ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 週末の興行成績 [3月13日(金)~3月15日(日)]と、人気順位 ►「スウィング・キッズ」、ネタバレなしですがちょっと詳しくご紹介

2020-03-17 22:06:36 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸1つ前の記事<30年来の韓国映画オタクが450本(?)の中から選んだ★韓国映画ベスト30★>は→コチラ

▸15日(日)夜、桜木町のブルク13で「スウィング・キッズ」鑑賞。EXOのD.O.[ド・ギョンス]が主演なので、わりと高評価のカキコミを見ても彼の人気ゆえか?と思って2月21日の公開後もあまり観る気が起こらなかったのですが、朝鮮戦争がらみで物語の舞台は巨済(コジェ)捕虜収容所ということで、これはベンキョーになるかも・・・と考え直しました。もう1つの興味は、政治的な視点はどうなのか ?という点。北朝鮮の兵士が登場する韓国映画は、「北も南も同じ民族!」という進歩系の立場からの<片思い的>親北朝鮮の観点。もう一方は、ずっと以前からある<北朝鮮=敵!>との戦いを主軸に据えた伝統的な保守系の側の観点。近年は前者が目につくようですが、はたして?・・・という興味です。
 本作の元となったのは「ロ・ギス」(←主人公の名)と題して上演されたミュージカル作品で、キム・シヌによるその脚本を元にカン・ヒョンチョル監督が映画の脚本を書いたとのことです。その2つの内容にはいくつかの違いがあるそうで、中でも決定的に違うのはエンディングとか・・・。(ということは・・・。)
▸観てみると、案の定史実とフィクションの区別は(デヴッド・ボウイやビートルズの楽曲はアレレでしたが)すぐにはわからず、後で探索することになりました。すると、そもそも最初のモチーフになったのはフォトジャーナリストとして知られるスイス人のワーナー・ビショフが撮影した写真(右画像.出所は→コチラ)ということが判明しました。ただ、この写真はそれなりに知られている(?)ようで、作家・崔秀哲(チェ・スチョル.1958~)は「捕虜たちの踊り(포로들의 춤)」という小説を書いています。しかし、写真を見ると、自由の女神像もあり、その前で捕虜兵士たちが踊っていますが、タップダンスじゃないですよね。(スクエアダンス?)
 これも史実なの?と考えたのは、収容所内なのに捕虜たちの間にあんなに死傷者が出るほどの厳しい対立があったのかということ。これはたしかにあったのですね。いや、それどころか実際に収容所では反共vs親共捕虜の暴動が時々起こったそうで、殺し殺される殺戮劇が繰り広げられる地獄だったといいます。1952年に起こった暴動では、米英の軍隊が出動して鎮圧したそうです。(その時の映像は→youTubeで視聴できます。)
 上述の<親北>or<反北>をめぐって。<ナムウィキ>の「スウィング・キッズ」の項目(→コチラ)には「右派側からは北朝鮮軍が主人公という理由で左派映画と非難しますが、いざ見たらどちらの側の肩を持っているかは難しい」と評しています。しかし、捕虜たちの間の理念対立が激化する場面で、可憐なヒロインのパンネ(パク・ヘス)が「ファッキング・イデオロギー!」と吐き捨てるように言う場面があります。これがまさにこの映画の立場だと思います。それぞれのイデオロギーを信じ込み、自分たちばかりか多くの人々を不幸にするイデオロギー。それと対置されるのがタップダンスという構図です。なるほど、こういう考え方は今の若い世代には受け入れられそうです。ヌルボ個人としては、親北色や国防意識涵養に比べればナルホドねーではあります。が、あの時代を描く際ににこのような見方がどれだけリアリティを持ち得ているか、疑問もなきにしもあらずです。しかしいろいろ知識も得たし、何より娯楽作として楽しめたのでよかったです。

▸先週は、近場で見逃した「さよならテレビ」を観にポレポレ東中野まで行ったことを書きました。先週11日は<大阪アジアン映画祭>の中で上映されていた「ポーランドに行った子供たち」を観にわざわざ新幹線に乗って行ってきました。朝鮮戦争の時に孤児となった子供たちを金日成はポーランド等に送ったそうで、その時に子供たちの養育にあたったポーランドの人たちを訪ねて話を聞いたり・・・というドキュメンタリーですが、私ヌルボが一番知りたかったことが解明されず、ちょっと残念。そして、その後この映画はいずれ一般劇場公開されるという情報に接し、またトホホ。天王寺動物園にはアムールトラ(チョウセントラ)がいるのですが、コロナのため休園中だったし・・・。まあそれでも何ヵ所か廻ってこられたので良しとするか(涙)。

         ★★★ NAVERの人気順位(3月17日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(3) モンマルトルのパパ(韓国)  9.55(110)
②(2) 泣くな、トンズ2:シュクラン ババ(韓国)  9.53(151)
③(4) 主戦場  9.51(1,375)
④(5) フォードvsフェラーリ  9.50(7,923)
⑤(6) 2人のローマ教皇  9.29(594)
⑥(7) 映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!  9.27(200)
⑦(8) ジョジョ・ラビット  9.19(1,200)
⑧(9) 娘は戦場で生まれた  9.17(162)
⑨(新) リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ  9.13(30)
⑩(10) ナイブズ・アウト  9.11(3,788)

 ⑨「リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ」(仮)が新登場です。元オアシスのリード・ボーカルだったリアム・ギャラガーがその後つらい日々を経た後、ソロとして復活するまでの姿を撮ったイギリスのドキュメンタリーです。韓国題は「리암 갤러거」。日本公開は年内とのことです。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 燃え立つ若い女性の肖像  9.22(9)
②(2) アイリッシュマン  9.11(9)
③(3) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
④(-) 小さな光(韓国)   8.67(3)
⑤(4) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
⑥(5) はちどり(韓国)  8.38(13)
⑦(6) ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語  8.00(10)
⑧(8) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド  7.90(10)
⑨(9) 1917 命をかけた伝令  7.67(9)
⑩(10) ジョーカー  7.64(11)

 今回新登場の作品はありません。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績3月13日(金)~3月15日(日) ★★★
           観客数がさらに落ち込む中「透明人間」が3週連続1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・透明人間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/26 ・・・・・・・・・・56,466・・・・・・・420,326 ・・・・・・・・3,675 ・・・・・・・617
2(新)・・ダーク・ウォーターズ ・・・・・・・3/11 ・・・・・・・・・・44,452・・・・・・・・62,191・・・・・・・・・・549 ・・・・・・・575
3(2)・・1917 命をかけた伝令・・・・・・・・・2/19 ・・・・・・・・・・39,000・・・・・・・610,698 ・・・・・・・・5,620 ・・・・・・・539
4(3)・・藁にもすがる獣たち(韓国)・・・・2/19 ・・・・・・・・・・13,799・・・・・・・597,645 ・・・・・・・・5,188 ・・・・・・・382
5(5)・・正直な候補(韓国)・・・・・・・・・・・・2/12 ・・・・・・・・・・12,214 ・・・・・1,498,969 ・・・・・・・12,607 ・・・・・・・343
6(4)・・ストーリー・オブ・マイライフ・・2/12・・・・・・・・・・10,368・・・・・・・835,165 ・・・・・・・・7,042 ・・・・・・・300
       わたしの若草物語
7(再)・・アリー/ スター誕生・・・・2018/10/09 ・・・・・・・・・・・9,420・・・・・・・506,865 ・・・・・・・・4,339 ・・・・・・・246
8(再)・・メメント・・・・・・・・・・・・・・2001/8/24 ・・・・・・・・・・・4,956・・・・・・・・23,933・・・・・・・・・・168 ・・・・・・・122
9(10)・・アバウト・タイム・・・・・・2013/12/05 ・・・・・・・・・・・4,710 ・・・・・3,429,612 ・・・・・・・25,193 ・・・・・・・・73
       ~愛おしい時間について~
10(6)・・ブラームス: ザ・ボーイII・・・・・3/05 ・・・・・・・・・・・3,513・・・・・・・・22,973・・・・・・・・・・208 ・・・・・・・124
       アズカバンの囚人
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 前々週→前週の減少率ほどではありませんが、前週からさらに落ち込み、1位の観客動員数も通常ならベストテン後半の数字です。
 こんな中、旧作の再上映が目につきます。新作は2位のみで7・8位の2作品が再上映です。
 2位「ダーク・ウォーターズ」は、事実をモチーフにしたアメリカのドラマ。タイトルは<汚染水>の意。例の原発事故を思い浮かべる人も多いと思いますが、あのデュポン社が川に流出させた有害な化学物質を含んだ汚染水のことです。物語は弁護士のロバート・ビロット(マーク・ラファロ)が1人の農夫から村で連続して起きている得体の知れない病気や先天的に障碍を持って産まれる子供、そして不審死等の調査を頼まれるところから始まります。調査を始めたビロットはやがてデュポン社からの汚染水が原因であることを突きとめますが、会社側は隠蔽や脅迫等々を行使して彼に圧力をかけます。部下や上司の支援も失われた中、ロバートは真実を明らかにするため勇敢にも裁判闘争を開始します・・・。韓国題は「다크 워터스」。日本公開は未定のようです。
 7位「アリー/ スター誕生」は、日本では2ヵ月遅く2018年12月公開されました。韓国題は「스타 이즈 본」です。
 8位「メメント」は、クリストファー・ノーラン監督によるサスペンス&ミステリー。日本でも韓国と同年ヵ月ほど遅く公開されています。韓国題は「메멘토」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・ダーク・ウォーターズ・・・・・・・・・・・・3/11 ・・・・・・・44,452・・・・・・・・・62,191 ・・・・・・・・・549 ・・・・・・・575
2(再)・・メメント・・・・・・・・・・・・・・・・・・2001/8/24 ・・・・・・・・4,956 ・・・・・・・・・23,933 ・・・・・・・・・168 ・・・・・・・122
3(2)・・はじまりのうた・・・・・・・・・・・・・2014/8/13 ・・・・・・・・3,080・・・・・・・3,460,447 ・・・・・・・・・・27・・・・・・・・134
4(3)・・チャンシルは福も多いね(韓国)・・・・3/05・・・・・・・・・2,829 ・・・・・・・・・15,499 ・・・・・・・・・133・・・・・・・・・91
5(再)・・言えない秘密・・・・・・・・・・・・・・2008/1/10 ・・・・・・・・2,634 ・・・・・・・・170,785 ・・・・・・・・1,199 ・・・・・・・108

 1位が新登場、2・5位は旧作の再上映です。
 1位「ダーク・ウォーターズ」、2位「メメント」については上述しました。
 5位「言えない秘密」は、ジェイ・チョウ(監督も)とグイ・ルンメイ共演の台湾ラブロマンスの定番的作品で韓国では(たぶん)3度目の再上映。日本でも同じ2008年半年以上遅く公開されています。
韓国題は「말할 수 없는 비밀」です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする