五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

難波田史男展・世田谷美術館

2015年02月02日 | 第2章 五感と体感
冷たい風が強かった日曜日、世田谷美術館で「難波田史男の世界・イメージの冒険」を観てきました。

友人との約束の時間ぎりぎりで、砧公園を早歩きしながらも蝋梅の花を愛で、桜の蕾も確認することができました。

世田谷美術館は、ここ数年、世田谷区に所縁のある作家に焦点を当て、「地消地産」いやいや漢字を改め「地生地産」を大事するようになってから観ている側にも企業努力が感ぜられ、キュレーター方々の努力もよく伝わってくるところが、これからの地域の美術館の在り方として好感を持たせて頂いています。
島国である日本は、海外からの美術品を借りるにしても、膨大な輸送と高額過ぎる保険料が発生します。人が移動しやすくなった現代、美術品が移動することに重きを置くよりも、人が移動し鑑賞することを文化を含めて体感するには、そちらの方が理想的かもしれません。
多額な予算が必要な展覧会は、国立の美術館や資本力のある企業経営の美術館にお任せすればよいのです。

今回の「難波田史男の世界展」も、32歳という若さで亡くなった彼の表現の足跡を展示しています。1940年生まれであるので、生きていれば75歳。彼の父は、難波田龍起。私が何気なく観てきた抽象画家の一人で、今回は、父上の作品の前に初めて一人の作家として意識することもできました。
世田谷在住の作家でもあり、父の龍起の名声もあることから息子である史男の作品は、世田谷美術館に800展保管されているそうです。

文字と表現に深い深い隔たりがあるのか、どの部分で一致しているのか、イメージという表現の中で理論化しようとした彼の不一致な努力に何とも言えない苦しさを感じ、32歳という生涯が彼にとっては、決して短いものではないようにも感じました。

史男の才能もしくは傾向を肯定的に受け容れ作家としての道筋を応援していたであろうご両親の深い愛をも伝わるものがありました。

表現する環境は、一人では作ることはできません。その環境を提供し支えたからこその作家であることを整然と展示された300点余りの作品にキュレーターの編集力と整理力と展示力をも感じ、作家だけでは成し得ない総合力的なものを勉強させて頂いた展覧会でした。

一貫した傾向は、才能と表裏一体でありましょう。

今回の展覧会はカオスを整理したキュレーターの達成感をも感じ取った展覧会でありました。

縁の深い美術館のレストランに皆と長居しながら、今日切られるというヒマラヤ杉の大木に合掌し、好きな美術館で休日を過ごすことができたことに感謝しています。

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