元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

シャープの“お笑い労使交渉”。

2006-04-25 06:46:34 | 時事ネタ
 新聞によると、シャープ(株)における今年の春闘の労使交渉が「35歳の社員だけに限られた500円の賃上げ」というトンデモな内容で妥結していたことが、4月19日に判明したそうだ。つまりはモデル年齢の組合員だけが賃上げされ、他の連中は賃上げゼロってこと。従業員をバカにするのもほどがあるんじゃないか? てゆーか、それ以前にこんなアホな案をよく組合が呑んだものだ(呆)。あまりの非常識ぶりに電機連合も「そんな妥結案は過去に聞いたことがなく、波及する恐れもある」と困惑しているとか。

 まあ、これが三洋電機みたいな経営が左前の会社だったら「あーあ、貧すれば窮すだね」といった感じで部外者は鼻で笑うだけで済むが、薄型液晶テレビの売り上げが絶好調なシャープは2005年度において前年同時期より8%以上もの売上高増を記録し、その点だけ見れば立派な優良企業だ。なのに、労使交渉ではこんな馬鹿なことをやって恥とも思っていない。

 今の若い者はあまり知らないだろうが、昔はシャープの製品といえば「安かろう、悪かろう」の代名詞だった。松下や東芝や日立は「一流」だが、シャープやNECやゼネラルや、そのあたりは(こと家電品に限っては)「三流」と見なされていた。今では確かに液晶では世界トップクラスの座にあるが、一般の家電品では相変わらず「三流」。作りがチャチで、すぐ壊れる。だが、それでも現在は消費者が一目置くような企業にのし上がったのは「ブランド」作りに成功したからだと言える。シャープのAV機器を購入する層は、ほとんどが「指名買い」らしい。シャープという名前だけで、他社との競合に関して大きなアドバンテージが存在している。こうなれば、企業としては強い。

 しかし、逆に言えばその「ブランド」のイメージが少しでも失墜すると、本来製品クォリティの面で足腰が弱い同社はイッキに愉快ならざる状態に追い込まれるのも確かだろう。今回の件はその意味で、シャープにとってかなりやばいのではないか。そういう姑息な労務対応をする会社、大儲けしているのに妙にシミったれた会社、そんな事実が新聞の一面で報道されれば、人件費をケチって浮いた分の金額以上に、「ブランド」イメージ低下による売り上げ減が危惧されるのではないだろうか。

 ただし、よく考えてみると、今回のシャープみたいにマスコミから取り上げられて顰蹙を買っているケースは、まだマシなのかもしれない。巨額の黒字を出しながら「500円のベースアップ」さえもやらない大企業があっちにもこっちにも・・・・。

 マスコミは少し前まで「ライブドアは欺瞞的な企業体だ!」みたいにバッシングに励んでいたが、ライブドアにしろイーホームズにしろ総合経営研究所にしろ、実体のハッキリしない「虚業」じみたところがあるのは間違いない。「虚業」である限り、胡散臭い面があるのも、まあおかしくもないわけで・・・・。でも、「阿漕な遣り口を展開しているあの企業やこの企業」の中にシャープをはじめとする立派な「実業」の会社が数多く含まれているのはどういうことか・・・・。

 要するにこういうことかな。今や「実業」だろうと「虚業」だろうと、目先の利益のために阿漕な稼業に勤しむのは当然で、ヘタ打って叩かれているいくつかの「虚業」の会社は脇が甘いだけであり、かつまたそれが現状に不満を持っている一般ピープルにとっての「ガス抜き」として機能している・・・・。「プロジェクトX」に出てきたような高い理想と矜持を併せ持った往年の経営者たちが退場した後、いまの「景気回復」とやらを支えているのは自分のカネのことしか考えていない「株主受けの良い」経営者だけになってしまったと・・・・。前にも書いたけど、ホリエモンだけが悪いんじゃないんだよね。

 いずれにしろ、シャープの製品はもう買いたくないな。一時は奮発して同社のデジタルアンプを購入しようかとも考えていたけど、今回の件で気分が萎えた。いつまでも液晶テレビが持て囃されるわけもなく(次々と新しい方式が提案されているしね)、昔の「安かろう、悪かろう」のシャープに戻る日も、そう遠くはなかったりして・・・・(爆)。
 
コメント
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