元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「反則王」

2010-10-29 06:39:45 | 映画の感想(は行)
 (英題:The Foul King )2000年作品。冴えない銀行員が一念発起し、プロレスラーとして奮闘する姿を描くコメディ編。本国・韓国では大ヒットしたという。

 キム・ジウン監督の腕前は前作「クワイエット・ファミリー」よりは随分マシになってはいるが、相変わらずドラマの交通整理がヘタである。ソン・ガンホ扮する主人公の上司、父親、ジムの館長、美人の同僚、館長の娘etc.といった具合に主人公を取り巻くキャラクターがエピソードを次々と呼び込んでいくが、そのどれもが中途半端に終わる。不正融資事件に巻き込まれる同僚の扱いなど、手抜きもいいところ。おかげでクライマックスであるはずの試合のシーンが幾分浮いてしまった。ラストも唐突に過ぎる。

 しかし、そんなことはリングの上で頑張る主人公の奮闘ぶりを見ていると、どうでもよくなるのは確か。2か月にわたる特訓の成果か、主人公をはじめとする各レスラー役の俳優達の動きはプロのそれとほとんど変わらず、素晴らしい盛り上がりを見せる。しかも、試合シーンの中に効果的なギャグを矢継ぎ早に織り込む構成になっており、手に汗握りつつも爆笑してしまうという、アクション・コメディの王道を示してくれるのは実に嬉しい。

 韓国映画のキャラクターは喜劇といえども皆真面目である。でもだからこそ、マジメな登場人物がコメディ的なシチュエーションにハマり、徒手空拳で奮闘する様子がより大きな笑いを生むのである。まさに、喜劇とシリアスは紙一重なのだ。
コメント
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