デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

ロマノフ王朝展-日本人の見たロシア、ロシア人の見た日本

2017-01-20 00:07:52 | 観覧雑記帳
「ロマノフ王朝展-日本人の見たロシア、ロシア人の見た日本」
会場 東洋文庫ミュージアム

石巻若宮丸漂流民のうち、世界一周して帰国した4人の漂流民のひとり太十郎がロシアから持ち帰った皇帝から下賜されたというジャケットの実物が展示されるということでとても楽しみにしていた展示会を見てきた。東洋文庫ミュージムはこれまでにも4回ほど来ているが、何回見ても圧倒されるのがモリソン書庫。ここの要所に今回の展示にあわせたロシア関係の豪華本が陳列されている。実際に手にとって頁をめくってみたいと思う本ばかり。このプロローグにはときめいてしまった。企画展の最初はデジタル画像で拡大して見れるコーナー。今回は「蝦夷志」と「プチャーチン来航図」。拡大して見ると、いろいろなことがわかる。蝦夷志で感心したのはアイヌの熊祭の儀式の模様が詳しく描かれているところ。プチャーチン来航図は前半と後半では描いた人が違うのではという明らかなタッチの違い。うれしいことに太十郎のジャケットはあの渡り廊下のコーナーという実にいいところに展示されている。縄文館で展示されているのとはまた趣が違って見えた、紺の色彩がこちらの方がくっきりと出ているように見えたのは照明のせいなのか、正直こんなにも違うように見えるのかと驚いた。
今回の展示会には3つの見どころがあった。ひとつは吉村昭さんが「大黒屋光太夫」を書かれたとき、これがなかったら書けなかったと言わしめた「魯西亜国漂泊聞書」の全巻を展示していることである。全巻はありがたい。この書は東洋文庫の所蔵品のなかでも自慢の書であるが、色の美しさ、そして描写の見事さ、全部見れるというのはありがたい。どうしてもこうした展示会になると一カ所だけという展示になってしまうのだが、このように全巻展示してもらうのは実にありがたい。同じように「環海異聞」もたくさんの図版を展示している。ここの所蔵品はかなりオリジナルに近いものではないのだろうか。他の環海異聞の写本よりも色がかなりはっきりしている、それと実際には触れられないのだが紙もいいものをつかっているのではないだろうか。展示してあるなかで北海近くまで流されて船が氷山と遭遇する図版が迫力があった。それとレザーノフの肖像画も他のとちょっと違う、一番やさしい顔になっているのではないだろうか。こういう写本を見ていると、例えば宮城県図書館や一関図書館、早稲田大学が所蔵しているものと並べて見たくなる。そうすることによってオリジナルをさぐりあてるヒントにもなるかもしれない。
3つ目はプーチン来日時に日本からこの複製が贈られたことで話題になった「プチャーチン来航図」。7メートルもある絵巻なので全部というわけにはいかないが、その全容は入り口のデジタル画像で見れる。
この他にも貴重なロシア語の文献が展示されている。よくこれだけの本を集めてきたものだと思う。きっとあと2回はまた見に行くことになるだろう。これだけのロシアの貴重な文献に一同に集めたものを見れるなんて、ほんとうに幸せな気持ちになれたひとときだった。


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