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ギリシャ神話あれこれ:アガメムノンの暗殺

 
 ギリシャ神話のなかで、ミュケナイの血族の物語は、私には苦手だったものの一つ。古代ギリシャ人て、よっぽど怨恨が好きだったんだな。一方私は、怨恨の物語には協調・同感ができないタチなんだ。
 特に、アガメムノン暗殺の物語は苦手。前置きが複雑すぎるし、登場人物のキャラクターに魅力がなさすぎるし、クリュタイムネストラの名前が長すぎる。

 さて、その物語はというと……
 ミュケナイの王位をめぐって血で血を洗う骨肉の争いを繰り広げた、アトレウスとテュエステスの兄弟。兄アトレウスを暗殺し、復位したテュエステスだったが、やがて、成長したアトレウスの長子アガメムノンが、スパルタ王の後ろ楯を得てミュケナイに攻め入り、王位を奪還する。
 ミュケナイの王となったアガメムノンは、スパルタの王位を継いだ弟メネラオスとともに、ギリシア全土を支配。かねてより惚れていた美貌の人妻クリュタイムネストラ(ヘレネの双子の異父姉)を、その夫を殺して奪い取り、まんまと自分の妻にする。

 こんな経緯だったから当然、クリュタイムネストラは、夫アガメムノンを怨んでいた。愛して嫁いだ前夫(テュエステスの子だった)を殺され、そのあいだに生まれた幼子を、後顧の憂いを断つために殺され、さらに、可愛がっていた娘のイピゲネイアまで、アガメムノンの愚挙の尻拭いのために殺されたのだから。
 が、もしクリュタイムネストラが一人だったら、夫への憎悪が殺意に変わることも、その殺意を実行に移すことも、あるいはなかったかも知れない。

 メネラオスの妻ヘレネがトロイアの王子パリスと駆け落ちしたために、アガメムノンとメネラオス兄弟は、全ギリシアを引き連れてトロイアへと遠征することになる。アガメムノンが勝利を収め、帰国を果たしたのは、出征から実に十年後のこと。

 このアガメムノンの不在に乗じて、父テュエステスが王位を追われて以降、姿をくらましていたアイギストスが、ミュケナイへと舞い戻る。アイギストスは、かつてアガメムノンの父アトレウスを刺殺し、今は自身の父を王位から落としたアガメムノンへの復讐を誓っていた。

 To be continued...

 画像は、F.レイトン「アルゴス城の胸壁からアガメムノンの帰還を知らせる狼煙を見張るクリュタイムネストラ」。
  フレデリック・レイトン(Frederic Leighton, 1830-1896, British)

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