元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「守護神」

2007-02-23 06:45:20 | 映画の感想(さ行)

 (原題:The Guardian)これは「海猿」と「愛と青春の旅立ち」を足して2で割ったようなシャシンである・・・・などと評せば、何やら凡庸なスポ根映画みたいに思えるが、これはこれで良く出来た作品だ。

 沿岸警備隊の鬼教官に鍛えられる若き訓練生の日々が描かれ、恋あり友情あり、主人公の内的鬱屈も紹介され、冒頭と終盤にはスペクタキュラーな見せ場もある。

 注意したいのは、訓練場面のネタなど「海猿」とあまり変わらないのに、切迫度はこちらの方が上であること。なぜかと考えると、それは「海猿」の題材が海上保安庁という“海の警察官”であり、つまりは刑事ものかあるいは消防署を舞台にしたドラマのヴァリエーション(?)みたいな図式であるのに対し、米国の沿岸警備隊は“軍”に属しているからではないかと思う(「第一艦隊」との位置づけ)。海軍の外敵と常に向き合うセクションなどと絶えず接触し(事実、一悶着起こすシーンもある ^^;)、治安維持や人命救助といった本来の役目のバックグラウンドには“国を守る”という意識が刷り込まれているのだろう(注:我が国の海保も当然国を背負っているのだが、映画としては本作の方がその構図を表現しやすい)。

 ケヴィン・コスナーは久々の好演。多少風貌が中年臭くなり身体の締まりもなくなってきたが、救命士としてのプライドを持ちつつ、それでも家庭人としては不器用なキャラクターに上手く扮している。生意気な訓練生を演じるアシュトン・カッチャーは、ヘタすると夜郎自大な面が出てしまう役柄ながら、持ち前のサワヤカさで乗りきっている。元水泳選手という設定も納得のガタイの良さも見所か(笑)。

 話は完全な予定調和ながら、ラスト近くがくどいところを除けば誰にでも楽しめる作品だ。それにしても、邦題を原題通りの「ザ・ガーディアン」としなかったのは配給会社の手柄かもしれない。何しろ「守護神」という意味が最後に分かるのだから・・・・。
コメント (2)
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