Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

不振なのか実力なのかそれとも….

2007-09-02 | 陸上競技

大会8日目を終えて日本チームはまだメダルゼロ。入賞者もハンマー投げの室伏と男子マラソン陣くらいでマスコミとTBSが期待する様なメダルラッシュには程遠い結果だ。この結果、果たしてどうなのだろう?

日本選手のランキング

そもそも大会を中継するTBSをはじめマスコミが期待した様なメダルラッシュは現実的だったのだのだろうか?大会開幕早々に幸先良く朝原が男子100m で準決勝に進出。決勝進出はならなかったがベテランの快走に以降の好成績が期待された。しかし、400mHの為末は予選に沈み、マスコミが“ヒロイン”に仕立て上げたようとイケクミは7m どころか決勝に進めず、最もメダルに近いと思われた室伏は6位に終わる。かつてのメダリスト末次は2次予選で失速。エアー大地は痙攣で飛ぶことが出来ず、私がひそかに期待した高跳びの醍醐直幸もダウン。するとマスコミは“不振、不振。”と騒ぎたて出した。 ここで考えてみれば良い。不振とは元々力のあった選手が持っている力を出せなかった時に使う言葉だ。昨年、そして今年のこれまでで何人の日本人選手が世界ランクのトップテンに入っていただろう? 

2006年度の記録

池田久美子  6m86cm  7位  ( 1位 Tatyana Kotova ロシア7m12cm )
室伏広治      82m01cm  4位    ( 1位 Vadim Devyatovskiy ベラルーシ82m95cm )
末續信吾   20秒25    14位 ( 1位 Xavier Carter 米国 19秒63 )
成迫健二      47秒93      4位 ( 1位 Kerron Clement 米国 47秒93 )
澤野大地        5m75cm 19位 ( 1位 Brad Walker 米国 6m00cm )
醍醐直幸        2m33cm  7位 ( 1位 Andrey Silnov ロシア 2m37cm )

2007年度の記録 ( 世界選手権前 まで)
池田久美子 6m73cm 22位 ( 1位 Lyudmila Kolchanova  ロシア7m21cm )
室伏広治    79m01cm 10位  ( 1位 Vadim Devyatovskiy ベラルーシ 82m94cm )
末續信吾   20秒20      9位 ( 1位 Tyson Gay 米国 19秒62 )
成迫健二    49秒01    20位 ( 1位 James Carter 米国 47秒72 )
為末大      48秒73    16位 ( 1位 James Carter 米国 47秒72 )
澤野大地      5m75cm 16位 ( 1位 Brad Walker 米国 5m95cm )
醍醐直幸      2m30cm 13位 ( 1位 Donald Thomas バハマ 2m35cm )

上記の数字を見ると成迫の健闘そして室伏の6位入賞は理解出来る。成迫が準決勝で出したシーズンベストの48秒44は今季世界ランク13番目の記録だ。ただ末續は今季20秒20を出していただけに2次予選で消えたのは残念であった。醍醐も飛べていたらチャンスだったと思う。
また池田の目指す7mとはどんな記録かと言うと、昨シーズンは3人の選手が、そして今シーズンは4人の選手だけが出した記録でメダルに直結する記録。それだけ険しい挑戦ということだ。
女子の走り幅跳びの世界記録は1988年にソ連の Chistyakova が出した7m52cm で昨年の年間最高記録より40cm も優れた記録。そして歴代2位の Jacky Joiner Kersey は7m49cmで 1994年に記録したもの。そして歴代上位10位までの中で5人の選手が共産圏時代の東側諸国の選手だった。あの有名だった東ドイツの Heike Drecshler のベスト記録7m48cm は1988年に出されたもの。 う~ん、薬の臭いがするなぁ。同様の事は男子のハンマー投げにも当てはまる。世界記録の 86m74cm は1986年に当時ソ連の Yuriy Sedylch が出したもので 1cm 差で今大会優勝したベラルーシの Ivan Tshikhan が2005年に出した記録で続くが、歴代10傑にはソ連時代の選手が4名もいる。そして我らが室伏の84m86cm は歴代5位の記録だ。歴代4位で今大会4位だったベラルーシの Devyatvskiy らとともに来年の五輪のメダル争いはヒートアップするであろう。
こうしてみるとメダルラッシュを期待すること事態がおかしいと思うが、それを最も判っていたのは選手自身だろう。しかし地元で開催される大会を前に、“メダルは期待されると…”とは言えないだろう。それに表彰台を目指さないのなら初めからこの大会には出て来なかっただろう。 
確かに末續、為末は世界選手権で銅メダルを勝ち取った。しかしそれらの競技レベルを維持し続けるのは容易な事でなく、更に次々にワールドクラスの世アスリートが台頭してきて、彼らに苦杯を喫した選手達も巻き返しをはかる。



大会開催時期は…

はっきり言おう。8月下旬は世界選手権が開催される時期では絶対にない。日本国内の大会でさえこの時期に陸上競技の試合があるのはまれだ。今夏の日本列島は例年と比較しても異常と言える最高気温が連日40度近い日々。しかしそれを差し引いてもこの時期に なぜ世界選手権なのだろう?前回のヘルシンキ大会が8月6日から14日。その前のパリ大会は8月23日から31日。2001年エドモントン大会が8月3日から12日。そして第1回のヘルシンキ大会は8月7日から14日に開催されたが、欧米の8月お日本の8月はかなり天候が異なる。 第3回の東京大会は8月26日から9月2日だった。まだ記憶に残る東京大会も非常に暑い気候の中で開催された。世界選手権は8月に開催されているがこの大会は陸上競技では最高権威の大会であると考えられるならば、選手達がベストパフォーマンスを発揮できるコンディションの下で行われるべきで、摂氏40度近い天候での陸上競技大会、しかも世界選手権が行われるのが疑問だ。9月は既に欧州では陸上競技シーズンの終盤を迎えるのであれば、7月開催でも良いと思うが、7月に世界選手権が開催出来ない深い理由がありそうだ。7月はIAAF が主催するグランプリレースが目白押しだ。

7月 2日 Grand Prix : アテネ
7月 4日 Grand Prix : ザグレブ
7月 6日 Golden League : パリ
7月10日 Super Grand Prix : ローザンヌ
7月13日 Golden League : ローマ
7月15日 Grand Prix : シェフィールド
7月21日 Grand Prix : マドリード
7月25日 Super Grand Prix : モナコ

7月の欧州は恐らく陸上競技の大会を開催するにはベストなシーズンと思われる。その時期に上記の様なグランプリレースを開催し好記録を連発する事で陸上競技が“プロフェッショナル”として確立される。IAAFも本音は世界選手権を最適な季節に開催したいところだろう。 しかし今やプロ化の推進なくして競技の発展は無い。このままでは世界選手権の権威は下がり、オリンピックとの“格差”は拡大される一方だ。やはり五輪に勝るスポーツイベントはサッカーのワールドカップだけなのだろうか…..
しかしそんなコンディションの中でも世界のトップアスリートはきっちりと結果を出してくる。最終調整が上手く行かずに力を出し切れない日本選手と比較すると……。 
今大会前に上記のグランプリレースに参加し実戦を兼ねた調整を行える事もトップアスリートの強みか? その様な大会に転戦し結果を残す日本人アスリートが多く輩出されることを祈るよ。
しかし、世界選手権の開催も大会を追うごとに権威が低下している気がする。今大会は五輪前でコンディションを崩したくないのか、エントリー選手が少ない気がする。そして次回は2009年、五輪の翌年。ポスト五輪イヤーに開催される大会は新旧交代の時期でそれ自身は興味があるのだが、もう一つ迫力欠ける気がする。(それは前年の五輪と比較するからか?) ここはひとつ、五輪イヤーの2年後に開催してくれることを願うけど、誰も耳を貸さないやろなぁ……



男子 4 x 100m R 日本新の5位
短距離陣期待の 4 x 100m R はメダルに手が届かなかった。しかし日本記録。これこそ来年に期待できると思う。 ただ昨年のアジア大会で日本と同タイムながらタイ国記録で優勝したタイ・チームが参加していなかったのが少し残念。39秒21の記録では今大会エントリーした13カ国の中で勝てたのはカナダチームのみだけど、暑さに強いであろう彼らの挑戦もみたかったなぁ…. それとも今年行われる SEA Gamesに照準を絞っているのか?



4 x 400mR は決勝に届かなかったけどこのメンバーで3分2秒76は好タイムだと思う。1996年にアトランタ五輪でだした日本記録3分00秒76 更新を来年の北京五輪で目指して欲しいが、それには“大砲”が必要だ。かつて44秒台を出した高野進の様な。金丸裕三、山口有希の二人が45秒1台を出せる様になってもチャンスはあると思うけど、俺も自分が走れもしないのに無責任に解説するなぁ…..女房に怒られたわ。それにしてもリレーで期待が出来る様になるなんて私が学生時代には全く考えられなかった。



それに女子が五輪、世界選手権のリレーにエントリーする事も。女子のマイルリレーも日本新記録。今年5月5日の大阪国際グランプリで出した記録をさらに更新したわけだけど、“丹野麻美”があと3人いれば世界でも十分に戦える記録になる。メキシコ五輪のサッカーの準決勝戦でハンガリーが日本を 5-0 と粉砕したその試合後、ハンガリーの新聞記者が長沼(当時)代表監督に“カマモトが5人いればニッポンはハンガリーに勝てると思うか?”との質問に“釜本をあと4人創るのが私の仕事。”と答えたらしい。 “丹野”を創るのは誰の仕事なのだろう…. あぁまた偉そうなこといってもうた。 嫁ハンにまた怒られるわ….



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