ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [3月9日(金)~3月11日(日)]

2018-03-13 23:54:32 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸3月9日(金)に始まった<大阪アジアン映画祭>は18日(日)まで開催されていますが、私ヌルボ、他の予定もあるので8・9日京都に連泊して、9日夜のオープニング作品「朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキスト」だけ観てきました。昨年6月公開され、観客動員数は235万人という小ヒット作ですが、韓国でも知る人は多くはなかった朴烈と、ほとんど知られていなかった金子文子のことがこの作品で広く知られるようになり、またとくに金子文子を演じたチェ・ヒソが注目され、いくつもの新人女優賞の受賞につながりました。チェ・ヒソは大阪の建国小学校(民族学校)に5年間通っていたこともあり(当時の先生も客席にお見えでした)、当然のように会場に来て、自然な日本語で「自伝(「何が私をこうさせたか」)を10回くらい読んで、つらい過去があるのにこんなに堂々としていた彼女のことをいろいろ想像しました」といったことを語っていました。
        
 京都で他の所を何ヵ所か周ったものの、映画はこの1本観ただけでしたが、行った甲斐は十分ありました。昨年末金浦→羽田の機内で観た時は時間が足りなくて中間部は早送りせざるを得ず、また日本語字幕もなかったので、不明な点も多々。その上、内容的にも今後首都圏での上映が見込めなかったので。この点、観てみてさらに上映機会はまずないだろうと確信しました。たとえば、立松予審判事の審問の場面で朴烈が次のようなことを言ったのには驚きました。「당신네 도련님 미치노미야...미친 놈이야!(あなたのところのおぼっちゃん、迪宮(みちのみや)・・・ミッチンノミヤ!)」。迪宮とは当時の皇太子(後の昭和天皇)の幼少時の称号です。それを少しもじった朝鮮語の<미친 놈이야(狂った奴め)>は今もふつうに使われる罵倒語で、相手が皇太子でなくても憚られる言葉です。その他、天皇もただの人だとか、今でも相当数の日本人がアタマに血を上らせるようなセリフがたくさん。近年いわゆる<反日>の韓国映画がいくつも作られていますが、こうした点(天皇制批判)においてさらに強い反発はありそう・・・というのが一般公開はむずかしいと思う理由です。
 この映画のポスターには小さく「일본 제국을 뒤흔든 실화(日本帝国を揺り動かした実話)」と書かれています。「暗殺」や「密偵」等々と比べて、「ほとんど実話!」というのがイ・ジュニク監督の強調したい点で、また金子文子や布施辰治弁護士といった日本人を大きく取り上げ、朝鮮vs日本といった図式的な構成にしていない点や、何よりも文子と朴烈との稀有な愛の形を中心に据えて、多くの日本人をも感動させる力を持っている作品なので、なんとか上映してほしいものですが・・・。
 ※金子文子は9~16歳の間忠清北道の芙江(プガン)という所の祖母の家で酷使されますが、その頃朝鮮語はほとんど話せなかったと思われます。映画では朴烈との最初の出会いの場面ではカタコトで話し、徐々に流暢になっていきますが、事実はどうだったか・・・。なお、女性同志の名前が字幕で蓮代(?)となってて「あれ?」と思い確かめたら新山「初代」でした。

▸先週少し書いた韓国の<Me Too>運動ですが、その後さらに広がり、→コチラの記事によると「有名人32人、一般人9人など41人がMe Too加害者として、警察の捜査対象にあがっている」とか。その後この記事中にもある有名人が自殺したとの報道まで。男尊女卑の習慣が残る韓国だから? 日本は歴然と違う? それとも表に出てこないだけ? よくわかりません。
    
「朝鮮日報」3月10日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

청춘과 사극의 엇박자
송화 옹주(심은경)는 얼굴도 모르는 사람에게 시집갈 수 없다며 몰래 부마 후보들을 염탐한다.

 《週末の劇場街》で紹介
  「相性[宮合(クンハプ)]」

   青春と時代劇がかみ合わず



    [写真説明] ソンファ姫(シム・ウンギョン)は顔も知らない人の嫁にはなれないと、こっそり婿候補たちを探る。

 「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」
   そこにさえ虹は浮かぶ ★★★★



 「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」

   踏まれても起きる彼女 ★★★★



 「トゥームレイダー ファースト・ミッション」

   完成されない女性英雄 ★★★

 いずれの作品についても以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(3月13日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(-) バナナソングの奇跡(韓国・インド)  9.56(34)
②(-) 僕らはソリに乗る(韓国)  9.47(172)
③(1) 地球:驚きの1日  9.48(163)
④(3) ワンダー  9.40(1,614)
⑤(4) みつばちマーヤの大冒険 2  9.39(227)
⑥(2) グレイテスト・ショーマン  9.38(11,885)
⑦(5) 血の年代記(韓国)  9.33(206)
⑧(6) ジェクスキス エイティーン(韓国)  9.30(325)
⑨(-) オンリー・ザ・ブレイブ  9.28(295)
⑩(8) リメンバー・ミー  9.22(13,593)

 ①②⑨の3作品が今回の新登場です。
 ①「バナナソングの奇跡」は、韓国・インド合作のドキュメンタリー。カリスマ性一杯で怖いと噂された声楽家のキム・ジェチャンは、引退後インドで第2の人生を始めます。それは、過去1度もきちんと歌を習ったことのない貧民街の人たちを集めて合唱団を作るということでした。しかし、団員はとんでもない音痴で拍子外れ。その上あれこれ言い訳を言いつつ欠席ばかり増えていきます。平均出席者数5人。心も開かれますが、蓋も開かれます(=アタマにくる)。バナナ合唱団、これで大丈夫なの? 原題は「바나나쏭의 기적」です。
 ②「僕らはソリに乗る」は、パラリンピックに呼応して公開された韓国のドキュメンタリー。パラ・アイスホッケー国家代表選手たちはスケートの代わりにソリに乗って試合をします。国内で登録選手はたった40人。それぞれが悲しい事情と障害を持っていますが、アイスリンクの上では幸せです。劣悪な環境の中で、実業チームの創立3年目にして世界選手権の出場権を獲得した彼らは、2012年の世界選手権大会で銀メダルという予想外の快挙を成し遂げました。その過程を綴ったドキュメンタリー映画です。原題は「우리는 썰매를 탄다」です。
 ⑨「オンリー・ザ・ブレイブ」については後述します。

     【記者・評論家による順位】

①(1) ダンケルク  8.55(11)
②(-) フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法  8.50(10)
③(2) ア・ゴースト・ストーリー  8.33(6)
④(-) ファントム・スレッド  8.22(9)
⑤(3) パターソン  8.20(9)
⑥(4) シェイプ・オブ・ウォーター  8.18(11)
⑦(6) リメンバー・ミー  7.83(6)
⑧(-) アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル  7.75(8)
⑨(7) タンジェリン  7.71(7)
⑨(7) 私はあなたのニグロではない  7.71(7)

 ②④⑧の3作品が新登場です。
 ②「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」については後述します。
 ④「ファントム・スレッド」は、1950年代ロンドンのファッション業界を舞台にした伝記映画。王室と社交のドレスを作るオートクチュールの店ウッドコックのデザイナーとして脚光を浴びるレイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)は、ある日ウェイトレスのアルマ(ヴィッキー・クリープス)と出会い、一目で互いに惹かれ合います。レイノルズはアルマを魅惑的な美の世界に誘い込みますが、アルマの出現によって規律的だったレイノルズの日常に変化が訪れます。華やかな人生を生きてはいるものの、レイノルズが作った世界の一部にすぎないアルマですが、自身のすべてである愛をかけてレイノルズの人生を滅ぼそうとする? やがてふたりがたどり着く、究極の愛のかたちとは・・・。韓国題は「팬텀 스레드」。日本公開は5月26日です。
 ⑧「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」は、アメリカの女子フィギュアスケート選手トーニャ・ハーディングの伝記映画。トーニャ(マーゴット・ロビー)は1991年の全米選手権で史上初めてトリプルアクセルを成功させ、大きな評価と称賛を受けますが、1994年に事態は暗転します。リレハンメル五輪のアメリカ予選に際し、元夫のジェフ・ギルーリー(セバスチャン・スタン)がトーニャのライバルのナンシー・ケリガン選手(ケイトリン・カーヴァー)を襲撃して負傷させ、出場不能に追い込んだのです。順風満帆のキャリアを歩んでいたはずの彼女がなぜこのような事件を引き起こし、転落への道を自ら開いてしまったのか? そこには、幼い頃からトーニャに言葉の暴力を振るってきた母親ラヴォナ(アリソン・ジャネイ)の存在がありました・・・。韓国題は「아이, 토냐」。日本公開は5月4日です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績3月9日(金)~3月11日(日) ★★★

         韓国のスリラー「消えた夜」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・消えた夜(韓国)・・・・・・・・・・・・・・3/07 ・・・・・・・・・523,518 ・・・・・・・・・654,205・・・・・・・・5,414 ・・・・・・・・・925
2(新)・・トゥームレイダー ・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・314,604 ・・・・・・・・・374,985・・・・・・・・3,182 ・・・・・・・・・806
       ファースト・ミッション
3(2)・・リトル・フォレスト(韓国)・・・・・・2/28・・・・・・・・・・262,949 ・・・・・・・1,123,513 ・・・・・・・・8,910 ・・・・・・・・・699
4(1)・・相性[宮合.クンハプ](韓国)・・・・・2/28・・・・・・・・・・157,084 ・・・・・・・1,269,077 ・・・・・・・・9,961 ・・・・・・・・・647
5(3)・・ブラックパンサー ・・・・・・・・・・・・2/14 ・・・・・・・・・・70,880・・・・・・・・5,340,329 ・・・・・・・45,422 ・・・・・・・・・448
5(5)・・シェイプ・オブ・ウォーター・・・・ 2/22 ・・・・・・・・・・55,555 ・・・・・・・・・429,141 ・・・・・・・・3,575 ・・・・・・・・・301
7(4)・・セブン・シスターズ ・・・・・・・・・・・2/22 ・・・・・・・・・・53,041 ・・・・・・・・・872,218 ・・・・・・・・7,236 ・・・・・・・・・195
8(28)・・フロリダ・プロジェクト ・・・・・・3/07 ・・・・・・・・・・23,088 ・・・・・・・・・・41,099・・・・・・・・・・348 ・・・・・・・・・126
       真夏の魔法
9(新)・・オンリー・ザ・ブレイブ・・・・・・・・3/07 ・・・・・・・・・・21,097 ・・・・・・・・・・40,003・・・・・・・・・・318 ・・・・・・・・・301
10(9)・・ペンタゴン・ペーパーズ・・・・・・・2/28 ・・・・・・・・・・14,848 ・・・・・・・・・111,761・・・・・・・・・・885 ・・・・・・・・・128
       /最高機密文書
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「相性」は1週で首位転落。「消えた夜」が取って代わりましたが、3週トップを維持できるかなといった感じか。
 今回の新登場は1・2・8・9位の4作品です。
 1位「消えた夜」は、韓国のスリラー。妻のソリ(キム・ヒエ)を殺害し、完全犯罪を計画した夫ジナン(キム・ガンウ)。ところが数時間後、国立科学捜査院遺体保管室から彼女の体が跡形もなく消えます。そしてジナンに届いた携帯メールが1通。「私たちの秘密を埋めたところで待ってる」。ジュンシク刑事(キム・サンギョン)はジナンを疑い始め、一方ジナンはすべてが妻の計画だと主張します。彼女は本当に死んだのか? それとも、消えたのだろうか・・・? 原題は「사라진 밤」です。
 2位「トゥームレイダー ファースト・ミッション」は、世界的人気ゲームを映画化したアメリカの冒険アクション。最初アンジェリーナ・ジョリー主演で映画されたのが2002年。続編も作られましたが、これは新作。日本でも3月21日公開で、諸情報がすでに出ているので詳細は略します。韓国題は「툼레이더」です。
 8位「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」はアメリカのドラマ。6歳の女の子ムーニー(ブルックリン・プライス)とシングルマザーのハリー(ブリア・ヴィナイテ)は定住する家を失い、フロリダのディズニーワールドの向かいにある安モーテルでその日暮らしの生活をしています。周りの大人たちは厳しい現実に苦しんでいますが、ムーニーはモーテルに住む子供たちと楽しく毎日を過ごし、モーテルの管理人ボビー(ウィレム・デフォー)はそんな子供たちを優しく見守っています。しかし、ある出来事がきっかけで、いつまでも続くと思っていたムーニーの夢のような日々に現実が影を落としていきます・・・。2008年に発生したサブプライム住宅ローン危機の余波に苦しむ貧困層の人々を、ムーニーの視点から描いた作品です。韓国題は「플로리다 프로젝트」。日本公開は5月12日です。
 9位「オンリー・ザ・ブレイブ」は、2013年アメリカのアリゾナ州で発生した大規模な山火事に立ち向かった消防士たちの精鋭部隊<ホットショット>の隊員たちの感動の実話を描いた作品。学生寮で堕落した日々を過ごしていたブレンダン(マイルズ・テラー)は、恋人が妊娠したことをきっかけに生まれ変わる決意をして地元の森林消防団に入隊します。地獄のような訓練の毎日を過ごしながらも仲間と絆を深め、<ホットショット>の生みの親のマーシュ(ジョシュ・ブローリン)との信頼を築き、少しずつ成長していきます。しかしそんな彼を待ち受けていたのが大規模な山火事でした。8.1平方キロもの地域を燃やし、人々の住む町まで火の手が及ぶ危機が迫る中で<ホットショット>の20人の隊員たちは地面を掘ったり木を切ったりして鎮火にあたりますが・・・。韓国題は「온리 더 브레이브」。日本公開は6月22日です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・セブン・シスターズ・・・・・・・・・・・・・・2/22 ・・・・・・・・・・53,041 ・・・・・・・・・・872,218 ・・・・・・・・・7,236・・・・・・・・・195
2(8)・・フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法・・3/07 ・・・・・・23,088 ・・・・・・・・・・・41,099・・・・・・・・・・・348・・・・・・・・・126
3(2)・・ナミヤ雑貨店の奇蹟(日本)・・・・・・・・2/28・・・・・・・・・・10,408 ・・・・・・・・・・185,960 ・・・・・・・・・1,412・・・・・・・・・167
4(6)・・ナラタージュ(日本) ・・・・・・・・・・・・・3/08 ・・・・・・・・・・・8,373 ・・・・・・・・・・・13,448・・・・・・・・・・・116・・・・・・・・・146
5(3)・・パディントン2・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/08 ・・・・・・・・・・・4,844 ・・・・・・・・・・337,911 ・・・・・・・・・2,547・・・・・・・・・・65

 2・4位の2作品が新登場です。
 2位「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」については上述しました。
 4位「ナラタージュ」は、島本理生の原作小説も読んでいないしこの映画も観てないので、コメントのしようがありません。しっとりした(もどかしい?)恋愛の回想記? 韓国題は「나라타주」です。
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