元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「スウィングガールズ」

2007-02-26 06:44:59 | 映画の感想(さ行)

 先日テレビでも放映していた2004年作品。文化庁が協賛しているためか、矢口監督得意の“お下品ギャグ”はかなり控え目だが、それが逆に同監督のスキル向上を示していると思う。

 自意識過剰で斜に構えたような彼のお笑いは、まっとうなスポ根ドラマであった「ウォーターボーイズ」でも前面に出すぎることがあり少し鼻についたものだが、この作品ではそれを必要最小限に抑え“本編を盛り上げるための適度なスパイス”として機能させている。娯楽路線の中に巧みに作家性を取り入れるという、映画監督としての“王道路線”に踏み出した彼の成長ぶりは大いに認めたい。

 本作の内容は痛快そのもので、ジャズに打ち込む女子高生たちのいじましい奮闘には泣けてきた。ラストの大盛況の演奏にも泣ける。そして最後まで主役級3人の楽器が新品ではなくボロボロのままであることはもっと泣ける(楽器への愛着を見事に表現している)。さらに、素人同然の出演者達に特訓させて実際に弾けるようにしたことも、本物志向と話題作りの点で納得できる。

 上野樹里はじめとするキャストは皆好演。舞台となる米沢市の風情と方言も効果的だ。主役級3人(上野、貫地谷しほり、本仮屋ユイカ)がその後、テレビドラマや映画などで本作で受け持った楽器の演奏を披露してくれないのはちょっと残念だが(^^;)。
コメント
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