チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第182話 さやえんどうとキャベツ

2010年06月12日 | チエちゃん
あ~、またこれかぁ~

チエちゃんは、うんざりしました。
5月下旬頃から、さやえんどうが採れ始めると、炒め物、煮物、天ぷら、味噌汁と変わっても、材料はいつも同じ。
特に、お母さんの得意料理なのか、作り方が簡単であるからなのか・・・
さやえんどうとキャベツの卵とじは、頻繁に食卓に登場するおかずでした。

でも・・・文句を言っても始まらない。
チエちゃんの好きなおかずが出てくるわけではありません。
ため息を一つして、箸をつけたのでした。

そのさやえんどうとキャベツは、日暮れ時におばあちゃんとチエちゃんが畑から採ってきた物です。
縁側で、さやえんどうの筋を取るお手伝いもやりました。
だから・・・今夜も、さやえんどうとキャベツのお料理が出てくることは分かりきっていたのです。

こんなもの、もう一生食べなくたっていいや!
幼い頃にはそう思ったものでしたが、今頃になり、懐かしい味になりました。

幼いチエちゃんは、そのお料理が最高の贅沢であることに気づかなかったのです。
なにしろ、自分ちの畑で栽培された採れ立て野菜と、飼っている鶏の産みたて卵を使った全部自家製のお料理だったのですから。