鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1210~翼をください

2016-05-12 12:28:44 | 鬼平
今回のお気に入りは、「翼をください」です。

お気に入りの作家、原田マハの「翼をください」を読みました。
彼女の作品にはいつも悪人が出てきません。
いい人ばかりによる人間ドラマには無理があるはずなのに、いつも満足させられます。
今回は珍しく悪人が登場します。
といっても女性蔑視のいやみな人物としてアメリカ空軍司令官が登場するだけ。
本書は、史上初の世界一周飛行を臨場感たっぷりに描きながら、過去と現在の人々を生き生きと描いた感動作でした。

AMAZONの内容紹介を引用します。
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気鋭のストーリーテラー『カフーを待ちわびて』の著者が放つ、強くてせつない、空のロード・ノベル。
ほんとうの自由を求めて飛び立った女性飛行士と、前人未到の世界一周飛行に挑んだ男たちの勇気と友情の物語。
長編小説。
歴史の闇に葬られた国産飛行機「ニッポン号」に関する謎の写真を見つけた新聞記者の翔子は、カンザス州アチソンを訪ねる。
この辺鄙な町で生まれ、世界へと羽ばたいていったある女性パイロットの軌跡をたどるために。
1939年、史上初めて世界一周飛行を果たしたニッポン号には信じ難い真実が秘められていた――。
=====
新聞記者の翔子が見つけた一枚の謎の写真。
1939年、初めて世界一周をした純国産飛行機「ニッポン」号に秘められた真実。
アメリカ・カンザス州アチソン―この辺鄙な町で生まれ、世界へとはばたいていった有翼の女神。
より高く、もっと早く、ずっと遠くへ。
気鋭のストーリーテラー『カフーを待ちわびて』の原田マハが放つ、強くて切ない、大河物語。
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以下はどなたかが書いた素敵な文章です。
(書いた方の名前をひかえるのを忘れました)
史実とフィクションを丁寧に振り分けて紹介してくれていたので、こちらも引用します。
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主人公エイミー・イーグルウィングのモデルになったのは「アメリア・イアハート」という女性パイロットです。
実際にアメリアは1937年7月、世界一周飛行挑戦中に南太平洋上で消息を絶ちました。
アメリカ軍はもちろん、日本軍も懸命の捜索活動をしたが(当時はまだ太平洋戦争は始まっていなかった)、機体も遺体も見つからなかったといいます。
パイロットとして数々の飛行記録を打ち立てていたアメリアは、すでにアメリカでは絶大な人気を得たヒロインでありましたから、その遭難(失踪)後に幾多の伝説が生まれたようです。
まるで義経=チンギスハン説のように。
原田マハは、国産飛行機「ニッポン号」による世界一周飛行という快挙(これも事実)に、アメリア・イアハートの新しい伝説を大胆に加えて、壮大で爽やかで感動的な物語にしてくれました。
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物語後半、エイミーは日本領台湾で世界一周達成直前のニッポン号を降ります。
パスポートも持たずに・・・。
無茶し過ぎです。
民間の通信網でロスアンゼルス・ビーコン・ヒル通信局で待つ恋人トビアス・ブラウンと連絡を取り、落ち合うことができればいいなと思います。

その前の世界一周中盤、ニッポン号がマイアミ飛行場を飛び立ったとき、エイミーはトビアスと交信しています。
「せかい・は・ひとつ」
「了解。成功を祈ります。よい一日を。PSE・PSE」
という秘密の合言葉を交わす二人。
実に感動的なシーンでした。
このシーンに結びつくエピソードを入れてくれると希望が広がったのにと残念でした。

なお、ニッポン号の世界一周成功は、GHQにより記録が隠蔽されたそうです。
太平洋戦争前夜の栄光の記憶を消すことで、日本の誇りと復興への気概を奪おうとしたのでしょう。
もっともそんな姑息な手を使われても、しっかり戦後復興を成し遂げましたが。

原田マハは手元にあと2冊あります。
「旅屋おかえり」と「本日は、お日柄もよく」。
同じ作家を続けて読むことはあまりしませんが、今回は「おかわり」しようかな。

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