英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season19 第10話「超・新生」

2020-12-20 21:42:22 | ドラマ・映画
 ドラマ冒頭、画商の埜原(蒲田哲)が踏切を通過する列車に飛び込み死亡した。
 埜原は「贋作を売った」と自首してきたが、買い手が目利きのなさを露呈するのを嫌い被害届を出しておらず、放免されていた。
 画商の自首と自殺の不可解さに疑問を持った匿名が、捜査を始める……


 真相は……画商が半グレ集団関係者に贋作を売りつけてしまい、画商のバックにいた暴力団『扶桑武蔵桜』と半グレ集団の抗争に発展していた。
 構想の原因を作った画商は、避難目的で警察に捕まろうとしたが叶わず、追い込まれ自殺してしまった。

 う~ん、追い込まれていたとはいえ、自殺するかなあ。
 しかも、自殺の手段が踏切を通過する列車への飛び込み……

 推測程度で右京らしい推理もなかったし…
 埜原の後任の贋作販売画商の四条真奈美(野口かおる)のしっぽを掴む右京と冠城の小芝居は楽しめたが、乾ききっていない絵の具の匂いで贋作の疑いが強くなるというのは、贋作の出来としてはどうなんだろうか?
 《彼女が“ヤクザの情婦”》《組は贋作工房を持っている》という情報も暇か課長からの聞いただけというのも、どうなのか?最近、青木や課長から情報を得ることが多い。
 
 さて、今回の肝は、刑事部長・内村の臨死体験&裏返り(“きれいな刑事部長”?、“正義の人”?)
 これまで暴力団組長との懇意の仲?の仄めかしの伏線があったので、巷では退場を囁かれていた。ただし、予告編で「(部長が)死んだ…」という参事官のセリフから、逆に亡くなることはないだろうと予想した(やはり、予告編は見てはいけないなあ)
 ただ、“正義の人”化するのは予想外。
 ただし、刑事部長は“汚い刑事部長”であってこそ存在価値があるので、今後の展開が心配。まさ、刑事部長や参事官が特命係に釘を刺しても、“糠に釘”状態だったので、部長がきれいでも汚くても特命係には影響なしかもしれない。でも、刑事部長が特命係に協力的だったら、『相棒』のドラマの魅力は減少してしまう。
 特命係の捜査に影響はなくても、他の脚本家にも影響を与えそうだ。



 今話で面白かったのは、埜原が雇っていた贋作画家が、右京の「これがあなたのオリジナルですねえ……なるほどぉ…」という言葉に憤慨し
「“なるほど”とはなんだぁ!《なるほどこれではこれでは売れないね》ということかっ!お前に絵が分かるのかよっ!」と激怒
……あまりの剣幕に、絵を買ってしまったシーンぐらい。

 半グレ集団の報復行為のシーン、残虐過ぎ!

第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話第9話


【ストーリー】番組サイトより
内村刑事部長が暴力団のシノギに肩入れ!?
贋作詐欺と画商自殺の背景に驚きの裏が!


 贋作を売り歩いていた画商が自首してきたものの、買い手は自身の目利き力が傷つくのを嫌い、いずれも「騙されたわけではない」と主張。“被害者が存在しない”という不可解な状況が発生する。経済事件を担当する二課でも詐欺罪に問えず、自首してきた画商をそのまま帰すことに。
 ところがその直後、問題の画商が自殺してしまう。亘(反町隆史)は、動機を「良心の呵責」と主張するが、右京(水谷豊)は事の経緯から、画商が警察に逮捕されることで“緊急避難”しようとしたのではないかと推理し、独自の捜査を始める。すると、贋作の製造、販売を、広域指定暴力団『扶桑武蔵桜』が取り仕切っていると判明。それを知った刑事部長の内村(片桐竜次)は、昵懇の関係にある組長の桑田圓丈(大石吾朗)と密談を交わす。
 いっぽう、扶桑武蔵桜の組員が、半グレ集団に暴行を受ける事件が発生。両者の衝突は、やがて大規模な抗争へと発展して…!?

贋作に手を染めた画商はなぜ遺書も残さず自殺したのか
裏で糸を引くヤクザと暴走する半グレ集団の関係は…!?
特命係の捜査が予想を超える緊急事態の呼び水となる!


ゲスト:大石吾朗 三国一夫

脚本:輿水泰弘
監督:橋本一
コメント (7)
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過去のトラックバックが表示されなくなったのですが…

2020-12-18 17:29:04 | Weblog
トラックバック……参考にした記事にリンクを張り、参考元のサイト管理者に「リンク貼りましたよ」と通知することができる機能
 とても便利で、ブログ運営者同士の交流を深める機能なのですが、半強制的に相手にリンクを張らせることになるので、人によっては迷惑と感じることがあるかもしれません。(参考記事
 gooブログにおいては2017年11月末にその機能は終了されています。

 私はドラマレビューの時によく活用させていただいたのですが、「このドラマについてこんな感想を持ったのだけど、よかったら読んでください」という記事を押し付ける目的(迷惑行為?)と、相手からトラックバックをされた場合は、同じドラマのレビュー記事に容易に飛べるので、重宝していました。
 ただし、上記の通り、トラブルの元になったこともあるようです(具体例は知りません)。因みに、gooブログがその機能を終了した理由は、「ご利用者数の減少およびスパム利用が多い」とのこと。


 トラックバック機能の終了は残念だったのですが、過去の記事のトラックバックは表示されていたので、時折、そのトラックバックを辿って、ドラマレビュー記事を読んでいました。
 最後にトラックバック機能を利用したのが、2週間ほど前だったと思うのですが、今日、利用しようと思ったら、過去記事に於けるトラックバックが表示されなくなっています。
 「トラックバックが表示されなくなる」旨のgooブログスタッフからの告知がなかったと思うのですが、見過ごしたのかもしれません。それとも、私だけの現象?

 トラックバックは人によっては迷惑な機能かもしれませんが、トラックバックが表示されなくなり、過去の交流が消えてしまったようで、そこはかとない寂しさを感じました。
 当時、活動されていたブログも更新停止されていたり、ブログ自体が消えてしまっているブログも多いです。どこかにリンク一覧をまとめておけばよかったと後悔。
 レビュー記事を探す手間が増えてしまいました……
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新型コロナウイルス その83「ステーキ忘年会」

2020-12-16 19:12:53 | 時事
二階幹事長、プロ野球ソフトバンクの王貞治球団会長、俳優の杉良太郎氏、政治評論家の森田実氏、タレントのみのもんた氏、林幹雄幹事長代理……遅れて菅総理が到着。
このメンバーで、14日夜、ステーキ忘年会が行われたそうだ
(“忘年会”という表現は参加者の一人の言葉)
(記事ソース…『毎日新聞 mainichi.jp』など)


 《飲食店の営業時間短縮》《大人数(5人以上)での会食の自粛》などが要請、呼びかけがされていた。
 14日と言えば、GoToトラベルキャンペーンの全国停止が決定、告知された日。

 “勝負の3週間”と銘打って「感染拡大を抑えられるかどうか、大事な大事な3週間だ」と西村大臣が発言したが、政府は言うだけで実際勝負しているのは、医療従事者や感染防止に努める現場の人々、時短要請に従う飲食店などで、「GoToトラベルは停止すべきだ」という進言も無視し(ようやく停止を決めたが)、「5人以上での会食は自粛」というわけのわからない制限を付けたりするだけ。

 まったく口先だけで、矛盾だらけの政府。なので、呼びかけも空回りで、人出はほとんど減らなかった。データは勝負の3週間前の11月24日との比較。1月中旬~2月中旬と比べると若干減っているが。

 そんな中、この忘年会。
 メンバーはいわゆる有識者だが、いろいろな知識や経験はあっても、何かに欠けるところがあるのだろう。《我々と下々(しもじも)の者とは住む世界が違う》という意識があるのかもしれない。 


 この忘年会について、
西村経済再生大臣「一律に5人以上は駄目だと申しあげているわけではない。そのような強制力も(政府には)ない」
加藤官房長官「さまざまな分野の方々に会い、多様な意見に触れることは政治家にとっても大変重要なことだ。会食の人数が5人以上か、高齢者かといったことも一律で決めるものではなく、会食の目的と感染防止対策を徹底できるかどうかのバランスの中で個別適切に判断していくことが重要だ」
と、問題視していない。
 これでは下々の者は政府の言うことに従う気にはなれない。

 会見で「てめえら、ふざけるなよ」と西村大臣がブチ切れれば面白いのになあ。政治生命はともかく、男は上がるだろう。


 ところで、菅総理は宴席に遅刻したとのこと。
 GoToトラベルの全国停止に関して、各方面に説明に回っていたという話だが、今回の宴席には幹事長から呼びつけられたのだろうか?
コメント (2)
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新型コロナウイルス その82「無茶苦茶な菅総理」

2020-12-15 11:41:31 | 時事
12月11日にニコニコ生放送で、Go To トラベルの停止について「まだ、そこは考えていない」と述べたが、GoToトラベルを全国一律に停止することを決定した
 世論調査の内閣支持率が急落したことによると言われている。「ガース―です」という自己紹介も支持率急落の一因かもしれない。ニコニコ生放送の場の雰囲気を考慮したのだろうが、「コロナによって大変な状況に陥っている人の気持ちを考えていない」と批判されても仕方がないが、そもそも、視聴者層に偏りのあるニコニコ生放送に出演するのがおかしい。

 総理は「Go To トラベルと感染拡大との因果関係を示すエビデンスはない」、「Go To トラベルの地域への経済効果は大きい」と主張し、Go To トラベルの継続の意思を示してきた。
 三浦瑠麗氏は「世論に屈した」「国民の心に寄り添う必要はない」と批判したが(「その81」)、国民の心に寄り添ったわけではない。

 総理はこれまで医療現場や介護関係者や学生などの声に耳を傾けなかった。今回は世論調査の内閣支持率の急落の数字を見て、選挙・政権維持が危ういと判断しただけである。


 菅総理は今でも《Go To トラベルと感染拡大との因果関係を示すエビデンスはない」》という考えを持っており、《今回、Go To トラベル停止をして、その結果、“Go To トラベルと感染拡大との因果関係がないこと”が明らかになる》と主張したそうだ。
 とすると、今回のGo To トラベル停止措置は、《停止の効果はないが、内閣支持率の回復は見込める》という考えに基づいていることになる。

 くどくなるが、
《経済回復の効果大のGo To トラベルを停止しても感染拡大防止には繋がらない》と考えているのに、《“Go To トラベルと感染拡大との因果関係がない”ことを明らかにする》ため、《内閣支持率回復》のために、Go To トラベルを停止するというのである。
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新型コロナウイルス その81「GoToトラベル停止、まくし立てる三浦氏」

2020-12-15 08:48:27 | 時事
「世論(支持率急落)にメディアが負け、メディアに政府が負けた……(経済に)痛みが生じる……だれが責任を取るのか!」
 『とくダネ!』で三浦瑠麗氏がまくし立てていた。
 経済最優先の三浦氏はかなり怒っているように見えた。

「国民の気持ちに寄り添う必要はない。マスコミも医師会会長の言葉など報じてはいけない」(正確な言い回しではないかもしれません)

 事実や正しい理屈を並べ、声高に早口に主張する。
 説得力があるように見える。しかし、それぞれの事実や理屈が間違っていなくても、それらをつなぎ合わせる道筋を歪めて、自分の主張に強引に持っていく。


 コロナウイルス蔓延に医療のひっ迫、新卒者の就職困難(キャビンアテンダントその他)、最終学年のスポーツやイベントの中止、介護関連の困難……生活や心が疲弊、破綻していく。
 経済しか見ていないこの方は、そんな窮状は目に入らないのだろう。

 
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相棒 season19 第9話「匿名」

2020-12-13 19:04:39 | ドラマ・映画
被害者・環那の裏の顔や環那と元カリスマシェフとの関係など、見かけと真相の逆転する筋は面白かったが、いろいろと疑問(不満)を感じるところがあった。
 一言でいうと……捜査・推理を成り立たせるために、都合よく事件に関する材料(証言や状況証拠)が設置されていた…そんな感じ
 まあ、そもそも、推理ドラマはそういうものなのだが……

1.今話の「匿名」というタイトルと被害者のSNSへの「お前を絶対許さない」という書き込み
 《匿名だから、誹謗中傷を書き込みやすい》という現代の風潮がテーマなのかというと、そうではなかった。(「トクメイ(匿名、特命)は使いよう」)というセリフを使いたかったのかもしれない)
 まあ、窮状を伺えるSNSの書き込みを基に、被害者女性を救おうとした智子(藤吉久美子)と矢坂美月弁護士(野村佑香)の奮闘が裏テーマだったので、SNSは今話の大きな要素とはなっている。
 しかし、ドラマ(捜査)のポイントとなるべき「お前を絶対許さない」の書き込みが、ほぼスルー状態だったのは残念(最後に回収したが)。
 《この書き込みの理由は?》《誰が書き込んだのか?》などから、捜査が進展していくと思ったのだが…

2.万能すぎる主婦・智子(藤吉久美子)
・夫とうまくいかず“駄目な女”と猛省し、役に立とうと決意
・たまたま美月の危機を察知して助け、彼女を励まし、世の中の不遇な女性を助けるためコンビを結成
・SNSの書き込みから女性を特定
・美月の転落死の真相を究明
・自分の罪(過失致死)が明らかになるのを厭わず、嘘を含む目撃証言で特命係の美月の転落死の真相究明を誘導した
・「眉間の縦皺は幸せが逃げちゃうの幸せを呼ぶのは横の皺」と美月を励ます豊かな人間性

 これらを総合すると、とても夫とうまくいかない女性とは思えない。
 「眉間の縦皺は幸せが逃げちゃうの幸せを呼ぶのは横の皺」は智子と美月の共通項というヒントだが、分かり易すぎ。
 嘘の証言の「まさか先生を!」は「矢坂先生を!」との掛詞になっていたが、これも智子の計算?



【その他の疑問】
 美月の転落事故(事件)で、美月にひっかき傷があったはずで、捜査陣は他殺を考えなかったのだろうか?


第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話


【ストーリー】番組サイトより
相次ぐ女性転落死に連続殺人の可能性が
SNSの書き込みが非業の死をもたらす!?


 歩道橋で女性が転落死する事件が発生。目撃者の主婦・智子(藤吉久美子)の証言により、被害者の知人の男が重要参考人として浮上する。男は、かつてカリスマイケメンシェフとしてマスコミをにぎわせていたが、SNSでの発言が炎上し、最近は金に困っていたという。
 一課が、行方をくらませた男を追う中、右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、“通報のお手本”とも言える詳細な証言をした智子に注目。智子の証言と、防犯カメラの映像から、一週間前、矢坂美月(野村佑香)という女性弁護士が、被害者の女性と接触していたことを突き止める。ところが、美月はその直後、階段から足を踏み外して“事故死”していたことが分かる。最近は、DVやストーカーなどに苦しむ女性の事案を担当していたというが…!?
 歩道橋の事件と女性弁護士の事故、相次ぐ転落死に関連性を感じ取った右京と亘は、行方をくらませている男の連続殺人を疑うが、腑に落ちない点もあった。そんな中、美月がネット内の匿名の書き込みから悩んでいる女性を見つけ、自らアプローチしていたことが分かる。

SNS炎上のカリスマシェフが連続殺人犯!?
通報者の主婦の“詳しすぎる証言”が捜査の鍵に
匿名女性たちの嘆きが衝撃の結末を呼び寄せる!


ゲスト:藤吉久美子 野村佑香

脚本:杉山嘉一
監督:権野元
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公平じゃないなあ……2020朝日杯将棋オープン戦2次予選 羽生九段-野月八段

2020-12-11 16:15:54 | 将棋
(私の執筆エネルギーは悔しさだなあ)

《不公平な対局手合いのつけ方》
 この羽生九段-野月八段戦は二次予選の2回戦。ともに1回戦を勝ち、これに勝てば本戦トーナメント進出となる一局。
 しかし、この対局に臨む二人の状況は公平ではなかった。羽生九段は同日の午後2時から1回戦の対八代七段戦を指している。(野月八段は1回戦の対丸山九段戦は11月26日に行われている)
 持ち時間は40分なので、対局時間としては1時間41分だったが、持ち時間が短いのでより集中が必要となる。1分将棋になったので、消耗も大きかったはずだ。
 対する野月八段は1回戦と2回戦は中9日。当然、疲労は残らないし、対羽生戦の予想戦型を絞り、研究対策も立てられる。

 ……不公平だ。



 将棋は力戦形となった。(野月八段の想定した局面になったかは不明)

 互いに相手の攻めには最小限の応手しか指さず、敵陣に切りかかった。
 羽生九段は▲5五角(第2図)と打ち、△6四角に▲3三角成と角を切り、△同桂に▲2四飛と2筋突破を図ったが、これが芳しくなかったようだ。第3図の野月八段の△7七歩が厳しい反撃だった。

 以下、羽生九段は飛車を成り込んだものの、角金交換の駒損に見合う成果とは言えず、△7七歩の叩きに銀で応じても桂で応じても先手陣は弱体化してしまう。1歩で成果を上げられてしまうのも痛い。(▲5五角では▲2四銀と単純に攻めた方がよかったようだ)
 羽生九段は▲7七同桂と取り、△7六歩に▲6五桂と跳ね攻め味を見せたが、7七の地点が薄くなり、野月八段の猛攻を受けることとなった。


 図に至る手順や細かい変化は省略するが、羽生九段は一気に潰されそうな変化がちらつくギリギリの受けで持ちこたえる。
 第5図は、直前に後手飛車の成り込みを甘受しておき、▲7八金△8九龍▲7九金と飛車当たりで受け、龍の動向を聞いた手。
 野月八段は△8五龍と引き上げたが、△9九竜▲8八銀の変化を選んだほうが良かったようだ。

 若干の小康を得た羽生九段が攻めに転ずるかと思えたが、▲5九玉!(第6図)

 玉の早逃げだが、真の意味は△7六歩に▲6八銀と銀の引場所を作るというもの。善悪は不明だが、羽生九段らしい柔らかい手だ。
 野月八段は▲6八銀とされ、△7七歩成とやり直し(反省料として一歩損)。▲7七同銀に△7八歩と改めて攻め直すが、徐々に羽生九段が盛り返していった。


 第7図は後手の攻め駒を呼び込む手。狙いは7四の銀の利きを外しての▲7四桂の王手龍取りだが、△8九龍と王手で逃げられるので、後の展開に見通しが立たないとできない一着。
 以下、再び野月八段の猛攻を受けることになったが、その攻めを少し余している気配。



 第10図の△5五角は眠っていた6四の角を繰り出した一着だが、それでも野月八段の攻めは息切れ気味(追及の足が遠のいた)。
 対して▲6六桂とその角の利きを遮断しておけば優位を確立できたが、羽生九段の棋風からすると▲8七金と後手の桂を外すような気がした。△7七角成と切ってくる手も避けていて好便の一着に見えるが、代わりに▲9九角成と銀を取った手が詰めろになってしまった。
 と言っても、▲7四桂や▲8二飛と指せばまだ先手が有利だ。
 ABEMA画面では羽生九段が飛車を掴んだので▲8二飛を選択したのか……と思ったが、飛車が打たれた地点は8二ではなく8三だった……


…………………………………
……………………………………………頓死。



 この頓死で、また「羽生、弱っ!」とか「衰えた」とか言われそうだが、時間切迫の中、責め潰されずに持ちこたえたのは羽生九段ならではの強さである。
 痛恨の頓死は、苦しい守勢で消耗してしまったせいだろう。ただ、玉の危険を察知できなかったというのは、全盛期の羽生九段には考えられないことだ。
 負け惜しみを言わせていただくなら、これが2局目でなかったら勝ち切ったであろう。
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相棒 season19 第8話「一夜の夢」

2020-12-08 17:59:09 | ドラマ・映画
・宇野健介(柏原収史)が小早川奈穂美(上野なつひ)に故意にぶつかり、奈穂美の携帯を搾取し、何かの弱みを握り、付きまとい始める
・奈穂美の婚約者・星宮光一(田中佑弥)が殺害されたが、宇野には完璧なアリバイがあった。しかし、“取って付けた感”がぷんぷん匂う


【事件のポイント】
①宇野が掴んだ奈穂美の弱みとは
②宇野のアリバイを崩せるか
③金を要求せず、奈穂美との結婚を望んだ理由

 ……①奈穂美は裏カジノで儲けていた
   ②アリバイを証言したバーの店員・花牟礼静香(田川可奈美)は宇野の幼なじみで、宇野の不遇な人生を不憫に思いアリバイ工作に協力した
   ③星宮も宇野の幼なじみで、宇野が歩むはずだった幸せな人生を盗み取っていた(宇野の思い込みも多分に含む)

 ③について補足すると、宇野は幼なじみの二人に離れ離れになりたくないと頼まれ、養子縁組を断ったが、その縁組を星宮のところに回り、縁組が成立。星宮は宇野にそのことを隠していた。
 宇野は本来歩んでいたはずの人生を、星宮から奪い返した。

 ドラマの主眼は③に置かれていた。しかし、平凡。
 ②のアリバイは捜査の過程で静香が幼なじみと判明して、崩れる。(ちょっと記憶が曖昧なのですが)静香が宇野の幼なじみだと視聴者に明示したのはラスト近くで、《ああ、そうだったのか》という感触はあった。
 ただし、右京たちはアリバイを崩すことには重きを置いていなかったので、《謎が解けた》という感慨はなかった。まあ、店員協力のアリバイは、アリバイ工作としては威張れないので、ウエイトを置けなかったのだろう。
 ①も“ありがち”のような気がする

 
平凡な脚本という自覚があったのかは分からないが、金井寛氏はラストで暴挙に出る!…………真相を暴かれ、確保された宇野を捜査一トリオが逃げられ、投身自殺されてしまう。
インパクトが欲しかったのかもしれないが、これ必要?!


人生を奪い返すことに固執していた宇野が、その象徴である結婚イベントに臨まないのは矛盾している。
宇野は結婚式会場を屋上から眺めていたので、覚悟していたのかもしれない。
いきなり、与党幹事長の後継者になるのは無理があるし、奈穂美とうまくいくとは思えない。
そもそも、婚約パーティも無理があり過ぎ。

相当残念な脚本だった。

【その他の感想】
殺害現場付近に落ちていた鍋蓋の持ち手。その鍋の持ち主が事件を目撃していたかもしれないと、捜索するが、『警視庁捜査一課長』の大岩捜査一課長(内藤剛志)の号令と“見つけの山さん”こと小山田管理官(金田明夫)がいないと無理であろう。

第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話


【ストーリー】番組サイトより
ドン底の男がセレブ令嬢を脅迫して結婚!?
特命係が難攻不落のアリバイ崩しに挑む!


 右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、レストランの前で揉めている男女を見掛け、間に入る。しかし、2人は大丈夫だと言って足早に立ち去ってしまった。翌日、亘はネット記事で、昨晩の女性が与党幹事長の娘・小早川奈穂美(上野なつひ)と気付くが、その矢先、彼女の婚約者である資産家男性が他殺体で発見される。
 捜査に乗り出した右京と亘は、奈穂美に事情を聞き、揉めていた男の素性を尋ねる。すると、落とした携帯電話を届けてくれた礼に、食事をしただけだという。問題の男は、宇野(柏原収史)というキャバクラの客引きで、奈穂美に一方的に結婚を迫っているらしい。
 右京と亘は、宇野に疑惑の目を向けるが、確固たるアリバイがあることが判明。それでも、拾った携帯電話から奈穂美の弱みを握り、結婚しろと脅しているのではないかという疑いは消せず、捜査を続けるが…!?

男はなぜセレブ令嬢との結婚にこだわるのか?
いっぽう、脅迫を受けている令嬢にも秘密が…
右京と亘が、かつてない衝撃に見舞われる!


ゲスト:柏原収史 上野なつひ

脚本:金井寛
監督:杉山泰一
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駄目だったなあ……2020竜王戦 第5局

2020-12-06 21:37:47 | 将棋
 形勢がよかった羽生九段が決めに行ったが、これが決まらず、逆転。その後は、豊島竜王が腰の入った読みで逆転の隙を与えず、初防衛を果たした(他の棋戦を含めて、初の防衛)

 と金は作られたものの銀得の羽生九段。豊富な持ち駒で、後手玉を攻略できそうで、本局はモノにできそうな気配があったが、評価値が示す形勢より、難しい局面だったのかもしれない。
 羽生九段の攻めを見切り、2筋の突き捨てに手を抜き桂を取った△3七歩成で抜き去った豊島竜王。……強かった。

 第3局の逆転負けが大きかったとは思うが、今期の7番勝負全体を通して視ると、豊島竜王の強さが羽生九段を上回っていた。
 《豊島竜王に勝つのは、大変だなあ》とつくづく感じた。
 序盤に隙が無く、隙を見せたら突かれる。中盤は押し引きが複雑で柔軟。終盤は着実で、悪い時はなかなか腰を割らない。……トゲトゲ・ギザギザしていて、ブヨブヨしていて、ネバネバしていて、分厚い。……そんな豊島将棋に最終的に飲み込まれてしまった。


 しかし、今回は力負けしてしまったが、次はわからない。
 最近の羽生九段の勝ち将棋の内容は素晴らしく、そのレベルを発揮すれば、豊島将棋を凌駕することも可能だと私は考えている。

 ただし、不出来な将棋の割合が増えてきているのが不安材料。

 あと、豊島竜王と将棋の質が違うのか、読みが合わず、感覚が狂ってしまい、終盤前の失着が多いような気がする。豊島将棋に抗する為の消耗も大きいような気がする。
 と言っても、豊島将棋を研究するべきというわけではなく、敗局において、《どう指せばよかったか》《どういう棋理を優先すべきだったのか》《その時の形勢判断が正しかったのか》……その辺りを分析検証し、将棋を再構築するべきだと思う(上から目線をご容赦ください)

 今期は取りあえずA級残留(特に次局の対豊島戦は勝ってほしい)。できれば、NHK杯優勝してほしい。
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新型コロナウイルス その80「GoToトラベルと感染拡大の因果関係」

2020-12-02 17:40:01 | 時事
《感染防止と経済活動両立》……よく政府関係者や都道府県首長が口にする言葉だ
 この両立は相当困難で、これを論ずる時の例えとして「ブレーキとアクセルを同時に踏むようなもので矛盾している」と言われることが多い。
 しかし、困難ではあるが、“感染防止と経済活動”とした場合は、矛盾しているとは言い切ることはできない。マスク、消毒、手洗いなどの感染防止対策を講じながらの生産活動や、テレワークなどが難題をクリアできているのかもしれない。

ただし、“感染防止とGoToトラベル”ついて言及する場合は話は別で、“両立”という表現を使用するのは矛盾に近い
 旅行は、感染する機会を増やす行為だからだ。
 確かに、自家用車で移動、キャッシュレス払い、マスク、アルコール消毒、更に、ホテルや旅館、観光施設が消毒や換気に努めれば、感染のリスクは低下するが、旅行しない場合と比べると、感染のリスクが増えるのは紛れもない。
 各施設が消毒に努めても、テーブル・椅子、自動でないドアノブ、共有する可能性のある備品、施設内でのエアロゾル……感染するリスクがないとは言えない。エレベーターは大丈夫なのか?
 旅館での朝食は、施設によっては食堂使用かもしれない。名所などでの昼食を取るレストランは大丈夫なのか……同席食事での感染のリスクはスーパーコンピュータ富岳によるシミュレーションでも指摘されている。

 福井県の感染者の内訳を見ると、県外への滞在者、あるいは仕事で県内を訪れた人の感染者が少なくない。移動によって感染のリスクが高まるのは、間違いない。

「GoToトラベルが、感染拡大の主要な原因であるとのエビデンス(=根拠)は、現在のところは存在をしない」と菅総理をはじめ政府関係者は言い切っているが……
 確かに、分科会などには「キャンペーンを利用した4000万人のうち、コロナ陽性になったのは180人」というようなデータが上がってきているようだが、それはきちんとした調査がなされていないからであろう。
 保健所からの電話に出ないとか、きちんと回答してくれないという人が、若年層を中心に多数いるらしいし、保健所の調査が追い付いていないことも考えられる。
 さらに、無症状のキャンペーン利用者による感染も多数考えられるので、政府が根拠とする「キャンペーン利用者4000万人のうち、コロナ陽性になったのは180人」という数字をそのまま信用できない(全く信用できない)。
 保健所の聞き取りチェック項目に、《キャンペーン利用者かどうか》、《身近にキャンペーン利用者がいないかどうか》という項目はあるのだろうか?

そんな訳で、GoToトラベルと感染拡大の因果関係は強いと考えるのだが、他の要素も考える必要はある。
①GoToイート
 上述したように、会食の際の感染リスクは低くない。会食にアルコールが加われば、更にリスクは高くなる。「現在の感染拡大はGoTo イートが主因である」というのは間違いない。
 富岳による飛沫のシミュレーションが示され、分科会の尾身会長も「マスクを使用しての正しい会食の仕方」を会見で伝授していたが、《会食しても楽しくないし、おいしくないだろうなあ》と思ってしまう内容だった。それはともかく、分科会や政府も会食による感染リスクは認知しているのだから、税金を投入して感染を助長するようなキャンペーンは富岳のシミュレーションが出た時点で、即刻停止すべきである。
 ただし、現在の感染拡大はGoToイートが主因であっても、感染拡大の原因すべてがGoToイートであるわけではない。

②冬季(季節)による原因
 寒い時期の方がウイルスの活動力は高いらしく、感染拡大の一因となっている可能性もある。
 また、寒いことによって換気も頻繁に行いにくいという実情もある。

 北海道の感染拡大は、冬季によるものと考えることもできる。
 しかし、新規感染者の多くが、札幌のススキノの関係者であることは、季節に因るものだけとは言い難い。


 「GoToキャンペーンは、即刻辞めるべき」だと声を大きく主張するのだが、「経済を止めてしまうと、それによって命を落とす人の数は、感染による死亡数より遥かに多い」と三浦瑠麗氏は主張しており、その意見に同意する人も多い。
 次回は、その点について述べたい。
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