「続・女流棋士の濫造 その1」 「続・女流棋士の濫造 その2」
「続・女流棋士の濫造 その3」 「続・女流棋士の濫造 その4」
「続・女流棋士の濫造 その5」 「続・女流棋士の濫造 その6」
「続・女流棋士の濫造 その7」 「続・女流棋士の濫造 その8」
「その9 暫定・女流棋士ランキング」 「その10 女流名人戦考察」
「その11 倉敷藤花戦考察」 「その12 ある棋譜……」
「その13 ある棋譜……②」 「その14 ある棋譜……③」
「その15 ある棋譜……④」 「その16 2025女流王座戦 一次予選」
「その17 2025女流王座戦 一次予選の結果」 「その18 女流王座 一次予選 大田-今井戦」
「その19 デジャヴの指し手」
の続きです。
2025女流王座戦 一次予選 小高佐季子女流初段-砂原奏女流2級

先手の小高女流初段が仕掛けた第1図。先手の玉形は最近、対振り飛車戦で見直され採用が増えてきている。角交換に▲8八同銀と応じることもでき、二枚金が二段目の飛車の攻めに強いことなどの利点がある。
後手は最初は四間飛車で、先手の攻めに対応して三間飛車に変化。さらに、ここまでに4三に上がった銀を一度3二に引いてまた4三に上がっており、手損をしている。ただし、手損がそのまま形成に直結するわけでなく、6筋の歩を突いていないので、3一の角打ちから6四に成り替えられる筋はないという利点もある。
居飛車の仕掛けに対し、金を5三に上がって4筋、5筋を厚くするのは、振り飛車の一つの手法。
第2図は先手が飛車を3筋に寄せて▲3四歩と取り込んだ手に、先に角を引いた後手が△3四同銀と応じたところ。
この図では、5三金型の欠点を突いて▲4五桂と強襲する手も有力。以下△同歩なら▲同銀が継続手。これに△4五同銀は▲3二飛成と飛車を取られてしまうので、①△4三銀▲3二飛成△同銀▲3一飛△3九飛▲3四歩か、②△3五歩▲4六飛△4三銀▲1一角成が想定されるが、居飛車は不満ないと思う。
実戦は第2図以下、▲5五歩△3五歩▲2六飛△4三銀▲5四歩△同銀と進む。振り飛車の銀の動きは柔軟でいかにも振り飛車らしいが、最後の△5四同銀は△5四同金と取ったの方が防御力は高かった。
ここで▲3三歩が好手だった。

これに銀が5筋にいるので3筋が弱いので、△3三同角は▲3五銀が嫌(不利ではない)。なので△3三同飛と取るが、角の利きが消えたので先手は▲2四歩から飛車先を交換する。

図で後手は△3六歩と突きたいが、▲3四歩の切り返しがある。以下△同飛▲2三飛成で金桂両取りに飛車を成り込まれてしまう。……が、△3三飛と受けて▲2一飛成を許すのは先手の言い分を通してしまうようだが、△3七歩成と桂を取ってと金を作れば、後手も指せる。
実戦は△3六歩を楽しみに△4三金と自陣を整える。ならばと▲2二歩と桂取りに打つ。
どちらかと言うと、先手のペースに見えるが、△3六歩と桂取りに伸ばすのがなかなかの手で、互角の域と言える。戻って、▲2二歩のところでは▲3四歩と叩いておく方が良かったようだ。△同飛なら▲5五歩が痛い。△6五銀と逃げる手に▲2三飛成で先手好調。5五歩と6五銀の違いがあるが、先の変化より△3六歩が入っていない分、先手が得。
なので▲3四歩には△3四同金と取ることになるが、それから▲2二歩の方が良かった(△3六歩に▲同飛と取れる)。
先手の小高女流初段も△3六歩は見えており、この手には▲2五桂と飛車取りの先で逃げる手があり大丈夫と読んでいる。
その読み筋通り、△3六歩▲2五桂△3四飛と進み、▲3五歩と飛車取りを掛ける。

△2四飛とよろける手に▲2一歩成と桂を取り、後手の頼みの△3七歩成も消え、先手は思惑通りの展開……
……のはずだったが、△4五歩▲5五銀に△6二角(第6図)が好手。以下▲5四銀△同金で第7図。

(続く)
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2025女流王座戦 一次予選 小高佐季子女流初段-砂原奏女流2級


先手の小高女流初段が仕掛けた第1図。先手の玉形は最近、対振り飛車戦で見直され採用が増えてきている。角交換に▲8八同銀と応じることもでき、二枚金が二段目の飛車の攻めに強いことなどの利点がある。
後手は最初は四間飛車で、先手の攻めに対応して三間飛車に変化。さらに、ここまでに4三に上がった銀を一度3二に引いてまた4三に上がっており、手損をしている。ただし、手損がそのまま形成に直結するわけでなく、6筋の歩を突いていないので、3一の角打ちから6四に成り替えられる筋はないという利点もある。
居飛車の仕掛けに対し、金を5三に上がって4筋、5筋を厚くするのは、振り飛車の一つの手法。
第2図は先手が飛車を3筋に寄せて▲3四歩と取り込んだ手に、先に角を引いた後手が△3四同銀と応じたところ。
この図では、5三金型の欠点を突いて▲4五桂と強襲する手も有力。以下△同歩なら▲同銀が継続手。これに△4五同銀は▲3二飛成と飛車を取られてしまうので、①△4三銀▲3二飛成△同銀▲3一飛△3九飛▲3四歩か、②△3五歩▲4六飛△4三銀▲1一角成が想定されるが、居飛車は不満ないと思う。
実戦は第2図以下、▲5五歩△3五歩▲2六飛△4三銀▲5四歩△同銀と進む。振り飛車の銀の動きは柔軟でいかにも振り飛車らしいが、最後の△5四同銀は△5四同金と取ったの方が防御力は高かった。
ここで▲3三歩が好手だった。

これに銀が5筋にいるので3筋が弱いので、△3三同角は▲3五銀が嫌(不利ではない)。なので△3三同飛と取るが、角の利きが消えたので先手は▲2四歩から飛車先を交換する。

図で後手は△3六歩と突きたいが、▲3四歩の切り返しがある。以下△同飛▲2三飛成で金桂両取りに飛車を成り込まれてしまう。……が、△3三飛と受けて▲2一飛成を許すのは先手の言い分を通してしまうようだが、△3七歩成と桂を取ってと金を作れば、後手も指せる。
実戦は△3六歩を楽しみに△4三金と自陣を整える。ならばと▲2二歩と桂取りに打つ。
どちらかと言うと、先手のペースに見えるが、△3六歩と桂取りに伸ばすのがなかなかの手で、互角の域と言える。戻って、▲2二歩のところでは▲3四歩と叩いておく方が良かったようだ。△同飛なら▲5五歩が痛い。△6五銀と逃げる手に▲2三飛成で先手好調。5五歩と6五銀の違いがあるが、先の変化より△3六歩が入っていない分、先手が得。
なので▲3四歩には△3四同金と取ることになるが、それから▲2二歩の方が良かった(△3六歩に▲同飛と取れる)。
先手の小高女流初段も△3六歩は見えており、この手には▲2五桂と飛車取りの先で逃げる手があり大丈夫と読んでいる。
その読み筋通り、△3六歩▲2五桂△3四飛と進み、▲3五歩と飛車取りを掛ける。

△2四飛とよろける手に▲2一歩成と桂を取り、後手の頼みの△3七歩成も消え、先手は思惑通りの展開……
……のはずだったが、△4五歩▲5五銀に△6二角(第6図)が好手。以下▲5四銀△同金で第7図。


(続く)