デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

ピコラエヴィッチ紙幣

2024-08-22 19:20:00 | 買った本・読んだ本
書名『ピコラエヴィッチ紙幣』
著者 熊谷敬太郎  出版社 ダイヤモンド社  出版年 2009

この一冊も「月のしずく」で知って読んだもの。ロシア革命のあとの内戦時代、日本がシベリア出兵していたころ、極東は混乱の中にあった。その中で日本がつくっていたルーブル紙幣が流通していたという話は、桑野塾でいつも刺激的な報告をしてくれるブルリューク研究家の鈴木さんが報告してくれたので、多少は知っていた。確か鈴木さんはその時の紙幣も見せてくれたと思う。その紙幣がこの本のテーマとなっているピコラエヴィッチ紙幣だったかどうかはわからない。ちなみに本来はニコラエヴィッチなのに、HではなくPという誤植からこの名前になったらしい。
この紙幣を印刷するためにニコラエフスク・ア・ムールに派遣された日本人の印刷技術者が、ここでロシア人と恋に陥りながら、尼港事件に巻き込まれていくという小説である。読みごたえはあった。それはかなりきちんと尼港事件という、日本史では語られることがすくない日本にとっても、革命ソ連にとってもあまり触れたくない事件について書かれているからだろう。紙幣の図案にもなっている島田商会の島田元太郎については、初めて知ったのだが、日ロ交流史や極東研究の中で取り上げられているのだろうか。とても気になる人物である。革命軍の残虐行為、ニコラエフスクに進出した日本の荒っぽいやり方など、いろいろな意味で現代この事件を問いかけることは意義のあることではないかと思った。もう少しいろいろな本を読んでいければとも思う。先日見たNHKのサイパン玉砕、この尼港事件、満洲もそうだが、海外に渡った日本人たちは、植民のため海外に進出することの怖さということを認識して海外に渡ったのだろうか、そんなことも気になった。
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