ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[1月27日(金)~29日(日)]

2012-01-31 23:44:38 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 今年に入って観た韓国映画は「哀しき獣」だけ。
 今日シネマ・ベティで観たのも「やがて来たる者へ」。岩波ホールでの上映作をすべて上映してくれるのはありがたいことです。また私ヌルボとしては、昨年の「サラの鍵」「テザ 慟哭の大地」のように、これまで知らなかった歴史を、個々の視点から描いた作品ということで、とても心に残りました。1943年、ドイツ+ムソリーニ一派のファシストとパルチザンがせめぎ合う北イタリアの村が舞台で、ナチス・ドイツがパルチザンをかくまっていたという理由で村人たち全員771人を殺した“マルザボットの虐殺”を、少女の眼差しで描いた作品です。→コチラの記事によれば、このときのナチス兵らは軍事法廷で裁かれたが1度も出廷せず、現在でも祖国で年金生活を送っているということですが、2007年10人に終身刑? ・・・戦争犯罪を裁くのは、とても難しいと思います。すべてを兵士個人に帰するのも問題があるし、では国がどう責任を取れるか・・・。主人公の女の子が歌う歌が印象的でした。→コチラ

 「新東亜」2月号に今話題の映画「折れた矢」事件(石弓事件)の中心人物・金明浩(キム・ミョンホ)前成均館大学教授のインタビュー記事が掲載されています。冒頭部分は→コチラで見ることができます。私ヌルボ、全文にひと通り目を通してみましたが、なんとも面妖な事件です。金前教授は「入試問題の誤りを指摘したのが原因で教授に再任用されなかった」と考え、教授の職位確認と再任用拒否の無効を求めて提訴しましたが棄却の判決。そこで金前教授は「法を守らない判事たちがいるということを国民に知らせるため」石弓(クロスボウ)を持ってパク・ホンウ判事の自宅アパートで待ち伏せして石弓で判事を・・・。先週の記事では「判事を射た」と書きましたが、前教授は否定しています。また判事は「矢を腹に受けた」と伝えられましたが、肝心の矢は行方不明。判事が当時着ていた衣服は、なぜかワイシャツだけ血が付いていないとか・・・。
 1月26日付「朝鮮日報」(日本語版)に「映画『折れた矢』に見る司法への警告」と題した社説が掲載されていました。事件の経緯等をかなり具体的に記した上で、「わずか1週間で100万人近い観客動員数を記録したのは、韓国社会に深く根付いている司法部への不信があるからだろう」と分析しています。「朝鮮日報」の記事はまだ<穏やか>な筆致ですが、映画を観たネチズンのコメントを見ると、法曹界への不信というよりも、憤りの域に達しているものが多いようですね。「人革党(人民革命党)事件も映画化を・・・」というものから、「有銭無罪、無銭有罪(유전무죄 무전유죄)」という(韓国では)おなじみになってしまっている言葉まであって、やっぱり反政府・反保守陣営の若年層の支持が多いのかな、とも思われます。
※革新陣営の代表紙「ハンギョレ」は、「それでもボクはやっていない」を引き合いに出して「妥協を一切拒否し法の原則で一貫する主人公の姿までが似ている」とか「徹平は<折れた矢>のキム教授のように不屈の男であった」と明確に金前教授を支持しています。
※<KRNEWS>の「話題の映画<折れた矢>観覧記」は、この事件および映画について、興味深い情報を提供しています。

 あ、「新東亜」1月号掲載のムン・チェウォンの記事2つ。→コチラと→コチラについて、1つ前の記事で書くと予告(?)しましたが、関心のある方で韓国語中級以上の方or自動翻訳の使い手の方、お手数ですがどうぞリンク先でお読み下さい。

         ★★★ Daumの人気順位(1月31日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①折れた矢(韓国)  9.7(2090)
②オペラ座の怪人 25周年特別公演  9.5(88)
③猫おどり(韓国)  9.4(69)
④古い人力車(韓国)  9.1(58)
⑤コアラ・キッド:英雄の誕生(韓&米)  9.0(62)
⑥ミンク・コート(韓国)  9.0(25)
⑦パーフェクト・ゲーム(韓国)  9.0(1081)
⑧ペースメーカー(韓国)  8.9(687)
⑨ダンシング・クィーン(韓国)  8.9(908)
⑩フレンズ もののけ島のナキ(日本)  8.8(102)

 新登場はありません。⑧は先週興行成績ランクの方で紹介しました。
 ①「折れた矢」、依然として高評点が続いています。

【専門家による順位】

①自転車に乗った少年  8.8(6)
②古い人力車(韓国)  8.0(1)
③奇跡(日本)  7.8(6)
④折れた矢(韓国)  7.7(7)
⑤ミッション:インポッシブル  7.6(5)
      ゴースト・プロコトル
⑥ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009)  7.3(3)
⑦豚の王(韓国)  7.0(5)
⑧ドラゴン・タトゥーの女  7.0(5)
⑨ル・アーヴル  7.0(4)
⑨神々と男たち  7.0(4)

 今週の新登場はありません。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[1月27日(金)~29日(日)] ★★★

         「折れた矢」がトップに。背景に法曹界への不信が・・・。

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・折れた矢(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・1/18 ・・・・・・・・・・・・・717,569・・・・・・・・・・1,874,318・・・・・・・・14,300・・・・・・・528
2(1)・・ダンシング・クィーン(韓国)・・・・・・・1/18 ・・・・・・・・・・・・・598,177・・・・・・・・・・2,100,952・・・・・・・・15,980・・・・・・・543
3(新)・・チョンバギ: ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/26 ・・・・・・・・・・・・・330,411 ・・・・・・・・・・・366,523・・・・・・・・・3,382・・・・・・・454
         韓半島の恐竜3D(韓国)
4(4)・・長靴をはいたネコ ・・・・・・・・・・・・・・1/11 ・・・・・・・・・・・・・260,896 ・・・・・・・・・・1,852,519 ・・・・・・・15,849・・・・・・・375
5(3)・・センター・オブ・ジ・アース2・・・・・・・1/19 ・・・・・・・・・・・・・216,193・・・・・・・・・・・1,029,471 ・・・・・・・・8,876・・・・・・・369
         神秘の島
6(5)・・ミッション・インポッシブル・・・・・・・12/15 ・・・・・・・・・・・・・・92,673 ・・・・・・・・・・7,490,425 ・・・・・・・57,160・・・・・・・259
         ゴースト・プロコトル
7(6)・・ペース・メーカー(韓国)・・・・・・・・・・・1/18 ・・・・・・・・・・・・・・60,634・・・・・・・・・・・・429,412・・・・・・・・・3,178・・・・・・・309
8(8)・・幸せへのキセキ ・・・・・・・・・・・・・・・・1/18 ・・・・・・・・・・・・・・47,485・・・・・・・・・・・・252,148 ・・・・・・・・1,824・・・・・・・197
9(8)・・ネバー・エンディング・ストーリー(韓国)・・1/18・・・・・・・・・・30,884・・・・・・・・・・・・264,886・・・・・・・・・1,973・・・・・・・229
10(4)・・ドラゴン・タトゥーの女・・・・・・・・・・・1/11・・・・・・・・・・・・・・・27,326・・・・・・・・・・・・422,388・・・・・・・・・3,338・・・・・・・109
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場が6つもあった先週とはうってかわって、今回は1つだけ。
 その3位、「チョンバギ:韓半島の恐竜3D」は韓国製アニメ。譜代はは8千万年前の中生代白亜紀、恐竜最後の楽園韓半島。タルボサウルス家族の末っ子に生まれ、帝王の座に上がったチョンバギだが、ティラノサウルス<片目>の攻撃と卑劣な狩人ペロシラプター(翼竜)の脅威で危機に陥る。さらに地球の大災難が時々刻々迫ってくるのだが、はたしてチョンバギは? ・・・というあらすじを読んで、すぐ疑問に思ったのは、白亜紀に韓半島も(もちろん日本列島も)あったもんじゃないでしょ、ということ。ウィキのゴンドワナ大陸の項目を見ると、
「白亜紀後期には・・・・インド亜大陸はユーラシア大陸に向けて急速に北上を開始した」なんて記されているし、ヒマラヤ山脈もできていなかったんだから・・・。まあヌルボ愛読のアンサイクロペディア大韓民国の項目には、<あるはずだった正しい韓国史>の中に「137億年前 ビッグバンが大韓半島(朝鮮半島)にて起こる。宇宙の始まり。46億年前 大韓半島(朝鮮半島)を中心に太陽系が完成」等に続いて「4億年前 大韓内海(黄海)に発生した両生類が、大韓半島(朝鮮半島)に上陸。その後両生類は韓国で恐竜に進化し、韓国は恐竜宗主国になった。韓国の学者が論文で主張しているので事実である」と記されていますが・・・。あ、この映画の原題は「점박이:한반도의 공룡 3D」です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・自転車に乗った少年・・・・・・・・・・・・1/19・・・・・・・・・・・・・・・・3,186・・・・・・・・・・・・・13,080・・・・・・・・・・104・・・・・・・・・20
2(2)・・奇跡(日本) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/22 ・・・・・・・・・・・・・・・1,278・・・・・・・・・・・・・35,652・・・・・・・・・・276・・・・・・・・・11
3(3)・・The Swell Season・・・・・・・・・・・・・・1/12・・・・・・・・・・・・・・・・・・958・・・・・・・・・・・・・10,624・・・・・・・・・・・83・・・・・・・・・16
4(4)・・Barney's Version・・・・・・・・・・・・・・・1/12・・・・・・・・・・・・・・・・・・887・・・・・・・・・・・・・・8,352・・・・・・・・・・・66・・・・・・・・・・9
5(4)・・チコとリタ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/05 ・・・・・・・・・・・・・・・・・681・・・・・・・・・・・・・10,556・・・・・・・・・・・84・・・・・・・・・・7
                                      
 1~5位、全然変動ナシ。
 これじゃ素っ気ないので、少し下を見てみると、7位に昨年6月公開の韓国アニメ「大切な日の夢(소중한 날의 꿈)」ががんばっています。累積観客数は51,879人に達しています。
 8位はアラン・レネ(알랭 레네)の「ヒロシマ、わが愛(히로시마 내사랑)」(1959年)。日本題はなぜか「二十四時間の情事」でした。原題は「Hiroshima, mon amour」。