Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

Nakata ist auf der Team der Runde その1

2007-03-06 | EURO Football
Frankfurtから列車で南下しスイスに向かう。Inter City Express は昨年ワールドカップ時そして欧州に出かける度にずいぶん使わせて貰ったが、まだまだ10分、15分時には半時間以上の遅れはざらで、乗り継ぎがある時たまに苦労をする。約1,200kmを欧州の特急列車の2倍以上の定員を寸分の狂いも無しに走る新幹線とはまだまだ差が有りすぎる。列車自体もPCを動かす電源がついていない旧式のものも結構でくわす。4時間以上の行程を仕事などでPCを使えないのはすこし辛い。最近では欧州大陸間を横断する Euro City もけっこう電源のとれる列車があるのだが。だが、この点は新幹線の方は大いに改善して欲しいところだ。
列車がドイツの国境を越えると車窓からられる風景はずいぶんと牧歌的な風景に一変してくる。 たまに馬車が荷車を引く光景も。スイスの首都 Zurich は世界金融の中心と言われてるが一般預金(それも小額の残高)しかない私にはピンと来ない話だ。ここ Zurich でもけっこうアジア系の人が目に付く。なかにはカンボジア系華僑がいてその多くはポルポトが政権を握る直前に財産、特に金の延べ板を担いで逃げ込み、その金の力でスイス国籍を取得した人が多くいるらしい。金の延べ板が国籍取得の効力を発揮するなんてスイスならでは、日本では考えられないことだ。
永世中立国スイスの首都 Zurich の街は戦争の影響を受けていないので様相が長い間変わっていなかったらしい。1954年のワールドカップのビデオ映画を見ても、1960年代、初期の頃のピンクパンサーシリーズの映画を見ても中央駅付近が映し出されると見慣れた建物、協会、橋が次々と出てくる。 来年欧州選手権がスイスとオーストリアで開催されるがこの古風でこじんまりと、落ち着いた街並みが England あたりからフーリガンが大挙押し寄せて来ればと想像するとすこし.....

スイスの国内リーグは最近元鹿島アントラーズの中田浩二が入団したことから日本でも少し話題になる様になったが、それでも中村俊輔や高原、に比較する“もう少し詳しく報道してくれよ”と言いたくなるのは私だけでしょうか?
中田浩二がそうなのか?スイスがそうなのか?中田浩二の映像はあまり見たことがないなぁ....
先週末はスイス国内リーグ AXPO SUPER LEGUE の第22節が各地で開催された。このリーグは10チームで構成され、ホーム&アウェー2回ずつの4回戦総当り、試合総数36試合でリーグ王者を競う。第21節が終わった時点で F.C. Zurich が勝点44で首位、続いて F.C.St. Gallen が勝点41 で続き、3位に Grasshopper Zurich が勝点38 そして中田浩二の所属する F.C. Baseal が勝点37で4位にいる。その下の5位の F.C. Sion は勝点33 だ。 1位のチームに Champions League の出場権が与えられ、2位、3位のチームは UEFA Cup の出場権を得られる。 そして第22節は F.C. Basel が Zurich に遠征し(と言っても特急列車で1時間程度の距離)3位に座を狙う試合があった。その前の第21節終了時点では Basel が3位だったが第22節で FC Sion と0-0 で引分け、 Grasshopper Zurich ( 以後 GC ) は最下位F.C. Aarau に 1-0 で勝利を収め順位が逆転したのだった。従ってこの直接対決は今節最も注目の試合であった。

3月4日、昼過ぎにはZurich 中央駅にも多くの警官隊が既に配備されている。これから行われる戦いの熱さを物語っているのか?中央駅から路面電車、トラムで約15分、Grasshopper Zurich の本拠地、Stadion Hardturm に到着する。スタジアム付近は大変な人だ。そして警官隊も。天気も大変よく絶好の日曜日だった。キックオフ半時間前から両チームサポーター達の大声援が鳴り止まない。そしてまずアウェーの Basel のスタメンがGC サポーターの口笛の中アナウンスされる。 Koji Nakata の名前も聞かれる。続いてホームの GC のスタメンがアナウンスされるが、ここでも場内アナウンサーが名前を読みサポーター達が苗字を叫ぶと言う欧州でお馴染みの光景が見られる。ゴール裏は立錐の余地もない。後の公式発表では入場者数が 11.700人と発表された。しかしここは球技専用競技場でピッチと観客席が近くそしてゴール裏はすり鉢状に高くなっており大歓声がこだまし、迫力は満点だ。競技場内は木造の部分も多く残っている。日本でもこれより大きな競技場はたくさんあるだろう。そしてデジタルの時計は設置されているが、電光掲示板が無いのでスタメンや交替選手が解り辛い。スイスの競技場は1954年ワールドカップの時から改修されていないものがいくつかあるらしい。来年の欧州選手権にはZurich で3試合開催されるが使われるスタジアム、Letzigrandは収容能力3万人。欧州選手権のビッグイベントには少し物足らないか? G.C. のスタメンは、GK Coltorti, DF は4バックで右サイドは21歳の Sutter, CBはメキシコ人Galindoとブラジル人 Welington そして 左サイドはチュニジアからの移民選手Mikari ボランチは右に21歳の Salatic 左にペルー人の Rinaldo , 2列目はスペイン人21歳のレオンとブラジル人MF Wesley 2トップには右にドイツ人FW Ristic 左にブラジル人FW Ailton ここは外国人枠が無いのか?スイス人選手は3人だけだ。前節 Aarau戦と同じスタメン。 FW の Ailton はご存知の方も多いか?昨シーズン途中にトルコの BesiktasからHSVに移籍し高原とプレーをした、今シーズンはセルビアの Red Star Beoglade に移籍し、Zurich に前の試合から移籍しそのデビュー戦で決勝ゴールを挙げた。Ailton の加入は7得点でチームの得点頭だった Antonio Dos Santos の移籍の穴埋めか? 一方の Basel, GK Castanzo, 4バックDF陣は左から中田浩二、 Smijanic, Majestorovis, Zanni, ボランチは右に Marik Ba, 左に Ergic, 2列目は左から Chipperfield, Rakitic そして Sterojvski, Chipperfield, Sterovski はご存知の方も、オーストラリア代表のワールドカップメンバー。そして2月6日の Deanmark 戦にも出場した。いよいよキックオフ。両チームのサポーターのボルテージが上がる。どこの国でも街でもサッカーはある....そう熱くあるのだ.... と思う瞬間だ.... 続く。


Naohiro Takahara Takaha~raaaa その2

2007-03-06 | EURO Football
試合の行われた Commerzbank-Arena は昨年のワールドカップでも使われた競技場で60,000 人収容可能だ。しかし、この試合の公式入場者数は 40,038 。空席もちらほら。翌々週のホームゲーム、Bayern München戦のチケットは既に完売との事。さすがバイエルン人気だ。ワールドカップでは England vs Paraguay を皮切りに5試合行われ、最後にブラジルがフランス相手に散ったのもここの競技場だ。その試合後は多くのブラジル人がここで涙に暮れたのではないかな? 後半が始まった。立ち上がりは前半の25分以降、ミスが多くてボールが繋がらなかった Hannover が少し押す展開。ワントップのスタイネルが横に大きく動く。特に右に寄って Frankfurt の左サイドを突くときにゴール近くまで持ち込める。ただ右の2列目シュレーターの出来が今一なので決定機には至らない。それでも49分にはスタイネルが右を崩してブルヒンクの強烈なシュートを導くが危なくサイドネット。51分にはシュレーターからのスルーパスがスタイネルに通るがシュートはルスがブロック。シュレーターがこの試合で唯一見せた仕事じゃなかったな?そのCKから跳ね返りを押し上げていたフスティがそのままミドルを放つがクロスバーを越える。後半やや劣勢のフランクフルトは53分2度目の超決定的なシーンが生まれる。高原が左サイドを突破し逆サイドのシュトライトに展開する、そしてシュトライトはファーポストに構えるマイヤーに完璧なクロスを上げる、しかし全くフリーのマイヤーのヘッドは真正面の Frankfurt 大サポーター陣の見守る中ゆっくりとクロスバーを越えてしまった。2度の決定機を逸し、地元サポーターからは何やら声が飛ぶ、こんな展開でもし、先制されたらいやな流れを汲んでしまう。しかし、そんな不安を払拭したのが高原だった。56分、 Frankfurt はツルク、シュトライト、高原そしてマイヤーが絡んで波状攻撃を見せる、一旦はクリアーされたかに見えたがそのクリアーボールがペナルティーエリア脇のシュトライトに渡り、そこからファーサイドにシュート、そこに高原が走りこんで押し込み待望の先制点をホームの Frankfurt が挙げた。高原は前節の HSV, 水曜日DFB 杯での Kickers Offenbach そしてこの試合と3試合連続ゴール。場内は Naohiro Takahara Takaha~raaaa の大合唱が続く。尚も Frankfurt はマイヤーの上がり、シュトライトの切れ込み等でゴール前に迫る。56分には追加点の決定機を迎える。ヴァイゼンベルガーから高原に良いボールが渡りそのまま高原は左サイドを突破、そして完璧なクロスをファーサイドに送るが、そこにいたツルクは足に当てることが出来ず追加点の決定的なチャンスを逃してしまった。するとその直後、アメリカ人右サイドバックのチェルンドロが鋭いドリブルを見せてそのまま切れ込んでシュート、あわや同点ゴール?と思われたがGKニコラフがファインセーブ。これでさっきのマイヤー、ツルクらのミスを帳消しにした。何とか追加点をと願う地元サポーター達は殆ど全員が手拍子を打ちながら立ち上がる。67分両チームのベンチが動く。 Frankfurt はヴァイセンベルガーが下がりプロイスが入るこれは中盤の守備を強化する狙いか?一方の Hannover はMFシュレーターを下げて日本でもお馴染みのイラン人FWハシュミアンを投入する。そしてボランチのヤシコフを下げてアイスランド人FWのトールヴァルドソンを入れてこの二人をツートップに据えて、2列目を左からスタイスル、ブルヒンク、そしてローゼンタルを置くが、これまでヤシコフのスルーパスに手を焼いていたので彼が引っ込んだのは Frankfurt ベンチにとっては良かったか?それともそれに勝る戦術が Hannover ベンチにあるのか?この時間から Hannover は大きなサイドチェンジを見せる。71分には右のローゼンタールから左のスタイネルにサイドチェンジ、そして中のハシュミアンに渡りシュートにつながるが、同点ゴールにはならなかった。そして左サイドバックのチェルンドロも上がってくる。しかし、効果的な追加点がFrankfurt に生まれる。中央のシュトライトから前方のツルクに渡りドリブルで中央突破を図る、右にいた高原が更に右に流れて相手DFを外におびき出すとそのままツルクはドリブルシュートを放つ。ライナーで飛んだシュートはGKエンケを破ってゴールイン。見事なミドルシュートだった。すると2点目の突き刺さったゴール裏に陣取る大サポーター軍団からはツルクのナイスシュートを作った高原の動きを賞してだろうか? Naohiro Takahara Takaha~raaaa の大合唱が起こる。サポーター達はよくわかっている。この日の高原を。得点だけではない、サイドによってナイスクロスを上げたり、やや下がって絶妙のスルーを通したり、子の様に相手のDFを引っ張る動きを見せたり。そして得点こそならなかったが前半には豪快なオーバーヘッドシュートを見せた。2点差のつけられた Hannover は78分にMFローゼンタールを下げてスロヴァキア人FWイエンドリシェックを投入して3トップに。 しかし、Hannover からやって来たサポーター達を沸かせることは時折伝えられる他球技場での途中経過以外は出来なかった。86分にハシュミアンが倒されてFKを得たが、直接狙ったショットはGK正面であった。90分にFrankfurt は4試合振りの完封を狙ってか、ケラーがシュトライトに替わって投入された。そして約1分後タイムアップ。大歓声が沸き起こり、Frankfurt にとって9試合ぶりの勝利と7試合振りのホーム白星、そして4試合振りの完封勝利が達成された瞬間であった。高原はリーグ2試合得点に連続フル出場のおまけつき。試合終了後、サポーター席に挨拶に向かう Frankfurt 選手達。ひととおりの歓声が送られる、選手達がピッチをあとにしようとすると続いて Naohiro Takahara Takaha~raaaa の大合唱が沸き起こる。高原は1人サポーター席の前に戻りその合唱に合わせて飛び跳ねて躍り上がる。さらにボルテージは上がった。 こういうシーンを見ると自分も“日本人でよかったぁ~”と思ってしまう。帰りのトラムの中でも、中央駅でもNaohiro Takahara Takaha~raaaa の合唱が聞かれた。
翌日の新聞各紙では TAKAHARA を絶賛。東京スポーツ的な?Bild 紙はTakahara のスコア( Weltklasse :World Class )としたのは褒め過ぎとしても Die Welt は2を点けた。 こんなに溌剌とした高原をドイツで見たのは初めてでは無いかな?しかし、ドイツで得点を続けている様に代表で行くとは少し考えにくい。高原とて1人でがんがん突破してゴールを決められるわけではない。そういう選手はこれまでマラドーナとクライフとペレくらいであろう。中盤から彼の好むボールが出されてこその事だと思う。世界のトッププレーヤーがクラブレベルと同等の結果を代表でも残すのは共に同じ、しかも高いレベルが周囲を覆っているからだ。しかし、アジア大会には召集すべきFWだろう。最後の厳しい局面を1人で突破してゴールを生む能力は今高原が一番だろう。一昨年のワールドカップ予選のアウェーでのイラン戦やホームでの北朝鮮戦のよりかは良い動きを見せるだろう。
日曜日に Aachen と Cottbus が勝ってしまったので Frankfurt はまた降格圏内の16位に下がってしまった。
しかし、9位 Wolfsgang との勝点差はわずかに3。この3勝点差の中に8チームがひしめく。チームの残留に貢献し、OKUDERA に続いて TAKAHARA の名前が長くドイツ人の記憶に残る選手になることを期待する。