ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [10月3日(金)~10月5日(日)]

2014-10-07 23:47:34 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 いったいどうなっているんだ!?と思っていた<コリアン・シネマ・ウィーク 2014>(10月24~29日.韓国文化院)ですが、昨日ようやく申し込んでいた作品について「観覧ご招待」のメールが届いてほっとしました。個人的にとくに期待は「最後まで行く」と「慶州」あたりですね。

 昨日の台風8号の進路を見ると、どうもここ横浜近辺を通過したようです。大雨はなかったものの、わりと近くで土砂崩れの被害も出ているのを今知りました。
 台風の去った午後、新高島で「レッドファミリー」を観てきました。昨年の東京国際映画祭で観客賞を受賞した作品とのことですが、ちょっとB級的フンイキが漂うのは隣家の家族のはじけ方が演出過剰なためか? しかし、それよりも何よりも私ヌルボが気になったのは、一家全員が北朝鮮の偽装スパイという設定自体。
 疑問1は、このような偽装スパイ一家が現実にあるのか否か?
   (A)実際にあった。 (B)実際にあり得る。 (C)映画のための虚構である。
 疑問2は、韓国の観客はこの映画の現実性をどう考えているのか?
   (A)現実的なものとして観ている。 (B)実際にあるかもしれないと思って観ている。 (C)映画のための虚構として観ている。
 この作品のネチズン評等にも目を通してみましたが、よくわかりません。
 11日(土)公開の「シークレット・ミッション(密かに偉大に)」では、主演のキム・スヒョンはやはり「北」の指令を受けて「町の馬鹿」を装うスパイという設定になっています。(市井で暮らすスパイを描いたキム・ヨンハの「光の帝国」という小説もあります。)
 ホントにそんなことがあるの?! 正直言ってけっこう長い間韓国・北朝鮮を眺めてきたヌルボもよくわかりません。
 この作品についていえば、主題は韓国内での北朝鮮スパイたちの心情の変化ではなく、政治等を超えた家族愛といったもので、こうしたスパイの存在の虚実は二の次なのでしょう。(作る側も観る側も。) そして、虚構と実像の間のギャップをあまり深く認識していないのではないかと思います。
 私ヌルボとしてはこうした素材については娯楽作品として観ると少し引っかかるものがあります。つまり、もっと現実にこだわるということ。
 そこで、近年韓国で摘発されたスパイの事例をいくつか見てみましたが、まだまだブログ記事にまとめるには程遠い感じです。やれやれ。

           ★★★ Daumの人気順位(10月7日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①神秘世界歴険記 2  9.5(25)
②足球王(韓国)  9.3(103)
③60万回のトライ(日本・韓国)  9.2(79)
④バセコの子どもたち(韓国)  9.1(28)
⑤ぼくを探しに  8.9(122)
⑥チョコレートドーナツ  8.9(30)
⑦その人 枢機卿(韓国)  8.7(28)
⑧さよならを待つふたりのために  8.6(346)
⑨はじまりのうた[ビギン・アゲイン]  8.6(961)
⑩映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~  8.6(55)

 今回の新登場は①「神秘世界歴険記 2」と⑥「チョコレート・ドーナツ」の2作品です。
 ①「神秘世界歴険記 2」は中国アニメ。ある夜、クジラ笛の不思議な力に導かれて空を飛ぶクジラに乗って神秘の森に冒険に出かけた冒険少女ユゴ。彼女は大将というにはちょっと臆病者のライガー・ララと出会います。今まで見たこともない神秘的な動物や木がいっぱいの森に魅せられたユゴですが、その神秘の森には危機が迫っていました。自分より大きいものであれば象もカバもすべてが嫌だというモグラ軍団。彼らは森のすべての動物を小さくしようという特別な陰謀を企てているのです。はたしてユゴとララは神秘の森を救うことができるでしょうか? ・・・という物語です。韓国版予告編(→コチラ)を見ると、3Dになってもそれなりに中国テイストは感じられるような・・・。2012年の前作は韓国での一般公開はなかったようで、今回の公開はその間の韓中接近を物語るものといっていいかもしれません。ちなみに、このアニメキャラクターによる「江南スタイル」の動画というのがYouTubeにアップされていました。(→コチラ。)
 この作品だけでなく、最近中国映画の韓国上映が増えてきているようですが、このような形で 中国側も韓国にすりよってきているようです。ま、文化の領域のことだから、作品がよければ日本でも上映すればいいと私ヌルボはいいと思うのですけどねー。韓国題は「유고와 라라:신비의 숲 어드벤처(ユゴとララ:神秘の森アドベンチャー)」です。
 ⑥「チョコレートドーナツ」は日本では4月から公開されています。韓国題は「초콜렛 도넛」。

     【専門家による順位】

①その人 枢機卿(韓国)  8.0(1)
①コックリさん - 呪いのはじまり 8.0(1)
③自由が丘で(韓国)  7.7(4)
④夜間飛行(韓国)  7.6(3)
⑤慶州(韓国) 7.2(7)
⑥FRANK -フランク-  7.2(4)
⑦her/世界でひとつの彼女  7.0(6)
⑧空の黄金馬車  7.0(3)
⑨できそこない(仮)  7.0(2)
⑩恋するヨプゴン・ガール  7.0(1)

 今回の新登場は⑨「できそこない」(仮)だけです。「パリ、18区、夜」等のクレール・ドニ監督の作品で、第66回カンヌ国際映画祭(2013)の「ある視点」部門に出品され、また釜山国際映画祭(2013)でも上映されました。超大型タンカーの船長マルコ・シルベストリはある日パリの妹から助けを求められます。彼女の夫が自殺したのですが、ある財界の大物がその自殺に関わっているようなのです。マルコはその男の正体を暴くため、彼の愛人に接近するのですが・・・。「夜が主な風景となって、その夜と同じように暗くくすんだ欲望がまとわりつく」といったノワール風の映画ということです。原題は「Les Salauds」、韓国題は「돌이킬 수 없는(取り返しがつかない)」で、よくわからないのでちょっとテキトーに仮題をつけておきました。日本公開は未定のようです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[10月3日(金)~10月5日(日)] ★★★

         1位の韓国映画「情報提供者」は、あのES細胞論文捏造事件がモチーフ

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(17)・・情報提供者(韓国)・・・・・・・・・・10/02 ・・・・・・・・・・・563,545・・・・・・・・・692,555 ・・・・・・・・5,469・・・・・・・・661
2(22)・・スロービデオ(韓国)・・・・・・・・・10/02 ・・・・・・・・・・・546,871・・・・・・・・・657,491 ・・・・・・・・5,130・・・・・・・・618
3(1)・・メイズ・ランナー ・・・・・・・・・・・・・・9/18 ・・・・・・・・・・・334,000・・・・・・・2,213,043・・・・・・・・17,021・・・・・・・・476
4(新)・・アナベル・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/02・・・・・・・・・・・・327,712・・・・・・・・・413,851 ・・・・・・・・3,222・・・・・・・・464
5(28)・・マダム・ペンドク(韓国)・・・・・・10/02・・・・・・・・・・・・207,594・・・・・・・・・283,188 ・・・・・・・・2,289 ・・・・・・・・509
6(2)・・はじまりのうた[ビギン・アゲイン]・・8/13 ・・・・・・・・・267,723・・・・・・・3,214,104・・・・・・・・25,435・・・・・・・・394
7(34)・・獣電戦隊キョウリュウジャーVSゴーバスターズ・・10/02・・97,820 ・・104,746 ・・・・・・・・・・761・・・・・・・・363
         恐竜大決戦!さらば永遠の友よ(日本)
8(新)・・ジャングルヒーロー ・・・・・・・・10/02 ・・・・・・・・・・・・・47,972・・・・・・・・・・50,870 ・・・・・・・・・・374・・・・・・・・287
9(3)・・タチャ – 神の手(韓国) ・・・・・・・・9/03・・・・・・・・・・・・・19,146 ・・・・・・・3,927,027 ・・・・・・・31,969・・・・・・・・167
10(49)・・神秘世界歴険記 2・・・・・・・・10/02・・・・・・・・・・・・・14,925・・・・・・・・・・21,404 ・・・・・・・・・・159・・・・・・・・167
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・2・4・5・7・8・10位の7作品と、大きく入れ替わりました。
 1位「情報提供者」の原題は「제보자」。漢字だと「提報者」と日本語にはない熟語なのに、そのまま書いている日本サイトも目につきます。<ソウルナビ>では「通報者」ですが、それだと火事や事件みたいだし・・・。さてこの作品、2006年に日本でも大きく報じられた黄禹錫(ファン・ウソク)ソウル大教授(当時)による胚性幹細胞(ES細胞)論文捏造事件の、とくにTV報道の問題を扱っています。黄教授に対する国民の期待が高まる中、それに重大な疑義を呈したのがMBCの番組「PD手帖」でした。(この映画では「PD追跡」。) 熱い世論に水を差すようなこの番組に非難が集中し、スポンサーも降板して番組は休止に追い込まれ、MBC全体の視聴率にまで影響が及びました。これについては→ウィキペディア参照。この映画では、イ・チャンファン博士(イ・ギョンヨン)と一緒に幹細胞の研究をしてきたシム・ミンホチーム長(ユ・ヨンソク)がその情報提供者。(モデルは盧聖一(ノ・ソンイル)ミズメディ病院理事長でしょう。)  ユン・ミンチョルPD(パク・ヘイル)に論文が捏造されたものであり、また幹細胞の実験過程で非倫理的行為があったという内容の電話をします。PDは「この番組を絶対放送します」と宣言し、その真実を暴いていくのですが・・・。監督は「サウスバウンド」「牛と一緒に7泊8日」等々でヌルボも大好きなイム・スルレ監督です。あ、イ・ギョンヨン、この頃ずいぶん引っ張りだこだな、と思って→<輝国山人のHP>を見たらやっぱりすごいスゴイ! しかし、当時熱狂した韓国の人たち、この映画をどんな思いで見るのかな? ・・・とネチズン評(→コチラ)を見ると、平均8.1となかなか高い評点の中で、10人に1人くらい1.0前後の極端に低い点も目につきました。
 2位「スロービデオ」は韓国のコメディっぼいドラマ、かな? 幼い頃から特殊な能力で人々を驚かせてきたヨ・ジャンブ(チャ・テヒョン)。ふつうの人が捉えることのできない瞬間まで見ることができるという動体視力を生かして、CCTV管制センターのエースになり、人々の日常を見守るのですが・・・。原題は「슬로우 비디오」です。監督は「ハロー!?ゴースト」等のキム・ヨンタク監督。オ・ダルスも引っ張りだこだなー。(前からか?)
 3位「アナベル」はアメリカのホラー。実録ホラー「死霊館」(2013)のスピンオフ(派生)作品。怪奇現象を研究するウォーレン夫妻が所有していたのアナベル人形の過去を描いた物語です。ジョンは妊娠中の妻ミアに白いドレス着た人形をプレゼントしますが、その夜見知らぬ夫婦が侵入してジョンとミアを攻撃します。格闘の後発見されたのは人形を膝の上に置いて死んでいる女性。彼女から流れる血が人形の顔に染み込みます。ジョンとミアを襲う殺人者は何者? そしてそのようにして生まれたアナベルはどのような経緯を経て「死霊館」にたどりつくのか? 韓国題は「애나벨」。日本公開は未定のようです。
 5位「マダム・ペンドク」は3人の男女のラブストーリー。職場をクビになり、地方小都市の文化センターの文学講師として赴任したハッキュ(チョン・ウソン)は公園のチケット販売所で働く純粋な娘トギ(イ・ソム)と恋に落ちます。しかしハクギュは復職がかなうとすぐにソウルへ帰り、トギは捨てられてしまいます。8年後ハッキュは作家としての名声を得る一方、娘のチョンイ(パク・ソヨン←「レッドファミリー」に出演)は母の自殺は父のせいだと反抗し、ハクギュは目の病気を患います。危機に陥ったハッキュは家の前に引っ越してきた女性と知り合いますが、視力をほとんど失った彼はその女性がトギだということに気づかないまま彼女を頼り、チョンイは彼女に嫉妬するようになります。この3人の関係の主導権を握るトギはハッキュの全てを壊そうとするのですが・・・。古典「沈清伝(シムチョンジョン)」がモトになっているとか・・・。え、ということは!? そもそも「ペンドクオモム(뺑덕어멈)」というのが「沈清伝」の登場人物で、いじわる・おしゃべり・ブスの女に対する蔑称でもあるとのことです。で、この作品のキャッチコピーは「娘、悪女になる」。なるほど、ねー・・・。原題は「마담 뺑덕」。
 7位「獣電戦隊キョウリュウジャーVSゴーバスターズ 恐竜大決戦!さらば永遠の友よ」は日本では今年1月に公開されました。韓国題は「극장판 파워레인저 다이노포스VS고버스터즈 공룡 대결전!(劇場版パワーレンジャー ダイノポスVSゴーバスターズ 恐竜大決戦!)」です。
 8位「ジャングルヒーロー」は韓国・アメリカ・メキシコ・コロンビア合作のアニメ。1960年メキシコのジャングルで生まれたコアティ(ハナグマ)のマヌーとガールフレンドのサチャは幼な友だち。しかしマヌーはコアティ王の命令で作られた巨大な彫像を破壊した罰として王国から追い出され、サチャも密猟者に捕まってしまいます。サチャを救い出すために危険な旅に出たマヌーはさまざまなジャングルの動物たちと出会い、追跡を開始して、ジャングル全体を危険にさらす密猟者たちの恐ろしい陰謀を知ることになります。果たしてマヌーは無事サチャを救い、ジャングルの平和を守ることができるのでしょうか? 韓国題は「정글히어로」です。
 10位「神秘世界歴険記 2」については上述しました。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・はじまりのうた[ビギン・アゲイン]・・・・8/13・・・・・・・・・・・・152,018 ・・・・・・・・・・3,214,104 ・・・・25,435・・・・・・・・384
2(19)・・チョコレートドーナツ・・・・・・・・・・・・・10/02 ・・・・・・・・・・・・・・9,548 ・・・・・・・・・・・・・14,874・・・・・・・120・・・・・・・・・50
3(新)・・欲望という名の電車 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,889 ・・・・・・・・・・・・・・7,194 ・・・・・・・・16・・・・・・・・・・1
4(2)・・ベリー・グッド・ガールズ ・・・・・・・・・・・9/25 ・・・・・・・・・・・・・・1,747・・・・・・・・・・・・102,568 ・・・・・・・768・・・・・・・・・41
5(5)・・嗤う分身・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/25・・・・・・・・・・・・・・・・970 ・・・・・・・・・・・・・・6,743 ・・・・・・・・51・・・・・・・・・19

 2・3位の2作品が新登場です。
 2位「チョコレートドーナツ」は先述の通り日本ではすでに公開されています。
 3位「欲望という名の電車」は、もちろんテネシー・ウィリアムズの戯曲をエリア・カザン監督が映画化した作品(1951年)。ヴィヴィアン・リーとマーロン・ブランドの共演ですが、ヌルボ、これは観てないゾ。演劇では観た記憶がうっすらと残っているのですが・・・。韓国題は「욕망이라는 이름의 전차」です。
コメント (2)
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