チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第181話 つけまつげ

2010年06月08日 | チエちゃん
 豪華なドレッサーの前に、チエちゃんは座っていました。
でも、その姿といったら、とても他人に見せられたものではありません。
襦袢姿に、髪はかつらをつけるためにまとめられ、ネットで固定されています。
まるで、大衆演劇の役者さんの楽屋姿のようです。

美容師さんが、チエちゃんの顔や首に、刷毛でおしろいを塗ってくれています。
 これは、水化粧というんですよ

それが済むと、美容師さんはトレーに毛虫様のものを載せて戻ってきました。

 あっ、つけまつげ・・・・・ するんですか?

 今日は、チエさんが主役ですからね
 ひな壇では目立たなくなってしまうから 派手派手くらいで、ちょうどいいの
 ハイ、じゃあ、軽く目を閉じてください

 ・・・・・・・・・・

 いいですよ~ 目を開けてください

 (うわぁ~、重!まつげ邪魔だし~
  あれっ!? なんか変! 右と左でまつげの長さが違うような・・・)

 あの~、右と左でつけまつげの長さが違うように思えるんでけど・・・

 どれどれ、大丈夫 同じですよ 気にしないで!

 でも・・・・・


 式を終えたチエちゃんは、ドレッサーの前に戻ってきました。
化粧を落としながら、トレーに戻されたつけまつげを見たチエちゃんは、愕然としました。
明らかに、左右のつけまつげの長さが違っていたのです。
やはり、強引に違うと言い張るのだったと後悔しても、後の祭り。

 記念写真の花嫁は、真珠婚式の今日も、左右のまつげの長さが違ったままなのでした。