英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

第63期王将戦第7局 ~渡辺王将、完勝~

2014-03-29 15:42:32 | 将棋
まず、羽生ファンとしての負け惜しみ
①棋王戦で三浦九段が0-3で敗れ、渡辺二冠を消耗させないから……
②羽生三冠は年度最終局、成績良くないんだよな…

 通算17勝11敗 .607は、通算勝率.722と比べると相当低い。
 さらに直近10年は5勝5敗、しかも、ここ7年に絞ると2勝5敗となっている。(今回の敗局で17勝12敗、2勝6敗)
③今回の敗退も、名人位を奪取すればおつりがくる
④勝者罰ゲームが嫌だったんだ

 あまり、振り返りたくないが最終局を簡単に振り返ってみる。
 まず、戦型は後手の渡辺王将がゴキゲン中飛車。新たな挑戦か?連採している。
 対して、羽生三冠は穴熊で対抗。これに呼応するかのように、渡辺王将も穴熊に潜り相穴熊戦に。羽生三冠の無敵居飛車穴熊だが、渡辺二冠に対しては損な気がする。二枚銀で圧迫する方が勝ちやすい気がするが、羽生三冠は「損」とか「勝ちやすい」という思想はないのかもしれない。
 でも、序盤で嫌な予感がした。
 


 羽生三冠が銀を進出させ攻勢をとったが、渡辺王将もその攻めをかわしつつ8筋、7筋と歩を伸ばし転戦を図る。渡辺王将の穴熊の上部(8筋)が隙間が空いているので嬉しい気もした。
 この局面で羽生三冠は▲5五歩と反撃したが、羽生三冠は局後「▲7五同歩と取るしかありませんでしたね」と後悔。▲5五歩以下△7六歩▲6六角△6五銀▲4三銀成△7二飛▲3九角と進行。まずまずの振り替わりかと思えたが……


 ▲5三成銀と寄った手に対し、△5二金とぶつけた手。金銀交換は先手の得だが、遊んでいた金と成銀の交換、一手しか掛けていない金と何手も費やした銀との交換、しかも成銀を寄った1手も無駄になってしまう。
 それでも、4一の金が居なくなったためダイレクトに飛車が成り込めるので釣り合いが取れるはずだ。しかし、本局は7六の歩の足掛かり、さらに△8七歩成からの絡みつきが大きいようだ。先の羽生三冠の感想もこの辺りの圧力が大きかったからなのだろう。


 羽生三冠は飛車を成り込まずに▲7五金。あわよくば金で7、8筋の後手の圧力を緩和させようとしたが、△7四銀打と対抗されて▲6五金△同銀と交換することになり(後手の持駒を銀から金に代え、後に△7九銀と絡まれる手を消したという意味はある)、以下▲8四銀に手順に△5五角と出られてしまう。

 後手の角は天王山で威張り、先手の角は3九で半分隠居状態。飛車も成り込めない。
 △5五角(第4図)で羽生三冠は▲5三歩と飛車を移動させ後手陣を乱そうとするが、委細構わず△8七歩成▲8七同金△8六歩▲同金△8五歩(第5図)と8筋にパンチを入れられてしまう。「8筋の歩を取ると、先手からも▲8三歩と叩く手が生じる」という面もあるが、やはり先に手を出せる利は大きい。


 第5図の局面で「▲8七金△8六金▲7八金△8七金▲同金△8六金▲7八金△8七金▲同金△8六金…の千日手が濃厚」という見解が出され、≪後手番になるけれど、それならありがたい≫と思っていたが、第5図以下▲8七金△8六金▲7八金△8七金▲同金のときに、△8六歩▲同金△7七金という攻め筋で、先手陣が持ちこたえられそうにない。やはり、7六の歩の存在が大きかった。

 ▲5二歩成△8六歩▲6六歩△8七歩成▲同銀△8八歩と進んだ第7図。(第6図がないのは気にしないでください)

 攻め合う順は一手負けのようだ。そこで▲8八同玉と取るが、こんな歩を利かされ玉を引っ張り出されては、≪ああ、駄目かな≫と落胆。あとは、簡単に。


 渡辺王将にとっては気持ち良すぎる開き王手である。後手の7六歩に対し先手の7八歩の屈服型も悔しい。


 ▲8七歩の銀取りに、強く△8七同銀成。決め手。これも悔し過ぎる。


 △8七同銀成の継続手。▲8六歩と打てば小康を得られるが、△8四金と銀を取られると勝ち味がなくなってしまう。
 そこで、羽生三冠は▲6五飛と両取り勝負手を繰り出す。
 △8六金打▲8八玉△1九角成と両取りを受けても充分だが、渡辺王将は素直に△1九角成と金を進呈する。
 ▲8五飛に△7四金。


 これが冷静で、泣く泣くの▲8六歩に飛車を取って△4九飛が厳し過ぎて、いくばくもなく羽生三冠が投了。

 渡辺王将が棋王位に続いて防衛を決めた。
 第2図の△5二金以降、不利を悟った羽生三冠が何とか局面を長引かせ勝機を見出そうとしたが、渡辺王将は全く隙を見せなかった。渡辺王将の完勝であった。
コメント (6)
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