元・副会長のCinema Days

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FALのスピーカーを試聴した。

2013-06-07 06:33:18 | プア・オーディオへの招待
 先日は久々に秋葉原に行ってみたが、そこで是非とも足を運びたい店があった。それはFALの試聴室である。FALというのは世界でも珍しい平面振動板ユニットをフィーチャーしたスピーカーのブランドである。主宰者は70年代から平面スピーカーの研究を続けていたという人物。製品の評価は高く、海外にも輸出されているという。

 スピーカーシステムを作って売っているガレージメーカーは数あるが、ユニットの製作まで手掛けるところはそう多くはないだろう。まさに、設計から組み立てまで一人のエンジニアのプロデュースによる製品展開である。

 最初に聴いたのはパッシブラジエーターを前後面に搭載したSupreme C90EXWである。ペアで150万円もする高額機だが、同ブランドにはもっと高いものもある。なお、アンプは同社のステレオパワーアンプS.I.T.-7000で、それにCDプレーヤーを直結しての駆動だ。



 一聴して、これはかなり優れたサウンドであることが分かる。横方向の音場の広がりが、とてつもなく大きい。さらにリスニングルームのどこで聴いても、十分な音場が確保されている。私が使っているKEFのスピーカーも“点音源”によるリスニングポイントの広さが印象的だが、このFALのモデルはもっと凄い。

 ワイドな音場に対し、音像はクリアに定位する。オーディオ用語で言うところの“位相が揃う”というのはこういう状態を言うのかと思うほど、低域から高域までが寸分の乱れも無くバランス良く耳に飛び込んでくる。しかも、国産スピーカーとしては珍しく、音色が明るく暖かい。そのためか、いくら聴いても疲れない。

 次に聴いたのが、FALとしてはローエンドのトールボーイ型であるSupreme S C60である(価格は約30万円)。小さな平面ユニットが一個だけのモデルだが、朗々とした低音が出る。もちろん解像度やレンジ感は上位機種ほどではないが、驚異的な音場の広さはこの機種でも十分堪能出来る。



 正直、危うく衝動買いしそうになったが、Supreme S C60は高音はあまり伸びていない(14KHzまでだ)。もちろん、普通の音楽ソースならば過不足無く鳴らせるが、アナログレコードの優秀録音盤の再生では不安が残る。とはいっても、本機に別売りの高域ユニットを付けると値段が跳ね上がり、買うのはキツくなることから(その場は)ひとまず諦めた。

 FALのスピーカーは余計なケレンもない音の出方で、また能率も高いことから、繋ぐアンプを選ばないと言えそうだ。店主の話だと、安いアンプでもガンガン鳴るという。高いアンプ、それも相性が合致した一部の製品じゃないと上手く鳴らせないスピーカーというのは、商品としては失格なのかもしれない。

 とにかくこのブランドは、高級スピーカーを求めているユーザーならばチェックする価値は大いにあると思うし、たとえ買えなくても(笑)一度聴いてみると良い経験になるだろう。こんなメーカーが日本にあると考えただけでも楽しい。

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