豊かな人生。

　人間、褒められて、やる気を起こす。けなされても発奮して頑張る。どっちにしてもやる。というなら、いいのであるが、他者の影響だけではなく、そこから、自発的にやる気を起こすということが重要である。なにより、本人がその気にならないことには、始まらない。

　それを、やるようにするために、多くの創意工夫が行われてきた。芸術、文化、これらの分野は、直接的にその効果を、もたらすように思う。中学の学生時代には、主要教科ではないとして、軽視されてきた分野が、実は、本当に重要な意味をもっていることに、後に気付く。主要科目は、基本的な必要なものであって、本当に、人生の醍醐味は、それだけでは、膨らみのある味わいのあるものにはなりにくいように思う。

　そして、不思議なことは、実際の生活の中に、その術のなかに、こうした作用をするものがあって、真面目に生活する人びとのなかには、ちゃんと文化があることである。とりたてて、芸術文化といわなくとも、生活の中に、そのタネがあり、本質があるのであって、豊かに存在している。それが、溢れるような人生にしたいものである。