Mr.コンティのRising JAPAN

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シンガポールにて アルビレックス新潟観戦記

2006-04-30 | Football Asia
約3ヶ月振りに訪れたシンガポール。4月はマレー半島以北の東南アジア諸国では“地獄の4月”と呼ばれるくらいの高温多湿の日々だ。覚悟していたとは言えこの暑さには閉口する。だが現地在住の邦人の方達によれば“今年は雨が多くて例年に比べると凌ぎやすい”との事だ。確かに今年は現地入りして以来の1週間、場所も時間も局地的だが連日強烈なスコールが降る。少し時間と場所が違えばこんな狭い国なのに全く天候が違うのも熱帯性気候の特徴か? 4月27日はシンガポール国内リーグ、Sリーグに参戦しているアルビレックス新潟シンガポールの応援に行った。Sリーグは現在11チームで構成されており4月26日の時点ではアルビレックスは7試合を消化して2勝2分2敗で6位だ。構成されているチーム数が11と半端な上、 Home United と Tampines Rovers はAFCクラブカップを戦いながらなので各チーム試合消化数がまちまちだ。このAFCクラブカップはガンバ大阪やベルディ東京が出場している Asia Champions League に出場権の与えられていない国のチームが出場する、いわばそれよりも格下のアジアクラブカップ戦だ。Sリーグの試合日程はJリーグや他の国内リーグの多くがそうである様に週末の土曜日か日曜日にいっぺんに試合を行うのではなく1節分の5試合を1試合に1日ずつ五日間に渡って行う。これはおそらく観客動員を狙ってであろう。 だがここではサッカーと言うよりも Football と言えば England の Premiership でSリーグの話題を地元の人に振っても誰も乗ってくれないというよりも“何で日本人なのにそんなのに興味があるんだい?”と言う顔をされてしまう。 日本からアルビレックスが参戦しているといってもなかなかピンと来てくれない。 この日の相手は同じ勝点8で並ぶ( ただし消化試合はアルビレックスが1試合少ない) Gombak United で今シーズンからSリーグに上がってきたチームらしい。 しかしチームにはタイ代表選手二人とナイジェリアからの選手がいる。一方のアルビレックスは当然全員が日本人だ。チームの目標はリーグ戦で好成績を残す事よりも1人でも多くの選手をアルビレックス新潟のトップチームに送る事だろう。現在トップチームにはDF酒井、MF栗原そしてFW中村幸聖の3名がシンガポールから新潟への切符を掴んだ。逆にシンガポールには FWの尾崎、吉澤そして MFの田中の3選手が新潟からこちらに来ている。そして JAPAN サッカーカレッジから8名の選手がここに来ている。その他の所では今年和久井秀俊がスロベニアの Factor FCに移籍した。また前節対戦し 2-0と快勝した相手 Balestier には中村アキヒロ、村上ノリカズと2人の日本人選手がいる。そして Balestier が今節対戦する相手 Geylang United には昨季アルビレックスから移籍した末岡隆二がいる。先週、リーグ戦2勝目を挙げたアルビレックスだが、この試合で攻撃の要、内野敬志が怪我。今節の布陣は河野大星のワントップだ。 試合は立ち上がりからホームの Gombak のペース。その攻撃の起点となるのが中盤のタイ代表の2人。Pongpisut Pue-On。は180cm と上背もあり当りも強くテクニックもある。そして10番のTheerawesin Seehawong は163cmと小柄だけどスピードとテクニックは申し分なく ASEAN ではトップレベルだろう。トップはナイジェリアからのFW Gabriel Obatola 。公称は175cmだがもっと上背はあるのではないかな?彼がボールを持ち出すと、とても1人では止められない。また右サイドバックのSevki Sha'ban 左サイドバックのNor Azli Yusoff が、がんがんサイドを抉ってくる。そしてセットプレーになると187cm のCB Precious Emuejeraye が上がってきて Obatola とツィンタワーを形成する。タイ代表コンビからどんどん空いているスペースにパスが出されてアルビレックスは防戦一方。GK上杉哲平が何度も身体を張ってゴールを許さない。たまに自軍ボールとなっても、そのつなぎが選手の足元から足元へという感じなので次のパスが相手のもう1人のCB 183cm の Winston Yap に読まれてしまいゴール前に迫れない。またトップの河野にボールが入ってもサポートが遅くそれ以上は行けない。そして35分MF Jalal のスルーに反応した Obatola が強烈なショット。一旦は上杉が身体に当てて防ぐがそのこぼれ球を再び Obtola が押し込み先制点を許してしまった。 当日は朝から雨が降り午前中には上がったがピッチコンディションは良いとは言えず何度もアルビレックスの選手は足を取られる。しかし、 Gombak の選手達はそれ程でもなく、特にタイの2人はぬかるみもなんのその。いくら東南アジアとはいえ、やはり代表クラスはアルビレックスの若手とは格の違いを感じさる。前半終了間際にようやくアルビレックスは細貝、吉澤と繋いで最後は稲垣がシュートを放つが惜しくもGKの正面。後半に入ると DF鈴木、MF志田に替えてFW阿部、MF田中 を入れてツートップに。そしてボールも足元から大きくスペースに出たり、サイドチェンジが見られるようになった。一方 Gombak はCB の Yap を引っ込め Jaslee Hatta を、そしてFW Kamsan に替えて MF Ruhaizad Ismail を入れるなど守備的な布陣を敷きだす。しかし アルビレックスの攻撃を読んでいたCB の Yap を下げてくれたのでツートップにまでボールが良く繋がるようになってきた。 それでも64分にはタイの Seehawong に持ち込まれてピンチを招く。だがこの時間になると Gombak の選手の運動量が落ちてきて稲垣の突破をファールでしか止められなくなるシーンも。そして河野と Seehawong の中盤でのマッチアップも互角以上になり面白くなってきた。68分その河野の突破からファールを貰って得た正面からの直接FKはGKAdi Salleh がパンチで防ぐ。70分を過ぎると右サイドの吉澤正悟からの攻撃が顕著になってくる。75分には逆襲を食らい、最後は Tan Kian Chong にフリーで打たれるがまたもや上杉がファインセーブ。すると今度はアルビレックスが逆襲で吉澤に繋がりクロスがあがるが河野に僅かに合わない。77分にも吉澤の突破から好機が生まれる。すると 78分 Salim Moin Gombak 監督はJalal に替えてFazli Jaffer を入れて吉澤のマークに付けるが、それでも Jaffer はファールでしか吉澤を止めれない。観客席からは“ショーゴ!ショーゴ!”の声援が飛ぶ。何人かの地元の女の子も熱心な声援を送る。81分には田中から絶好のセンタリングが入るが今度は吉澤がこれを空振りしてしまう。 そしてその2分後に2点目を許してしまった。CKのピンチからこぼれ球をRuhaizad Ismail にペナルティーエリアのやや外から決められた。その前に絶好機を空振りした吉澤正悟の心中やいかに?ホームの Gombak サポーターからは “ Three-Zero! Three-Zero !!” と野次が飛ぶがここは“ One and Two ! shall soon be!! “ と言い返した。86分にはまたもや右サイドを抉った吉澤が抜け出してショートを放つがサイドネットを直撃。さっきの地元の女の子は”もぉぉぉショーゴ!バカァァァッ!!“と落胆の悲鳴が。私は “ No No Don’t say BAKA バカといってはいけませんよ”となだめの声を送ると結構受けた。 しかしここから奇跡が始まる。もうロスタイムに入るかという88分、Gombak ゴール前に迫る。両チーム合わせて17,18人はゴールマウスに入っていたか?するとレフリーが間接FKをアルビレックスに与える。これまで散々 Gombak 寄りの笛を吹いていた主審だったが、何があったか兎に角間接FKを与えてくれた。 Gombak の選手がほぼ全員ゴールライン上に並びこの間接FKに備えるものの、このチャンスを橋本卓が蹴り込み1点を返す。さすが関西1の秀才私大関西学院の出身だ。(関係ないか?) だがまだドラマは終わらない。この直後ロスタイムが3分と表示される。Gombak の選手はなかなかキックオフを始めない。そして一旦はアルビレックスゴール前に運ばれるがその後一気に逆襲。そして最後のCKをもぎ取る“上がれ、上がれ、キーパーも上がれ!”と私を含めた邦人からは無責任な指示が飛ぶが、本当に189cm のGK上杉がゴールマウスに入る。彼も関西の阪南大学出身(関係ないが)だ。 そのCKから誰が最後に蹴り込んだか、そのシュートがゴールネットを揺らし見事に同点に。そしてアルビレックスの選手は直ぐにボールをセンターサークルに運び、更に逆転を狙う。しかし、まだドラマは終わらない。一旦はセンターサークルを指し、得点を認めた主審がラインズマンの所によりなにやら協議を。そして今度はペナルティースポットを指す。そして主審に文句を言った Gombak の Obatola が2枚目のイエローを貰い退場に。1枚目の警告は先制ゴール後、なかなか戻らなかったから受けたものだった。 私はルールには詳しくないがここでPKを与えるぐらいならゴールを認めるのではないのか?狂喜乱舞していた我々は一転してその合点の行かない判定に怒りを露に。次のキックオフに備えていたアルビレックスの選手達は一斉にペナルティーエリア付近に戻る。Gombak GK の Salleh はおそらく前日、 Champions League でのアーセナルGK Lehman の再現を誓ったのではないか? しかし、このPKを稲垣が落ち着いて決めて今度こそ同点に。そして直後にタイムアップの笛が吹かれたときはもう97分を指していた。下位チームとの引分は大塚監督も満足はしていないだろう。しかし、このピッチコンディション。異国の国内リーグ参戦はある意味“悪役”が宿命とされる。レフェリーの加護も期待は出来ない。こういう中で1つずつ積み上げ、ここでプレーする日本人選手達は上を目指していく事だろうが、けっしてこの中で流されないで欲しい。ここで生きてきた事が今後の人生に必ず生きる。(偉そうな事を言ってすみません。)頑張れ異国の日本人選手達。


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1 コメント

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Unknown (サッカー猿!)
2006-05-02 22:13:21
日本にいると限られた情報ばかりでなので、そのような観戦の話は楽しいです。
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