元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「トリガー・ウォーニング」

2024-07-07 06:24:17 | 映画の感想(た行)

 (原題:TRIGGER WARNING )2024年6月よりNetflixから配信された活劇編。水準を超える出来では決して無いが、少しは興味を覚える箇所があり、結果的にあまり気分を害さずに鑑賞を終えることが出来た。こういうサブスク関連の作品は過度に期待を持つ筋合いのものではなく、そこそこ楽しめばそれで良いという気楽なスタンスで臨んだ方が、精神衛生上よろしいかと思う(笑)。

 中東で任務に就いていた女性特殊部隊員パーカーは、本国アメリカで独り暮らしをしていた父親が事故死したという知らせを聞き、故郷のニューメキシコ州の田舎町に帰省する。ところが、地元の者たちに事情を聞いてみると、殺人事件の可能性もあるようだ。その町には米陸軍の訓練基地があり、よからぬ連中がそこの武器類を盗み出して転売しているのではという疑惑もあった。また、それには町の政治家や保安官もグルになっているらしい。パーカーは父親の仇を討つため、犯罪組織に敢然と立ち向かう。

 主演はジェシカ・アルバで、製作総指揮にも関与している。まず驚いたのが、彼女がすでに40歳を超えていたことだ。ずいぶん前から若手女優の一人だと思っていたが、気が付けば年月が経って中堅どころになっていた。しかも、彼女の出自に相応しくラテン系という役柄で、年齢によって担当する仕事を変えていくのも、まあ当然だろう。

 そんな彼女のいわば“俺様映画”であるから、主人公はやたら強い。ピンチらしいピンチも無く、次々に敵を倒してゆく。もちろんかなりの鍛練を積んだことは見て取れるが、まるでランボーみたいな暴れっぷりだ。ストーリーは大して盛り上がらず、ヒロインの無双ぶりばかりがクローズアップされる。監督のモーリー・スルヤも、彼女の引き立て役に徹しているようだ。

 しかし、主人公の父親が旧坑道を“第二の住居”みたいに扱っており、それが陸軍基地の敷地にまで繋がっていたという設定は、強引ながら面白い。そして、アメリカの片田舎に生息する昔ながらのゴロツキの暗躍は、殺伐とした空気を作品にもたらして悪くない。

 マーク・ウェバーにトーン・ベル、ジェイク・ウィアリー、ガブリエル・バッソ、カイウィ・ライマンといったキャストは馴染みは無いが、まあ堅実に役をこなしていたと思う。ゾーイ・ホワイトのカメラが捉えたニューメキシコの荒野は、冒頭とラストの中東の風景にも通じるものがあり、両方とも世界の辺境といった雰囲気を醸し出している。
コメント
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