投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2015年 8月 9日(日)18時21分9秒
>筆綾丸さん
久留都茂子氏の『父、尾高朝雄を語る』(竜門社深谷支部)が深谷市立図書館にあるのを知り、猛暑の中、わざわざ訪問して確認してみたのですが、予想外の妙な展開になってしまいました。
この本は久留氏の講演を記録したB6版32ページの小冊子で、表紙に
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平成十五年三月十六日 於・渋沢栄一記念館
久留都茂子先生講演
「父、尾高朝雄を語る」
竜門社深谷支部
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とあり、奥付はなく、最終ページに「筆録=渋沢青淵記念財団竜門社 深谷支部 常任理事 清水惣之助」とだけ書かれています。
そして、23ページに清宮四郎への言及がありました。
肝心の部分は極めて短いのですが、久留氏の話し方・雰囲気を確認するため、少し長めに引用してみます。
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京城帝国大学教授に就任
昭和七年六月、臼井博士とともに、新造の日本郵船の浅間丸で、雨に煙る中、横浜港に帰港し、父は直ちに京城大学の教壇に立ちました。京城大学での十数年間は、教育研究の面で父の最も充実した時期でありました。帰国の成果を、昭和十一年、『国家構造論』として発表し、東大から法学博士号を授与され、この本が父の代表作となりました。
大正の末に、大阪帝大や名古屋帝大より先に設立された京城帝国大学は、朝鮮半島の人々も学ぶいわゆる内鮮共学の大学で、選ばれた学生のレベルは高く、教授陣の意気込みも並々ならぬものであったと伝えられています。
父は、帰国後、直ちに京城の西大門に、続いて、南山の麓の古市町に家を建て、自宅に安倍能成、清宮四郎、船田享二などの諸先生を毎週招いて、「ヘーゲル会」と称する読書会を開き、研鑽を重ねました。
単身赴任の安倍先生は、その後よくわが家によく泊っていかれました。清宮先生は、埼玉県熊谷市の出身で、三男であるのに、四郎と名乗るのは、郷土の偉人熊谷次郎直実に敬意を表して、その名を避ける風習に因るものと伺いました。気さくなお人柄で、埼玉県人会でもよくご家族とご一緒しましたが、先生は美濃部達吉門下の逸材で、父と同じ年に東大を首席で卒業した父の親友の一人でもありました。
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ということで、「埼玉県熊谷市の出身で」は明らかな間違いですね。
さて、「三男であるのに、四郎と名乗るのは、郷土の偉人熊谷次郎直実に敬意を表して、その名を避ける風習に因るもの」を見て、私は目が点になってしまったのですが、これでは意味が全く分かりません。
間違いなく「熊谷次郎直実」と書かれており、いったいどう解釈したらよいのか。
うーむ。
しかし、まさか久留都茂子氏が正しく「次郎」と表記し、それを石川健治氏が「三郎」に改変しているとは思いませんでした。
※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。
清宮四郎直実の京城陣屋 2015/08/08(土) 14:30:53
小太郎さん
明治の御一新で大きな変化があったとはいえ、諱(或いは通字)ならともかく、仮名(けみょう)など憚る必要はないはずなので、小太郎さんの御明察の通り、「平三」との「連環」を忌避したというのは、非常に説得力がありますね。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062186179
今頃ですが、若杉冽『原発ホワイトアウト』は、予想以上に面白く読めました。
「日本の最高学府は東京大学ではなく、東京大学法学部だ」という一文がありますが、霞が関の某省(経産省?)に勤務する傍ら、片手間でこれだけの小説を書けるのだから、大したものですね。しかし、これで身元は割れただろうから、出世は無理かな。
ただ、「東京大学法学部卒業。国家公務員1種試験合格。現在、霞が関の省庁に勤務。」という経歴が虚構である可能性は否定できないものの、出版元の講談社がそんな詐欺紛いのことをするとも思えないから、たぶん本当なんでしょうね。
追記
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%B4%E3%82%A1
『原発ホワイトアウト』とは何の関係もないものの、原発大国フランスのアレヴァが「2014年度に約50億ユーロの損失に陥り、経営再建中」とあって、フランスのメディアでもときどき話題になっていますが、どう転んでも赤字になる企業ではないはずなのに、なんとも不思議な現象です。福島原発事故の時、売り込みに来日した前CEO「アトミック・アンヌ」の負の遺産なのか。あるいは、たんにゼネラル・エレクトリック(GE)に負けただけなのか。
小太郎さん
明治の御一新で大きな変化があったとはいえ、諱(或いは通字)ならともかく、仮名(けみょう)など憚る必要はないはずなので、小太郎さんの御明察の通り、「平三」との「連環」を忌避したというのは、非常に説得力がありますね。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062186179
今頃ですが、若杉冽『原発ホワイトアウト』は、予想以上に面白く読めました。
「日本の最高学府は東京大学ではなく、東京大学法学部だ」という一文がありますが、霞が関の某省(経産省?)に勤務する傍ら、片手間でこれだけの小説を書けるのだから、大したものですね。しかし、これで身元は割れただろうから、出世は無理かな。
ただ、「東京大学法学部卒業。国家公務員1種試験合格。現在、霞が関の省庁に勤務。」という経歴が虚構である可能性は否定できないものの、出版元の講談社がそんな詐欺紛いのことをするとも思えないから、たぶん本当なんでしょうね。
追記
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%B4%E3%82%A1
『原発ホワイトアウト』とは何の関係もないものの、原発大国フランスのアレヴァが「2014年度に約50億ユーロの損失に陥り、経営再建中」とあって、フランスのメディアでもときどき話題になっていますが、どう転んでも赤字になる企業ではないはずなのに、なんとも不思議な現象です。福島原発事故の時、売り込みに来日した前CEO「アトミック・アンヌ」の負の遺産なのか。あるいは、たんにゼネラル・エレクトリック(GE)に負けただけなのか。
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