元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「シッピング・ニュース」

2009-12-23 06:43:22 | 映画の感想(さ行)
 (原題:The Shipping News )2001年作品。事故死した妻に裏切られ、失意のうちに父の故郷であるニューファンドランド島にやってきた中年男が、北国で人の暖かさに触れ、自分自身を取り戻していく物語。監督は「HACHI 約束の犬」や「ショコラ」などのラッセ・ハルストレム。

 意外にも、けっこう良かった。ケヴィン・スペイシーがとても“心に傷を負った純情男”に見えないってのはマイナスだが、その他のキャスティングが非常によい。頑固一徹オヤジのスコット・グレンをはじめ、海千山千のピート・ポスルスウェイト、いくぶん食わせ者のジュディ・デンチ、今回は珍しく雰囲気がいいジュリアン・ムーア、そして圧巻はケイト・ブランシェットである。血も涙もない極悪色キチ○イ女を伸び伸びと演じていて実に痛快。「ロード・オブ・ザ・リング」での気取った役どころよりずっと良い。今後はこの路線で行ってほしい。

 内容はハルストレム監督おなじみの“やや浮世離れしたコミュニティ内で主人公が癒やされる話”であるが、多分に図式的とはいえ撮り方が丁寧で同監督のアメリカでの作品の中では一番良い(とはいえ、母国スウェーデンで撮った傑作「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」には及ばないが ^^;)。何よりカナダ・ニューファンドランド島の荒々しい自然を捉えた映像は素晴らしく、それだけで観る価値はある。野趣にあふれた音楽も要チェック。

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