先週のことだ。あわただしく煮物をこしらえた。
「ごめん、ごめん。時間が足りなくて、まだ大根に味がしみてないみたい。」
「あ、ほんとだ。まだしょんでないな。」
「??? 今、なんてったの?」
「しょむか?」
「それ、何処の言葉?」
「福島に決まってるだろ。」
「ウソー! ウチの村じゃ言わない。ちゃんと、“しみる”って言うもん。」
「違う、違う! “しみる”っていうのは凍る『凍みる』のことだろ。こっちは、『しょむ』!」
「ええ~、“しみる”は『しみる』だよ。『しょむ』なんて言わない!初めて聞いた。それ福島弁じゃないよ、絶対!」
「いや、俺は昔っから使ってるぞ。それに『しみる』と『しょむ』はニュアンスが違う。」
「もう30年いっしょにいるけど、今まで一度も聞いたことなかったもん。ヒロシの家だけが使ってるんじゃないの?」
へへ、我が家は平和でしょ!
まあね、同じ福島なんだから、そのニュアンスとやら なんとなく解るけどね。
けど、絶対に私は聞いたことないから!