世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記
魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-
いらち(続)
でも、坊の理性が当てになるわけじゃない。自制心のなさは、まだまだ相当なもの。坊の自制心喪失がポピュラーに現われるのが、カッとなると咄嗟に吐く暴言。
「死ね!」
死ね、か。これまた誤解を有する厄介な言葉。学校じゃ、未だに「死ね、なんて言葉、絶対に口にすべきじゃない」とかいう道徳的な説教をしているよう。
が、私にはその手のモラリスティックな説教はできない。実際、今の社会には、死んだほうが世の中ずっと良くなる人間て、たくさんいる。
だから、取りあえずこう教えている。……仮に、死ね、と思っても、もちろん殺しちゃいけない。それに、カッとなったときに口にしちゃいけない。死ねという言葉を口にするときには、もっと理性的に、理性の上で、責任を持って、口にしなくちゃいけない。
……こんなふうに教え諭して、いつかは理解してもらえるのだろうか。
先日、坊はベランダに出て、なんだかんだと怒鳴っていた。おいおい、また例の、いらち、じゃないだろうねえ。……耳をそばだてて聞いてみると、「やめろ! 糞爺い! 警察に通報するぞ!」と叫んでいる。
それから、ドドドと部屋に入ってきて、私に訴えた。
「どっかの爺いが、嫌がってるのに、ちびこい孫の頭つかんで、がつんと殴ってから、車に叩き込んでたんだ! 死ねばいいんだ、あんな爺い!」
そして付け加えた。
「よく考えて、死ね、って言ったもん」
う~む。正義感を持ってくれるのは嬉しいし、間違ったこと言ってるわけでもないが、世の中、逆恨みされて、リベンジされる可能性もあるんだから、もちょっと理性を働かせて欲しいなあ。
カッとなったら口に出す習性なんて、そうそう治るもんじゃない。とほほ。
画像は、モリゾ「薔薇園の子供」。
ベルト・モリゾ(Berthe Morisot, 1841-1895, French)
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