ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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定年前退職S氏のソウル・慶熙大学校10週間留学記 (9)

2015-08-07 11:26:13 | S氏の慶熙大学校10週間留学記
 [ヌルボより] 留学生に対するお手伝い役の学生=「トウミ」制度を初めて設けたのが慶煕大学校だそうです。毎度思うことですが、S氏担当のトウミ氏は本当に最上級の「トウミ」だと思います。他の「トウミ」は全然知りませんが・・・。勉強の手助けはもちろん、彼が連れて行ってくれる所の選定はとてもよく考えられていると思います。4月18日にはサムスン美術館Leeum、そして今回の5月13日は大学路です。
 明洞地下街の眼鏡屋さんのカンさんとのツキアイの濃さはもしかして日本人の友人以上? 今回はご家族も一緒にハイキング。

◎5月13日(水)
 今日は先生との個人面談が授業の合間に10分ほどあった。中間試験の結果については問題ないと言われた。「日本人は皆さん勤勉なので感心します」と日本人をほめていた。日本人の評価を下げることなく対面を保てたようだ。生活での不自由な点はないかと訊かれたが問題はないと回答。週に1回週ごとの出来ごとを作文にするのが宿題だが、私の文章は面白く毎週楽しみにしているといわれた。誤字が多くかなり添削されるのでちょっと恥ずかしい。「知らない単語がたくさん出てくるので覚えるのが大変です」とも答えておいた。
 午後はトウミと会って昼食後大学路に連れて行ってもらった。実はここは初めてだ。韓国のブロードウェイともいわれ、独特の雰囲気がある。おしゃれなカフェがたくさんあり料金は高そうだ。平日のため人は少なかったたが、それでも修学旅行と思われる高校生の団体がバスを連ねてきていた。ドラマのロケ地でも有名なところで、たまに芸能人ににも出会えることがあるとかで土日はごった返すらしい。(地下鉄2号線恵化駅下車)。
 夜は大学の講堂で音楽学部の学生の大学創立60周年記念オーケストラ演奏会があった。曲目はデュカのシンフォニー、リストのピアノコンチェルト1番、シベリウスの交響曲2番。なかなかの難曲だ。大きな講堂で音が上に抜ける感じで音響はあまりよくないが、けっこういい演奏だ。とくに弦楽器が締まっている。繊細で安定していて最高の音に挑戦しようという緊張感が漲っている。水準は高い。7時半に始まり、終わったのは9時半。タダで聴けたのはもうけものだった。

◎5月14日(木)
 今日の後半の授業は会話。なんとなくこの授業は苦手だ。状況設定が理解できないところがあって、たまにポカをやらかしてしまう。今日も二人の会話だが、どこを読んでいいか分からず恥をかいてしまった。午後は外国人留学生の韓国語スピーチコンテストがあったので行って見た。延べ十数名が出場し、日本人は2名出場。スピーチ時間は1人4,5分程度。出演者は韓国在籍2年以上の人がほとんどで、事前審査に通った人が出るのでさすがに上手だ。ユーモアも交え笑わせどころも心得ている。正直、理解できたのは半分程度だ。出場者には各々応援団がいて会場はけっこう盛り上がっている。優勝者の賞金はなんと200万ウォン。パキスタンかウクライナ出身の人が優勝した。帰りぎわに担任に会ったので「半分程度しか分からなかった」と言ったら「マイクの音があまりよくなかったからしょうがないわよ」と慰めてくれた。

◎5月15日(金)
 今日は外国人祭りのある日。アラブの人たちは早々に民族衣装をまとい誇らしげだ。さすがに似合っている。1時ごろまで授業をしてねその後早めの昼食をとる。トンカツ弁当が出て教室内で食事。なかなか美味しい。
 12時祭りの行われる校内の場所に移動する。いくつかテントがあって、その中で7ヵ国の人たちがそれぞれチームを組みお国自慢の料理を作って味を競い合っている。ベトナム、中国、アラブ、ガーナ、ブラジル、タイ、日本が出店。民族衣装を着た人も多く華やかな雰囲気だが、人が多くてなかなか料理にありつけない。何とか5ヵ国の料理を確保。さすが自慢料理だけあってそれぞれ特徴があり美味しい。ちなみに日本はお好み焼きだった。
 食後は隣の講堂で一同が集まり、ゲームあり、歌あり、ダンスありの祭典が繰り広げられた。司会は男性教員の一人が担当したが、進行が実にうまい。おそらく30代後半だろう。自ら歌とダンスを披露したが、コミカルなところがあり会場から大うけだった。出場者は志願して出てくるだけあってなかなかの芸達者だ。若い人のエネルギーが発揮されていて大いに盛り上がり、終了したのは4時過ぎだった。

◎5月16日(土)
 今日はT氏御一行(鎌倉のサークル仲間)4名様と会う日。前もってメールで約束していた鐘閣駅隣にある永豊文庫で待ち合わせ。12時に待ち合わせていたので約束場所で待っていたがなかなか来ない。15分経過。なかなか来ないのでそんなはずはないと思ってメールを見たらなんと大きな間違い。自分は永豊文庫で待ち合わせしたと思っていたら、なんと教保文庫と間違えていた。あわてて移動する。歩いて5分程度距離だったので12時20分には到着。Tさんが心配して書店内を探してくれているところにうまく出くわした。皆さんにご迷惑をおかけしてしまった。それでもいつもと変わらない面々を見て懐かしくなった。皆さんそろって満ち足りたような笑顔で、きっと楽しかったに違いないと確信する。
 焼酎を飲み昼食を食べた後、店を変えてマッコリを飲みながら原州・楊口方面への旅の思い出話を聞かせてもらった。少々飲みすぎて気持ちよくなった。この日帰国する皆さんと鐘閣駅で4時頃お別れして寄宿舎へ戻る。気持ちよく午睡。

◎5月17日(日)
 今日はカンさんが山登りに誘ってくれた。こちらに来た当初から彼の大好きな釣りと山登りには必ず行きましょうと言ってくれていた。義理堅く約束を守ってくれ、今日は山登りの日となった。10時に回基駅から地下鉄で20分ほど先の道峰山(トボンサン)という駅で待ち合わせた。改札口で待ち合わせたが、心配してくれてカンさんがホームまで出迎えてくれた。
 駅前は大きなマンションが立ち並ぶベッドタウンだ。カンさんは16年住みなれたこの場所から引っ越すため昨日売却契約を結んだという。ちょっと複雑な気持ちだという。
 目指す山はマンションの立ち並ぶ反対側から山道に連なるが、好天気もあってか大勢の人が押し寄せている。それでもいつもよりは少ないらしい
 駅前から多くの飲食店が行きかう人を待ちかまえている。実ににぎやかだ。しばらく歩くと急に渓谷が現れ別世界のようになる。山頂は標高766mらしいが、さすがに山頂付近の道は険しいらしく、途中の天竺寺というところまで行きましょうということになった。
 岩の多い急勾配を進むが、けっこう年をとった人も登ってくる。新緑が生い茂り爽快な気分になる。カンさんの奥さんが冷たい水とコーヒー、そしてキュウリとトマトを用意してくれた。トマトとキュウリはこちらでは山登りの際の必需品らしい。休憩していただいたが、ほかの登山客も頬張っている。ただのトマトとキュウリだけで食べたが、新緑に囲まれ食べる味は格別なものがある。冷たい水がのどを潤してくれた。奥さんの心配りがなんともありがたい。
 天竺寺に到着。ここは名刹らしい。カンさんも手を合わせ熱心にお祈りしている。敬虔な信者かと思い訊いて見たら「私は無宗教です」といわれた。この寺から山頂が望むことができるが、急峻で非常に大きな岩場があり、世界的に有名なロッククライミングの名所らしい。またここは韓国では知らない人のいない世界的な探検家オム・ホンギルの生まれ育った場所でもあるらしい。ロープを伝って絶壁を登る人影が小さく見える。
 引き返して駅のそばまで来ると奥さんとお子さんたちが出迎えてくれて一緒に昼食をとる。家族が出迎えてくれるとは実にうれしい。お子さんはお嬢さんと息子さん1人ずつ。2人とも中学生の思春期で、私を見ても恥ずかしいらしくあまりしゃべらない。かわいらしい顔をしているが、相手が初対面の日本人でしかも父親より年が上となると当たり前だ。
 豆腐が美味しいという店に入り、一緒に昼食を食べる。「ここにはホンオ(エイ)があるので食べますか?」というので注文してもらう。ホンオは韓国でしか食べられず、しかも高級料理だ。国内産は超高値でめったに食べられない代物だ。ここは外国産らしいが、高いとわかっていながら注文をお願いしてしまった。遠慮なく焼酎を流し込みながら豆腐鍋とホンオたべる。ホンオはアンモニア臭が強いため豆腐、キムチ、にんにく青唐辛子などまとめて口の中に放り込む。さすがの韓国でも嫌いな人が多いらしい。調子に乗って食べているとなんと追加注文までしてくれた。さすがにちょっと参ったが、美味しいので頑張って食べた。アンモニア臭が鼻腔をしきりに刺激する。汗をかいた後の焼酎がついつい進む。カンさんも奥さんもいける口で、どんどんビンが空いてしまう。さんざん食い散らかしてしまうことになった。支払いの段になるとカンさんが払ってくれてしまう。あつかましいと思ったが、言われるまま、また借りをつくってしまった。どうやってお返しをしたらいいのやら。4時過ぎに寄宿舎に戻る。またもや午睡。

 [ヌルボより] ソウルには道峰山の他にも北漢山、冠岳山、清渓山等々手軽に行けるハイキングに適した山がいろいろあります。私ヌルボもぜひ行ってみよう!と思い続けて5年以上、まだ実行していません。
 韓国では「トマトとキュウリは山登りの際の必需品」とは知らなかったですね。
またオム・ホンギル(厳弘吉)という登山家も知りませんでした。ウィキペディアによると1960年生まれで、ヒマラヤ14峰を世界で9番目に制覇した山岳家なのだそうです。

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