いらち

 
 うちの坊は、京都の言葉で言うところの「いらち」。短気で、すぐに怒り出す。
 これは父親譲りだから、坊にとっては不運だった。本人、かなり自覚していて、なんとか大脳新皮質を発展させて、持って生まれたこの気質を制御しようと、涙ぐましい努力をしている。

 保育園の頃は、いつも身体に歯形をつけて帰ってきた。保育園では、坊に限らず、すぐに手を出し足を出しの喧嘩が起き、最後の最後には噛み合いとなる。
 で、子供たちの腕にはちっちゃな歯形が残る。坊もよく噛み合いの喧嘩をした。

 が、小学生になると、徐々に知能が向上し、すぐに暴力に訴える行動は減ってくる。うちの坊も、1年生の頃にはまだひどく手が出ていたが、その都度言い聞かせ、今じゃ一応手は出なくなった。
 こういうことは、本人自身がその意味を納得し、認識化しなければ、直るものではない。子供が暴力に出ても、親は殴ってはいけない。脅してはいけない。が、これにはかなり忍耐が必要。
 
 で、うちの坊も、3年生頃までは、相手を殴らずとも「殴りたい」気持ちは多々あったが、最近じゃ、「殴りたい」気持ちそのものも、あまり起こらなくなってきているらしい。
 ……普通の人には当たり前のことだけれど、これは、坊のような気質を持った人間にとっては、おそらく物凄い進歩なのだろう。

 To be continued...

 画像は、カサット「麦藁帽子をかぶった子供」。
  メアリー・カサット(Mary Cassatt, 1844-1926, American)

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