鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその2129~きのこの自然誌①

2022-08-31 12:56:08 | 竹鶴
今回のお気に入りは、「きのこの自然誌」①です。

世界一きのこに詳しい伝説のきのこ博士の名著で、著者のフィールドノートの一部をカラーで掲載している、という紹介文に惹かれて購入しました。
本書は今年1月に発行されましたが、冒頭の著者による「新装版によせて」は25年前の日付でした。
著者が昨年亡くなったことから、四半世紀を経ても色あせない名著を復刻して多くの方に読んでいただきたい、という出版社の熱い気持ちが伝わります。
著者のことは知りませんでしたが、牧野富太郎氏のきのこ版をイメージしつつワクワクしながら読みました。

まずはAMAZONの内容紹介を引用します。
=====
著者のフィールドノートの一部をカラー口絵で掲載
「世界中の誰よりもきのこに詳しかった"伝説のきのこ博士"の名著」藤井一至氏(土の研究者)推薦!
「地上に平和をもたらしたのは、きのこだったのだ」小倉ヒラク氏(発酵デザイナー)推薦!

ひそやかに光るきのこ、きのこ毒殺人事件、ナメクジは胞子の運び屋…
きのこ学の第一人者による魅惑のきのこエッセイ。

つくばの研究所に向かって下駄をはいて自転車をこぐ白髪頭の姿が度々目撃され、世界中の誰よりもきのこに詳しかった。
筆力の高さに定評があり、ときには筆をとってニコニコときのこの絵を描いていた。
知る人ぞ知るきのこ界のスーパースターの著書をはじめて文庫化。

■内容
新装版によせて
1きのこの形、きのこの成長
雷の落とし子/天地無用/ユダの耳/きのこに根はあるか/異常気象とショウゲンジ/マツタケ前線は南下する
2毒きのこ、薬になるきのこ
ひそやかな光/笑うきのこ/きのこ殺人事件/聖なるきのこ/ものは使いよう/ありがたいきのこ
3胞子の世界
産めよふやせよ/ひと夜の命/くさい奴/運び屋のナメクジ/お腹を空かしたチップモンク/ブタの好物
4菌糸・菌根のこと
城をきずく/山が吹く角笛/生きている化石/靴のひも/ぶくりょうつき
5きのこの栄養のとり方
シメジあれこれ/ランに食われる/落葉を食べる/由緒正しいヒラタケ/居候/きのこ糞尿譚
6きのこの分布・きのこの生態
きのこ狩り/コスモポリタン/追われるハツタケ/ヒョウタンから駒/クリのポックリ病
おわりに―きのこと菌類学
解説 藤井一至

■著者について
小川 真(おがわ・まこと)
1937年、京都生まれ。
1962年に京都大学農学部農林生物学科を卒業、1967年に同大学院博士課程を修了。
1968年、農林水産省林業試験場土壌微生物研究室に勤務、
森林総合研究所土壌微生物研究室長・きのこ科長、関西総合テクノス、
生物環境研究所所長、大阪工業大学客員教授を歴任。農学博士。
「森林のノーベル賞」と呼ばれる国際林業研究機関連合ユフロ学術賞のほか、
日本林学賞、日経地球環境技術賞、愛・地球賞、日本菌学会教育文化賞受賞。
2021年、没。
=====

読み始めて早々に知ったのはきのこの登場がそれほど古くないという事実です。
樹木が生い茂るようになった時代に倒木を分解して自然に還すという重要な役割をもって登場したのがきのこなのだそうです。
なるほど。
必要は発明の母、自然界が物質循環の必要性からきのこを生みだしました。

一番最初に登場するきのこはエノキダケ。
とても身近なきのこですが、軸だけでもとても太いものから細いものまで生育環境に応じて様々なのだそう。
一定の品質で出荷できる技術を開発した方も紹介されていました。

次は傘が天に向くことについての実験。
キノコは胞子を雨に濡らさずに放出するために傘を天に向ける努力をします。
徐々に傾けると軸をねじって対応し、それが何度も繰り返されると傘が溶けてしまったそうです。
胞子を放出できないと判断したのでしょう。
興味深かったのはサルノコシカケ。
このように軸が無いキノコを逆さまにした場合はどう対応したと思いますか?
木の反対側から新たに反対向きのキノコを出したそうです。
自身が動けない以上、これしかないのは確かです。
キノコ(子実体)は植物でいえば花であり、植物の本体にあたるのは木の中の菌糸です。
菌糸は子孫を残すため、雨に濡れると胞子を放出できないキノコを捨て、逆向きにキノコを生やす選択をしたのです。

その次はキクラゲ。
中国では木耳といい、ヨーロッパではユダの耳またはユダヤ人の耳というそうです。
乾燥キクラゲの作り方が興味深かったです。
木から収穫し乾燥させるより、木に付いたまま乾燥させる方が断然早く乾燥するそうです。
これは乾燥に菌糸も協力するからだとか。

このようなキノコについての小知識が次々と登場します。

最も興味深かったのは毒キノコのお話。
ワライタケは本当に笑ったり歌ったり踊ったりするそうです。
またベニテングタケは猛毒というほどではなく、試食は美味しかったそう。
ある人は楽しい幻覚を、ある人は苦しい幻覚を、ごく一部の人は中毒による不調を訴えたそう。
またウサギやブタはこの毒を分解することができるので平気で食べるそうです。
さらに人が美味しく食べるキノコでも昆虫が食べると死ぬものがあるとのこと。
毒とは何とも不思議で奥が深いものだと思いました。

前半はここまで。
後半については改めて書きます。




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