五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

中島清之展・横浜美術館

2015年12月27日 | 第2章 五感と体感
中島清之展・横浜美術館2015年12月27日

中島清之展を観ました。
質の高い展覧会でした。
1899年生まれの中島清之は、祖父と同じ年に生まれた事を知り、親しみを覚えながら鑑賞しました。函館で生まれ戦前に上京し、川端画塾で絵を学び絵を描く環境に恵まれていた私の祖父とは違い、中島清之は京都山科で生まれ、親戚を頼り横浜で銀行マンをしながら絵の修業を重ねます。社会的な交友も苦の無い柔軟性のある中島清之の性格が表れた仕事ぶりが興味深く、描写す高度な力と高齢になっても弛まぬ探究心が私の心を打ちました。
奈良のおん祭の連作、東大寺三月堂での仏事、当麻寺の管主の肖像、どれもち密な取材とそこから湧き出してくる人間関係の温かさが、中島清之の作品から感じ取ることができます。

川端龍子のお抱え表具師が現在も続いている表装の「以白会」の元であり、龍子の絵を理解し、表装の今までの概念を崩した最初の表具師でもあります。
その表具師にも中島清之は表装を依頼しており、このことからもお人柄の良さを深く感じ取ることができます。
大佛次郎の新聞小説の挿絵も手掛けたり、芸大での指導もしたり、どんどんと個性を発揮してゆきます。

11月に経済新聞「私の履歴書」を絹谷幸二氏が書きました。文化人の奈良のサロンとなっていた絹谷氏の生家についての文章を思い起こすこともでき、個々の繋がりによることから生まれる大仕事の尊さを同時に感じる展覧会でもあります。

お陰さまで、人との関係が如何に自分を活かすものであるかを改めて感じ、今年を納める事ができそうです。環境は、運命的なこともありましょうが自分で作るものでもあり、望まなければ出会いもありません。

中島清之展では、横浜三渓園の臨春閣の襖絵も展示されています。もともと狩野派の襖絵を保存するために依頼された襖絵なのですが、この一連の作品もまた保存が必要な時期に来ているようです。

お正月の御家族とのお散歩に横浜美術館での中島清之展、これはお勧めです。

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