋で、△2二同角▲2四飛と先手好調。
 後手は△4四角もしぶとい。先手の攻めをいなすと同時に△3五角の筋(飛車取りと角の成り込み)を見せる。
 ただし、△3五角は▲2二飛成が生じるのと5七角成は空成りなので、それほど恐れるものではない(かもしれない)。
 ここでの最善手は▲7六歩と思われるが、先手陣も5七に隙があり、後手から△2三歩や△3三歩と動きを打診される手もあり、かなり複雑。
 村田女流三段も5七の隙が気になるのか、▲5八玉と整える。

 しかし、この手はあまり良くなかった。△6五銀→△5六銀という攻め筋があり(しかも△3五角の筋もある)、その攻め筋に自ら玉を近づけている。

 ところが、後手の岩佐は6五ではなくs7五に銀を進めた。8筋突破は元々の狙い筋なので自然な進軍だが、▲7六歩と角交換を挑む手が銀当たりになり、△7六銀▲4四角△同歩▲2二飛成と飛車を成り込まれてしまう展開になった。後手も手順に銀が7六に進めた利はあるが、やはり、飛車を成り込めた先手に分がありそう。先手からは▲4三(2三)銀成や▲4三角(7六の銀取り)がある(どの手も取れば▲8二龍と後手の飛車を取れる)。この後、▲3二銀成△同金▲2一龍と進めば大優勢。その他、場合によっては▲1一龍と香を取る手もある。
 そこで、後手の岩佐は4三、3二、2一、さらに7六、8七まで利かせる△5四角の攻防の角を打つ。

 ……“攻防の角打ち”なのは間違いないが、角は頭が丸いので中段(4~6段)の角はその位置の確保が難しい。
 ▲5五歩と突かれ、△6五角に▲7七桂と追撃されて好位置を維持できないのだ。実戦は△5四角に▲3六角△同角▲同歩△5四角と謎の応酬があった後、▲5五歩△6五角▲7七桂(第6図)と進み、△7七銀成を余儀なくされてしまった(△5六角には▲4三銀成がある)

 △7七銀成以下▲同金に△3三歩▲2三銀成に△4五桂(第7図)

 △8七角成からの飛車の成り込みの際の金の入手(2三の銀の質駒もある)後の5七への打ち込みを見た手だが、先手は当然、角当たりに▲6六銀と受ける。△4三角と逃げる手に▲4六歩と桂取り。折角打った桂も取られる運命。
 

 その後も、守りにせよ攻めるにせよ、打った駒を取られる展開が繰り返される。(指し手省略)



 「一時凌ぎ」「取りあえず」「先の後」……そういう類の感触がデジャヴのように繰り返された。
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続・女流棋士の濫造 その18 2025女流王座戦 一次予選 大田アマ-今井女流初段

2025-05-12 17:00:51 | 将棋
「続・女流棋士の濫造 その1」 「続・女流棋士の濫造 その2」
「続・女流棋士の濫造 その3」 「続・女流棋士の濫造 その4」
「続・女流棋士の濫造 その5」 「続・女流棋士の濫造 その6」
「続・女流棋士の濫造 その7」 「続・女流棋士の濫造 その8」
「その9 暫定・女流棋士ランキング」 「その10 女流名人戦考察」
「その11 倉敷藤花戦考察」 「その12 ある棋譜……」
「その13 ある棋譜……②」 「その14 ある棋譜……③」
「その15 ある棋譜……④」 「その16 2025女流王座戦 一次予選」
「その17 2025女流王座戦 一次予選の結果」  の続きです。

第15期 女流王座戦 一次予選17組1回戦 大田暖乃アマ-今井絢女流初段

 図は先手の大田アマが▲4五歩と仕掛けたところ。対雁木戦でよく見られる仕掛け。
 △4五同歩に▲同桂で角銀の両取りが掛かるが、その瞬間に△7七角成と角交換に出る手があって両取りを切り抜けられるが、例えば、「△7七角成が王手にならない」かつ「後手玉が4一にいて▲5三桂不成が王手で入る」などの条件があれば、先手の両取りは成功する。この仕掛けに限らず、似た形であっても少しの違いで仕掛けの成否が変わってくることが多い。本局はどうなるのか、興味深かった。
 本譜は図以下、△4五同歩▲同桂△7七角成▲同桂(▲同銀もある)△4四銀右と最も自然な進行。
 この後の展開が嫌なら、図の▲4五歩を取らずに陣形整備などの手を指して、▲4四歩△同銀右▲4五歩△5三銀と妥協する手もある(最善とは思えないけれど)。観戦者としては、本譜の進行は嬉しい。

 ここで▲4六歩と落ち着く手もあるが、こう仕掛けたからには、2筋を突き捨ててから▲7一角と打ち込みたい。

 △7二飛と寄られると(実戦も△7二飛)、角の行き場がないが、それは織り込み済みで▲4四角成と角を切る。△同銀で角銀交換の駒損になるが、▲2四飛(途中図1)と走るのが継続手。

 これには△2三歩と受けるのが自然。(実戦も△2三歩)
 飛車を普通に逃げると角を取られてしまうので、当然▲3四飛と金銀両取りを掛ける。先手の飛車も危険な状況。無事生還できるとは思えず、強攻を決め切るしかない。
 金銀取りを受ける△4三金右に、▲4四飛と飛車も切る。△同金に▲5三桂成で第3図。

 この局面の判断が難しい。後手が大駒を全部所有している。駒割は“先手の銀銀歩”対“後手の飛角”とかなり後手の駒得。さらに、後手は歩を損しているが歩切れではないのも見逃せない。ただし、後手玉はすぐに寄せられそう。まず▲4二銀△同飛▲同銀成と強引に飛車を手に入れられ、△4二同玉に▲8二飛と王手される手が嫌味(今すぐ決行するのは損かも)。さらに、▲2二歩の絡め手や▲4五歩△同金▲4三歩も見える(ただし、それほど厳しくないかも)。駒得とは言え、受けきるのは難しそう。

 この後の進行を観る前に、少し振り返ろう。

 第1図の▲4五歩の仕掛けに対して、自然に応じると第3図に至るのはすぐ読めるので、この図を嫌うのなら、変化する手はいくつかありそうだ。第1図の時に触れた△4五同歩と応じない手が1つ目。
 さらに、第2図の▲7一角に対して△3七角と8二の飛車に紐をつけつつ先手の攻めを急かす手。
 また、途中図1と飛車を走った手に

△1二角と▲3四飛を阻止して受ける手。どの変化も難解だが、第3図を避けて変化するのも一策。

 第3図に戻る。

 受けても切りがないと攻め手のも有力。△2九飛~△8八角の詰めろが意外と受けにくい。▲5九金寄は△7九角打が生じる(これで決まるとは限らないが)。また、▲5九金引きは△4六歩▲5八銀に△2六角のついげきがある(△2六角は5三の成桂取りにもなっている)
 さらに、第3図では△4六歩を利かし、▲4六同銀に△4九飛もある。攻め気の強い棋士は第一感かもしれない。(この△4九飛は銀取りになるのが長所だが、▲5九金寄(引)と先手を取られるのが短所)
 今井女流初段は△4一玉。▲4二銀から飛車を手に入れられる手は嫌だし、5三の成桂の圧を躱す手で、守るとしたら第一候補だ。 
 これに対し大田は▲4五歩。△同金に▲2二歩と歩の手裏剣の2連発。

 この手に対し、△4四角と成桂と2二の歩の両取りがあるが、▲6三成桂と飛車取りの逆先がある。
 どうやら先手の太田の攻めが筋に入ってきたようだ。そこで今井女流初段は△3一玉。以下▲2一歩成△同玉と桂を代償に玉を成桂から遠ざける。玉逃げの手筋ではあるが、非常手段ぽい。(後に、手にした桂を攻めに使われてしまった)

 以下の指し手は手順のみに留める。



 研究でこの仕掛けに精通していて、更に、実戦経験も多く、寄せ方も手馴れているように感じた。……強いなあ。

 大田アマは、この後、中女流三段に敗れて通過はならなかったが、どんな将棋だったのだろう?

次は、村田女流三段-岩佐女流1級 戦
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続・女流棋士の濫造 その17 2025女流王座戦 一次予選の結果

2025-05-11 13:33:20 | 将棋
「続・女流棋士の濫造 その1」 「続・女流棋士の濫造 その2」
「続・女流棋士の濫造 その3」 「続・女流棋士の濫造 その4」
「続・女流棋士の濫造 その5」 「続・女流棋士の濫造 その6」
「続・女流棋士の濫造 その7」 「続・女流棋士の濫造 その8」
「その9 暫定・女流棋士ランキング」 「その10 女流名人戦考察」
「その11 倉敷藤花戦考察」 「その12 ある棋譜……」
「その13 ある棋譜……②」 「その14 ある棋譜……③」
「その15 ある棋譜……④」 「その16 2025女流王座戦 一次予選」
  の続きです。

 「その16」で女流王座戦 一次予選の勝ち抜け棋士を予想をしたが、20組中9組的中と、今一つだった(8組の予想放棄を“外れ”とした)。せめて、「明後日の天気」予報くらいの精度はないとダメだろう。
 言い訳をすると……
・1組が4人または3人なので、通過棋士を当てるのは、単なる勝ち負けよりは難易度が上がる
・第3組、色気を出して脇田女流初段を推したが、普通に宮澤女流初段にしておけばよかった
・第5組、清水女流七段は、もっと頑張らないと!
・第6組、《砂原女流2級の勝ち抜けはない》と見ていたが、千葉女流四段、小高女流初段を連破したのは、予想外。砂原-小高戦を観たが、思ったより強かった【千葉女流四段は体調不良で欠場した模様】

 上記の砂原女流2級もそうだが、《強くない》と思っていた女流棋士がそうではなかった。いや、《弱い時は弱いが、強い時は強い》ということなのかもしれない。
 第13組の通過者決定戦の渡部女流四段-高浜女流初段の相穴熊戦での削り合い、競り合いは見事で、迫力があった。棋譜中継12局は、認識を改めないとと思う熱戦が多かった(中には“う~ん”と思……)
 伊藤女流四段、上田女流四段、渡部女流四段、鈴木女流三段、中女流三段は順当に勝ち上がったが、野原女流三段は塚田女流二段に敗れた。でも、塚田女流二段も実力者、一次予選としては勿体ない組み合わせだった。この将棋、感想戦が行われなかったが、野原女流がそういうタイプの人柄なのか?何かアクシデント(体調、反則)があったのだろうか?
 あとは、石本女流二段と大島女流二段が通過できなかったのは意外。
 通過棋士の中にも意外と思ってしまう棋士もいる(ごめんなさい)。良い将棋を指したということなのだろうが、やはり、《誰でもチャンスがある》という組が散見した(7組ほどあった)。逆に実力者が2人以上いる組が6組ほど)

 次の記事で、印象に残った将棋を。
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続・女流棋士の濫造 その16 2025女流王座戦 一次予選

2025-05-09 16:37:56 | 将棋
「続・女流棋士の濫造 その1」 「続・女流棋士の濫造 その2」
「続・女流棋士の濫造 その3」 「続・女流棋士の濫造 その4」
「続・女流棋士の濫造 その5」 「続・女流棋士の濫造 その6」
「続・女流棋士の濫造 その7」 「続・女流棋士の濫造 その8」
「続・女流棋士の濫造 その9」 「続・女流棋士の濫造 その10」
「続・女流棋士の濫造 その11」 「続・女流棋士の濫造 その12」
「続・女流棋士の濫造 その13」 「続・女流棋士の濫造 その14」
「続・女流棋士の濫造 その15」  の続きです。

 今週の土曜日(5月10日)に、2025女流王座戦の 一次予選が行われる。
 各組のメンバーと初戦の組み合わせは、次の通り。
1組……大城千花 アマ-礒谷真帆女流初段  頼本奈菜女流初段-梅津美琴女流初段  
2組……本田小百合女流三段-伊藤真央女流2級  宮宗紫野女流二段上川香織女流二段
3組……和田はな女流1級レベッカ・ヴィリャーバアマ 脇田菜々子女流初段-宮澤紗希女流初段    
4組……森本理子女流1級-加藤圭女流二段  石高澄恵女流三段山田久美女流四段
5組……清水市代女流七段-岩崎夏子女流2級  相川春香女流初段飯野愛女流初段
6組……砂原奏女流2級-千葉涼子女流四段  小高佐季子女流初段-中倉宏美女流二段
7組……加藤結李愛女流二段-伊奈川愛菓女流二段  中村真梨花女流四段-山口恵梨子女流三段
8組……鎌田美礼女流2級-貞升南女流二段  藤田綾女流二段-島井咲緒里女流二段
9組……竹部さゆり女流四段-渡辺弥生女流二段 小野花依 アマ-堀彩乃女流初段
10組……塚田恵梨花女流二段(1回戦不戦勝)  野原未蘭女流二段-田中沙紀女流1級
11組……上田初美女流四段(1回戦不戦勝)  竹内優月女流2級-赤松育実 アマ
12組……岩根忍女流三段(1回戦不戦勝)  鈴木環那女流三段矢内理絵子女流五段
13組……渡部愛女流四段(1回戦不戦勝)  高浜愛子女流初段-武富礼衣女流初段
14組……伊藤沙恵女流四段(1回戦不戦勝)  内山あや女流初段長沢千和子女流五段
15組……八木日和女流2級-山口仁子梨女流1級  川又咲紀女流初段-佐々木海法女流初段
16組……久保翔子女流1級-中澤沙耶女流二段  大島綾華女流二段-木村朱里女流初段
17組……中七海女流三段山口稀良莉女流初段  大田暖乃 アマ今井絢女流初段
18組……室田伊緒女流三段-藤井奈々女流初段  小林彩乃 アマ-北村桂香女流二段
19組……村田智穂女流三段-長谷川優貴女流三段  岩佐美帆子女流1級榊菜吟女流2級
20組……松下舞琳女流初段-壽希乃香 アマ  崎原知宙女流1級石本さくら女流二段
 
  …………4色(紫…大低迷・アマ棋士、赤…低迷、緑…B1クラス、青…Aクラス)で色分けたのは失敗か?目がチカチカする。

  なので、赤(クリムゾン色)太字…大低迷・アマ棋士、赤(クリムゾン色)…低迷、青…B1クラス、青太字…Aクラスに変更
1組……大城千花 アマ-礒谷真帆女流初段  頼本奈菜女流初段-梅津美琴女流初段  
2組……本田小百合女流三段-伊藤真央女流2級  宮宗紫野女流二段上川香織女流二段
3組……和田はな女流1級レベッカ・ヴィリャーバアマ 脇田菜々子女流初段-宮澤紗希女流初段    
4組……森本理子女流1級-加藤圭女流二段  石高澄恵女流三段山田久美女流四段
5組……清水市代女流七段-岩崎夏子女流2級  相川春香女流初段飯野愛女流初段
6組……砂原奏女流2級-千葉涼子女流四段  小高佐季子女流初段-中倉宏美女流二段
7組……加藤結李愛女流二段-伊奈川愛菓女流二段  中村真梨花女流四段-山口恵梨子女流三段
8組……鎌田美礼女流2級-貞升南女流二段  藤田綾女流二段-島井咲緒里女流二段
9組……竹部さゆり女流四段-渡辺弥生女流二段 小野花依 アマ-堀彩乃女流初段
10組……塚田恵梨花女流二段(1回戦不戦勝)  野原未蘭女流二段-田中沙紀女流1級
11組……上田初美女流四段(1回戦不戦勝)  竹内優月女流2級-赤松育実 アマ
12組……岩根忍女流三段(1回戦不戦勝)  鈴木環那女流三段矢内理絵子女流五段
13組……渡部愛女流四段(1回戦不戦勝)  高浜愛子女流初段-武富礼衣女流初段
14組……伊藤沙恵女流四段(1回戦不戦勝)  内山あや女流初段長沢千和子女流五段
15組……八木日和女流2級-山口仁子梨女流1級  川又咲紀女流初段-佐々木海法女流初段
16組……久保翔子女流1級-中澤沙耶女流二段  大島綾華女流二段-木村朱里女流初段
17組……中七海女流三段山口稀良莉女流初段  大田暖乃 アマ今井絢女流初段
18組……室田伊緒女流三段-藤井奈々女流初段  小林彩乃 アマ-北村桂香女流二段
19組……村田智穂女流三段-長谷川優貴女流三段  岩佐美帆子女流1級榊菜吟女流2級
20組……松下舞琳女流初段-壽希乃香 アマ  崎原知宙女流1級石本さくら女流二段

 さて、今回の記事の“動機”は、連盟の対局予定で「女流王座戦一次予選」の組み合わせを見て、《え~!偏っているなあ》と感じたこと。
 で、記事の“目的”は、表向きは《組み分けの偏り具合と、通過者予想》であるが、裏の目的は……これまでの記事と同様。根底にある趣旨はお察しください。(文章の端々に書いてしまうかも)


1組……低迷棋士はいないものの、有力棋士はいない。昨年度は、梅津女流初段が勝ち越しているのみ。大城アマが勝ち抜けることも大いにありそうだが、通過予想は梅津女流初段
2組……かなり緩い組順当にいけば本田女流三段
3組……順当なら宮澤女流初段だが、脇田女流初段が不確定な存在。2022年にマイナビ本戦1回戦で里見女流五冠(当時)に快勝するなど、爆発力がある。直近10局では室谷、内山、大島と手強い相手を破るなど7勝3敗。勝ち抜け予想は脇田女流初段
4組……相当緩い組と言える。一時よりかなり元気がないが、加藤圭女流二段で堅い
5組……ここも相当緩い組多忙な清水女流七段だが、勝ち抜けと見る
6組……無印の千葉女流四段と小高女流初段はB1クラスに相当する。千葉女流は直近2勝8敗と振るわないが、その対戦相手がかなり強め。ここは気合を入れて臨むだろう。通過予想は千葉女流四段
7組……最近の実績では加藤結女流二段が有力だが、中村真女流四段も山口恵女流三段も上位クラス。きつい組だ。“真梨花攻め”が観たいので中村女流四段を推す
8組……ここは……ゆるゆる…………”通過者なし”…ということで……
9組……ここも…かなり緩…。注目は小野花依アマ。「埼玉県生まれの22歳。幼少期より将棋を習っており、将棋四段免状所有。第9回小学生女子名人戦全国大会優勝。2019年12月にJPYC株式会社に初期メンバーとしてジョイン。エンジニアとして前払式支払手段扱いのERC20日本円連動ステーブルコインであるJPYCの開発・運営に加え、SNSマーケティングにも携わる。2021年4月からCTO(最高技術責任者)へ。」【『転職求人メディア』の2021年6月16日記事より】
 この記事は約4年前なので、現在は22歳前後。中学生になって将棋から離れ、昨年辺りから将棋を再び指すようになった模様。高校に進学せず、プログラミングなどを学びエンジニアの道を選ぶ。通信教育で高校卒業の資格も取っている。才女で努力家なのだろう。アマ予選の対局風景を見ると、楽しそうだった。
 小野花依アマを予選通過候補にさせていただく。
10組……野原女流二段に加え、塚田女流二段もいて、厳しい組。通過予想は野原女流二段
11組……上田女流四段で堅い
12組……鈴木女流三段が有力。岩根女流三段が対抗。矢内ファンとしては、ふたりを連破していただきたいが、厳しいかも。
13組……渡部女流四段で堅そう
14組……内山女流初段の目もありそうだが、伊藤女流四段が本命
15組……緩い組八木女流2級は2局のみ(2勝0敗)で未知数だが、通過候補に推したい
16組……復調しつつある大島女流二段が通過候補
17組……奨励会三段から女流棋士に転向後、8勝1敗の中女流三段が通過候補。同じく奨励会出身(1級)の今井女流初段(通算46勝26敗)が対抗
18組……室田女流三段と北村女流二段の決戦と予想。過去3年では北村4勝、室田2勝というデータを信じて北村女流二段を通過候補に。
19組……緩い組。誰が通過するのか分からない。最近の成績を考慮し、岩佐女流1級を候補とする。
20組……石本女流二段と松下女流初段の決勝と予想。石本女流二段が通過候補

 ”死の組”というほどの厳しい組はないが、緩い組と厳しい組の差が大きい。
 抽選なので文句は言えないが、緩いメンバーが多すぎるのが原因だと考える。


一次予選の結果
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続・女流棋士の濫造 その15 ある棋譜……④

2025-05-05 09:05:14 | 将棋
「続・女流棋士の濫造 その1」 「続・女流棋士の濫造 その2」
「続・女流棋士の濫造 その3」 「続・女流棋士の濫造 その4」
「続・女流棋士の濫造 その5」 「続・女流棋士の濫造 その6」
「続・女流棋士の濫造 その7」 「続・女流棋士の濫造 その8」
「続・女流棋士の濫造 その9」 「続・女流棋士の濫造 その10」
「続・女流棋士の濫造 その11」 「続・女流棋士の濫造 その12」
「続・女流棋士の濫造 その13」 「続・女流棋士の濫造 その14」
  の続きです。


 《これで大丈夫》と思って玉を上がったのか、《秒に追われてふらふらっと》玉を上がったのかは分からないが……

 △3九龍▲同銀△4七金(第8図)で詰んでしまった。

 ▲2六玉に△2五金までの詰みだ。この第8図、《第4図(下図)で歩を打つのなら4七だった》と後悔したくなる。
 実際には△2五金まで指して投了となっている。無念で最後まで指したのか、金を打たれて《あっ!》と思ったのかは分からない。
 とにかく、▲3七玉と上がる時は詰みがあるとは思っていないだろう。詰みを知っていれば、▲4八歩と指したはず。


 この一局、いろいろ驚いた指し手があった。


 この第4図~第7図の応酬、もし、評価値(勝率確率)のグラフがあったら、激変の連続だったであろう。もちろん、こういった激変グラフはタイトル戦でもよく生じるが、それとは内容が……
 驚きの連続だったが、特に驚いたのは、△4八桂成に▲4八同玉と玉で取った手。
 なぜ?3九の金をかわしておかない?……《△3九龍と切られる筋をうっかりしていた》と想像はできるが…それにしても………


 今回のシリーズの表題の「濫造」と「女流棋士」という言葉。
 「女流棋士とは」という語句で検索すると、
【AI による概要】
女流棋士とは、将棋において、日本将棋連盟が設けた女性のプロ棋士制度で、女性棋士としてプロとして活動する者を指します。四段以上の「棋士」(性別に関わらずプロ)と区別して「女流棋士」と呼ばれます。

と、表示される。

 ………「プロとして活動する者」
 これ以上言及するのは、気が咎める。ここまで読んでくださった奇特な方は、察してください。

 あと、総括の記事を書くつもりですが、ちょっと迷っています。(続きました
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続・女流棋士の濫造 その14 ある棋譜……③

2025-05-03 12:04:16 | 将棋
「続・女流棋士の濫造 その1」 「続・女流棋士の濫造 その2」
「続・女流棋士の濫造 その3」 「続・女流棋士の濫造 その4」
「続・女流棋士の濫造 その5」 「続・女流棋士の濫造 その6」
「続・女流棋士の濫造 その7」 「続・女流棋士の濫造 その8」
「続・女流棋士の濫造 その9」 「続・女流棋士の濫造 その10」
「続・女流棋士の濫造 その11」 「続・女流棋士の濫造 その12」
「続・女流棋士の濫造 その13」  の続きです。


 打つ位置と駒の種類で6通りの合駒があったが、唯一負けになる▲5七歩を選んでしまった……
 前記事で述べたが、▲5七歩は△4九龍▲同銀△4八金以下の詰みがある。
 ところが、後手は△4八桂成!

 詰みへの足掛かりの4六の桂を捨ててしまう?
 ▲4八同金とされると、後手の“奥の手”の△3九龍も消失してしまう!
 ところが、先手は▲4八同玉。……なぜ?
  …………《▲4八同金だと△2五桂で先手玉は詰み》と思ったのではないだろうか?
 確かに、▲4六玉や▲4七玉だと詰むが、▲2六玉で詰まない。おそらく、▲2六玉だと△1五金で詰んでしまうと錯覚してしまったのだろう。実際は▲3五玉と逃げられる(後手も同様に錯覚し、△4八桂成としたのかも)。

 という訳で両者の読み筋が一致?して、▲4八同玉△5八龍(第6図)。

 ここで、合駒するか?玉をかわすか?………
 普通……かどうかわからないが、私の第一感は▲4八歩(変化図5)。


以下△4七金▲2九玉で大丈夫そう。△3九龍とやってこられても▲同銀△3八金▲1九玉で後手の金駒が1枚足りない。
 でも、よく読むと……▲4八歩に△4九龍寄(変化図6)と捨てる手がある。


 ▲同金と取らせておき、玉が2九に逃げた時△4九龍と取ろうという手だ。
 ▲4八歩に△4九龍寄▲同金△4七金の時、▲3九玉(変化図7)と引くのが正解で、


以下△3八歩には▲同金△同金▲同玉△4七金▲2九玉△4九龍(変化図7の2)

 ここで▲3九桂、又は▲3九角で大丈夫。横に利かない駒を合駒するのが肝要で、うっかり飛車や金を合駒すると、△3八金▲1九玉に△3九龍とされて跳び上がることになる。


 第6図で▲4八歩は実際は大丈夫だが、何となく危険な匂いもする。
 そこで、《玉は上部に逃げた方が良い》という法則に則って▲3七玉と指した(のではないだろうか)。

 上部は広く、先手の駒もいろいろ利いている。怖い敵の龍からも上方に行ける。後手の持駒も金と歩のみ……なのだが……(続く
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続・女流棋士の濫造 その13 ある棋譜……②

2025-05-02 15:11:39 | 将棋
「続・女流棋士の濫造 その1」 「続・女流棋士の濫造 その2」
「続・女流棋士の濫造 その3」 「続・女流棋士の濫造 その4」
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「続・女流棋士の濫造 その7」 「続・女流棋士の濫造 その8」
「続・女流棋士の濫造 その9」 「続・女流棋士の濫造 その10」
「続・女流棋士の濫造 その11」 「続・女流棋士の濫造 その12」  の続きです。



 この王手に玉が逃げるのは1手詰なので、合駒をすることになる。
 合駒の場所は4七と5七の2カ所、合駒の種類は角、金、歩の3種類。よって、6通りの合駒の選択肢がある。

 角の利きが遠く敵陣に利いて、敵玉を責めるのに役立ったり、玉が逃げた時に角の利きが自玉の詰みを防ぐということもあるが、《角は守備には向かないし、取られた場合の敵の戦力になる。それに、攻めに使いたいので合駒には使いたくない》というのは一般的。本譜の場合は、最善ではないが、4七と5七のどちらに角を打っても勝勢は維持できるようだ。(角を打つなら、4七の方が良い)
 合駒を打つのは金が最善。どちらに打っても良いが、5七に打つのが最善。6六の角にも利くし、金の守備力で玉の安全度が増す。切られた場合、自玉の詰みへのとどめの金打ちになる可能性もあるが、この局面では大丈夫。
 歩も合駒として使用頻度は高い。取られても敵の戦力増強にはならないのと、自戦力の消費も小さい。なので、合駒の選択肢としては有力。

 ……この局面の場合、4筋も5筋も二歩にならないのでどちらにも打てる。しかし、4七と5七では雲泥の差があった。
 ▲4七歩なら勝勢を維持(必勝態勢)だが、▲5七歩は先手玉には詰みがある。
 ▲5七歩以下△3九龍▲同銀△3八金で変化図。

 ここで▲3八同銀△同桂成までは必然と思ったが、この記事を書くに当たり、▲3八同銀とせずに▲4六玉と桂を取る手がけっこう簡単ではないことに気が付いた(私のレベルでは)。
 ▲4六玉には△6六龍と角を取れば簡単だと思ったが、▲5六金になかなか詰まない。

 △3七角で簡単に詰むと思ったが、▲3五玉で4四への経路があり詰まない。なので、▲5六金には△4五金と打つのが正解。以下、▲4七玉△5六金金▲3八玉(▲5六同歩は△3七金打で簡単)△4七角▲2八玉△2九玉(変化図)▲3七玉△4六金以下詰み。

 △3八金(変化図)に戻って、▲3八同銀と応じ△同桂成で変化図2。

 ▲4七玉△3七金▲4六玉△6六龍と角を取り、▲5六金には△2四角と3五への逃走を防げば詰む。ならばと▲5六金と合駒せずに▲3五玉と遁走を図る手には、△3六龍(変化図2.3)▲4四玉に△4五龍でピッタリ詰む。
 変化図2で▲4六玉も△6六龍で詰む。▲3五玉とかわす手には△3六龍はないが、その代わり金が持駒にあるので△4五金と打てる。また、△6六龍に▲5六金と合駒するのは、やはり△2四角と打って詰む。
 戻って、変化図2の△3八同桂成に▲同玉と取る手には、“一間龍”の△5八龍が寄せ形。
 これで簡単のようだが、▲4八飛(変化図3)が手強い。

 △4七銀▲2九玉に△2八歩(変化図4)が好手。以下▲同玉は△4八龍、▲同飛は△同龍でも△3八金でも詰む。△2八歩を利かさず△3八金は▲1九玉で詰まない。ちなみに、最初の△4七銀で金打ちだと、△2八歩に▲1九玉で詰まない(金がない)。
 本記事の冒頭の第4図で▲5七金と金を打っておけば、一間龍の△5八龍はできなかった。
 
 実戦は1/6の悪手、▲5七歩だった。(何となく、打ちたくなるなあ)
 大逆転!
  ……ところが………続く。
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続・女流棋士の濫造 その12 ある棋譜……

2025-05-02 07:08:46 | 将棋
「続・女流棋士の濫造 その1」 「続・女流棋士の濫造 その2」
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「続・女流棋士の濫造 その9」 「続・女流棋士の濫造 その10」
「続・女流棋士の濫造 その11」  の続きです。

 アマ棋士(アマチュア女性)が女流プロを連破していたので、棋譜を見てみた。

 先手は女流棋士(以後“先手”と表記)、後手がアマ棋士(以後“後手”と表記)。
 先手が上手く指して勝勢。▲3四歩と打って詰めろを掛けたところ。
 受けても一手一手にはなるが、△3六馬と香を取り詰めろを外して、△3八歩の機会が回ってくるのを待つところかなあ(望みは薄いが)と思ったが、後手は△2九馬と決行。
 この形、2九への利きが後手3、先手2と後手が優位なので▲2九同金と応じたら一気に負けになる。しかし、▲2九同玉でなかなか詰まない(3八に後手の利きがあるか、後手の持駒が豊富なら詰む)
 先手は当然▲2九同玉。ここで△3八金!……只捨て!しかも、持ち駒は桂と歩しかない。その前に馬も切っている。後手は勝負を懸けた。▲3八同玉に△4六桂。


 玉の逃げ場所は4カ所。……実はどこに逃げても良いのだが、早く勝つなら▲2九玉。一見、△3九飛成が怖いが、▲同銀(▲同角でも詰まない)△3八金▲1九玉△3九龍▲同角で詰まない。また、△3九飛成▲同銀に△同龍も▲同角△3八銀▲2八玉で詰まない(△3八銀のところ、△3八金は1九玉で大丈夫)
 実戦は▲3七玉。これには△6七飛成と王手で金を取れるのが後手の強攻の狙い。


 この王手に玉が逃げるのは1手詰なので、合駒をすることになる。
 合駒の場所は4七と5七の2カ所、合駒の種類は角、金、歩の3種類。よって、6通りの合駒の選択肢があるが……(続く)
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続・女流棋士の濫造 その11 倉敷藤花戦考察

2025-04-28 15:21:37 | 将棋
「続・女流棋士の濫造 その1」 「続・女流棋士の濫造 その2」
「続・女流棋士の濫造 その3」 「続・女流棋士の濫造 その4」
「続・女流棋士の濫造 その5」 「続・女流棋士の濫造 その6」
「続・女流棋士の濫造 その7」 「続・女流棋士の濫造 その8」
「続・女流棋士の濫造 その9」 「続・女流棋士の濫造 その10」  の続きです。

 今年度で33期。倉敷市、倉敷市文化振興財団、山陽新聞社さんに感謝。序列は8番目。
 ウィキペディアによると、《前年度トーナメント優勝者(又は前タイトル保持者)を含むベスト4がシード》らしいが、ベスト8までが各ブロックに配置されている。
 トーナメント優勝者が第1シード、準優勝者が第2シード。準決勝で優勝者に敗れた棋士が第3シード、もう一人のベスト4進出者が第4シードだろうか。現在、タイトルは福間女流五冠、西山女流三冠がタイトル寡占状態なので確証はないが、過去の例を見ると、倉敷藤花以外のタイトル保持者はシードされていない。

第1ブロック
 第1シードの伊藤女流四段に加え、鈴木女流三段、野原女流二段、加藤結女流二段、磯谷女流初段、宮澤女流初段がひしめく“鬼ブロック”。伊藤女流四段は第1シードのはずなのに…。その他の女流棋士も強敵がたくさんいる上、伊藤女流四段を倒さねばベスト8に入れない…不運……。低迷棋士は9名中2名。

第2ブロック
 このブロックは…………
 ……シード該当者は山口仁子梨女流1級。正直、非常に申し訳ないが……《えっ?》である。
 昨期のトーナメント表を見ると、確かにベスト8に進出している。対戦相手は1回戦森本理子女流2級、2回戦木村朱里女流初段、3回戦室田伊緒女流二段、4回戦山口恵梨子女流三段。
 緩いメンバーだと思う。2023年度、24年度の成績を調べた。森本…2023年度4勝7敗、24年度14勝9敗、木村…18勝12敗、9勝12敗、室田…14勝12敗、12勝12敗、山口恵…17勝9敗、13勝12敗。4名とも2年間合計では勝ち越してはいるが、難敵はいない。山口恵女流三段は少し前なら難敵の範疇だが。
 昨年属したブロックは、シード該当者が木村女流初段で、他のメンバーも宮澤女流1級(独断ランク20位)、山口恵女流三段ぐらいで緩いブロックだった。
 さて、今年のブロックは…昨年以上に……緩い。10名中6名が低迷棋士。他の4名も大差なし。3名は“低迷棋士”認定のボーダーラインより少しだけ上、(少し)強い範疇に入るのは北村女流二段のみ。北村女流にしても18勝12敗、10勝13敗と最近は振るわない。今期第2ブロックのシード該当者の山口仁女流1級も6勝15敗、11勝11敗と低迷棋士の範疇。
 第1ブロックとは真逆のブロックだ。奇しくも昨期の山口仁女流1級が属したブロックも第2ブロックだった。

第3ブロック
 シード該当棋士は内山女流初段。逆側の山に香川女流四段がいる。その他に中間の山に本田女流三段、加藤圭女流二段がいて、順当にいけば内山-本田、香川-加藤圭の組み合わせで、ベスト8入りの一局は内山-香川となりそう。低迷女流棋士は10名中5名。

第4ブロック
 シードは上田女流四段。他には山口恵女流三段と小高女流初段、松下女流初段がいる。山口-小高は初戦(2回戦)で当たり小高が勝ち、次に上田女流四段と対局する。低迷女流棋士は10名中4名、アマチュア棋士が1名。

第5ブロック
 シードは西山女流三冠(昨期は準決勝で伊藤沙女流四段に敗れている)。その他では、清水女流七段、岩根女流三段、和田あき女流二段(いずれも独断ランキングのB1クラスに入れるか悩んだ)。初戦で岩根、和田がぶつかり和田が勝利。
 低迷棋士は10名中5名。うち4名が初戦で当たり、勝ち星を得ている。

第6ブロック
 シード該当棋士は中澤女流二段。昨期の中澤女流のブロックも非常に緩くかった(山口仁女流2級の昨期のブロック以上)。岩根女流三段がいるくらい。しかも岩根女流は実力者だが最近は不振で、昨期も3回戦で渡辺弥生女流二段に敗れている。中澤女流の昨期は、2回戦村田女流二段(2023年度6勝14敗、24年度8勝12敗)、3回戦岩佐女流1級(10勝13敗、11勝11敗)、4回戦渡辺弥女流二段(10勝14敗、8勝12敗)に勝利。
 今期の第6ブロックは、中女流三段が大本命で、あとは中村真梨花女流四段と千葉女流四段(この両者は初戦の2回戦で当たり、中村が勝利)
 低迷棋士は10名中2名

第7ブロック
 シード該当棋士は石本女流二段。この組は濃くて、加藤桃女流四段、大島女流二段、今井女流初段がいる。ただし、初戦で加藤-今井戦があり加藤が勝利。大島女流二段は初戦で脇田女流初段に敗れている。さらに、シードの石本女流二段も初戦の2回戦で八木日和女流2級に敗れている。八木女流は今年1月1日付で女流2級になった16歳。これまで2戦2勝。未知数。3回戦の加藤桃女流四段戦が楽しみ。
 低迷棋士は10名中3名

第8ブロック
 シードは室谷女流三段。ここも鬼ブロック。渡部女流三段(6位)、山根女流三段(独断ランク7位)、塚田女流二段(16位)、中井女流六段(19位)、室谷女流三段(21位)とひしめいている。
 低迷棋士は9名中3名。アマチュア棋士1名。大城千花アマは1回戦で高浜女流初段を破り、さらに2回戦で室谷女流三段も破っている。
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