ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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「岳人」2016年6月号の特集<韓国の山> ②日本と韓国の登山事情の違い等

2016-06-20 23:45:10 | 韓国・朝鮮関係の知識教養(歴史・地理・社会等)

 →1つ前の記事の最後の方で「韓国の山は、やはり魅力的な岩山が特徴的」と書きましたが、高い山だけでなく、たとえばソウル近郊の低山も意外なほどの岩山です。
            


 上は北漢山(プッカンサン)の仁寿峰(インスボン)。ご覧のような花崗岩の岩壁で「東洋のヨセミテ」ともよばれているとのことです。
 その他、仁王山(イヌァンサン)、道峰山(トボンサン)、水落山(スラクサン)等も(写真で見るだけでも)「ほほう」という声が自然に出るほどの奇岩の景勝地です。
 さて、右の画像の人物ですが、北漢山・白雲山荘で<歩荷(ボッカ)一筋32年>というミン・ヒョンシクさんで「多い時には50㎏の荷物を1日4回運び上げます」とのこと。うーむ、高校生の山岳部員だと20㎏のザックでもきついレベルなのに・・・。

 ここで本書に記されていた韓国と日本の登山関係のいろんな違いを略述しておきます。

すれ違う時「登り優先、右側通行」という日本での暗黙のルールは韓国では通用しない。

山小屋は基本的に素泊まりで、飲食物の販売はカップラーメンと若干の行動食だけ。自炊スペースは広い。予約は国立公園が一括管理していて、予約なしでは宿泊できない。したがって、→コチラでネット予約をする。(韓国語がわからない人は→英語で。) 料金は寝具なしで1泊7千~8千ウォン。毛布は+2千ウォン。
 日本と大きく異なるのは受付開始時刻が遅いこと。5~9月は18~19時、10~4月は17~18時で、その時刻にならないと客室に入れない! つまり、日本のように15時頃到着して・・・ということではないようです。

登山地図は携帯しない人が多い。下記のように案内板等が整っているということも1つの理由のようです。
 ※5万分の1地図(1枚5千ウォン)や主な山の地図を購入するならソウルの中央地図文化社で。鐘閣駅2番出口から北100m、最初の十字路を左折後すぐの洋菓子店2F。営業時間は9:00~18:30。(土日休業。) 古地図等も含めて実にさまざまな地図を取り扱っている店です。→ http://www.camap.co.kr/

道標・案内板が十分に設置されている。国立公園内には多目的位置表示板という標識が約500m間隔で設置されていて、これにはピーク等までの距離の他、緊急連絡用の電話番号も記されている。※ただしハングルと英字のみで漢字表記はナシ。
 実際どのような物か、韓国サイトから拾ってみました。
 下左は雪岳山、中は北漢山の多目的位置表示板で、右は鶏龍山にあるその説明板です。
          


登山道は整備が行き届いている。日本ならハシゴや鎖がかかっているような岩場だと、手すりのついた階段が設置されていることが多い。(「なるべく自然の状態を残す」という日本の考え方とは異なる。) たとえば下の画像。
       
 まあ、あれだけ年配者も大勢山に登っているので、何をおいても「安全第一」ということでしょうか。


 本書では、登山に関連した韓国語の単語と、簡単な会話についてもページを割いています。
      
 大体は中級レベルの韓国語学習者であればふつうに知っている単語ですが、一応要注意のものを挙げておきます。
 ザック=배낭(背嚢)、ストック=스틱、コンパス(磁石)=나침반(羅針盤)、寝袋=침낭(寝嚢)、水場=약수터(薬水ト)・샘터(泉ト)、上り道=오르막[길]、下り道=내리막[길]

 私ヌルボ、ソウルに行く度に「今度は登るゾ!」と思いつつ果たせないまま20年。(あ、南山(ナムサン.262m)だけは歩いて登ったことがあったなー。) 数日前馬耳山(マイサン)は、なんとか塔寺からのコースをただ登り、反対側に下りましたが、それだけで十分しんどかったです。せめて景福宮のすぐ後ろの仁王山(340m)・北岳山(プガクサン.343m)は1年以内に登っておかなければ! (と思っても自分自身が信用できなかったりして・・・。(笑))

「岳人」2016年6月号の特集<韓国の山> ①山好き&韓国好きの人にぜひオススメ!

2016-06-20 21:51:16 | 韓国・朝鮮関係の知識教養(歴史・地理・社会等)

 かつては山男のハシクレだった私ヌルボも、この20年というものは山から遠ざかっています。したがって、上のような山の雑誌の韓国特集も、ヌルボが韓国オタクということを知っている本屋さんがいて教えてくれなければ気づきもしなかったでしょう。
 たまたまそんな本屋さんがいてラッキーでした。

 この「岳人」という雑誌は以前から知ってはいましたが、2014年出版業務が中日新聞社からモンベル系列のネイチュアエンタープライズに引き継がれたことは知りませんでした。なるほど、裏表紙や記事等々にモンベル関係の広告や記事が載っています。 ※モンベルの店舗は日本に106あるそうですが、韓国には約140店あって、世界最多なのだそうです。

 さて、目次を見てみると・・・。
 韓国内で標高ベスト3の漢拏山(ハルラサン)=1950m、②智異山(チリサン)=1915m、③雪岳山(ソラクサン)=1708mはもちろん紹介されています。ちなみに朝鮮半島最高峰は北朝鮮・中国国境の白頭山(ペクトゥサン)=2744m、また有名な北朝鮮の名山・金剛山(クムガンサン)=1638mです。
 これらの高い山のほかに、ソウルの人々に親しまれている500~800m程度の山々もいろいろ紹介されています。

 この韓国の山々の地図を見て私ヌルボが注目したのは、半島南部の智異山から韓国北西部の雪岳山を経て北朝鮮の金剛山まで薄茶色で太く白頭大幹が表示されていること。これはさらに白頭山まで続いているものです。この白頭大幹については、2014年に<民族主義の色濃い伝統的な地理観? <白頭大幹>をめぐって>と題した3回シリーズの記事を書きました(→コチラ)が、近代以前の朝鮮時代からある伝統的な地理観に基づく概念です。日本の統治期にはそれとは異なる近代的な地質・地理学による山脈体系が学校等でも教えらましたが、近年(90年代以降)民族主義の高まりとともに<白頭大幹>が脚光を浴びるようになってきたようです。で、私ヌルボ個人としては、学問的な観点からは使用は要注意の用語だと思います。

 上はソウル近郊の山々が一目でわかる地図。一番高い北漢山(プッカンサン)も高さ837mです。韓国の人はホントに山が好きです。本書にも「人口の3分の1は登山好き」とか「韓国の人口は5000万人ほどですが、登山人口は2000万人と言われます」と記されています。土日の朝早く地下鉄に乗ると、1つの車両に必ずといっていいほど登山服姿の客を見かけます。日帰りハイキング程度でもけっこう本格的なイデタチです。
 また本書にも書かれていますが、山でマッコリを飲む人が多いんですね。まあ山に限らず野遊会と言って眺めのいい屋外で飲むのが好きな人たちですが・・・。そういえば昨年連載した<S氏の慶熙大学校10週間留学記>中の記事(→コチラ)によるとS氏は韓国人の友人カンさんと道峰山に登ってますが、「山登りの際の必需品」というトマトキュウリは山で食べて、酒は下山してからだったようです。

 韓国の山は、やはり魅力的な岩山が特徴的です。北朝鮮・金剛山萬物相(→画像検索結果)は有名ですが、韓国にもすごい岩壁や奇岩で知られる山々がたくさんあります。たとえば先の目次の画像の左側、岩峰が連なっているのは雪岳山の山容です。

 そして上の画像は済州島東端の観光ポイント城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)。世界自然遺産の奇観で、巨大噴火口がある頂上まで歩いて約15分とのこと。ヌルボはまだ行ってません。

 どうも長くなりそうな感じなので、このへんでとりあえずひと区切り。

 → 「岳人」2016年6月号の特集<韓国の山> ②日本と韓国の登山事情の違い等