第92回配信です。
一、常在光院
歴史学研究会大会に二十年ぶりくらいに参加。
高鳥廉氏の報告「足利将軍家所縁の五山派禅宗寺院にみる政治秩序」のレジュメより抜粋
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【史料②】義詮、『新千載和歌集』記載の尊氏名を「常在光院」とすることの可否について洞院公賢に確認
→義詮は、尊氏義母(釈迦堂殿。金沢貞顕妹)を通じて手にした常在光院〔山家98〕が院伝号に相応しいと判断
何故常在光院か…等持院:清子の院殿号と重複
等持寺:直義との関係が強いため憚られたか
→結局、尊氏が等持院殿と呼ばれるようになり、清子の法名は等持寺殿を経て果証院殿へと変更〔山家98〕
史料②『園太暦』延文四年〔一三五九〕三月二十六日条
諏訪大進円忠法師、又付妙悟〔藤原親季〕奉武家不審二ケ条、愚存以妙悟筆注遣之、
前将軍周忌之間、可被行法花八講之旨其沙汰候、
…又彼〔足利尊氏〕詠歌、可加今度勅撰候、被載
常在光院寺号之由其沙汰候、而関東〔金沢〕貞顕
入道本願相続之条、不可然哉否、同可承存之由内々
其沙汰候、両条有御伺、可示給候、恐惶謹言、
三月廿六日 円忠判
左馬助入道〔藤原親季〕殿(中略)
一、先公〔足利尊氏〕勅撰御位署事、
常在光院御号、以非自身草創及先祖建立之寺院、
為其号之条、雖廻思案猶不分明、贈官人署所先規
不同歟、被任撰者沙汰之条可無其難歟、(前後略)
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「知恩院方丈庭園」(京都市埋蔵文化財研究所)
https://www.kyoto-arc.or.jp/news/leaflet/335.pdf
「知恩院庭園と常在光院」
https://kahans.com/travel/garden/11550/
山家著(その9)「京都での根拠地」〔2021-04-28〕
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/018377d40cbe9ca9d31fee685667c2f0
常在光院は「非自身草創及先祖建立之寺院」どころか、尊氏が(新田義貞を通して)殺した金沢貞顕ゆかりの寺ではないか。
高義母の釈迦堂殿を通して尊氏の財産となったとしても、義詮がその寺号を勅撰集で尊氏の名前として使いたいと思うのは異常ではないか。
山家著(その10)「 足利氏ゆかりの寺院」〔2021-04-29〕
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/474dd81aa0c6f1cbea8d92f4f64f0be4
「無外如大と無着」
http://web.archive.org/web/20061006213421/http://www015.upp.so-net.ne.jp/gofukakusa/yanbe-hiroki-mugainyodai.htm
二、安達泰盛娘の無着と孫の釈迦堂殿
高義母・釈迦堂殿の立場(その1)~(その5)〔2021-02-25〕
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/527766e220012abaa4256eeda165cde2
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/2fb8e6cb191446e60c5d99d36ef82f44
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/ecabae37040d6be7bb9b3abb3fce8908
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/353124b361d535704d03c1411784328b
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/52f9da2097054b4ec4fd6deb482074c9