五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

ほとばしる

2017年11月11日 | 第2章 五感と体感


ほとばしる    2017年11月11日 

「迸る」。類義語でいうと、「湧き上がる、溢れ出す、勢いよく飛び散る」
古語では、ほとはしる、ほどはしる、等とも云われていたそうです。

母方の祖父が亡くなる直前の数日間は、意識が薄い中、ずっと右手に筆を持ち描いているような手の動きをしていました。「窓の外は、桃源郷だね」と言葉にし、私は真っ暗な窓の外を見ながら、「そうだね。きれいだね。」と応えていました。「あやちゃんは、綺麗な口紅を付けているね」と、化粧っ気の無い私の顔を眺めながら嬉しそうに云うので、「ありがとう」と頷きながら、祖父の美の世界を想像するのでした。
祖父から迸るものを心底感じ取り、かたちだけで美術をやっている風の後ろめたさを痛感しました。

祖父が亡くなり、自分はそこまでの迸りがあるか?という自問自答をし、筆を持つのを止めたわけですが、結局は、掛け軸の美しさに魅せられて、牛歩の歩みで四半世紀の時が経ってしまいました。それでも迸るものを自分の内のどこかに探しながらここまできて、描くこと制作すること以外の表現として出合ったのが能楽でした。

先日、ある人が私に会うなり、「私は今まで難しく考えすぎていただけなのかもしれない」と、仰いました。
なるほど。私もそうかもしれません。

昨日は、堀越千秋の遺作展に、体の中の眠っている細胞がふつふつ動き出すのを感じるのでした。堀越さんの焼いた陶器も描いた達磨も、長年住んでおられたスペインで創作されてきたものも、すべては堀越さん自身の迸りであって、他の何にも囚われない自由さが、小さな私の上で瞬いていました。

人生は一度きりだもんね。
昨日のギャラリー巡りは、Iさんの混合技法の細密さと柔らかさに溜息をつき、Rさんの独自の表装スタイルに嫉妬を感じ、兎にも角にもワクワク感満載の素敵な一日でした。

今日もギャラリー巡りとなりそうです。
私の所属する表導会50(ごうまる)展も明日の午後から始まります。
制作と制作の合間のギャラリー巡りは、私にとって呼吸のようなものです。

吐いて、吸って、吐いて、迸る細胞を活性化しつつ、また平常の自分の仕事に戻りたいものです。




表導会 50展 
11月12日日曜日午後13時半~ 11月18日土曜日
有楽町 交通会館 画廊パールルームにて

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2017年公開講座のご案内

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12月5日 鎌倉腰越講座


NPOキュール東急セミナーBE講座

11月17日13:30~15:30雪谷校
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(NPOキュール会報もしくは東急セミナーBEのホームページをご覧ください)







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