英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その4」

2014-03-11 16:10:25 | 将棋
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その1」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その2」
第63期王将戦第5局 ~やはり甘かった…~ 「その3」
の続きです。

いったい、これはどういうことなのだ?

 捕らえたはずの飛車に逃げられ、しかも成り込まれ、後手玉は風前の灯火。いったい、どういうことなのだ?


 第6図より、▲4二角成△同金▲1一銀!(第7図)


 只捨ての銀!……強烈だった。(この局面になれば、いわゆる“筋の手”でプロならさほど難しくはなく、羽生三冠も飛車の捕獲を考えていたのなら、ここまでは読みの範囲のはずだが、何か誤算があったのだろうか)
 △1一同玉と取らせて▲3一銀(詰めろ)が厳しい。△1二玉と軽くかわして▲4二銀成に△5六金と飛車を取って、後手の言い分も通したいところだが、△1二玉には▲1九香△1三歩▲2二金の詰みがあり、無効。
 よって△3二金と寄るが、▲1三歩△1二歩を利かされて▲5三飛成とされたのが、今日の冒頭の局面(第8図)。


 よく見れば、図から△3一金と銀を取ると、後手の角桂香の大きな駒得。しかし、飛車の捕獲に費やした金桂香が空を切っており、龍は作られ、玉頭にも火が付いていて、後手が勝てる気はしない。(実際は、まだ難しいところがある)
 実戦も△3一金と銀を取ったが、▲2四歩が急所を突く手。△同歩には▲2三銀と打たれて1三の歩とのコンビ攻撃が痛すぎる。
 そこで手抜きで△6七銀と寄りつくが、▲2三歩成が当然とはいえ厳しい。後手としては△6九角と打って詰めろを掛けたいが、1二で清算され手にした飛車で王手角取りが掛かってしまう。
 実は、敢えて両取りを掛けさせて、玉の安定を図りつつ手を稼ぎ▲6九飛と角を取らせ△7八銀打と絡みつく“羽生マジック”でも飛び出すかと期待したが、流石に「歩2枚対飛角」の交換は無理なのだろう。
 羽生三冠は△7八銀打と絡みつく。詰めろだが、先の1二での清算から飛車打ちが受けの決め手となり、後手の攻めは途切れそうだ。


 中継サイトによると「今のところ控室は、▲7九香で先手よしの見解だ。以下△同銀成は▲同玉と取られ、持ち駒角角香では寄りがない。
▲7九香に△6九角が怖いが、▲1二歩成△同飛▲同と△同玉▲1九飛で角を取ってしまえば先手玉は安全になる。

■ニコニコ生放送■
田村康介七段>ここでは▲1二歩成△同飛▲同と△同玉▲1九飛が自然ですね。▲1九飛で後手の△7九角や△6九角の変化を消しています。△1三歩には▲7九香が手堅く先手優勢だと思います。
現局面▲7九香には△4五角がすこし嫌な気がしてきました。以下▲1二歩成△同飛▲同と△同玉▲1九飛には△1八歩で飛車先を押える変化があります」


 先手が良さそうだ。しかし、まだ、わずかだが逆転の余地があるかもしれない。
コメント (2)
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